何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「整形水」感想 人間は見た目より中身が大事

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どうもきいつです


アニメ映画「整形水」観ました

オムニバスコミック「奇々怪々」の1編をアニメ映画化した韓国の作品
美しくなりたいという人間の欲望と狂気を描いたサイコホラー
外見にコンプレックスを抱く主人公が“整形水”を使い美貌を手に入れます

監督を務めるのはチョン・ギフンです

 

あらすじ
外見に強い劣等感を抱くイェジは人気タレントのメイクを担当していた
タレントからは日々罵倒され
偶然出演したテレビ番組をきっかけにネットでは誹謗中傷されてしまう
自暴自棄に陥ったイェジだったが
ある日、彼女のもとに自由自在に容姿を変えれるという“整形水”が届くのだった

 

感想
いくら見た目が美しくなっても中身が醜ければ意味はない
この主人公を見ているとそう思わされる
韓国だからこそ生まれた作品かもしれません
サイコホラーとしてもなかなか楽しめました
ただ、もう少しメッセージ性を強くできたような気もする

 

原作は全く知りませんでしたが
予告を見て気になっていたので観に行ってきました

個人的には好みの作風で最後まで楽しんで観れました

サイコホラーとしては
最後まで先の読めない展開にハラハラとスリルを感じれましたし
本作で描かれているテーマは興味深い

整形大国と言われている韓国だからこそ
生まれた作品のようにも思えます

ルッキズムやネットでの誹謗中傷など
韓国でも問題視されているようなものが
描かれている作品です


全体的にはゾッとするサイコなストーリー
次から次へと移り変わる展開に
どんどんと物語に引き込まれていきます

絵柄は少女漫画のような少し可愛い雰囲気の印象ですが
グロくて気持ち悪い描写も多く
ビジュアル面でも恐怖を煽られます


で、本作の中心となるのが“整形水”
これを使えば自分の見た目を自由自在に変化させることが出来るわけです

太っていて顔にも自信がない
自分の見た目にコンプレックスを感じているイェジが
これを使い美しく変貌する


本作が面白いのは
主人公イェジの描写ですよね

不細工だけど心は綺麗ってパターンはよくあるけど
イェジの場合は中身もブスなんですよ

醜いから自分は不幸だ
醜いのは親のせいだ
みたいな思考の持ち主で
整形水で美しくなってもそれは変わらない

イェジを見る周りの目が変わっても
彼女の内面の醜さは相変わらずで
悪いことは何かのせいにして
全ての行動原理は自分中心

こんなやつ絶対に友達にすらなりたくないな
って人間です

だから、そんなイェジを見ていると
どれだけちやほやされて人気者になっても
全然幸せには見えないし
いくら見た目が良くても
そんなもの空虚なものにしか思えない

イェジのキャラクターで
外見の美しさだけにこだわることが
如何に空っぽなことなのかを
上手く表せていたと思います


そして、ホラーとしての描写も面白くて
映像でも映画の中に引き込まれていきます

整形水を使って変化する体も
なかなか気持ち悪い見せ方をしてますよね

顔だけ綺麗になって体は太ってるのとか
笑ってしまいそうになる反面
気持ち悪さもすごく感じる
体の肉を削ぎ落としていく描写も気持ち悪い

整形水に浸かりすぎて体が溶ける場面は
日本のホラー漫画的な味わいがあって
とても好きでした


ホラー展開に関しては
ちゃんと怖いしオチも良かったと思います
ホラーらしいバッドエンドでしたし

狂気を感じる場面が多くてゾクゾクさせられました

 

個人的に好きな描写が多くて
普通に面白い映画だとは思いましたが
若干、気になる点もあって
そこが思いのほか引っ掛かってしまいました

中でも特に引っ掛かったのは
終盤の展開がなんかズレてるように思うんですよね

サイコホラーとしては
なかなか面白い展開だとは思うんですけど
本作のテーマから考えるとちょっと違うと言うか…

美しさを追い求めることを疑問視した作品なのに
終盤は暴走したサイコパスの怖さだけの映画になってしまってるんですよ

ヤバい奴に主人公が取り込まれて終わり
みたいな…
さっきまでのテーマはどこ行ったんだろ?
って方向に進んでいく


やっぱり
イェジの性格の悪さ故にしっぺ返しを食らうとか
美しさを追い求めすぎて破滅に向かうとか
自業自得で痛い目を見る展開のほうがテーマも深く掘り下げれたでしょうし
絶対にそっち方面に進むべきだったと思う

イェジの体が溶けてしまって
その後に整形水の売人を殺す展開はすごく良かったんですけどね
そこから話が広がっていかなかったのはもったいない

そこで一旦話が終わって
別の話にシフトしてしまった感じがします

イェジの愚かな行動の延長線上で
ジフンとの関係性や最後の展開があるのなら
また違った印象にもなっていたかもしれない


よく考えると
最後のほうはあまり整形水関係ないな
と思ってしまいました

ジフンの正体は今までとはあまり関係がない突拍子の無さを感じたし

ジフンの体のやつは
整形水を使って体に移植してるんだろうけど
整形水がただの便利道具扱いですから

本来の整形水のヤバさみたいなのが薄れてしまってる

 

あと、アニメ映像ですけど
ちょっとクオリティが低いですかね

手描き風の3Dアニメなんですけども
ちょっと動きが不自然だったりします
それが気味悪さに繋がっていると言えば繋がってるとも思いますけども
狙ってのことではないだろうし

漫画みたいな放射線を使ってたり
少しチープさも感じてしまう

他のアニメ映画に比べると
少しレベルが下なのは否めないです

3Dよりも2Dの手描きアニメのほうが
もっと雰囲気が出たんじゃないでしょうか

まあ、予算や時間のことを考えると
3Dアニメのほうが効率がいいのかもしれませんが

 

少し気になる点もありましたが
総合的には楽しめる映画ではありました

韓国映画らしいスリリングさと
韓国だからこそのテーマは
新鮮で興味深い内容かと思います

人間は見た目より内面を磨くことが大事ですね