何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「100日間生きたワニ」感想 そんなに悪い映画ではないと思うけど

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どうもきいつです


アニメ映画「100日間生きたワニ」観ました

Twitterで話題を集めた
きくちゆうきによる4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」をアニメ映画化した作品
ワニの何気ない日常や仲間たちとの日々が描かれます

「カメラを止めるな!」などの上田慎一郎と
アニメーション監督のふくだみゆきが
監督、脚本を手掛けています

 

あらすじ
桜が満開に咲き誇る3月
仲間たちで集まる花見の場にワニが現れない
心配したネズミが迎えに行き
途中で撮影した桜をスマホで送るが
ワニのスマホは路上に転がっていた
花見までの100日間のワニの日常は平凡でありふれたものだった

 

感想
名作だと大絶賛まではしないですが
世間の評判ほど悪くは思いませんでした
日常を通して生と死を描いた良作だと思う
でも、映画オリジナル部分の必要性はあったのかな?

 

ネット上ではやたらと炎上し
この映画に関しては悪質ないたずらが発生するほど

映画の評判もあまり良くないみたいですが

この状況に気持ち悪さを感じたし
少し可哀想なこの作品に同情の念も生まれていたので観てみました

上映時間が1時間ちょっとで観やすかったので
軽く観てきました


実際に観てみると
そんなに悪い映画ではなかったです

この作品に批判的な人の中には観ていない人も多そうですし…

原作の「100日後に死ぬワニ」のことを単に気にくわない人たちが
炎上させてる一面は大いにあると思います


僕はTwitterでバズってる時にはさほど興味もなく原作はちゃんと読んでいないです
ただ、目にすることはとても多くて
どんな漫画かは大体知ってます

Twitterで話題になった後
商品展開が早すぎることで炎上しましたけど
くだらないことですよね

 

で、映画の話ですが
それなりに原作の良さを表現できている良作だと思う

原作の場合は
Twitterで1日ごと100日後のワニの死へと進んでいく作風が面白く
それがこの作品の1番の強みです

Twitterの特性を生かした漫画で
だからこそ話題になりました

ただ、1発ネタなのは間違いなくて
初見のパンチは強いけど
2回目、3回目と読み返せば威力が弱まる作品なのは否めません

そして、映画化となると
原作が本来持っている強みの部分は表現できなくなってしまうわけです
Twitterだからこそウケてた部分が
映画では出すことができない

なので、パンチの弱い映画になってしまうのは仕方のないことだと思う
映画化自体が難しい作品だと思う

でも、そんな中でこの映画は
原作の良さを表現しようと頑張ってる作品でもある

原作の人気の理由は
Twitterを使った作品というだけでなく
作品の素朴さも大いにあると思うんです

この映画では
その素朴さに焦点を当ててしっかりと作品の良さを表現しています

そもそも、本作は劇的なものなんて全くなく
何でもないしょうもなくてくだらない日常を淡々と描いていきます

そこをつまらないと言う人もいるだろうけど
この作品のテーマを考えると
何気ない日常が意味を成してきます

観客はワニが死ぬということを知った上で全てを観ることになる

その死を知った上で観る何気ない日常というのが本作の本質で
劇的である必要なんて全くない

死があるからこそ命と人生の儚さを感じ
何でもないワニや仲間たちのつまらない日々を見ていると
そんな日々が愛おしくかけがえのないものに思えます

劇中のワニの何でもない日常が
現実の自分の日常と重なる部分もあり
自分自身の日々の大切さにも気づかされる

しかし、決してそれを重く描いてるわけでなく
あくまで平凡な日常で
死ぬことですら平凡な日常なんですよね

ワニは若くして急に死んでしまい全てをやりきって死んだわけではない
でも、あの時ああすればよかったって後悔を描いているのではなく
シンプルに生きることの尊さを描いているんです

そこは原作の良さでもあるし
映画化するにあたってそこを描けていたのは
本作の良さにも繋がってると思いました

 

だからこそ
やっぱり後半のオリジナルストーリーが
意味を成してないようにも思えてしまいます

正直、ワニが死んで終わりでいいよな
と思ってしまいました

やりたいことはわからんでもないです
ワニが死んだ後の
残された仲間たちの生を描きたかったんだろうなとは思います

ただ、ワニの死後を描くことで
ちょっと劇的になってしまうんですよね
結果的に中途半端にドラマチックになってしまってます

この中途半端さがすごく邪魔で
やるならやりきるべきだし
そうでなければ無いほうがいい

やはり最善は原作通りワニが死んで終わりだと思います

ワニの対比としてカエルを登場させてるんだろうけど
それの意図もあまりわからなかったし

結局、後半部分は蛇足ですかね…

 

あと、素朴に関しては
声のキャストがすごく良かったです

ほぼ俳優のみのキャストですけど
それがすごく良かったんだと思う

いい意味で演じすぎてないんですよね

たぶん声優だとやりすぎてしまうんですよ
特に若手の声優とかだと完全にアニメって感じの声になってたでしょうね

この作品に関しては
俳優のナチュラルな演技がハマっていて
本作の素朴さの表現に繋がっていました

メインの神木隆之介や中村倫也はもとからナチュラルな演技をする人たちだし
キャスティングに間違いはなかったと思います

 

一部の人たちからはやたらと目の敵にされてる本作ですが
全然悪い映画なんかではなく
むしろ良作でした

大絶賛されていても
この映画より酷い映画はたくさんありますよ

結局はみんな流行に流されてるだけなのか?
とかも思ったりしちゃいました

 


100日後に死ぬワニ(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)