何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「モービウス」感想 ヴィランの無駄遣い

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どうもきいつです


アメコミアクション映画「モービウス」観ました

スパイダーマンの敵として登場するモービウスを主人公にしたアクション映画
血液の難病を治療した結果
コウモリの能力を得たモービウスの葛藤と戦いが描かれます

監督は「ライフ」などのダニエル・エスピノーサ
主演を務めるのはジャレッド・レトです

 

あらすじ
幼い頃から血液の難病を患っている天才医師マイケル・モービウスは
同じ病で苦しむマイロを救うためにも
日々、治療の研究に明け暮れていた
一刻でも早く治療法を確立したい彼は
コウモリの血清を投与する危険な治療法を
自らを実験台に試みる
その結果、病気は回復し超人的な能力を手に入れると同時に
人間の血液を激しく欲して凶暴化してしまうのだった

 

感想
アクション映画としてはそれなりに楽しめるとは思う
ただ、ありがちなアメコミ映画で新鮮味は全くないです
ストーリーも薄っぺらい
ヴィランが主人公である必要もないし
スパイダーマンの敵キャラが無駄に1人消費されてしまいましたね

 

スパイダーマンのスピンオフということで観てきました

個人的に「ヴェノム」シリーズはハマらず
それもあって本作にもさほど期待は抱いていませんでした

期待値が低かったからか
思ったよりは楽しめたと思います

結構、酷評されてたりもするけど
僕はそこまでつまらないとは思いませんでした

ただ、言いたいことはたくさんあるし
この映画が素晴らしい作品だったかと言えば
全然素晴らしい作品ではない

 

まずは良かったところの話をすると

シンプルでわかりやすいアクション映画なので
とても観やすい作品ではあります
上映時間も短めですし
軽い気持ちで楽しめる

複雑な要素も全くなく
ヒーロー映画としてもかなり王道
アクションシーンはなんか派手でカッコいい

何も考えず頭カラッポで観るのがちょうどいい


僕はこんな中身の無いアクション映画は嫌いじゃないので
普通に楽しむことができましたね

スピード感のあるアクションはテンション上がりましたし

主演のジャレッド・レトも良かったです
モービウスを魅力的なキャラに見せることができていました

 

褒めるのはここまでで
ここからは否定的な話になります

さっき褒めた部分は長所であり短所でもあります

簡単に言ってしまえば
この映画はありがち過ぎて面白味はありません
個性が全くない映画です

確かにつまらなくはないんですが
他にも同じような映画は五万とあるし
この映画より質の高いアクション映画も山ほどある

正直、やってることは過去のアメコミ映画の焼き増しで
今さらこれするの?
って感じの内容なのは否めません

この映画
設定が違うだけでほぼスパイダーマンだし


本作のようなアメコミヒーローものなんて
過去にやりつくされていて
今やそこから先が求められているわけですよ

だから「アベンジャーズ」のようなヒーロー大集合映画が作られたり
「ザ・バットマン」みたいなサスペンス中心の映画が作られたり
「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」みたいなシリーズの壁をぶち壊す映画が作られたり

アメコミ映画はより新しいものを作り出すため
挑戦的な作品も多くなっている


それに対して本作は周回遅れ甚だしいですよね
何周遅れだよ
って映画です
10年以上前くらいの古臭さを感じてしまう

アクションシーンに関しても
スピード感や派手さはあってカッコよくはあるけど
斬新さは全くなくて
こんなの見たことあるなってアクションの連続でした

 

それと、ストーリーの薄っぺらさも気になる映画でした

人物描写なんかも本当に弱くて
主要人物3人にすら感情移入できない始末

モービウスの意思や原動力もなんか曖昧でしたよね
何を思って行動してるのか伝わってこない

ジャレッド・レトの演技力や存在感のおかげでモービウスが魅力的には見えてるけど
それはモービウスの魅力ではなくジャレッド・レトの魅力でしかないですし
役者の能力に頼りすぎだと思う


