何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ある用務員」感想 ノンストップのアクションに心踊る

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どうもきいつです


アクション映画「ある用務員」観ました

暗殺者の裏の顔を持つ用務員の戦いを描いたアクション映画
命を狙われる女子高生を守るため主人公が奮闘します

監督は「ベイビーわるきゅーれ」などの阪元裕吾
出演するのは福士誠治、芋生遥などです

 

あらすじ
高校で用務員として働く深見は
幼少期に父親を殺されて以来
日本の裏社会を牛耳る真島に育てられ
真島の娘の唯を見張るために用務員をしているのだった
ある日、真島が殺害され唯の命も狙われる
深見は戦場と化した学校で唯を守るため戦いに身を投じる

 

感想
学校での殺し屋バトルロワイヤルは最高に盛り上がる
怒濤のアクションの連続にテンションが上がりました
さりげない会話のやり取りはクスッと笑える
B級映画だけど楽しめる内容です

 

阪元裕吾監督の作品をいくつか観てきたので
本作もその流れで観てみました

予想通りと言うか
期待通りと言うか
個人的にも好みの作風で楽しむことができた

やってることは他の作品とさほど違わないですが
阪元監督の作風が好きならハマることができると思います


ただ、他の作品に比べると少しシリアス
ふざけてる場面も多いけど
全体的にはかなり真面目な作風です

「ベイビーわるきゅーれ」や「最強殺し屋伝説国岡」とかはコメディー色が強かったけど
それに比べて本作はコメディーが少し抑えられてました

こういう路線もそれはそれでカッコよくて好きです


で、やはり本作の1番の魅力はアクションです

正直言うと
序盤は若干長いなと思ってしまいました
あまりアクションなどの動きは少ないし
設定の説明みたいな会話シーンが多いので
少し退屈に感じてしまいます

後半への前フリなのは理解できるけど
会話シーンが淡々と続くというのもあり
なんか長く感じてしまうのは否めない


ですが、学校でのバトルロワイヤルが始まると一転して最高に盛り上がる

ここからは怒濤のアクションの連続で気持ちが昂ります
銃撃戦や肉弾戦と
盛りだくさんな内容

主人公の深見が最強でカッコよく敵を倒していったりもしますが
送り込まれた刺客たちも強者揃いで
ギリギリでスリリングな戦闘を見せてくれる

殺し屋同士のバトルロワイヤルなのに
銃使ってるヤツ少なすぎない?
とかも思ってしまいましたが

まあ、肉弾戦をカッコよく見せたかったんだろうなというのは感じます
実際に素手での格闘シーンは迫力があって
カッコよく見せられてました

もはや喧嘩映画になってましたが
こだわりを感じて本作のアクションには引き込まれた

 

それにアクションに盛り上がるだけでなく
個性豊かな殺し屋たちの活躍も面白い

殺し屋全員が一癖も二癖もあって観ていて楽しい
変なヤツが多すぎ
そしてみんな馬鹿

そんな殺し屋たちのやり取りが笑えたり
豹変したときの殺し屋の目付きがカッコよかったり
そしてかなりバイオレンスでもある

「ベイビーわるきゅーれ」でお馴染みの2人も登場してましたね
やっぱりすごく可愛い
本作では2人とも死んでしまいますが

殺し屋だけでなく
他のキャラもみんな個性があって魅力的
それぞれクセが強くて
シリアスだけどバラエティ豊かなコミカルな映画にもなってました

中でもヤクザの親分を演じる般若は面白かったですね
ちょっとやり過ぎな演技な気もするけど
そこがクレイジーで
ギャグみたいなキャラなのに怖さも感じるという

般若だからこその絶妙なキャラだったと思います

ただ、やり過ぎていて何を言ってるのかわからない場面は多々ありましたけど

まあ、大したこと言っているわけでもないので
聞き逃してもさほど困ることないですけどね


で、そんなクセの強いキャラで溢れてるからこそ
ヒロイン役の芋生遥が輝いていました

彼女がすごく透き通っていると言うか…
この映画自体がこってりしてるので彼女の透明感が際立っています
彼女が存在するだけで存在感がある

ヒロインの扱い方としても
良い意味で没個性なキャラになっていて
上手い使い方だったと思います


そして、登場人物がすごく多いし
みんな個性豊かでキャラが立っているのに
最終的にほぼ全員死ぬという…

生き残ってるのは2人だけですから
他は全員死にます

このバイオレンスさがもはや笑えてくる

映画が終わった後に
全員死んでるやん…という笑いがありました
僕だけかもしれないけど

ここまでみんな殺すのは潔さすら感じる

僕ならヒロインの友達や女子高生殺し屋コンビとかは殺したくないですもんね
良いキャラほど生かしたくなるもんですけど
本作はマジで全員殺しますから

監督はサイコパスなんでしょうか?
それがこの映画の面白さでもありました

 

ただ、ちょっと微妙だと思ったのは
ドラマの薄さですかね

前半が会話多めのドラマがメインになってるわりに
最終的にはなんか薄っぺらいなと感じました

あんまり中身が無いというか…

主人公があまり主人公として機能してないような気もします
ストーリーのカタルシスもあまり感じなかったし

原因はやはり
主人公の存在感の薄さかもしれません

寡黙でミステリアスな主人公ではあるけど
最後まで掴み所が無さすぎるかな…

ワイルドなのか
小心者なのか
ただのコミュ障なのか
いまいち定まってない
キャラがブレてるようにも思いました

ラストシーンはカッコよく感じるんですが
その一方で
主人公こんなキャラだっけ?
と思ってしまったし

もう少し深見の内面や気持ちを見せてほしかったですかね
特にヒロインの唯を守るとなってからは
あまり感情が見えてこなかった

深見の行動原理は理解できるけど
何を求めているのかはちょっとわからなかった

深見が成長してるようにも思えるけど
具体的にどう変化したのかは曖昧なように思います

主人公のドラマに深みがあれば
この映画自体も深い作品になってたのではないでしょうか

 

結果的に
ドラマの薄さを感じたものの
殺し屋同士のバトルは最高でしたし
アクションはめっちゃ盛り上って楽しい映画に仕上がっていました

こんな作風の映画は大好きなので
観ていて高揚してしまう
魅力的な映画でした

 


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