どうもきいつです
アクション映画「るろうに剣心」観ました
週刊少年ジャンプで連載され人気を博した
和月伸宏による漫画「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」を実写映画化した作品
かつて人斬り抜刀斎と呼ばれた剣客、緋村剣心の戦いを描いた時代劇アクション
監督はテレビドラマ「龍馬伝」などを手掛けた大友啓史
主演を務めるのは佐藤健です
あらすじ
幕末の動乱の中で“人斬り抜刀斎”と名を轟かせた剣客・緋村剣心は
不殺の誓いを掲げ流浪人として旅をしていた
道中、神谷道場の師範代の薫を助けたことから居候することになる
そして、街を脅かす竹田観柳との戦いに身を投じる
感想
原作を無理なく上手くまとめ
1つの映画として完成させている
ただの漫画実写化ではなく
ちゃんと映画になっていると思います
そして、アクションがすごくカッコいい
漫画実写の成功例
新作が公開されてるということで
1作目である本作を久しぶりに観てみました
とても評判がいい作品なんですが
それも納得できるような出来
漫画の実写映画として成功していると思います
僕はもともと原作が好きで
漫画も全部読んでいます
なので、原作と比べながら観てしまったりもするんですけど
そんな目線で見ても
かなり上手く原作をまとめていると思う
原作で言えば
剣心と薫の出会いから
鵜堂刃衛と竹田観柳のエピソードなど
それを全部ミックスした内容です
原作と違う部分や
原作では重要な部分がカットされてたりと
結構、大胆に改変されてたりもする
原作好きからすれば
この登場人物出てこないの？
あのエピソードは無いの？
と不満に思う部分もあるかもしれない
ただ、2時間の映画にしなければならないので
それは仕方のないこと
原作どおりのものが観たければ
原作を読めばいいだけの話ですしね
で、本作はいろいろと改変されているものの
1つの映画作品としてとても上手くまとまっています
原作の雰囲気や核の部分など
押さえるべき所は押さえていて
でも、映画としてのストーリーを損なわないため
原作では重要な部分を大きくカットしていたりもします
その取捨選択のバランスがかなりいい
センスがある
それが上手くいっている理由は
この映画で何を表現したいのか
その軸の部分がしっかりとブレずにあるからだと思うんです
この映画の軸は
殺陣アクションと剣心の戦う理由の2つ
この2つを中心に
剣心の戦いが描かれていくわけです
そして、他の要素は極力薄められている
原作で必要だからと言って
2時間の映画になったときにも必要なのか
と言ったら必要じゃない場合もある
本作はそこをちゃんと見極めています
実写映画化するにあたって
原作漫画のどの部分を全面に押し出すのかとなった時に
本作の場合は
殺陣アクションと剣心の戦う理由を描くと強く決めたのかなと思います
まず、ストーリーの話をすると
原作はやはり長編漫画なので
細かい描写がとても多いです
例えば
剣心と薫の恋愛
剣心と左之助の友情
弥彦の成長
敵のバックボーン
など、いろんな描写があって
それの積み重ねの物語でもある
でも、本作はそんなものは全部捨てて
なぜ剣心が戦うのか？
という主人公の葛藤や成長をメインに描かれる
他の描写はおまけ程度か
もはや全く描かれていなかったりもします
ただ、他の描写が薄いとは言え
剣心が人を殺さないと決めにも関わらず
それでも戦いに身を投じていく
というのはこの漫画の核でもあって
原作でも1番重要な部分を確実に押さえるのは
実写映画化するにあたって正解の選択かと思う
てか、そこさえしっかりしてれば
多少原作と違えど納得できるんですよ
特に原作と違う部分でみんなが気になるのは
竹田観柳と戦うのに四乃森蒼紫と御庭番衆が登場しないことだと思います
四乃森蒼紫は原作でもかなり重要なキャラだし
このエピソードでは
竹田観柳よりも蒼紫がメインの敵でもあるわけです
この映画では蒼紫ごとそれ関連のものは全部カットされてます
本作では蒼紫の代わりに鵜堂刃衛がその位置にいるわけです
この改変は原作をファン的には寂しいですけど
そうすることで映画としてはすごく上手くまとまってるんですよね
やっぱり蒼紫を出してしまうと
話は絶対にブレてしまうと思います
剣心の物語を中心にしたときに
蒼紫は邪魔になるんですよ
その代わりに剣心と刃衛の戦いを描くことで
より剣心の物語に深みを生み出してるんです
刃衛は剣心とは対のような存在でもあるし
敵としても存在感のあるキャラなので
