何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「るろうに剣心 伝説の最期編」感想 原作とは別もの なんか方向性がズレてるような…

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どうもきいつです


アクション映画「るろうに剣心 伝説の最期編」観ました

週刊少年ジャンプで連載され人気を博した
和月伸宏による漫画「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」を実写映画化した作品
2012年の映画「るろうに剣心」の続編
原作でも人気の高いエピソード「京都編」
剣心と志々雄との戦いを描いた2部作の後編

監督は前作と同じくテレビドラマ「龍馬伝」などを手掛けた大友啓史
主演は佐藤健が務めています

 

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
日本征服を目論む志々雄真実を止めようと死闘を繰り広げる緋村剣心だったが
戦いの末に海を漂流し
流れ着いた先で師匠の比古清十郎に助けられる
一方、志々雄は甲鉄艦・煉獄の大砲で村を焼き払い
政府に対し剣心の処刑を求める

 

感想
やはりアクションはカッコよくて
原作とは展開が違うもののストーリーも悪くないと思う
ただ、原作の大事な部分は抜け落ちてる気がしました
それと、四乃森蒼紫はやっぱり失敗

 

前編に引き続き
後編である本作を観ました


前編と同様に原作の「京都編」を基に作られている作品なんですが
展開はかなり違っていて
ほぼ別ものと言っていい作品になっています

とは言え
原作通りのシーンは多く用意されているし
全体のストーリー以外は原作に忠実だったりもします

本作も前編と同じで
クオリティは高くて面白いと思うし
実写映画としても上手くいってるとは思います

でも、ちょっと原作の良さや核の部分は見失ってるな
という印象でした

原作好きとしては
なんか違うんだよな
と思うことがかなり多いです

 

良かった部分は
前作、前々作とほぼ同じ

アクションがカッコいい
かなりこだわって作られていると思います

ストーリーに関しても
無理なくまとめていますし
映画オリジナルの展開もそんなに悪くはないと思う

これに関しては
前2作とそんなに変わらない感想なので
今回はスルーで


今回はちょっと悪かった部分だけの話になると思います

 

まずはアクションシーン
これは今までと同様にすごくカッコいいのは間違いないんですよ

ただ、ワンパターンになってしまってる
毎回同じタイプの殺陣になってるんですよね

もっと捻りがあればいいんですが
ワイヤーアクションのブッ飛んだ動きや
剣心の素早い剣捌きなど
見応えはあるけどもやっぱりマンネリ

せっかくなら原作の必殺技をもっと織り混ぜても良かったと思います

飛天御剣流ってかなりバリエーションに富んだ剣術だし
それを生かせばもっと面白いとアクションも生まれたと思います

別に必殺技名を口に出さなくも
技さえ見せてくれればファンサービスにもなりますし

剣心の戦いかたが素早さの表現なのか
走り回ってるだけなのが多いので
さすがに面白味がないかなと思います


それに斉藤と左之助の活躍は
ちょっと少なすぎるかとも思いました

左之助なんかは1作目とほとんど同じような戦いでデジャブみたいになってたし
斉藤はただ斬りまくってるだけだったし

もう少しカッコいい見せ場はほしかったかも

この映画では左之助の二重の極みのエピソードはなかったけど
どうせなら二重の極みっぽいパンチで決着つけるような
ファンサービスがあっても良かったんじゃないですかね


で、前編の感想でも言いましたが
本作でも十本刀の扱いが雑なんですよね

最期までイロモノ集団なんです
それが本当にもったいない

せめて宇水と安慈は活躍させるべきです

宇水はすれ違い様に殺されて終わり
安慈はギャグと説明要員なだけでただの雑魚
原作好きからすれば
これはさすがに寂しいですよね

この2人は十本刀でも最強クラスだし
時間を掛けなかったとしても
強敵の描写にしてほしかったです

序盤の修行でのアクションが無駄に長いんですけど
そこに時間を割くのなら終盤の戦いに使った方が絶対によかったはず

修行シーンは福山雅治が出てるから長かったんだろうな
とは思うけど…

十本刀の扱いには不満が残ります

 

