何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「学校の怪談」感想 ホラーというより ワクワクする冒険譚

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どうもきいつです


ホラー映画「学校の怪談」観ました

当日、小学生の間で流行っていた学校の怪談ブームを受けて作られたホラー映画
1995年の日本アカデミー賞では脚本賞と美術賞にノミネートされました

監督は平山秀幸が務めています

 

あらすじ
一学期終業式の日の夕方
小学2年生の美夏は立ち入り禁止の旧校舎に迷い込んでしまう
そして、美夏を心配し探していた5年生で姉の亜樹も旧校舎に踏み込んでしまった
そこにいたのは
亜樹の同級生の研輔と将太、4年生の均、6年生の香織だった
5人は旧校舎に閉じ込められ目の前にはお化けが現れた

 

感想
子ども向け映画には間違いないけど
シンプルなストーリーと子どもたちの冒険にはワクワクさせられます
当時の手作り感のある特撮映像も面白い
大人になった今でも楽しんで観れました

 

子どもの頃に何回も観ていた映画
久しぶりに観てみました

思い出補正があるかもしれませんけど
かなり好きな作品で
久しぶりに観てみてもやっぱりおもしろかったです


かなり昔の映画ですし
今観るととてもチープで
あまりリアルではないかもしれません

最新のCGで作られた映像になれてしまっていると
こんな古くさい映画を受け付けない人も多いかも

ただ、この時代だからこその魅力が存分にあって面白い映像になっていると思います

本作がリアルなCGで作られていたとしたら
こんな魅力のある作品にはなっていなかったはず

出来ることが制限されているから
いろんな工夫が凝らされ
手作り感のある独特な世界観が生まれている

 

まず、ストーリーの話ですが
かなりシンプルでわかりやすい

明らかに子ども向けの内容で
そんなに深いものはないですし
別にひねったストーリーでもありません

子どもたちがお化けによって学校に閉じ込められて
脱出するために奮闘する
ただそれだけの物語です

その中にジュブナイル的な要素が詰め込まれていて
ワクワクしながら観ることができます

それに、ジャンルは一応ホラーですけど
そんなに怖くなく
あくまで子ども向け

おどろおどろしいクリーチャーを見せられるだけでなく
どこか可愛かったり
なんか滑稽で笑えたり
お化けたちにキャラクター性があって好感が持てます

大人が観れば
子どもだましで安っぽいかもしれないけど
だから懐かしさを感じたり
独特な雰囲気に引き込まれていきます

 

そして、この時代の映画だからこその
今の映画にはない工夫の凝らされた面白い映像が本作の最大の魅力です

CG技術は今ほど発達していないですし
ましてや日本では
お金の面や技術の面で出来ることはかなり限られていたと思います

そんな中でも面白いものを作ろうと
手を変え品を変え
様々な方法で楽しませようとしてくれる

 

例えばクリーチャーの造形はとても面白いです

「学校の怪談」と言えばテケテケです
このテケテケも面白いですよね

うわさ話に出てくる本来のテケテケって
下半身がなく鎌を持って子ども達の脚を奪いに来る
というかなり怖いお化けです
「地獄先生ぬ~べ~」に登場したテケテケなんてトラウマもので
めちゃくちゃ怖いお化けなわけです

でも本作のテケテケは下半身はありますし
見た目はサルっぽくもある
なんかよくわからないお化けになってる

でも、それがこの映画の成功した要因でもあって

テケテケをキャラクター的にデフォルメ…
と言うか、全く別物のデザインにすることで
どこか可愛くて好感の持てるマスコットになりました

可愛いだけでなくちょっと気持ち悪いのもいいですよね

このキャラがいるお陰で
本作がただ怖いだけのホラーではなく
怖いけど楽しいワクワクする映画になってると思う


それ以外のお化け達もバリエーションに富んでいて
1つの映画の中なのに
いろんなタイプのクリーチャーが登場して
全然飽きないんですよね

ラスボス的な存在のクマヒゲさんなんかは
B級の洋画に出てきそうな造形

明らかに「遊星からの物体X」などの影響を受けています

口からクモがでてきたり
体を突き破ってクリーチャーの本体が現れたり
子ども向けにしてはちょっとキモすぎるけど
そこが逆に子ども達の記憶に残るものになっている

なかなかのインパクトですよね


口裂け女も特殊メイクでかなりの異形に仕上がってます
一瞬しか登場しないのに記憶に焼き付く
これはトラウマになるやつです

口元が必要以上に誇張されてて
思っている口裂け女を超えてくる

他にもゾンビがいたり
スイカのメリーさんがいたり

この映画ってお化けのジャンルなんなんだよ?
って思うほど様々な見せ方で
怖がらせ楽しませてくれます

 

さらに、特撮の技法も様々で
いろんな方法でいろんな表現をしています

CGや合成はもちろん使ってますけど
手作りの部分が大半で
特殊メイクや小道具、背景のセットなどにはかなりこだわりを感じます

アナログな方法での撮影も多いし
ミニチュアを合成した映像なんかもある
粘土を使ったストップモーションアニメなども使われています

とにかく使える技法は全部使ってるんじゃないかというほど
いろんな工夫が詰め込まれていて

今ではCGでどれだけでもリアルにすることはできるだろうけど
本作のようなチープなようでリアルな絶妙なバランスは生まれないと思う

限られたものの中で作られた全力の映像は
本当に魅力的で
それを観ているだけでワクワクしてしまいます

そんな世界の中を子どもたちが大冒険する
たまらないですよ


この映画の狙いは
ただ怖がらせるだけでなく
子ども達が楽しめる作品にすることだろうし
それがかなり上手くいってます

余計なものを省いたテンポのよさもありますし
最初から最後までジェットコースターのように進んでいく

子どもを楽しませるためにこだわり抜いたからこそ
本作が多くの人の記憶に残る映画になっているんだと思います

 

大人になった今観ると
細かい部分に対するこだわりにも気付けて
よりこの映画の魅力を感じることができました

昔の映画だけど
今の子どもが観ても楽しめる作品だと思います

夏になると観たくなります

 


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