この映画ではラスボスとしてはかなりいい役割を果たしている
下手な実写化ならたぶん
序盤で刃衛を軽く倒して
恋愛、友情エピソード全部詰め込み
終盤で人気キャラの蒼紫と戦わす
剣心や蒼紫の過去の回想を見せつつ
泣かす演出
みたいなブレブレの映画になってしまいそう
そこをこの映画は
メインの物語をきっちり見極め
取捨選択と組み換えを上手くしていて
実写化としての完成度はかなり高いと思います
そして、もう1つのメインでもあるアクション
これが本当にカッコよくて最高です
多少ストーリーが薄くても
こんなアクションさえ見せてくれれば大満足です
この映画は一応時代劇でもあるので
殺陣のシーンにはかなりこだわりを感じます
アクションシーンはかなり多めで
そのせいで少しストーリーは薄くなってしまってますけど
ここもやっぱり取捨選択で
ストーリーで魅せるより
アクションで魅せる
という選択を取ったんだと思います
時代劇らしいカッコいい殺陣を見せてくれて
しかも、ちょっとリアル路線なアクションになってます
CGを使ったりもしてないし
必殺技を出しまくるみたいな感じでもない
あくまで現実的な雰囲気を損なわない戦いかたを見せてくれます
しかし
この映画は漫画の実写化でもあるわけで
それだけでは地味になります
そこでワイヤーアクションをプラスして
現実っぽいけどブッ飛んだアクションに仕上げてる
ちょっとやり過ぎ感もありますけど
逆にそれが漫画っぽくもあって
漫画を実写化している意義を感じるんですよね
ジャンプ力とか異常ですから
特に牙突とか…
まあ、せっかく漫画の実写を観てるんだから
普通の殺陣よりも
これくらいやってくれたほうが気持ちがいい
アクションをカッコよく見せようとする意思も感じれて
この映画のアクションにはとても好感を持てます
さらに、本作はいろいろ改変されてるものの
原作ファンへのサービス心もしっかりあって
気の利いた一面もあります
短いながら剣心と斉藤一の戦いは見せてくれ
その時のセリフなんかも再現してくれる
道場を襲う敵を倒すときの場面は
るろうに剣心の始まりとしては絶対に重要なシーン
そこをしっかりと再現してくれている
他にも
原作ファンなら思い入れのある好きなシーンやセリフは
無理なく入れてくれています
必殺技なんかも見せ場のシーンではしっかりとやってくれる
あと、何故か敵側に
外印と戌亥番神がいますけども
これは完全にただのファンサービスですね
原作で言えば
かなり終盤に登場する敵ですけども…
これは
名前もない敵キャラにするくらいなら
原作に登場するキャラを使おうって感じだと思う
原作を知ってるからこそ楽しめる要素も用意されているので
原作ファンにも好感をもってもらえる作りになっていました
さらに、本作で最も評価したいのは
原作超えしてる部分があるというところ
いろんな漫画実写がありますけど
大体が原作の劣化版
もしくは、よくても忠実に再現してるだけ
の作品がとても多い
でも、本作は
原作を超えてる部分があって
それがこの映画の魅力にもなっています
それの1つが
さっきも言ったアクションが素晴らしい
という部分
本作のアクションは
漫画では表現できなくて
実写の映像だからこそのカッコよくて激しいアクションになってます
そして、もう１つが竹田観柳
これが本当に素晴らしかった
原作では竹田観柳って
ちょっと微妙なキャラなんですよね
敵として小者すぎますし
このエピソード自体が四乃森蒼紫がメインで
竹田観柳はおまけみたいなもんなんですよ
ただ、本作では
この竹田観柳がめちゃくちゃ魅力的な敵に仕上がってます
これはとにかく香川照之が最高です
マジで嫌なやつで腹立たしいし
でも、ただの小者ではなくて
どこかすごくヤバい奴のオーラが漂ってる
その上、ユーモアがあってコミカルにも見えたりする
顔面の力もやっぱりすごくて
悪役として最高な表情をしますし
原作にも魅力的な敵キャラがたくさん登場しますけど
本作の竹田観柳は
それに匹敵するか超えるくらいの
存在感と魅力に溢れるキャラクターになっていました
これが実写化成功の最大の要因かもしれません
実写化をするのなら
実写映画だからこその魅力は絶対に必要で
本作はそんな魅力も兼ね備えていました
今までいろんな漫画の実写化を観てきましたが
本作はその中でも頭一つ抜けてると思います
原作の良さや原作ファンの求めているものを理解して
どうしたら映画として面白くなるかも考えられている
漫画を実写化するなら
最低限これくらいしてくれなきゃ困る
世の漫画実写映画はこの映画から学ぶべき
