どうもきいつです
サスペンス映画「カット/オフ」観ました
誘拐れた娘を救うべく奔走する検死官の姿を描いた2018年ドイツのサスペンス映画
解剖した遺体から発見された異物をきっかけに
主人公が事件に巻き込まれていきます
クリスティアン・アルヴァルトが監督を務め
脚本を手掛けるのはセバスチャン・フィツェックです
あらすじ
検死官のポールは
運び込まれた遺体の頭部から異物を発見する
その中かれ出てきた紙切れには
彼の娘のハンナの名前と電話番号が書かれていた
そして、電話をかけるとハンナから助けを求められ
エリックからの指示を受けるよう伝えられる
その後、再度電話をかけると
電話に出たのはハンナでもエリックでもなく
謎の女性リンダだった
感想
常に張り詰める緊張感と謎が謎を呼ぶ展開に
どんどんと物語に引き込まれる
ただ、ごちゃごちゃといろんな要素を付け足しているので
あまりスマートな映画ではなかったです
無駄にわかりにくくなっていました
面白いと噂を聞いたので
アマプラで配信されているのを観てみました
なんとなくホラーっぽい映画なのかな
と思っていましたけど
思ったよりサスペンスやミステリーな内容
ホラー的な演出も多少あるけど
そんなに怖い映画ではありません
ただ、グロい場面などちょっと不快な描写は多い
なので苦手な人は観るのが少しつらいかも
血が飛び散るとか
いわゆるスプラッターな表現はほぼないので
気持ち悪い映画ってほどではありませんが
で、ストーリーはと言うと
なかなか王道な流れのサスペンスやミステリーって感じで
主人公がヒントを基に犯人に迫っていく
という内容です
その中で
二転三転と物語がどんどん意外な方向へ展開していくのが本作の特徴
どんでん返し的な驚かされる要素が多い作品です
そんな作風なので
それなりに楽しんで観ることができました
先の展開もなかなか読めないので
観てる側がいろいろ予測しながら観るのも楽しいと思う
特に離れた場所の協力者に死体を解剖してもらいヒントを探す
というのは面白い発想
この設定がなかなか良い味を出していました
それに常に緊張感が張り詰めていて
そこも本作の魅力です
吹雪の影響で交通手段がなくなってしまった島が舞台であったり
電話でしかやり取りができない状況であったり
息が詰まるような設定で
とても緊張感を高めています
そんな背景がある中で
少しホラーな演出を見せてくれたりもしますし
素人が解剖しなければならない状況や
ギリギリの状況であったり娘を探さなければならない主人公の姿など
そんな要素がさらに緊張感を高めてくれる
緊張感が張り詰めてるからこそ
意外な展開が来たときの驚きが増してるんですよね
空気感の作り方がとても上手いと思わされました
面白い印象の映画ではあったけど
めちゃくちゃ面白い映画だったとも思えなくて
個人的にはそこまでハマれませんでした
理由を考えてみると
雑な部分が多かったからかな
全体的に強引に持っていっている部分が多くて
冷静に考えると
これは無理あるよな
ってところが気になってしまいます
その度に現実に引き戻される
設定にしろストーリーの展開にしろ
ちょっと力ずくで押し進めているのは否めないですかね
特に登場人物たちの行動原理があやふやで
物語の都合に合わせて無理やり動かされてる感じがします
本作は登場人物の内面や関係性の描写がほぼ皆無なので
なぜそんな行動を起こしているのか納得できないまま物語が進んでいく
例えば主人公のポールは
娘を助けるために必死になるのは理解できるけど
親子関係をあまり深く描いていないので
ポールの気持ちが見えてこないんですよ
ポールが娘を助けたい人というより
犯人を見つけたいだけの人になってしまってると思う
あまり感情移入ができないんです
ポールの過剰な言動だけが目立って
あまり好きになれなかったりもする
ポールに協力することになるリンダにしても
最後までポールに協力する理由がない
リンダは命がけで赤の他人のポールに協力するし
理不尽な要求をされても最後までついてくる
やってることのリスクが大きいからこそ
リンダは何故そこまで協力的なんだろう?
という疑問が最後まで付いて回るんですよね
普通なら放ったらかして逃げてもおかしくない状況だし
結局リンダの立ち位置がよくわからないままエンディングをむかえてしまいます
本作の犯人や事件の真相に関しては
動機が無理やりすぎで納得できないですね
ネタバレになりますけど
ポールは誘拐事件の被害者の親の逆恨みで巻き込まれるわけです
犯人が逆恨みでポールを狙うところまではわかるけど
そのために誘拐事件の犯人を利用する
という部分は強引すぎる
シンプルに考えて
1番悪いのは誘拐犯で
被害者の1番の敵は誘拐犯なわけですよ
そこを置いといて何故か犯人は
誘拐犯の罪を重くしなければこうなるんだぞ
という教訓をポールに教えることが目的になっている
普通なら真っ先に誘拐犯を殺すだろ
と思うんですけどね
あまりにも
やってることが回りくどくて不自然です
基本的にストーリーありきで
登場人物の行動原理や言動が決められてるんですよ
登場人物の思いや感情は無視で
とにかくどんでん返しを優先してる
そのせいでリアリティは損なわれているし
観てる側は少しおいてけぼり
そして、謎解き要素に関しては
実はそんなに謎を解いていない
この映画の作りって
ミスリードで引っ張って逆のことをして驚かせる
ということの繰り返しだったりします
一見この映画を知的なミステリーに思えてしまうけど
そんなに知的なことはしてなくて
とにかくミスリードを強引にひっくり返して
予想外な展開に仕立てあげてるだけなんですよ
そんなミスリードを見せるために
ごちゃごちゃと要素を付け足してたりするので
無駄に脂肪がついてる映画にも思えます
ポールの娘が無事だったというどんでん返しのために
彼女に誘拐犯が撮影した映像を見せているのは
どう考えても無駄な要素でしかない
これをやっている理由は全くありませんから
誘拐犯が実は生きていたってのも
誘拐犯が死んでいたように見せるための要素がごちゃごちゃしていて
全然スマートじゃないんですよね
どんでん返しありきでいろいろ付け足している感じです
本作は綿密に作られたどんでん返しではなくて
真相を隠すために肉付けして
結果的になんかわかりにくくなっているだけなんですよ
だから無駄に理解しづらい部分もあって
観るのがちょっと疲れたりする
ミスリードからのどんでん返しが続いてるだけなので
意外と単調で退屈な場面も多いです
あと、含みのあるラスト
これもちょっとマイナスな気がする
ポールにずっとに協力していたインゴルフに
裏があるじゃないかと思わせるラストなんですが
結局、真相はわからず終いです
謎を残して余韻に浸れる作品もあるけど
本作に関しては
この謎にあまり意味を感じれないと言うか…
むしろ、謎を全部明かしてしまったほうが
本作の場合はきれいに終われたと思います
これもやはり無駄な要素だったのかな…
つまらない映画ではないと思うし
多少強引でもある程度まとまっていて悪い作品ではないです
ただ、個人的にはもっとスマートでシンプルなサスペンスのほうが好き
まあ、ある意味
誤魔化しがとても上手くできてる映画
それすらできていない映画もたくさんあるし
本作は標準以上かもしれません