何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「あのこは貴族」感想 別の世界の話のようで身近な話

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どうもきいつです


ドラマ映画「あのこは貴族」観ました


山内マリコの小説を原作にした作品
同じ東京に暮らしながら
全く違う生き方をする2人の女性が
自分の人生を切り開こうとする姿を描いた人間ドラマ

監督は「グッド・ストライプス」などの岨手由貴子
主演の2人は門脇麦と水原希子です

 

あらすじ
東京に生まれ箱入り娘として育てられた華子は
結婚こそが幸せという価値観を抱いていた
結婚を意識していた相手にふられ結婚相手探しに焦る華子は
家柄の良い弁護士の青木との結婚が決まる
一方、富山から上京し働く美紀は東京で暮らす理由を見いだせずにいた
そんなに2人の人生が交錯していく

 

感想
自分にとっては別の世界を生きる2人の女性の姿ではありましたが
どこか共感や共通点も感じれる
生まれや育ちの環境は関係なく
生きるためにやらなきゃならないことは結局同じなんだと思わされました

 

以前から観たいとは思っていたんですが
なかなかタイミングが合わず
先日やっと観ることができました


本作を観る前は
貧富の格差を描いた映画なのかな
という、なんとなくの印象がありましたが

実際に観てみると
むしろ貧富の格差なんてのは関係なく
普遍的な人間の生き方を描いた映画のように思えました

いわゆる上流階級の家庭に生まれ育った華子と
あまり裕福ではない地方の家庭出身の美紀
この2人の人生を交互に描き対比しながら見せられる物語で

東京の上流階級の人間と
上京してきた地方出身の人間との
違いを感じさせられる

ただ、その2つが全く別物でもなく
共通している部分があったり
どちらが良いという話ではなかったり

本作の主人公2人を通して
自由な生き方とはなにか
本当の幸せとはなにか
を普遍的に描いている映画だと思います


僕が本作で興味深く思ったのは
東京の上流階級の人たち
言ってしまえば金持ちたちが
どんな生き方をしているのかを見れたこと

地方から東京へ来て働く美紀の姿は
かなり自分の環境に近いものがあり
どこか同じ世界を生きているように感じれます
なので共感できる話

自分の世界と地続きになっていて
なんか知っているような気もしてしまう

自分なんかより華子のほうが全然苦労してるし
東京という環境は全く経験したことのない世界ではあるんですが
身近な話のように思えます


逆に華子の姿は
自分からすれば全く未知の世界で
何が常識で
どんな価値観で
どういった生活をしているのか
そんなのは自分には知り得ない世界なわけです

自分と同じ人間なのかと疑ってしまうほど
全く別世界の人種なんですが
本作を観ると
上流階級の人たちも結局は自分と同じ人間なんだなと思わされました

確かに金銭感覚や家庭の考え方など
理解しがたいものはたくさんあるけど

その中で思い悩み
自分の生き方や幸せについて向き合おうとする華子の姿を見ると
考えてることは庶民の自分たちとなんら変わらないし

裕福であろうが貧乏であろうが
やらなきゃならないことは同じなんだなと


むしろ、華子や結婚相手の青木を見ていると
ちょっと窮屈でしんどそうにも思えます

青木なんて
お堅い家柄、その常識や風習にがんじがらめで
完全に自分の人生や自由を諦めきっている
お金はあるし安定しているし
地位も名誉もありますが

自分がこの人生を選べるとしても
選びたいとは思えない


上流階級に生まれてしまったことでの不幸というものが
この映画を通して知ることができました

 

一方、美紀のほうはと言うと
自由に自分らしく生きる女性
上流階級の華子の対比として描かれます

ただ、美紀が庶民だから自由に生きれているわけではなく
彼女にも少し貧しい家庭環境や地方出身など
不自由な環境であるのは間違いなくて
環境だけで言えば恵まれているわけではありません

しかし、美紀には自分自身の力で
自分らしく生きること
自由に生きること
を掴み取ろうとする意思がある

そんな美紀に華子が出会うことで
華子の生き方も大きく変わっていきます

 

そんな2人の姿を見て
人間って育ちや環境は関係なく
幸せで自由な人生を歩むには
自分で考えて自分で行動して一歩踏み出すことが大事なんだな
と思わされました

自分なんてこの2人に比べればかなり恵まれてる
自由に生きることに何の弊害もなく
好き勝手やって生きれてます

全然裕福ではないけど
好きな方向にいつでも行けるような人生を送れてる

だからこそ
この人生を上手く活用しなければとも感じさせられました

 

あと、印象に残ったのが
価値観の押し付けってすごくウザイなと

大学時代の美紀が上流の友達に誘われお茶しに行きますが
その店がクソ高い
金銭感覚狂ってるだろ

逆に
華子が婚活に焦ってるときに
男性を居酒屋で紹介してもらう場面
関西人のノリ下品すぎ

でも、両方とも悪気はなくて無意識なんですよ
自分はそうだからみんなもそうだろう
という価値観の押し付けです

というか
そもそも押し付けてはいなくて
その人たちにとってはあたりまえの日常で
普通のことでしかないんですよね

でも、あまりにも住む世界が違うと
そんな価値観のズレに不快感さえ感じてしまう

本作はその表現がとても面白いです

上流階級にしろ一般庶民にしろ
どこかで誰かに嫌な思いをさせてるのかもしれないです

これらのシーンは面白くて笑えるけど
反面教師にもなったかもしれない

 

それと、華子の友達が華子と美紀を合わせる時
こういう場面で女性同士が対立するように仕向けるの馬鹿らしくないですか?
みたいなことを言うとんですけど
これも印象に残りました

本作では女性同士って言葉になってますけど
これって
男と女でも
金持ちと貧乏人でも
東京と地方でも
当てはまると思うんですよね

みんなすぐ対立してケンカさせたがるけど
そもそも別にいがみ合ってるわけではないし
対立したところで何も生まれないし
ほんとに馬鹿馬鹿しいことなんですよ

多様性とか言っているこの時代に
こんなしょうもない対立をさせても時代遅れ

そんなモヤモヤを言葉に出してくれたのでなんかすっきりしました

 

正直言って
淡々とした内容でエンタメ要素は全くないと思います
面白くないと思う人もいるかも

でも、登場人物には好感が持てますし
演出や雰囲気は静かだけど心に沁みる
とても魅力的な映画だと思います

階級や常識や普通から解放されて生きる2人の姿を見ることで
自分の生き方も考えさせられました

 


あのこは貴族 (集英社文庫)