何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「黄龍の村」感想 アホな発想が最高

f:id:kiitsu01:20211020102854p:plain

どうもきいつです


ホラー映画「黄龍の村」観ました


山奥の村に迷い込んだ若者たちの運命を描いたバイオレンス映画
キャンプに向かう途中の若者たちが
偶然訪れた謎の村で恐怖に見舞われます

監督は「ベイビーわるきゅーれ」など阪元裕吾
出演するのは「魔進戦隊キラメイジャー」の水石亜飛夢などです

 

あらすじ
車でキャンプ場に向かう8人の若者たち
道中に山の中で車がパンクしてしまい携帯の電波も繋がらず
助けを求め歩き始める
そして、龍切村という謎の村にたどり着く
彼らは村の男の自宅に招かれ泊まることになるが
翌朝、奇妙なお面をかぶった村人たちが
外を練り歩く姿を目撃するのだった

 

感想
中盤の意外な展開が面白い
奇をてらった発想だけでなく
そこに至るまでの前フリがとても上手いです
驚きとワクワクでテンションが上がりました

 

「ベイビーわるきゅーれ」が面白かったので
同監督作の本作を観に行ってきました

やっぱり、この映画はネタバレなしで観るのが1番いいですね
もし、本作を観ようと思っているなら
何も情報なしで観るのがおすすめです

ここからは普通にネタバレしていきます

 

この映画は前半と後半で大きく変化があります
ジャンルすら変わってしまう
そこが本作の面白いところです

言ってしまえば
前半はホラー
後半はアクション
みたいな映画


前半のホラー部分は
かなりベタでありがちな内容

調子に乗った若者達が
なんかヤバい風習の村に迷い込んで残忍に殺されちゃう
みたいなよくあるやつ


そして、後半になると
めっちゃ強い奴らが敵たちを無双する
爽快バイオレンスアクションに様変わりします


この唐突なジャンルの変化に驚かされる映画です
発想はアホでしょうもないことではあるけど
斬新で面白いことには間違いない

低予算だからこそ
如何に工夫して面白く見せるかを考えられた作品で
それが本作の魅力だと思います


で、本作はただ奇をてらっただけの映画ではなく
細かいところまで考えて作られていると思います

前半のホラーに関しては
完全な前フリなわけですけども
ホラーとしてちゃんと面白く作られている

冒頭はこれでもかと調子に乗った若者を見せつけて
村に入ってからは絶妙な不気味さも見せてくれる
殺人が始まれば
スリルがあってゾクゾクさせられる場面も多いし
残酷な描写もあって緊張感が張り詰めている
シンプルに村人たちは怖いです

それなりにホラーとして成り立っているんですよね

ホラー部分が成立してるからこそ
前フリとしてもとても生きている


そして、後半のアクションは
ちゃんとアクション映画として作られているので
これだけでもなかなか見応えがあります

カッコいいアクションはたくさん見せてくれますし
主人公たちが強すぎるところにはワクワクさせられてしまいます

ちょっと中二病っぽい雰囲気もたまらないですよね

 

さらに、本作が優れているのは
前フリの上手さだと思うんですよ

前フリが上手いからこそ
後半のどんでん返しがより生きている

後半から活躍する4人の見せ方もよくて
前半ではこの4人の存在感がとにかく薄い

普通のホラーならただの捨て駒で殺されるだけのキャラクターですよね

顔もあまり覚えてなかったし
女の子に至ってはこんな子いたっけ?
って感じです

その代わりにパリピ4人組が目立っていて
パリピ4人が活躍するんだろうな
という見せ方です


中でも水石亜飛夢の使い方が完璧

センスのない人なら彼を後半に活躍させちゃうと思うんですよ
水石亜飛夢に前半で地味な演技をさせて後半で爆発させる
みたいな

ただ、本作の阪元監督はどうすれば面白くなるかをわかってます
ちゃんと水石亜飛夢を捨て駒にしてるんです

彼は戦隊ヒーローをやっていたのもあり
そこそこ露出はあるし
本作では1番知名度が高い

さらに演技力もあるだろうし
アクションもできるし

この映画において
彼の存在そのものが主役なんですよね

で、それを逆手に取って
彼の存在そのものを前フリに使ってるわけです

そうすることで
急展開が来ると地味だった4人がより目立つし
驚きもより大きくなる

本作を観ている人たちに
「いや、そっちかい!!」
と心の中で言わしてしまうところが
この映画の上手いところ


村人の描きかたなんかも
王道ホラーの恐ろしさや胸くそ悪さを
しっかりと見せてくれているから

そこが後半になってからのカタルシスに繋がっています

よくホラー映画を観ているときに
こんな胸くそ悪い奴ら全員死ねばいいのに
みたいなことを考えてしまうけど

本作ではその願望を叶えてくれる
そこがすごく気持ちよくもあるんですよね

前半にちゃんとホラーをやっている部分が
後半に盛り上がるための前フリになってるわけです

 

それと、他にこの映画で好きなのは
ユルい会話のやり取り

これは「ベイビーわるきゅーれ」とも共通するところで

復讐のために人を殺しまくってるバイオレンスな内容なのに
当の本人たちはめちゃくちゃユルい

部活かバイト感覚かよ
と思うほどユルユルで戦ってます

そのギャップがとても面白くて
ついつい笑ってしまう

ワードチョイスなんかも絶妙に面白いし
これは阪元監督特有のセンスですよね

 

あと、関西弁の使い方も上手いですよ

とてもナチュラルで狙いすぎてない
でも、関西弁ならではの面白さも出せています

関西以外の人がイメージする関西弁って
お笑い芸人のあの感じだと思うけど
あれはめちゃくちゃ誇張した関西弁ですからね

あまりあんなしゃべり方する関西弁の人はいないです

むしろ、お笑い芸人みたいな喋り方する人はおもんない人が多いし

本作では関西弁が全然わざとらしくなく
普通の人が普通に喋ってるような雰囲気

そんな中でも関西弁特有のノリはあるので
それがユルい会話に相まって
クスッと笑える


それと、村のおっさんとかは絶妙に嫌な関西弁の感じで
あれが妙に恐怖心を煽ってる
あんなおっさんが1番関わりたくない


絶妙に笑える会話も
本作の魅力の1つであると思います

 

とても面白くて大絶賛しましたけど
問題があるとすれば
良くも悪くも阪元監督の作風が固まり過ぎてるとこかなと思います

僕は「ベイビーわるきゅーれ」しかまだ観てないけど
監督の他作品をたくさん観ている人なら
本作のインパクトは弱くなるかも

僕は他の作品を観てないけど
他の作品の予告を観るかぎり
おそらく、やってることの根本は同じなんだろうと思うんです

本作もやっぱり根本の部分は同じなので
阪元監督の作品が好きな人ほどマンネリを感じてしまうかもしれない

ただ、本作は1時間ほどの短い映画なので
絶妙に飽きのこない作品になっています
そこはやはり計算されているのかもしれません

もし、90分くらいの長さなら途中で飽きてたと思う

結果的には
ちょうど面白い映画に仕上がってました

軽い気持ちで観ても
思っている以上に楽しめるのでお得感がありますよね

これはB級映画ならではの魅力だと思います

 

アホなアイデアがとても面白いし
細かい部分も意外と作り込まれているので
低予算のB級映画ながらすごく楽しめる作品でした

阪元監督の今後の作品にも期待させられます

 


ある用務員【DVD】(40分にもおよぶ怒涛のアクションシーンの舞台裏に迫ったメイキングを収録)