何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「レイク・マンゴー ~アリス・パーマの最期の3日間~」感想 じわじわと恐ろしい

f:id:kiitsu01:20210919185649p:plain

どうもきいつです


ホラー映画「レイク・マンゴー ~アリス・パーマの最期の3日間」観ました

とある少女の死の真相に迫る様子を描いた
2008年オーストラリアのフェイクドキュメンタリー映画
インタビューを主軸にアリス・パーマの死に隠された真実が明かされていきます

監督を務めるのはジョエル・アンダーソンです

 

あらすじ
16歳の女子高生アリス・パーマが行方不明になり溺死体で発見される
家族や友人たちはその死を悼むが
それから不可解な現象が起き始める
彼女が亡くなってから撮影されたビデオや写真に彼女の姿が写っているのだった
その真相に迫っていくと彼女の生前の素性が明らかになっていく

 

感想
激しい恐怖演出は全く無くかなり地味な映画
ただ、じわじわと恐怖を感じさせられる
筋のない支離滅裂な物語の上に
オチも無いけど
だからこそ現実的に感じれたのかも
静かな恐怖を味わえます

 

すごく怖い映画
という噂を聞いたので観てみました

これはちょっと賛否が分かれそうな映画ですね

わかりやすく怖いホラーや
全ての真相が明かされるミステリー
みたいなのを期待すると肩透かしをくらうと思う

エンタメ的な面白さは皆無で
かなり地味な印象の強い作品です

僕もはじめは少し掴み所のない作風に戸惑って
どんな心持ちで観ればいいのかな…って感じでしたけど

なんとなく作品の意図が掴めてくると
なかなか怖さも感じれましたし
とても興味を惹かれる内容に引き込まれた

結構、この映画は好きかもしれません

 

基本的にこの映画の作りは
死んだアリス・パーマの家族の姿を追ったドキュメンタリー
って体のフェイクドキュメンタリー

その中で怪奇現象が発生したり
アリスの秘密が明かされたり
アリスの死の真相に迫ったり
そんなものが描かれていきます

そして、怖い描写なんかもあるわけですが
驚かすとかグロいとか
そんなわかりやすい描写は全く無くて

本作でのホラー描写は
なんか不気味でなんか気持ち悪い
という雰囲気だけの怖さなんですよね

特にアリスが写り込んでいる映像や写真がめちゃくちゃ怖くて
精神的にじわじわと恐怖に呑まれていく感覚

アリスが怖い顔で写ってるとか
急に出て来て驚かすとか
これぞホラーな見せ方はせずに

はじめからそこに写っている違和感や
映像の荒らさで明確には見えない不気味さ
そんな絶妙な気持ち悪さをとても上手く表現しています

この映像や写真を見ると
なんかゾワッとするんですよ
ずっと見てたくないな…みたいな

 

そして、本作の面白いところは
真相に迫れば迫るほど
より真実が遠ざかっていくというところ

見ようによってはオチのない映画とも言えますが
本作の場合は
真実が見えてこないからこそ
そこに得たいの知れない恐怖を感じれます

とにかく、この映画は何も明かされないので
すっきりしたい人はやはりハマれないかなとは思う
でも、この映画の不気味な余韻に浸れるのなら
本作を好きになれるはず

 


で、特に賛否が分かれそうなのが
この映画の支離滅裂なところ

心霊だと思ったら実は心霊ではなくて
アリスの秘密が見えてくるミステリーになっていく
しかし、その謎も結局は謎のままで
さらにオカルトな方向へ話は進む
最終的にはやっぱり心霊

いろんな要素がいろんな方向から伏線もなしに急に飛び出してくるので
そこを受け入れられない人も多そうです

ただ、この支離滅裂なストーリーや伏線のなさは
意図してのことだろうと思う

本作の狙いはおそらく
リアルなフェイクドキュメンタリーとそこにある恐怖

現実の世界って
伏線なんかなく唐突に何かが起きるし
1つの答えに向かう一本のストーリーなんてものもないですよね

この映画はそれをフェイクドキュメンタリーを使って表現してると思うんです

はじめはアリスの幽霊が現れるところから物語は始まるけど
その真相に迫っていくと別の何かが露になる
意外な角度から意外な真実が見えてくる
でも、結局全てが明らかになるわけもなくて
真実は全く見えてこない

それってすごく現実的で
この映画が現実世界と地続きに存在する本当のドキュメンタリーのようにも思えてきます

これ本当のことなんじゃないか?
と思えてしまうことで
より恐怖も倍増すると言うか

この事件そのものが不気味で
ゾワッとした気持ちにさせられるんですよ


登場人物のリアルさも素晴らしくて
この家族や周囲の人々が本当にいそうで現実味があります

演技に関してもすごくナチュラルで
本当にインタビューを受けてるように見える

演技をしてるようには全然見えないんですよね

そんなキャストたちの能力も相まって
この映画がより本物のドキュメンタリーのように思えるんです


それと、映像の見せ方も良かったですね

ドキュメンタリー番組風に作られているので
そんな番組を見ているような感覚に陥る

だだ現実的な映像を繋げてるだけじゃなくて
ドキュメンタリー番組的な演出をしてるんですよ

インタビューに合わせて部屋の映像を差し込んだり
ドキュメンタリー番組特有の演出過多な感じが
この映画に関してはより現実的に見える効果を生んでる

現実で起きた事件を扱ったドキュメンタリー番組をテレビで見てるような気持ちになって
この作品の本物っぽさに怖さを感じる


いろんなホラー映画を観てきましたけど
本作のような怖さはあまり感じたことがないかもしれません

偽物とわかっていても本物のように感じて恐怖する
なかなか興味深い映画でした

 

正直言って
映画として面白いのかと言うと
ちょっと首を傾げてしまいますけど

フェイクドキュメンタリーとしてはかなりクオリティの高い作品じゃないでしょうか

激しめの過剰なホラーに飽きた人は
この映画を観てみるといいかもしれません