何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「マーターズ」感想 どういう気持ちで観ればいいのかわからなくなる

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どうもきいつです


ホラー映画「マーターズ」観ました

幼い頃に受けた虐待がトラウマとなった女性と彼女を支える親友の2人の運命を描いたスプラッターホラー
2008年フランスとカナダの作品です

監督を務めるのはパスカル・ロジェ

 

あらすじ
何者かに拉致監禁され
壮絶な虐待を受け続けた少女リュシー
彼女は傷だらけの状態で自力で逃げ出し発見される
その後、養護施設に収容され心を閉ざしていた彼女だが
同年代の少女アンだけには心を許していた
15年後、リュシーは自分を監禁していた人間を発見し
猟銃を持ち復讐に訪れる

 

感想
残酷な復讐劇からのホラー
さらに斜め上方向の真実
そこからの淡々とした拷問シーン
最後はカルト
目まぐるしく移り変わる展開に気持ちが追い付かない

 

スプラッターホラーと言えば本作の名前がよく上がりますが
観たことがなかったので
アマプラで配信されているのを観てみました

正直、想像の斜め上の映画だったので
観終えた直後は
何とも言えない感情でした

一体これはなんだったんだろう…
って感じ


噂通りグロくて残酷な映画なのは間違いなくて
その描写はなかなかキツい
前半と後半でその種類も変わるので
この映画が苦手な人はめっちゃ多いと思います

エンタメ性もあるのかないのか…
後半になるとただただキツい映画ですかね…

なんかすごい映画なのは間違いないかなと思います

 

序盤はリュシーとアンの過去から始まり
リュシーが酷い虐待を受けていたこと
アンがリュシーの唯一の親友だということ
そんな2人のバックボーンが描かれます

プロローグ的なのが終わると
15年の月日が経ち本編スタートって感じです

ここからはなかなか残虐な場面が多い
というかほとんど残虐シーンです

幸せな一家の幸せな朝のワンシーンに
突如リュシーが現れ
ショットガンで一家全員を惨殺してしまう

これがかなり衝撃的で
子どもすら容赦なく殺してしまう

しかも、ここで復讐が終わってしまうという…

あらすじだけ読むと
本作は虐待した奴らへの復讐劇
みたいな感じなんですけど

かなり早い段階で復讐が終わってしまうので
え…? ここから先どうなるの?
と、少し頭が混乱してしまう
ここから先まだ1時間以上ありますし


すると、ここからは怪物的なものが現れて
王道なホラー展開が始まります

おそらく虐待によって生まれたリュシーの内面に潜む化け物だと思うけど
これがめちゃくちゃ怖いです

ビジュアルはもちろん怖いけど
見せ方も恐怖心が煽られるような見せ方で
夢に出てきそうな怖さがある

怪物がリュシーを傷つける場面は
痛々しくて観てるのがつらくなるほど

ただ、ここはシンプルにホラー映画として楽しめる一面もあって
エンタメ的な面白さを感じることができました

単純にゾクゾクと恐怖を感じれて
わかりやすくホラー映画なんですよね


ここまではいいんですよ

最初の一家惨殺には衝撃を与えられ
怪物におどろおどろしさには恐怖を味わえる
ちょっと過激なホラー映画として楽しんで観ることができていました

でも、中盤でリュシーが死んでしまうんです
リュシーが物語の中心で全てだと思ってたのに

ここでまた
え…?ここから先どうなるの?
ってなってしまいます

若干、蚊帳の外だったアンだけが取り残されるという…
先の展開が全然読めない

まだ開始30、40分ほどしか経ってないのに
ここまででも映画2本終わったくらいの気持ちになってる
あまりにも展開が早く目まぐるしいので気持ちが置いてけぼりなんですよ


じゃあ、ここから先はどうなるのかと言うと
一家の家には地下室があり
そこには女性が監禁されていた
というもの

これが想像の斜め上で
もはやジャンルすらわからなくなってきます

しかも、ここで今まで以上に衝撃的な強烈なものを見せられるとは…
この映画は想像の上を来ます

ここは展開的にも衝撃的だし
ビジュアル面でも衝撃的

とにかく気持ちが追い付かない


ただでさえ
この映画に混乱させられているのに

さらにここからはマドモアゼル率いる謎の集団が現れ
今までの真相が明かされるわけですが

急にカルトな話になってきて
正直わけわかりません

マドモアゼルの言ってることは理解できるんですよ

苦痛を乗り越えた先に真理がある
それを知りたいから少女たちを拷問して
その答えを見つけたい
って目的らしい

わかるけど…
ここで映画4本くらい観た気持ちになってます

もう精神が揺さぶられて
何がなんだかわかりません


しかし、これでは終わらず
ここからはひたすらアンに対する拷問を見せつけられる

これが本当にただ痛々しくて悲惨なだけで
エンタメ性も何もない
ひたすら淡々と見せられる拷問には
不快感だけが生まれます

見てるのもつらくて目をそらしたくなる描写の連続です
全然面白くないし全然楽しくないし
しんどいだけなんですよ

こんなの誰が見たいんだよ…
もうやめてくれよ…
って気持ちです


ただ、アンは苦痛を乗り越えて死後の世界を見ることができ殉教します


そして、最後の爆弾
意味深だけど意味のわからないラスト

どこまで観ている側の気持ちを振り回せば気がすむのか

ラストにアンが言った言葉は何なのか?
そこにどんな意味が込められていたのか?
何故マドモアゼルは自殺したのか?
「疑いなさい」とはどういうことなのか?

いろいろと考察させられてしまうけど
その考察に意味があるのかすらわからない

何よりも後味が悪すぎるよ

てか、マドモアゼルってなんだよ


とにかく
最後まで気持ちが揺さぶられ
いろんな感情を巻き起こされた
そして、この映画の意味がわからない
意味すらないのかもしれない

わけのわからん映画なのは間違いなく
不快な映画なのも間違いないです

最後までどんな気持ちで観ていいのかもわからず終いで
気付けば映画が終わっていた

一体なんだったんだろう
という感情だけが最後に残っていた


面白い映画なのかもわからないし
つまらない映画だと思う人も多いだろうけど

ただ、やっぱりこの映画に気持ちを揺さぶられたのは間違いなくて
それこそが映画体験なのかな
と思わされたりもしました

たった100分ほどの時間の中で
ここまで気持ちを掻き乱されることなんて
普通の日常生活では滅多にない
てか、普通に映画を観たときでもここまで掻き乱されることは少ないです

本作は短い時間のなかで
いろんな思いを巡らされ
感情を湧き出させられたと思います

それはこの映画だからこそ体験できたことだろうし
それは貴重な時間なのかもしれない

 

賛否あるだろうしジャンルも不明な
意味のわからない映画

だからこそこの映画には
いろんな気持ちにさせられた

面白い映画ではないだろうけど
この映画には価値があると思います

おすすめはしないですけど
すごい映画でしたよ

 


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