何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ナチス・バスターズ」感想 まるで西部劇

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どうもきいつです


アクション映画「ナチス・バスターズ」観ました

第2次世界大戦中のソ連を舞台に
“赤い亡霊”と呼ばれるソ連の狙撃兵とナチスドイツ軍との戦いを描いた
ロシアの戦争アクション映画

監督を務めるのはアンドレイ・ボガティリョフです

 

あらすじ
1941年
ソ連に侵攻したドイツ軍兵士の間で
ドイツ兵を次々と狙うソ連の狙撃兵“赤い亡霊”の噂が広まっていた
一方、部隊とはぐれてしまった5人のソ連兵が寒村にたどり着く
そこで休息を取ろうとする5人だったが
村へ敵のドイツ軍部隊が現れ
多勢に無勢の状況で窮地に陥るのだった

 

感想
戦争映画だけどそんなに重い内容ではなく
完全にエンタメに振り切った映画でした
第2次世界大戦の話なのに中身は西部劇
ちょっと地味だけど激しいアクションに心が昂りました

 

なんとなく気になっていたので観に行ってきました
タイトルからして
明らかに第2次世界大戦が舞台で
ドイツ軍と戦う話なんだろうな
と予測できる映画で
実際にもそんな映画でしたね

ただ、邦題がさすがにB級すぎるかな…
英題が「THE RED GHOST」でそのまま“赤い亡霊”なわけですが
日本もそのタイトルでよかったのでは?

僕みたいな人間は
「ナチス・バスターズ」ってアホらしいタイトルだと逆にそそられたりしますけど
多くの人はこのタイトルならスルーしそうですよね

実際に観てみると
思ったよりシリアスだし
真摯に向き合ってアクション映画を作っている印象

この邦題は少しもったいなかったように思います

とは言え
邦題が「THE RED GHOST」だったとしても
あまり客が入らないような気も…

 

で、ここからは映画の内容の話

たぶん低予算だろうし
全体的には少し地味な映画でした

戦争映画だけど戦闘機や戦車などは登場せず
人間とVS人間の銃撃戦がメイン
背景もほぼ雪原と寂れた村だけ

なので、派手さには欠けるんですが
アクションはそれなりに激しくて楽しめましたし
この映画に漂う渋い空気感が個人的には好みです

戦争映画ではあるものの
そんなに重い映画ではなく
むしろ、エンタメに振り切ったアクション映画って感じです

そんな作風なので
暗い気持ちになったりとか
気分が落ち込むとかはなく
単純にアクションを楽しめました

 

中でもやはり
謎の狙撃兵“赤い亡霊”がカッコいいですね

目的や誰なのかすらわからず
その上、全く喋らないキャラなんですけど
この男が登場したときの盛り上がりは半端ない

冒頭の狙撃から存在感が溢れていて
ここで心が掴まれます
映画の始まりの掴みとしてもすごく良いですよね 

冒頭でこの映画に引き込まれてしまう

そこから長らく出番はないけど
だからこそ再び登場した時には盛り上がります

タイミングもバッチリで
ギリギリでピンチな状況の時に狙撃
この銃声だけでテンション上がります


ドイツ軍は基本的に嫌な連中として描かれているから
そんな奴らから人々を守るヒーローのような描写にもなっていて
“赤い亡霊”が頼もしく
危機が訪れた時には待ち望んでいる自分がいました

“赤い亡霊”が登場するまでの前フリも上手いので
「待ってました!!」と言わんばかりの気持ちにさせられます

 

それと、アクションも良かった

派手さは弱めだけど
銃撃戦や肉弾戦メインの泥臭い戦いには
気持ちが熱くなる

ギリギリの戦いだからこその緊張感もあるし
アクションシーンは終始手に汗握る場面の連続でした

アクションシーンに関しても
かなりエンタメに振り切ってましたね

人はめっちゃ死んでるけど
そこまで痛々しさや不快感はありません
むしろ
もっとやったれ!!
って気持ちになってくる

あと、味方はなかなか死なないというのも
こんなタイプの映画にお約束です
多勢に無勢の絶体絶命の状況なのに
仲間は最後までなかなか死にません

“赤い亡霊”がいるとは言え
さすがに善戦しすぎだろとツッコミたくもなります

まあ、こんなお約束含め
楽しめるエンタメアクションですよね

僕はこういうの好きです

 

それに、この映画で印象的なのが
めっちゃ西部劇っぽいという部分

第2次世界大戦中のドイツ兵VSソ連兵
舞台は真っ白の雪原
なのに完全に西部劇でした

音楽なんかもめちゃくちゃ西部劇でしたし
やってることがことごとく西部劇なんですよ

あまり西部劇を観ていない僕ですら
この映画が西部劇だとわかるほど

雪原がアメリカの荒野に見えてきます

たぶんオマージュとかも散りばめられてるんょうね
僕は詳しくないのでわからなかったけど
詳しい人ならそんなオマージュに気付けるんじゃないでしょうか

この映画に漂う西部劇の空気感が
本作の独特な作風で
本作ならではの魅力になっていると思います

ラストもなかなか渋い終わりかたで
余韻に浸れました

 

面白い映画ではありましたが
ちょっと微妙だなと思ったのが

前置きが長くて中だるみするのと
“赤い亡霊”以外の登場人物たちが薄すぎる
ことですかね

冒頭の“赤い亡霊”が登場する掴みで盛り上がってから
次に物語が展開するまでがなかなか長くて
少し退屈になってきます
結構ダラダラしてたりもしますし

この中だるみで損してるように思う


その上、登場人物たちの印象が薄くて
余計に退屈だったり…

“赤い亡霊”以外が
本当に見分けがつきづらいと言うか…

味方にしろ敵にしろ
誰が誰だかわからなくなってくるレベル

ソ連兵は5人しかいなくて
そのうち女性が1人
女性はさすがに見分けがつくけど
残りの男が4人しかいないにも関わらず
見分けがつかないんですよね

顔が違うのはわかるんですけど
名前と顔が一致しないし
誰がどんな設定だったのかもいまいち一致しない

みんなキャラが薄いんですよ

敵のドイツ兵なんて
みんな同じ服だし余計にわかりづらい
リーダーはかろうじてわかるけど
場面によっては誰が誰だか…
って感じですよね

“赤い亡霊”以外の登場人物にも
もう少し感情移入できたり個性を感じるようなエピソードがあってもよかったのかも

てか、“赤い亡霊”も実は存在感が強いだけで
バックボーンや目的は最後まで謎のままでしたし

この映画はいまいち主人公が誰なのかわかりづらいんです

たぶん、後から仲間になる若いソ連兵だとは思うけど
主人公にしては存在感が薄すぎるかな

“赤い亡霊”がメインなのは理解できるけど
それ以外にも1人は中心人物が欲しかったところです

 

微妙だと思った部分はありつつも
楽しめるところもたくさんあって
気軽に楽しめるエンタメ戦争アクションに仕上がっていました

西部劇風なのも魅力的
僕はこんな映画は結構好き