何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「呪詛」感想 面白い要素が多いだけに、ちょっと惜しい気もした

どうもきいつです


ホラー映画「呪詛」観ました

実際に起きた事件から着想を得て作られた台湾のPOVホラー映画
呪われた娘を救うため恐怖に立ち向かう母親の姿が描かれます
公開されると台湾で最も高い興業収入を樹立したホラー映画となりました
2022年7月よりNetflixで配信されています

監督を務めるのはケヴィン・コーです

 

あらすじ
ルオナンは娘のドゥオドゥオを引き取り一緒に暮らすことになる
しかし、ドゥオドゥオの周囲で不可解な現象が起き始める
原因は6年前にルオナンが訪れた村でタブーを犯してしまったことだった
彼女は娘の呪いを解くために協力して欲しいと画面に向かい呼び掛ける

 

感想
不気味な雰囲気にゾクゾクさせられる
ラストの仕掛けはなかなか面白いアイデアです
ただ、なんか惜しい
本作に必須のPOVの手法がマイナスになってるようにも思いました

 

なんか話題になってるしそこそこ評判も良いみたいだったので
興味が湧いて観てみました


実際に観てみても
評判通りなかなか面白かった
特に本作の仕掛けはアイデアの勝利って感じです

昔から怪談話や都市伝説などではよくある手法ですけど
それを映画でやられると
やはり斬新だなと感心させられました

この仕掛けを含めラストにはゾッとさせられる映画だった


それ以外にも
全体的に雰囲気がめっちゃ良いです
不気味だし気持ち悪いし不快だし
観ていてとても嫌な気持ちにさせられる

グロさなどはそこまでキツくはないけれど
痛々しさを感じたりだとか
不潔さと言うかジメジメと言うか
不衛生な感じがとても居心地が悪かったり

とにかく嫌な気持ち悪さですね
あまりずっと見ていたくないな
みたいな…

そういう点がホラー映画としてすごく魅力的な要素になっていたと思います


さらにストーリーも面白いです
同じホラーで言えば「リング」のような
ミステリーとしても引き込まれていく作品にもなっています

ラストの仕掛けは斬新なだけでなく
今までの謎が1つに繋がる要素にもなっていて
謎が解ける気持ちよさも感じれました

主人公たちの行く末もすごく気になるストーリーだし
最後まで興味が持続する映画でした

 

この時点で
最近の日本のホラーと比べても全然クオリティが高い作品だと思う
普通に面白い映画ではあるんですけども

ただ、だからこそもったいないなと思う部分も多かったですかね
もっと面白くできただろうな
みたいな

すごく惜しいな
と思わされたのは否めません


特に本作で思わされたのはPOVの是非です

本作はPOVでなければならない作品だけど
POVじゃない方がいい作品でもある
そこが矛盾してるんですよ

ネタバレになりますけど
本作の最大の目玉でもあるラストの仕掛け
これは映画を観ている人にも呪いがかかるという衝撃の展開です
ある意味、参加型の映画なわけです

これをやるにはやっぱり普通の映画ではダメで
POVだからこそできる仕掛け

劇中の登場人物が撮影した本当の映像という体だからこそ
観ている人間にも呪いがかかるということにリアリティを感じれ
そのラストにゾッとさせられる
後味の悪さも感じさせられます


それが本作の1番面白い部分ではあるんですが
その仕掛けを抜きにしてしまうと
正直、あまりPOVと相性のいい映画とは思えないんですよね

さっきも言いましたが
本作は「リング」に似たタイプのホラー映画で
謎を一つ一つ積み重ね解き明かしていく
というようなミステリーの要素も大きい作品です
簡単に言えば知的なホラー

しかし、僕が思うに
POVと相性がいいのは勢い任せの馬鹿なホラーなんですよ

馬鹿とまではいかなくても
ストーリー性が薄かったり
あまり複雑ではない深く考えなくていいシンプルなもの
そんなホラーがPOV向きだと思います


本作はやはり複雑なことをやってる作品だし
親子愛を描いたドラマ性も強いです
面白いストーリーではあるけど
POVの手法で見せられるとちょっと重すぎるかな…

だから、観ていて集中力が途切れてくるんですよね

POVで映像がガチャガチャしている上に
複雑なストーリーで頭を使ったり人間ドラマで感情を揺さぶられたりもするので
結構、早い段階で疲れてきます

しかもPOV映画としては2時間近くあって長めだし…

それと動きの無い日常シーンみたいなのも多くて退屈だったりも…

POVの利点はやはり臨場感を感じれるところで
スピード感や勢いがあればより映画に引き込まれます

でも、本作はテンポが遅めだし
POVの手法で見せられるとちょっとダラダラと感じてしまう

ダラダラしてしまうと粗が見えてきたり
余計なツッコミどころに気づいてしまったり

そういうのもあり
全体的に散漫になってしまってると思うんです
で、観るのが疲れてくる

観ることに疲れてしまうというのは大きいマイナス点ですよね

 

そして、本作はPOVとしてやっちゃダメだろ
ってことを結構してます

1番ダメなのは編集されすぎてるとこ

カット割りは当たり前にされてますし
時系列の入れ換えも当たり前にやってます

POVなのに映画的な見せ方をすごくしちゃってるんですよね
顔アップとかも普通にしてる

特に時系列を入れ換えて見せるのはPOVではやらない方がいいかな…
単純にすごく観づらくなってます
今は過去なのか現在なのか混乱してしまう

で、結局これは誰が編集してるんだよ
ってノイズが入ります

どんなPOVでもこの問題はあるんですけど
本作は顕著でした

BGMも入れすぎでしたし
そもそもBGMは入れない方がいいですよね

途中にあったREPLAYでおわかりいただけただろうか的なやつも
唐突で誰目線の編集なんだろうと疑問に思いました


他には
なんで撮ってるんだよ
ってツッコミも心の中でしてしまいます

原因は
常にビデオカメラを回している理由が明確にないから

POVってここがかなり大事で
そこをクリアしてる作品もたくさんある
そこをクリアすることでリアリティが生まれるんです

本作の場合はその辺がおざなりだった印象


で、本作を観て思うのが
たぶん最後の仕掛けのために
普通の手法で撮るホラーを無理やりPOVにしてるのかなと…

本作からはあまりPOV愛が感じれなくて
それがPOVとしての詰めの甘さに繋がってるんじゃないかと思わされました

 

あとはホラー演出ですね
これはちょっと今更感があるかな…

同じPOV作品なら「パラノーマル・アクティビティ」や「REC/レック」みたいな作品がやってるような事
そこそこ昔にやりつくされてるような手法が多かったですかね

ホラー好きだと慣れていて怖くないだろうし
斬新さがないから面白くもないだろうし
物足りなさは感じると思います

もうちょっと斬新なものは見せてほしかったかですかね

 

ちょっと批判的な感じにはなりましたけど
普通に平均点以上の面白さはあると思います

雰囲気もストーリーも良かったし
最後には観ていた自分も呪われるし

POVの完成度が高ければさらに面白い映画になり得たかもしれません

そう思うと少し残念