何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「殺人鬼から逃げる夜」感想 スリルがあってハラハラする みんな無能すぎるけど

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どうもきいつです


スリラー映画「殺人鬼から逃げる夜」観ました

耳の不自由な主人公が連続殺人犯に追い回される夜を描いた韓国のスリラー映画
聴覚障害者の女性が殺人現場を目撃し恐怖に見舞われていきます

監督・脚本は本作がデビューとなるクォン・オスン
出演するのはチン・ギジュ、ウィ・ハジュンなどです

 

あらすじ
ある夜、聴覚障害を持つギョンミは
会社からの帰宅途中で血を流し助けを求める女性を見つける
それは連続殺人事件の犯人の仕業だった
事件現場を目撃してしまったギョンミは
新たなターゲットとして殺人鬼に狙われるのだった

 

感想
スリルの作り方は上手くてハラハラさせられる映画でした
ただ、スリリングに作られているものの
同じことの繰り返しが続くので終盤はダレる
良くも悪くも登場人物が全員無能で
そこが気になるのは否めない

 

なんとなく面白そうだったので観に行ってきました

韓国のスリラーやホラーは面白いものが多いし
本作にもそこそこ期待はしてました


本作も期待どおり一定のレベルの高さはあって
楽しめるスリラーではありました
スリルのある場面の見せ方は上手いし
ストーリーも悪くないと思います

障害者を扱ったスリラーということで
「見えない目撃者」「RUN/ラン」「クワイエット・プレイス」など
そういうタイプの映画で
最近の流れにも乗っかってる作品ですね

ハンデを背負ってるからこその恐怖を描いています

 

恐怖の描きかたもいいし
スリルもあるし
ストーリーもまとまってるし
平均的な面白さのある映画ではありましたが

普段からこんなタイプの映画をよく観る人にすれば
特別記憶に残る映画ではないかもしれません

面白いけど雑さも目立って
完成度も普通くらいですしね

なので、マイナスの部分が少し気になってしまうんですよ

悪くはないけど
これは気になるなとか
もっと面白くできそうなのになとか
いろいろと考えてしまう

 

特にワンパターンなのは本作を微妙に思ってしまう大きな要因ですね

はじめは恐怖やハラハラドキドキわとても感じれるんですけど
途中からは慣れてくるし
最後のあたりは飽きてしまってる

もっといろいろ違う展開があってもいいだろうし
いろんなパターンの見せ方はほしいところ

基本この映画は追いかけっこばかりですしね…
鬼ごっこ映画ですよ

追いかけられてちょっと抵抗して
殺人鬼を振り切ったと思いきや
やっぱり殺人鬼に追い詰められる
そのパターンの繰り返し

さすがにそれだけでは最後まで興味は持続しない


本作は最初から犯人の顔がわかっているパターンの映画なんですけど
こんなことなら途中まで犯人の正体を隠してたほうが良かったと思う

正直、犯人が誰だかわかってるメリットは無かったし
序盤の追いかけっこでは犯人が顔を隠してたので

主人公目線で
犯人が誰だかわからないという部分で話を広げれば
警察の取り調べの場面とかもっと面白くなったと思うんですよね

てか、警察の取り調べの一連の流れ
あそこって全く同じ流れでも
犯人がわかってないだけで全然面白くなったと思うんですよ

犯人があいつだった
ってだけで1つ驚きも作れるだろし
殺人鬼の怖さも際立ったと思う


それと、主人公の聴覚障害という設定も
完璧には生かせていない印象です

所々で耳が聞こえないことでの恐怖の演出や
面白い見せ方はあります

どんなに音が鳴っていても気づけなかったり
周りの人とコミュニケーションが取りづらかったり
主人公目線の無音の演出とか
そういうのはすごくセンスがある

でも、それで終わってるのがもったいない

もっとその設定は生かせるはずなんですよ

例えば「見えない目撃者」なら
盲目だけどそれ故の長所もあって
その長所を生かして立ち向かっていきます

「RUN/ラン」の場合は
自分の知恵を振り絞り短所を補い
窮地を乗り切っていきます


本作はそういうものがあまりなくて
障害をマイナスな要素としてしか扱っていない気がする

ギョンミと母親が手話で会話して犯人にはその会話の内容がわからない
って場面はあったけど
いまいちそこも盛り上がる展開にはなってないし
上手く機能していなかった感じはします

耳が聞こえないからこそ健常者より危険に敏感
みたいなのがあっても良さそうだけど
むしろ、ギョンミは鈍感だったり…

コミュニケーションが取りづらいから犯人が周りの人を言いくるめる
ってパターンが何回かあるけど

ギョンミもう少し知恵を振り絞ってくれよと
ちょっとイライラもしてしまう


障害者がただの弱者で終わってしまってるのは
ちょっと時代にそぐわないんしゃないかな…

最後は殺人鬼を倒して終わるけど
なんか聴覚障害が関係ない方法なのであまりすっきりしない
ここは、障害者だからこその逆転劇を見せてくれれば
カタルシスも大きかったと思う

 

あと、登場人物がみんな無能なのはどうなのか?

もれなく全員無能です
主人公も殺人鬼も警察も

ある意味、全員無能だからこそストーリーが噛み合っているとも言える
1人でも頭が良ければバランスが崩れるストーリーですもんね
そういう点では良い部分でもありますが

やっぱり馬鹿ばかりだと茶番に見えてしまうのは否めません

主人公は自ら危険に飛び込んでいるようにしか思えないし

妹が行方不明のお兄ちゃんは役に立ちそうで全然役に立たん
むしろ状況を悪化させている

なによりも殺人鬼ですよ
馬鹿だから魅力が半減してる

賢そうで上から見下している雰囲気のキャラのわりに
ミスは多いし
隙は多いし
すぐに狼狽えるし
感情的に取り乱すし

穴が多くてあまり怖くないんですよね…
執着心の強さはよかったですけど

やはり、このタイプの映画は
殺人鬼が完璧主義のサイコパスみたいなほうが絶対に魅力的
その方が倒したとき気持ちいいし


そして、警察が無能すぎる
こんな警察には頼れないよ

警察が有能すぎればあっという間に解決で
映画は終わってしまうけど
それにしたってポンコツすぎません?

知らないとは言え犯人を簡単に解放するわ
さっきまで命を狙われていた女の子に護衛すらつけないわ
ナイフを振り回してるだけの犯人を銃で集中砲火するわ

さすがにこの酷さは無いわ


この映画
ある意味ご都合主義なんですよ
物語をスムーズに進めるために全員無能にしてしまってる

でも、そのやり方のせいで
リアリティは損なわれてしまってます

やっぱり、全員無能より全員有能のほうが
作るのが難しくても面白い作品にはなりますよね

 

文句ばかりになりましたけど
好きなところもちゃんとあります

主人公が可愛い
表情豊かだし魅力的でした

童顔なので20代前半くらいと思ってたら
32歳でした
自分と同世代で驚いた

童顔だから身長低いと思ったらめっちゃ身長高いし
ラストの4人並んだシーンで背の高さに気づかされました


それと、「シャイニング」のオマージュは笑えました
ああいうオマージュはいいですね
好きです

 

他の韓国映画に比べるとちょっと見劣りはします
ホラーやスリラーが好きな人なら
可もなく不可もなくって内容に物足りなさは感じると思う

まあ、それなりの面白さはあるので
暇なら観てみてもいいかもしれません