何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「FOUND ファウンド」感想 衝撃的な気持ち悪さだけど 結局、何を見せたかったのか?

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どうもきいつです


サスペンス映画「FOUND ファウンド」みました

兄が殺人鬼だと知った少年の運命を描いた2012年のサスペンスホラー
約8000ドルという低予算映画でありながら
トロント・アフターダーク映画祭最優秀作品賞など世界各国の映画賞を獲得した作品

監督はスコット・シャーマーが務めています

 

あらすじ
ホラー映画が大好きな11歳の少年のマーティは
家族の秘密を覗き見することが楽しみだった
そんなマーティは
ある日、兄の部屋のクローゼットの中に
人間の生首が隠されているのを発見してしまう

 

感想
衝撃的で鮮烈な映像にはゾッとさせられる
グロテスクな描写はかなり攻めていると思いました
ただ、面白さはいまひとつで全体的にフワッとした印象
何を伝えたいのかがブレていて最終的にあまり腑に落ちない


なんなく気になったので
Netflixで配信されているのを観てみました

賞を取ったりそれなりに評価されてる映画みたいですね

そもそも、僕は全然存在も知らなく
ただホラーっぽいから観てみたってだけで
期待を抱いたりもしてませんでした


実際に観てみると
想像以上にショッキングな映像が多くて
これはなかなか攻めてるなと思わされた

スプラッターやグロに耐性が無い人は絶対に無理な映画ですよね
本当に気持ち悪いです
気分が悪くなると思う


僕の場合はそんなのには慣れてるし
むしろ、これくらいの衝撃的な映像を見せてくれたほうがゾクゾクする

特に劇中映画の「ヘッドレス」は洒落にならん
よくこんなもん見せてくれたな
と思ってしまうレベル
悪趣味にもほどがあります

しかも、それをなかなかの長尺で見せられる
これは耐性がある人でも不快感を強く感じると思います


終盤の場面もなかなか気持ち悪いですが
こっちは直接的な映像は見せられず
グロさもそんなになかったりする

でも、いろいろ想像をさせられてしまう演出で
これはこれでとても気持ち悪かったりします


マーティの兄のキャラクターも魅力的で
かなりのサイコパスで狂気に満ちていたと思う

ラスト付近の狂いっぷりは気持ち悪い
観ているこっちも情緒不安定になりそうでした


とにかく、この映画はすごく気持ち悪い映画で
この映画を撮った人は病んでるんじゃないかと思わされるほどでした


この気持ち悪い作風が本作の魅力だと思いますが
正直言って
面白いかどうかというと
あまり面白い映画ではありません

衝撃的な映像はあるものの
基本的に淡々としたストーリーでとても地味な映画でもある
特に中盤を過ぎるあたりまではかなり退屈で
ちょっと眠くなってしまいました

で、後半が盛り上がるのかというと
そこまで盛り上がるわけでもなく
最後まであまりパッとしない印象の作品

中盤を過ぎたあたりのマーティが同級生の生首を発見したあたりから
面白い展開にはなってきます

ただ、なんか痒いところに手が届かないような
もう一歩何かが足りない状況がひたすら続く

そこがこの映画のパンチの弱さの要因だと思うんですよね


本作を最後まで観て思うのは
何を表現したかったのか
何を見せたかったのか
何を伝えたかったのか
それがわからない

本作の軸となるのは
少年マーティの物語なんですけども
これもマーティの何を描き表現したかったのか
いまいち明確に感じとることができなかった

思春期ならではの苦悩する少年ではありますが
兄や両親に対する思い
学校でのいじめのつらさ
ホラーを必要以上に好きな性格

いろいろと要素が詰め込まれてるけど
それぞれが独立していてあまり繋がっていないようにも思えます

明確にこれというテーマが提示されていれば
それを中心に観ることもできるでしょうが

本作は
どんな視点で
どんな気持ちで
何を中心に見ればいいのかよくわからなくて
観ている側の気持ちも少しブレできます

グロテスクな映像を見せたいのか
シリアルキラーの怖さなのか
いじめや差別への問題提起なのか
切ない兄弟愛なのか

いろんな要素が別々の方向を向いているようで
全然掴み所がないんですよね


さっきも言いましたけど
マーティが同級生の生首を発見してから
ラストの展開に入るくらいまで
このあたりはすごく良くて
物語が盛り上がってくる兆しも感じる

ここでこの映画が表現したいものが掴めそうになるんです
この映画はこういう方向性の作品なんだろうな
と少しわかりかけてくる

でも、いいところで切り捨てたように
核心の部分が有耶無耶になってしまってる気がするんですよね…

もうちょっとでわかりかけてたのに
方向性がちょっとズレてしまい
結局、何を表現したかったのかが闇の中

ラストの展開なんかも
なんとなく意味合いはわかるんですけど
これと言う決定打に欠ける

いろいろ中途半端に終わってしまって
とても惜しい映画のように思いました

結果的に本作はあらすじ以上のものは無かったのかもしれない

 

あと、気になったのは
全体的にかなりチープ
映像や登場人物など全体的に安っぽいです
低予算だからと言えばそれでおしまいですけど

学生の自主制作みたいな雰囲気のチープさ
これはさすがに気になってしまいました

 

映像はかなり刺激的で攻めていると作品です
それだけですごいものを見てしまった
という気持ちにはなるし
本作を観て損はなかったようにも思う

とは言え、そんなに面白い映画ではなかったし
誰かにおすすめできるかと言えば
絶対におすすめはできない映画

もう一歩深い部分にまで踏み込んでくれれば
カルト的な映画になっていたかもしれません

 


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