モービウスと敵のマイロにしたって
同じ境遇と能力を持ち対立する関係性ではあるけど
この2人が対比になっているのかと言うと
かなり微妙で

何故モービウスには良心が残りマイロは悪に飲み込まれてしまうのか
という両者の違いなどは描かれず
なんとなく2人を戦わしてるだけ

モービウスとヒロインの関係性も描写が中途半端なので
終盤の展開はドラマチックで切なくなりそうなのに
ドラマチックの欠片もない
出来事は重いのにめちゃくちゃあっさり流れていく


あまりにも薄っぺらい物語なので
ストーリーが記憶に残らないですよね

 

で、本作「モービウス」や
同じスパイダーマンのヴィランを主役にした「ヴェノム」なんかを観て思うのが
ヴィランを主役にする意味無いじゃん
ってことなんですよ

これは今まで何度も言ってることではありますけど…


本作の場合も
ただのアメコミヒーロー映画なんです
もはやダークヒーローですらない

例えば
モービウスは序盤に人を殺してしまいますが
殺されたのは悪人だからとモービウスはお咎めなし
殺された善良な人はモービウスではなく敵のマイロが殺していて良かったね
って…

善悪で人の命の重さを決めてることに倫理的にどうなの?
と思う部分もあるけど

単純に
せっかくヴィランを主役にするのなら
善良な人間が悪に呑まれていく姿を描くとか
人を殺した罪に葛藤するとか
そういうダークな映画にするべきだと思うんですよ

単に主人公のモービウスが善で敵のマイロが悪
みたいな勧善懲悪…
ヴィランを主役にしてやることじゃないでしょ


なのに「モービウス」にしろ「ヴェノム」にしろ
ただのアメコミヒーロー映画を作っちゃってる現状


DCの「ジョーカー」はヴィランを掘り下げた
とてもダークなドラマ映画になっていたし
「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」はヴィランだからこそのポップなアクション映画に仕上がっていたわけです

一方、スパイダーマンのスピンオフ映画は
ヴィランを扱っているにも関わらず
周回遅れのアメコミヒーロー映画を撮っている

アメコミ映画が飽和してる時代に
こんな普通のヒーロー映画を撮ってる場合かよ

ヴィランを主役に扱うという点でも
この映画は相当遅れていますよね


「モービウス」を観て感じたのは
おそらく、スパイダーマンのヴィランを使って普通のヒーロー映画を作る
というのがソニー・ピクチャーズの方針なんでしょう

MCUの「アベンジャーズ」シリーズてマーベルが盛り上がり
「スパイダーマン」シリーズもヒットする中
ソニー・ピクチャーズがそれに便乗するために目をつけたのがスパイダーマンのヴィラン

同じマーベルのアメコミ映画を作るにも
手札はスパイダーマンしかないわけですからね

スパイダーマンのヴィランを使って
MCUの真似事をしてるって感じだと思う

ただ、これって
結局は自分の首を絞めてるだけで

原作ファンはヒーローみたいなヴィランなんて求めてないだろうし
例えスパイダーマンとクロスオーバーするにしたって
ヒーローみたいなヴィランだと全然盛り上がらないでしょ

ヴェノムなら凶悪なキャラとして徹底するとか
モービウスなら完全な悪でないにしても危うい存在として描いていれば
もし、スパイダーマンに登場したとしても
ヴィランとして存在感が際立つと思うんですよ

中途半端にヴィランをヒーロー映画の主役に使ってしまってるせいで
せっかくの魅力的なスパイダーマンのヴィランを無駄に消費してしまってる現状


無駄にヒーローっぽくヴィランを消費するくらいなら
スパイダーマンに倒される前提で
ヴィラン主役の邪悪な映画を作るとかのほうが面白いと思うんですけどね

そういうスタイルのクロスオーバーってまだないですし
新しいと思うんですけども

 

斬新なアメコミ映画が求められる時代に
本作のやってることはあまりにも古臭いですかね

ヴィランである必要のない映画だし
マルチバースの出し方もダサかったし

このモービウスがスパイダーマンに絡んでくれば
評価の高いスパイダーマンの価値も下げかねない

安易なヴィラン主役の映画はやめてほしい
やるならもっと新しくてクオリティの高い映画にしてくれ

 


モービウス