何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「嘘喰い」感想 何もかもがチープ

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どうもきいつです


サスペンス映画「嘘喰い」観ました


週刊ヤングジャンプで連載されていた迫稔雄によるギャンブル漫画を実写化した作品
嘘喰いの異名をもつ天才ギャンブラーが大金と生死を賭けた戦いを繰り広げます

監督は「リング」「スマホを落としただけなのに」などの中田秀夫
主演を務めるのは横浜流星です

 

あらすじ
日本の裏を牛耳るギャンブル倶楽部“賭郎”
天才ギャンブラー斑目貘は
かつて賭郎の頂上決戦で破れ会員権を剥奪されていた
それ以来、姿をくらませていた貘だったが
倶楽部を荒らす新たな会員の佐田国の噂を聞き
再び賭郎の頂点を目指し命懸けのギャンブルに挑む

 

感想
原作は全く読んだことがないけど
たぶん原作の良さをこれっぽっちも出せていないんだろうな
というのが伝わってくる
全てにおいてチープで嘘っぽい
醍醐味であろうギャンブルバトルも全然ハラハラしなかった

 

原作はタイトルくらいしか知りませんでしたが
こういうタイプの作品は嫌いじゃないので
映画館まで観に行ってきました

正直言うと地雷臭は感じていたけど
期待も半分くらいあった

結果はあれでしたけど…

 

本作はいわゆるデスゲーム系の作品ですかね
中でもギャンブルを題材にした
「カイジ」「LIAR GAME」みたいなタイプの作品です

既存のゲームやら作品オリジナルのゲームやらで
大金や命を賭けて戦うギャンブルバトルがメイン
その中での互いの駆け引きやどんでん返しなどを楽しむ作品


なので、世界観ややってること自体は現実離れしていて
ちょっとバカっぽさすらあるけど
意外と知的なジャンルだったりします

如何にゲームを面白く見せるか
駆け引きやルールの穴などを綿密に作り込まなければならないので
作者の頭の良さが問われるジャンルですよね

 

