何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ザ・サイレンス 闇のハンター」感想 やりたいことはわかるけど… いろいろと中途半端

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どうもきいつです


ホラー映画「ザ・サイレンス 闇のハンター」観ました

ティム・レボン作のホラー小説の映画化
音に反応し襲ってくる凶暴な飛行生物が解き放たれた世界を舞台に
生き残りをかけて旅をする家族の姿を描いたサバイバルホラー
Netflixで2019年4月より配信されています

監督は「アナベル 死霊館の人形」のジョン・R・レオネッティが務めています

 

あらすじ
3年前に事故で聴力を失ったアリーは
両親、祖母、弟の5人で平凡な生活を送っていた
しかし、突如空から謎の生物が襲来する
その生物は音を察知し人間たちに襲いかかるのだった
アリーたち街を抜け出し安全な土地を求めてさまようこととなる

 

感想
なんとなくやりたいことは伝わってきます
でも、いろんな要素を詰め込んでるわりに
そのどれもが中途半端
あまり印象に残る映画ではありませんでした

 

「クワイエット・プレイス」に似ている映画
ということで気になったので観てみました

実際にかなり設定が似ているし
やってることも似ている

原作があるということで
たぶんパクリではないと思いますが

「クワイエット・プレイス」のヒットを受けて作られた可能性はなきにしもあらずですね


とは言え
似てると言えど違う部分もそれなりにあるし
差別化は出来てるのかな
とは思います

ただ、比べてしまうのは否めませんが…


で、この映画が面白いのかとと言うと
特別面白くはないかな…
めちゃくちゃつまらないわけではないけど
この映画だからこそ飛び抜けたものはない

「クワイエット・プレイス」もそんなに面白いと思わなかったし
個人的にはさほど好きでもないけど
こっちの方が音を出してはいけない
という緊張感の出し方は上手かったかも

2019年に配信が始まってるけど
全く話題にならなかったのが納得できるような内容でした


とは言え
良かったと思う部分もあったので
まずそこから言っていきます

「クワイエット・プレイス」に比べると
絶望的な世界観は良かったと思います

舞台の範囲が広いというのもありますし
クリーチャーの数がめっちゃ多かったりもするので
いつ殺されてもおかしくないという雰囲気は作れていました

アメリカ全体が襲われていく描写もあって
世界が崩壊していく様も描かれています

なので、なんかヤバいって感じは
観ている側にも伝わってくる

そのへんは「クワイエット・プレイス」以上に表現できていたと思う


あとは
エマ・ワトソン似の主人公が可愛かったのと
それなりに手話が活用されていたのは
「クワイエット・プレイス」よりは良かった点かも

まあ、良かったのはそれくらいで
それ以外はいまいちで
あまりパッとしない映画になっています

 

この映画で特に気になるのは
全体的に中途半端な要素が多い
全部が中途半端なので結局この映画自体も中途半端

なんとなくやりたいことは伝わるけど
核心には触れていなくて
すごくふわっとした印象です


メインはやはり音に反応するクリーチャーなわけですが
これの扱いもあまり上手くなくて
ホラーやモンスターパニックとしてもかなり微妙です

ホラー的な怖さはあまりなく
驚かされたりゾクゾクさせられたり
恐怖心を煽られることが少ない

パニック映画としても盛り上がりに欠けて
ギリギリな展開や衝撃的な展開などはほぼないです

クリーチャーにいつ襲われてもおかしくない状況ではありますけど
音に反応するという設定がブレブレで
襲ってくることもあれば全然襲ってこないこともある

小さい音に反応して来たりもするけど
まあまあ大きい音を出しても無反応だったりします

その場にクリーチャーがいるかどうか
というのもあるかもしれないけど
基本的に作り手側の都合に合わせて動かされてるって感じがしますよね

そういうのがあるから緊張感が生まれてきません

それにクリーチャー自体も小さく強そうには見えないので
あまり怖くないかな…

数が多いという恐怖はあるけども
デザインもシンプル過ぎるので
いまいちパンチが弱いなって印象でした

 

そして、クリーチャーに襲われる以外の要素もいろいろ詰め込まれていて
それがすごく中途半端

後半になると
荒廃した世界で暮らす家族の前に
謎のカルト集団が現れます

絶望的な世界にカルト集団
というのは設定だけでは魅力的にも感じます
「クワイエット・プレイス」にはこんな要素はなく差別化も出来てますしね

ただ、結果的にカルト集団の存在がノイズにしかなっていなくて
すごくもったいないです

なんとなくカルト集団を使ってやりたいことはわかるんですよ
でも、決定打に欠けると言うか…

カルト集団が現れてからはすごくふわっとした物語になってしまいます
カルト集団が登場したことによって
モンスターパニックの部分も削がれてしまいますしね

モンスターよりも人間の方が怖いって話にもなっていかないし
カルト集団から物語が展開していくわけでもない

主人公が連れ去られそうになる
という軽いトラブルが発生して終わりです
カルト集団のやってることが小者くさくて
ただの強盗って感じ

主人公が狙われる理由に関しても
なんとなく
やりたいことはわからんでもないけど
核心に迫ってないから意味不明になってる

カルト集団やそこからの展開があまりに中途半端で
その要素の魅力を全く引き出せていませんでした
ストーリの邪魔をしているだけ


それと、環境に適応するみたいなことを押してる映画でもあるけど
そこもなかなか中途半端で
あまり上手く扱えていないです

はじめのほうで主人公の適応能力が高い
みたいなことを言ってますが
それがいまいち生かされず
ダラダラと話が進んでいく

その上、主人公がほぼ活躍していなかったりもします
聴力が無いからこそ有利になるとか
その適応能力の高さで危機を切り抜けるとか
そんな展開は全く無く
彼氏に会いたいだけの頭お花畑女でしかない

活躍してるのはほぼお父さんだけでした
お父さんの方が適応能力あるよね

ラストの場面で
それっぽいことを言って締めてるけど
それにも全然納得いかないし

人間の適応能力とか言うよりも
単純にクリーチャーが寒さに弱かっただけじゃん
何カッコつけてるんだよ
としか思いませんでした

 

それぞれの要素をもっと深く描けば面白くなったかもしれません
90分の映画に無理矢理詰め込んでるから薄くなったのかなとも思います

「クワイエット・プレイス」がヒットして
この映画がヒットしなかった理由は
この映画を観たら納得できました