そして、ストーリーですが
かなり改変されてはいますが
悪くはないと思うんですよ

でも、原作の良さや物語の軸は完全に見失っていて
そこにはかなり不満です


「るろうに剣心」の良さって
剣で戦うことによる心の対話の描写

1対1で戦うことにより
敵の心に変化が生まれたり
敵の思想や信念が見えてきたり
剣心自身が成長したり
その描写は「るろうに剣心」にはかなり重要な要素なんですよ

でも、本作はただ戦ってるだけになってしまってる

蒼紫にしたって宗次郎にしたって
心が変化してる感じはするけど
深いものは見えてこない

志々雄だって
強さは感じるけど
その奥にあるしぶとさや戦いへの執着心
みたいなのは感じてこないんですよね

剣心も戦ってるだけで
戦いの中で敵ですら救ってしまう
という剣心らしい描写は全くない

1作目ではそんな戦いでの対話は表現できていたのに
本作でそれが無くなっているのは疑問です

不殺の剣心が
この映画ではすごく冷徹にも見えて
なんか違和感がありました


映画で大きく改変されている展開に関しては
原作の良さを損なっていて
方向性がかなりズレています

原作での剣心と志々雄の戦いって
歴史では語られない人知れず起きていた
裏の戦いなんです

そこがカッコよくて
このエピソードの魅力でもあります

ところが
本作では警官やら政府やらがやたらと絡んできて
めっちゃ表の戦いになってしまってる

たぶん、この映画では
政府の裏の顔や
その政府や時代の流れの犠牲者としての剣心や志々雄を描きたかったんだと思う

そういうのも悪くはないけど
やっぱり
これじゃないなって気持ちは強いです

スケールは壮大になっていて
映画としての派手さはあるんですけど

「京都編」の本質は
剣心の心の中の人斬りとの葛藤であり
志々雄や宗次郎は剣心の対の存在で
戦いの中で剣心が自分に向き合っていく物語なんです

本作はそこの部分が抜け落ちてしまっていて
表面的なアクションやスケール感に囚われてしまってるのかな
と思いました

その軸の部分がブレてしまっているので
ストーリーにフワッとした印象があるのは否めない

 

そして、やっぱり言いたくなるのは
四乃森蒼紫ですよね…

前作同様にこいつがマジで邪魔です

本作では剣心と蒼紫の戦いも描かれますけど
これが本当に必要ない
そもそもこの2人に戦う理由が無さすぎる

百歩譲って
蒼紫の戦う理由はこじつけだけど存在します
ただ、剣心が戦う理由は全くない

そこを無理やり戦わして
蒼紫が改心するのはちょっと意味不明

さらにラストの志々雄戦に蒼紫が登場するのは
もっと意味不明

最後の4対1をやりたかったのはわかるんですよ
でも無理やりすぎますよね


この映画に蒼紫を無理やり出すのなら
原作通りのターミネーター扱いではなくて

はじめから協力的な位置か
逆にはじめから志々雄の仲間として登場するか
この2択ですよ

本作では原作のように志々雄側につくこともなくて
蒼紫だけが別のストーリーを突き進んでいる

メインのストーリーとも全く関わっていないので
とにかく邪魔なだけなんです

この2部作での蒼紫の扱いは本当にもったいなくて
ただ無駄に蒼紫が消費されていました

本当はカッコよくて魅力的なキャラなのに
この扱いは残念すぎますね

 

原作を知らない人なら
多少のことは気にならず楽しめるのかな

アクション重視の娯楽エンターテイメントとして面白い作品なのは間違いないです
しかし、せっかく2部作の壮大な作品なんだから
やっぱり原作の本質には触れてほしかった

実写映画としてもクオリティが高い完成度でしたが
原作の深さは損なわれていたと思います

 


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