で、本作なんですけど
そんなジャンルの作品としてレベルはかなり低いですかね

本作を観て一番に思ったことは
たぶん原作はもっとちゃんとしてるんだろうな

もし原作がこの映画と同じレベルだとしたら
49巻も続くような人気作にはなってませんよね

本作は
とりあえず人気漫画を実写化してりゃいいだろ
ってくらいの志の低さを感じます
ダメな方のよくある邦画です


やはり、この映画で感じるのは
原作を知らなくてもわかるほど詰め込みすぎ

無駄に展開が早く
その上、一つ一つのエピソードはすごく薄い

メインのギャンブルバトルですらあっさりしすぎで面白味に欠けています


本作の醍醐味でもあるギャンブルやデスゲームは
ポーカー、ルーレット、サバイバル、ババ抜き
など、いろいろ用意されてるけど
そのどれもが全然面白くない中途半端さ

まず、冒頭の飛行機が飛ぶかどうかのやつ
この時点でちょっと不安がよぎります

この賭け自体は面白い発想だけど
中身は子供だましで
この映画の第一印象が知的なものとは感じれません

貘が負けるのすら想定内すぎる結果だし
貘のこの自信満々はどこから来てるのか疑問です

映像的には派手な感じだけど
ギャンブルものの掴みとしては微妙なのは否めない

その後のポーカーやルーレットに関しては
世界観や登場人物の説明みたいな感じなので
そんなに重要ではないけど
それにしても面白味はないですよね

ポーカーなんてただポーカーしてるだけだし
ルーレットで勝つのもあっさりしすぎだし
登場人物の能力の高さとかはあまり見えてこない

まあ、ここまではメインのゲームじゃないし
多少ショボくてもいいです

で、本作のメインのゲーム
サバイバルとババ抜きですが
全然面白くないです

サバイバルなんてサバイバルしてるだけですからね
知的な駆け引きや騙し騙されの戦いなんて全く無く
運と勢いで勝ってるだけ

知的さとはかけ離れた脳筋バトルです
こういうの求めてないんですけど


終盤のババ抜きは
やっとそれらしいゲーム来たな
と思いきや
中身が薄っぺらくて全く面白くない

勝った方法に納得はさせられるけど
これがまかり通るならなんでもありだし…

敵のイカサマを暴くだけで
それ以外の駆け引きは無いんですよ

2人でやるババ抜きというシンプル過ぎるゲームだからこそ
そこでもっと心理戦とかを見せてほしい


それに逆転劇も全然盛り上がらないです

そもそも主人公が追い込まれている感じがないので
逆転した時に気持ちよくないんですよね

負けてる時にもっとヤバい雰囲気を出してれば
逆転した時にカタルシスが生まれるのに
負けの描写が弱いので勝った時の盛り上がりも弱くなってる

このタイプの作品って
やっぱり逆転した時の気持ち良さは大事ですし
そこが弱いのは致命的だと思います


これに関しても
やはり詰め込みすぎなんでしょうね

原作漫画はなかなか長編みたいだし
たぶん1つのゲームに割いてる時間もかなり長いと思うんですよ

本来なら深く描かれてるんだろうけど
2時間弱の映画にいくつもゲームを放り込んでるから
結果的にめっちゃ中途半端になってるんじゃないでしょうか

これは本作に限ったことじゃなく
「カイジ」とかもそうでしたけど
2時間くらいの映画に複数のゲームを詰め込むのがそもそも無謀で
「LIAR GAME」みたいな連続ドラマの方が相性は良いんだと思う

1、2時間で1つのゲームを描くくらいがちょうどいい
だからこそドラマの「LIAR GAME」は面白いんですよ

韓国ドラマの「イカゲーム」がヒットしたのもドラマだからだと思います

 

ただ、本作はゲームがつまらないだけじゃなく
その他もなかなか酷いです

特に登場人物が酷いです
基本的に全員微妙


主人公の貘なんかも
目的や行動原理が不明すぎて全く感情移入ができなければ応援もできない

唐突に世界平和とか言い出すのもちょっと気持ち悪い


貘の相棒も好きになれないですね

こいつが情緒不安定で言ってることコロコロ変わるので不快です

住む世界が違うから来るなと言われたのに
よくわからん理由で強引についていくわりに
途中で自分の住む世界じゃないと逃げ出したりするから
普通にムカつく

で、結局ギャンブルでも全く役に立たず
ストーリーでも足を引っ張ってるだけ
こいつの存在意義がわからない


あとやっぱり酷かったのが白石麻衣が演じる蘭子
完全に棒演技です

でも、これは演技が下手というより
無理して演技してるって感じ

このキャラが白石麻衣のイメージと全然合ってない
キャスティングがミスってますよね

あとセリフが酷いです
これは蘭子だけに限ったことではなく
この映画はセリフがことごとくチープ

蘭子なんてSMの女王様みたいなセリフ回しで
こんなセリフでまともに演技できるわけない

これに関しては白石麻衣が可哀想
演技できないイメージ付いちゃいますよね


あと、敵キャラとかも
無駄にオーバーな演技でマイナスです
こういう作品ってオーバーな演技しなくちゃいけないってルールでもあるんですか?

この演技のせいで
ただでさえリアリティの無い世界なのに
よりリアリティが損なわれてる

そんなオーバーなキャラがいても構わないけど
じゃあそれ以外の部分でリアリティを出せよと思う

 

他にも
無駄アクションシーンがあるとか
いちいち文字を出すとか
説明的なシーンが多すぎるとか
要らないキャラを無理やり出してるとか
セットがチープ過ぎだとか
問題点はすごく多い

シンプルに映画として質が低いのは否めない

 

そんな中で横浜流星はすごく頑張っていたと思いますよ

酷い脚本の安っぽいストーリーで
めちゃくちゃキャラが薄く何を考えてるかわからない主人公を
それなりに魅力的に演じることができてます

セリフの内容なんて酷いもんだけど
それでも格好よく見せることができてました

表情とか佇まいもすごくよかったし

もしこれがちゃんとした映画だったなら
もっと良い主人公になっていたと思う

こんなクソ映画でも魅力的に主人公を演じれるのは
横浜流星の能力がかなり高いということなんじゃないでしょうか

本作で僕の中での横浜流星の評価がぐんと上がりました

 

このタイプの映画は最低限知的であってほしい
仕掛けなんかより心理戦が重要です

なにより、ブッ飛んだ非現実的な世界観なんだから
脚本、演出、キャラクター、セリフなどでリアリティを出さなければならない

本作はことごとく全てがチープで
到底面白い作品には仕上がっていません

このレベルの映画化だと原作にも悪影響なんじゃないでしょうか?

 


嘘喰い 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)