何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「CUBE 一度入ったら、最後」感想 邦画の駄目なところを煮詰めた感じ

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どうもきいつです


スリラー映画「CUBE 一度入ったら、最後」観ました

ヴィンチェンゾ・ナタリが手掛けた
1997年の密室スリラー「CUBE」を
日本でリメイクした作品
立方体の部屋が繋がる空間に閉じ込められた男女6人が
命がけで脱出に挑む姿が描かれます

監督は「でぃすたんす」などの清水康彦
出演するのは菅田将暉、杏、岡田将生などです

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
エンジニアの後藤は謎の立方体の部屋の中で目を覚ます
彼以外にもこの空間には男女5人が閉じ込められていたのだった
それぞれの部屋には殺人的なトラップが仕掛けられており
彼らは理由もわからず命がけで脱出を試みる

 

感想
この映画を作った人たちはオリジナルの「CUBE」に恨みでもあるのか?
普通にリメイクしていればそれなりに面白くなるはずなのに
なぜここまでつまらなくできるのか…
邦画の悪いところがてんこ盛りな
酷い映画でした

 

オリジナル版の「CUBE」はとても好きな作品なので
その日本版リメイクということで本作を観に行ってきました

正直、期待は全然していなかったけど
日本版「CUBE」はどうなるのかとても気になっていた

で、実際に観てみると
なかなか酷い出来の映画で
逆にあの「CUBE」を
よくここまで面白くない映画にできたな
と、感心してしまうほど

 

まず、映画の内容の前に
本作は公開前からセンスを疑うようなことのオンパレードでした

有名なキャストで埋めつくし
宣伝はしまくり
ダサいサブタイトルはつけるわ
主題歌は星野源

この時点で
「CUBE」の面白さは何なのか
をわかっていない感じがプンプンしてしまう

で、結局はあんな内容の映画に仕上がってました

“一度入ったら、最後”というのは
映画を観に映画館に入った人たちのことだったんですね

てか、これを言ったらおしまいだけど
この時代に「CUBE」をわざわざリメイクすることがセンス無いですよね

今「CUBE」をリメイクしてる時点で
この映画は負けなんですよ…

 


そして、ここからは映画の内容の話です

本作はとにかく
オリジナルの改悪でしかなくて

オリジナルの良かった点をことごとく消し
よくわからん改変や無駄な追加要素がとても多いです

何から言えばいいのかわからないほど
邦画の悪いところで溢れかえっている

 

冒頭から不満爆発で
オリジナルの「CUBE」と言えば
冒頭のサイコロステーキなわけですが
本作はサイコロステーキはありません

中途半端に体の中心を四角にくり貫かれる
という死にかたをしてタイトル
みたいな始まりかた

サイコロステーキは絶対に押さえとくべき要素だと思うけど
いきなりそこを外しちゃってる

オリジナルの冒頭シーンは
サイコロステーキに至るまでも無駄がなくて
ここでさりげなく建物の構造を説明したりしています

でも、本作の場合は
これから死ぬ奴をただキョロキョロさせてるだけ

こういうところが下手なんですよね

たぶん、サイコロステーキをやらなかった理由は
規制とかよりも
この死体を伏線のために残しておきたかっただけでしょうね

 

メインのストーリーが始まってからも
やっぱりダメダメで
なんか下手なことばかり連続していくんですよ

根本的なところを言えば
この映画はめちゃくちゃ無駄が多いです

オリジナルは逆に無駄がなくとてもスムーズな脚本になっている

こんなほぼ完璧な脚本を
よくここまで改悪できるよね


オリジナルは登場人物の会話の流れやその時の状況なんかを上手く利用して
キャラクターのバックボーンや性格などを自然と説明していました

服に名前が書いてあっありもしましたし
極力、無駄な会話なんかをなくしてる

で、本作はと言うと
いきなりお互い自己紹介を始めだすし
過去の回想シーンを見せたりはするし
とにかく無駄な場面が多い
そのせいでテンポも悪くなっています

そんなに説明シーンが多いわりに
いまいちキャラを掘り下げれていなかったりもする


さらに、登場人物の扱い方が下手くそ
6人も登場人物がいるのに誰も役割をはたしていないんですよ

オリジナルは登場人物の扱いもすごく上手くて無駄がない
計算ができるキャラや建物の構造を知ってるキャラがいるからスムーズに事が運びますし
リーダーがいるからまとまりが生まれる
足手まといがいるからスリルも生まれています

