何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ミラベルと魔法だらけの家」感想 持たざる人たちへのエールのような作品

f:id:kiitsu01:20211215182932p:plain

どうもきいつです


ディズニーのアニメ映画「ミラベルと魔法だらけの家」観ました

ディズニーによる長編アニメーション
南米コロンビアを舞台に
魔法の家で暮らすミラベルとその家族たちの活躍を描いたファンタジーミュージカルです

監督は「ズートピア」などのバイロン・ハワードとジャレッド・ブッシュが務めています

 

あらすじ
コロンビアの奥地にある魔法に溢れた不思議な家
そこで暮らすマドリガル家の人々は“魔法のギフト”を授かり
それぞれがユニークな魔法を使えるのだった
しかし、ミラベルだけはギフトを与えられず
それでも家族たちとしあわせな日々を過ごしていた
そんなある日、家に危機が迫っていること知ったミラベルは
家族を守るために行動を起こす

 

感想
今までのディズニーアニメとは違った角度の作品
何も持たない主人公の姿に勇気付けられました
特別なものを持っていなくとも存在価値は十分にあると思わされた

 

ディズニーの新作映画ということで観てきました
本作は新作のミュージカル作品としては「モアナと伝説の海」以来らしく
その点でも期待していた作品

ディズニーアニメは時代と共に様々な変化を見せてくれますが
本作はまた大きく変化してきたな
という印象です

個人的にはそこに好感を持ちつつ
だからこそ新しい挑戦に苦戦してしまったのかな?
という印象も感じました

そういうのもあり
本作は少し批判的な意見もそこそこあるんじゃないでしょうか

僕は全然本作は悪い出来ではないと思うし
ディズニーアニメの中では好きな部類に入りますかね

 

本作は今までのディズニーアニメと真逆のことをやっていて
それがなかなか攻めてるな
と思わされます

今までの多くのディズニーアニメ
特にヒロインが主人公の作品は
主人公がお姫様だったり特殊な能力を持っている特別な存在で
そんなヒロインが敵に立ち向かい
時には恋愛をして成長していく姿が描かれていました

しかし、本作はというと
主人公のミラベルはお姫様でもなければ魔法も使えません

逆にミラベル以外の家族の人たちはみんな魔法が使える特別な人たち
そんな中で唯一ミラベルだけが魔法を使えない

さらに、ディズニーアニメでは定番のヴィランの存在も本作にはありません

今までの作品は
敵の存在が主人公の対比になっていたりして
そんな敵に向き合うことで
主人公の存在意義や運命
成長する姿などを描いてきたわけですが

本作は敵に立ち向かう物語ではなく
主人公のミラベルが家族と向き合い
それを経て自分の価値を見い出していく物語なんですよね


そこが今までのディズニーアニメとは大きく異なっていて
明らかにそれを狙って作られています

選ばれた特別な人間ではなく
逆に、何も持っていない者を主人公として描くことで
どんな人間にだって役割や価値が存在する
ということをメッセージとして伝えている

これはやはり今の時代だからこそ描かれたテーマなのかな
と思います

お姫様のような特別な存在に憧れる
誰もが持っていない特別な才能が欲しい
そんな気持ちを持つのは悪くないけど
それに執着してしまうと自分を見失うわけで

本当は自分自身に向き合い
自分に出来ることや自分だからこその魅力を
見つけ出していくことが必要だと思うんですよ

多様性が認められつつある時代だからこそ
より自分自身の存在意義を大切にしなければ
この先やっていけないのかもしれません

本作は
そんなことに気付かしてくれる
そして、特別ではない人たちへのエールのような映画だと思います

 

ミラベルは魔法に憧れて魔法が使えないながら
家族の役に立ちたい
家族に認められたい
という気持ちで無理をしてがんばっています

ここには共感できるものもあって
無理してがんばるミラベルの姿が心に刺さる

本作の場合は家族というコミュニティですが
学校のクラスや職場など
ミラベルの立ち位置には共通するものがあります

コミュニティの中で劣等感を抱いたり
仲間に馴染みたい気持ちや
自分も力になりたいという気持ち
そんなものを感じている人は多いと思います

そして無理をしすぎて空回り
というのもセットですよね

ミラベルも全く同じで
ずっと空回りしっぱなしで周りからはウザいと思われてるほど

そんなミラベルだけど
やはり彼女にも存在意義があって
それに気付いた時はすごく強くて心強い存在になります

本作の魔法は
素敵で素晴らしい能力
奇跡の力ではありますが
その反面、呪いのような存在でもある

魔法のメリットは大きいけど
それに縛られてしまうマイナス面もこの映画では描かれています

ミラベルはそこから解放された唯一の存在で
だからこそマドリガル家を変えることができたし
新たなリーダーとなっていくわけです


ミラベルに共感しつつ
ミラベルの成長を見ることで
自分自身がどこか勇気付けられるような気がしました

背伸びするのではなく
自分だからできることを見つける大切さを教えてもらえたように思います

 

メッセージ性はとても伝わってくるし
新たなことに挑戦している部分には好感が持てましたが

だからこそか
少し苦戦してるのかな?
という印象もあります


主人公が普通すぎたりヴィランがいない
というのもあり
かなり薄い映画になってるのは否めません

今回、挑戦したことはなかなか難しかったのかな…

全体的に最初から最後まで
どこかフワッとしていて
これといった見どころがありません

終盤もあまり盛り上がらず
悪くはないんだけどインパクトは弱いんですよね

敵と戦う場面はなく
家族の対話で物語が終わってしまう
いつものディズニーアニメから派手な戦いだけを抜き取ったみたいになってます

だから、ちょっと物足りないんです

ヴィランがいないならいないで
それに代わる何かが必要だと思うけど
本作ではそこが欠けていたように思う


ミラベルのキャラクターに関しても同じで
印象が薄いだけになっています

物語の中で
何故ミラベルじゃないとダメなのか
ミラベルの強みってなんなのか
という部分の描写は圧倒的に弱かったと思います

何も持っていない主人公をテーマに描いている
ってのは十分に理解してるけど

そんな人間にも秘めているものはあるはずで
そこが重要なんじゃないかと思うんです

ミラベルはマジで何も持っていない人間になってしまっていて
家族の問題を解決できたのも
ミラベルは優しいから
くらいのフワッとした理由

絶対的なミラベルの強みは
もっとはっきりと描くべきだったんじゃないかと…

そうすれば、本作のテーマもより深みがでたと思うんです


それと、映画の着地点も難しかったのか
あまり綺麗に終わってなかったですかね

家を建て直すあたりから蛇足な感じがしてしまった
でも、あの場面は必要な気もするし

この映画の終わりどころは難しいですね
答えが見つからない

 

あと、ミュージカルの歌は
個人的には結構好きです

いつものディズニーのミュージカルより少しポップな気もしました

全体的に聴き心地の良い歌が多かった印象

ミュージカルシーンの映像も
派手だったり面白い表現だったりが多くて
観ていて楽しくなりました

 

いつものディズニーと真逆なことをやっているからか
微妙な部分も確かにあるけど
時代に合わせてアップデートしていく姿勢には好感が持てる

描かれているメッセージも悪くないし
僕は本作が好きだと思えました

 


ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]