どうもきいつです
ホラー映画「キャンディマン」観ました
1992年のカルトホラー「キャンディマン」を新たに映画化した作品
原作はクライヴ・バーカーの小説「禁じられた場所」
鏡の前で5回名前を唱えると現れる殺人鬼
キャンディマンの恐怖が描かれます
「ゲット・アウト」「アス」などのジョーダン・ピールが製作と脚本を務め
監督は「ヘヴィ・ドライヴ」などのニア・ダコタスです
あらすじ
シカゴの公営住宅“カブリーニ=グリーン”では
鏡の前でその名前を唱えると
右手が鉤爪の殺人鬼キャンディマンが現れる
という都市伝説が語られていた
公営住宅が取り壊されてから10年後
新設された高級コンドミニアムに画家のアンソニーが恋人ともに引っ越してくる
彼は創作活動のためキャンディマンの謎を調べていた
そして、とある人物から都市伝説の裏に隠された悲惨な物語を聞かされる
感想
そこそこ怖さや面白さはあるけど
いまいちインパクトが弱かった
妙に説教臭い作風でなんか小難しい印象
そこに少し面倒くささも感じてしまいました
過去の作品は観たことありませんでしたが
本作が気になったので観てきました
続編なのかリメイクなのか
よくわからない立ち位置の作品ですけど
なんか過去作と繋がってるっぽいし
昔の作品は見てるほうがいいのかな
と思います
僕は過去作を観ていないので
そんなにハマれなかったのかもしれないです
ハマれなかったとは言え
つまらない映画とも思っていなくて
ホラーとして怖さや面白さを感じれる作品なのは間違いありません
よくある都市伝説的なものをテーマに
黒人の差別問題を絡めるのはなかなか興味深く
納得させられる部分があります
そして、そこに怖さを感じることもできる
キャンディマンの存在に関しても
ただの怖い怪人では終わってなくて
黒人の恨み辛みが具現化したような存在になっています
そんな怨念を描いた作風は
よくあるアメリカンなスラッシャーホラーではなく
どこか日本のホラーみたいな雰囲気も漂っている
意外と日本人には馴染みやすい映画かもしれません
ホラー演出や映像の見せ方も魅力的なものが多くて
怖さや不気味さを感じれます
序盤のビルの街並みを逆さから撮った映像は
妙に不穏で不安な気持ちを煽られる
物語の始まりとして
ここで気持ちを揺さぶられ
この映画の中に引き込まれます
キャンディマンの登場や殺人の場面もすごく良かった
現実にはいないけど鏡の中には存在する
という表現は面白いです
イチャイチャしてる奴らが殺される場面は
なかなか残忍で刺激的
鏡の中だけにいる表現がとても生きている場面でした
トイレで女の子たちが惨殺される場面は
直接的には見せていなくて
扉の下の隙間から見せる
みたいなのは上手い見せ方だと思います
見えてないからこそ想像してより怖くなる
みたいな演出
他にも
鏡を使った演出は面白いものが多いし
痛々しいシーンも多々あるので
ヒヤッとさせられたりもします
アンソニーが心身ともに変貌していく様子にはゾクゾクさせられたりもする
それをアンソニーの作品の変化で見せるのも興味深いですよね
魅力的な場面はたくさんありました
ただ、それが単調に続くので少しインパクトは弱いかなと思います
すごく怖かったとか
すごく驚いたとか
そういうのは無いんですよね
ちょっと全体的に地味な映画かもしれません
まあ、終盤はすごく盛り上がりますけど
正直言って
これはホラーではないですよね
これはこれで嫌いではないけど
その反面、これじゃないんだよな
って気持ちも生まれていました
黒人差別というテーマとラストの展開もあり
ここでのカタルシスはすごくて
気持ちがいいことは間違いないんですけど
ダークヒーロー的なキャンディマンにはカッコよさも感じました
面白い映画ではありましたが
個人的にはやはり本作の説教臭さが引っ掛かってしまいました
本作はかなりストレートに黒人差別のテーマが描かれています
ジョーダン・ピールの「ゲット・アウト」や「アス」もそんなテーマを描いた作品でしたが
この2作は少しひねった見せ方をしていて
直球な問題提起ではなかった印象です
しかし、本作の場合は
ストレートに白人がしてきたことを見せ
それに対する黒人の恨み辛みを見せている
もはや、問題提起と言うよりは
差別に対する黒人の怒りを直接ぶつけたような作品になってるんですよね
この映画自体が黒人たちの怨念で
キャンディマンそのもののような…
そんなメッセージ性が強すぎるほどの映画なので
そこに少し説教臭さも感じてしまいます
ただ、このストレートなメッセージ性は
あえてやっている部分はあるだろうとも思う
それくらいアメリカでは根深い問題で
そこまでストレートに言わなきゃ伝わらない
そこまでストレートに言いたくなる気持ちがある
というのは理解できる
理解はできるものの
やはり、日本で暮らす日本人の自分としては
正直、この強すぎるメッセージ性がノイズになってしまうのは否めない
日本でも差別意識や差別問題は間違いなくあって
アメリカの人種差別問題を自分に置き換えることはできますけど
それでも、アメリカの人種差別問題は
日本と比べると規模が違いますし
やっぱり客観的に見てしまいますよね
客観的にこの映画を見てしまうと
黒人の人たちの気持ちは十分にわかるけども
もう少し抑えれませんかね?
もっと平和的な解決策ありませんかね?
みたいに思ってしまう
この映画の怨念に
若干、引いている自分がいる
ただ、それほどこの問題は闇が深くて
白人に強いたげられてきた人たちの恨み辛みは半端ない
だからこそこの映画が作られたんだろうし
アメリカの人たちは
白人、黒人問わず
本作のメッセージが強く心に刺さるんじゃないでしょうか
日本人の自分としては
本作のメッセージが尖りすぎてて受け止めきれない…
悪い言い方をすれば
どこか他人事でもあるので
このストレートで強すぎるメッセージに
面倒くささすら感じてしまうんですよね…
人種問題に対するアメリカと日本の温度差を見せつけられて
ある意味、自分の考えの甘さを思い知らされたような気もします
そう思えば
この映画を観たことはとても有意義だったのかもしれません
普通のホラー映画として観てしまうと面食らうかもしれない
この映画の怨念は深くて重いです
アメリカの人種問題はそれほど根深いものだと思い知らされました