本作は登場人物がただいるだけ
物語を動かすにあたってキャラが全く機能していないんですよね

リーダーもいないし
足手まといもいないし
それのせいでダラダラと次の部屋に進むだけで
すごく淡々としています

計算が得意なキャラもいないので
素数にたどり着くまでもなんかモタモタで
建物の構造を誰も知らないので
無理やり途中で構造が書かれた部屋があったりする

ストーリー上でキャラクターを全く動かせていないので
とにかくテンポの悪さがすごく目立つ

杏にいたっては本当にただいるだけでしたね
いろんな意味で役立たずなキャラ
最後のしょうもないオチのためだけの存在でした


あと、キャラクターが最初から最後まで全く変貌しないのも最悪です

主人公は最後まで主人公だし
人殺しそうなやつは人を殺すし
仲悪い奴らは仲悪いままだし
中学生は助かるし
杏は思った通り黒幕的なのだし

全然面白くないですよね


オリジナルは
そもそも主人公が誰だかわからなかったりするんですよ
そんな中で移り変わる人間模様が描かれ
先が全く読めない映画になってます

脱獄王がいきなり死んだり
主人公みたいな奴が暴走しだしたり
足手まといが脱出へのキーパーソンになったり
頼れない奴がヒーロー的な活躍をしたり

登場人物たちが変貌することで
スリルやカタルシスが生まれているんですよね


本作はそういう部分が全くできていなくて
中途半端にケンカして中途半端に活躍して
なんだかんだで先に進んでるだけ

人間関係に波風もさほど立たず
なのに無駄にイライラだけはさせられる

てか、1人目殺すのが遅すぎるわ

 

それと、すごく気になったのが
トラップがストーリーの都合よく発動するところですよ

登場人物たちが話し終わったタイミングで発動とかは当たり前
感動的なタイミングで殺すし
悪いやつもいいタイミングで殺すし
都合よく仲間を分断させたり

過去の映像を見せるやつとかマジで酷すぎないですか?
しかもこのときの映像カット割されてるし
このために誰か撮影したの?

こういうの興醒めですよね


トラップではないけど
感情に合わせて部屋の色が変わるのもやめてほしかった
何あの機能?
なんのための機能だよ


作り手の都合が見え見えなのは
本当に萎えますよね
こういうとこも下手なんですよ


あと、感動ドラマみたいなやつ
特に主人公の過去のトラウマ的なの

あれは否定的な意見が多いですが
あんなの否定されて当然です

「CUBE」にあんな要素いらないとか以前に
単純にドラマが安っぽすぎる

あんな取って付けたようなありがちなドラマをぶちこまれれば
そりゃ、こんなのいらないよ
って、なるでしょ

こんなの無駄でしかありません
普通に脱出だけしてくれ

 


それと、ラスト
これも酷かったですね

少年が光に向かって行き終わり
…と思いきや
菅田将暉が死んだと思ったら目を覚まして終わり
…と思いきや
杏の正体が発覚してまた一から始まる
で終わります

どれか1つにしろよ

ラストシーンみたいなの3つもぶち込むところがセンスない
まあ、どの終わりかたでもチープですけど

 

他にももっといろいろ言いたいけど
もうしんどいです

無駄が無いオリジナル版を
無駄だらけのクソ映画に仕上げてしまう

この映画を作った人たちは
おそらく「CUBE」に親でも殺されたんでしょう
恨みや憎しみがないと
こんな改悪できるはずかない

オリジナルをそのままリメイクしてれば
たぶん普通に面白くなってるはず

 


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