何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「血を吸う粘土」感想 ほとんどギャグ でも面白い発想

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どうもきいつです


ホラー映画「血を吸う粘土」観ました

とある美術予備校を舞台に
呪われた粘土が人々に襲いかかるホラー映画
2017年に「第4回夏のホラー秘宝まつり2017」の1本として公開された作品

特殊メイクで多くの映画やドラマ作品に関わってきた梅沢壮一が監督を務めています

 

あらすじ
とある地方の美術専門予備校
そこでは若者たちが美術大学進学のため
日々努力を積み重ねていた
ある日、東京から転入してきた香織が
倉庫に保管されていた粘土を取り出し使うが
その粘土は怨念のこもった粘土だった
生徒たちは次々と血を吸う粘土に襲われていく

 

感想
低予算のチープなB級ホラーでほとんどギャグみたいな内容
バカバカしくはあるものの
特殊メイクにはかなり力を入れていて面白い映像が観れました
ストーリーはもっと練ったほうがよかったかもしれない

 

前から気になっていたので観てみました

観る前からB級低予算なのは明らかで
ド派手で豪華な映画なんてのは全く期待していませんでした

この映画はそんな観かたで
過度な期待をしないのが正解だと思います


想像通りチープな映画なのは間違いなくて
なんじゃそりゃ!?って内容のホラー映画

ツッコミどころは多いし変な映画ではありますが
面白いと思わされる部分も多くあって
最後まで飽きずに楽しんで観れました


まず、粘土が人間を襲う
という発想が斬新で面白いですよね

日本や海外でさまざまなホラー映画が今までに作られ
現在進行形でも増えている中
この発想は斜め上と言うか

粘土をホラーに結びつけるって
なかなか難しいとは思うんですけども
この映画は一応ちゃんとホラー映画になっています

粘土だからこその表現や演出も多くあって
粘土という題材を上手くホラーとして生かしていました

正直言って全然怖くないし
ほとんどギャグみたいなものなので
笑ったりもしましたが
全てにおいてふっ切れてる感じがして好感が持てた


そして、この映画は
1番見せたいものがしっかりとしているので
それが魅力にもなっていると思います

この映画の中心でもあって
監督が1番見せたかったんだろうな
と思うのは
やっぱり特殊メイク

とてもこだわってるというのがシンプルに伝わってきます

これは最近のホラーよりも
一昔前の80年代くらいのホラーの雰囲気があります

それに日本のホラーよりも
アメリカのホラーっぽいノリです

「死霊のはらわた」とかそっちのタイプに近いと思う


とにかく、特殊メイクでいろんなことをしてやろう
というのがガンガン出ている作風で
それがこの映画を面白く引き立てています

で、意外とグロい表現は少なくて
粘土っぽい表現が多いのも面白い

この映画って
粘土に襲われて単純に人が死ぬだけではなく
人間が粘土に侵食されたり
粘土が人間に化けたりするんです

それを特殊メイクで上手く表現していて
それがこの映画の個性にもなっています

粘土になった腕がちぎれたり
顔の中に別の顔があったり
三角定規が体にめり込んだり
変な映像はすごく多いけど斬新な表現が魅力的でした

特殊メイクという点からしても
粘土という題材の選択はとてもよかったと思う

普通のスプラッターとは違った表現ができるし
スプラッターっぽい表現もできる
この映画独自の不思議な映像が見れて
特殊メイクの表現には満足できました


それと、この映画の舞台にもなってる
地方の美術予備校というのも新鮮ですね

美術予備校が題材になるパターンってあまりないと思います
そこで描かれる受験生たちの気持ちや悩みも
同じような経験を経た自分には共感できました

 

いろいろと斬新なものが多くて
面白く観れる映画ではありましたが
やっぱり雑な部分も多かったりします


特にストーリーですかね…
もうちょっと練ってほしかった

呪いの粘土カカメが誕生した原因なんかは悪くないんですよ
狂気の芸術家が生み出した化け物
ってのはありがちな気もするけど
ワクワクする設定だったりもします

ただ、現代進行形の予備校生や予備校の先生などのストーリーや描写がいまいち

感情移入や愛着も湧かずに
最後まで何の話なのかもよくわからないまま終わってしまいました

中でも
登場人物の個性が薄すぎると思います
先生は年齢が違うし男子生徒は性別が違う
というのがあって記憶に残るけど

その他の4人の女の子たち
この見分けが全然つかないんですよね…

みんな見た目や雰囲気がなんか似てるし
内面の描写もほぼないので
誰が誰だかわからなくなります

途中で男子生徒が二股かけてるみたいなのがあったけど
正直、観ているときは全然ピンとこなかった
ウィキペディアを読んでやっと理解できましたから
あれ別人だったんですね…

とにかく、せめて見た目だけでも個性を分けるとかしないと
観ている側からすると本当に違いがわからないと思う

女の子がみんな地味めの美少女ばかりなので
ギャルっぽい子とかメガネの前髪ぱっつんとか
見た目の違いがあるだけでも全然違うと思います

美大を目指してる女の子って個性豊かだし
それくらいやっても全然違和感ないでしょうし


先生のバックボーンなんかも
フラッシュバックでなんとなく見せてくれて
なんとなく訳ありなのはわかるけど
それ以上はフワッとしてます

説明過多なのはどうかと思うけど
あまりに説明不足なのもどうかと思います

結局、ラストの行為もどんな気持ちでの行動なのか理解できませんでした


主人公側の人たちが何をしたいのか
何を考えてるのか
そんなのが見えてこないので
ストーリー自体が宙に浮いてしまってるように思いました

 

あと、演出に関しても
もっといい方法なかったのかな?
とは思います

基本的に顔アップみたいな場面が多くて
粘土に襲われてるときや
スプラッターな展開があるときに
何が起きてるのかいまいちわからなかったです

やっぱりどんな殺されかたしてるかは
もっとわかりやすく見せてほしかった

人を切りつけるシーンなんかも
動きの速さで誤魔化してることが多かったし

顔面を切りつけてからキスで血を吸う場面とか
もっと攻めれば面白い映像になってたと思います


特殊メイクはとてもいいだけに
それをもっと効果的に見せればさらに魅力的な映像が生まれていたかもしれません

 

粗っぽくて雑な部分もありましたが
個人的には楽しめて悪くない映画でした

オチのスケール広げ過ぎ感もやり過ぎてて嫌いじゃない

続編もあるみたいなので
続きも観てみようと思います

 


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