何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ONE PIECE FILM RED」感想 表面的には面白いっぽい映画

どうもきいつです


アニメ映画「ONE PIECE FILM RED」観ました

尾田栄一郎による大ヒット漫画「ONE PIECE」の劇場版アニメ
尾田栄一郎が総合プロデューサーを務めるFILMシリーズとしては4作目の作品
本作ではシャンクスの娘ウタをめぐる物語が描かれます

監督を務めるのは「コードギアス」シリーズなどの谷口悟朗
ウタの歌唱パートを担当するのは人気歌手のAdです

 

あらすじ
世界中の人たちに愛される歌手ウタが
初めて公の前に姿を現すライブを開催する
そこへルフィ率いる麦わらの一味も彼女のライブを楽しみにやって来た
ライブが始まり観客たちが盛り上る中
ルフィの一言でウタがシャンクスの娘だという事実が明らかになる
そこから事態は大きく動き出していくのだった

 

感想
歌のシーンや戦闘シーンは見映えが良くて楽しく観れる
過去の登場人物もたくさん登場して盛り上がる
ただ、ONE PIECEに思い入れが強い人ほどこの映画は微妙かな
雑な部分が多く感じた

 

「ONE PIECE」の劇場版新作ということで観てきました
劇場版は毎回映画館に観に行っているので
今回も当然の如く観てきました


本作は賛否がとても割れているようですね
しかも、大絶賛と酷評が両極端
「ONE PIECE」の劇場版の評価がここまで割れるなんて今までなかったように思います

個人的な感想としては可もなく不可もなく
正直、ここまで賛否が分かれるような映画かな?
という気持ちもあります

深く考えてみると
この映画が好きか嫌いかを分けるのは
「ONE PIECE」という作品にどういう思い入れがあるのか
だと思います

「ONE PIECE」をただの娯楽作品として消費している人からすれば本作はたぶん面白い
逆に「ONE PIECE」に思い入れが強く深く掘り下げて読んでいる人ほど本作が嫌いかと思う

僕の場合は中立…
と言うか、今となってはさほど思い入れもなく
娯楽作品としてもそこまで楽しんでるというわけでもなく
ほぼ外野ですよね
だからこそ1本の作品として観れたような気もする

まあ、とは言え両方の気持ちもわかるっちゃわかります

 

まず、本作が良かった点から話すと
作画のクオリティは高くて
本気で作られた劇場版作品って感じです

特に今回はウタが歌うライブシーンが目玉で
最近の作品で言えば「竜とそばかすの姫」とか雰囲気が近いかもしれません

それ以外にも
アニメなら新海誠の作品とか
海外作品なら「ボヘミアン・ラプソディ」や「アナと雪の女王」とか
挿入歌が多い歌を中心にした作品がヒットすることが多いので
そういう流行に乗っかったのかな

本作もそれらの作品のように歌のシーンを中心に作られた作品になっています

歌姫ウタのライブにみんなが集まるという設定の中で
様々な楽曲が披露されていきます

このときの映像は本当にライブ演出みたいな見せ方も多く
ここに力を注いでいるのでアニメのクオリティもとても高いです

なので、すごく楽しく感じるし
カッコいい見せ方なんかもあるし
ポップな映像に仕上がっています

曲も耳に残るようなものが多くて
音楽をテーマにした作品としては成功してるんじゃないでしょうか

それに、やっぱりAdoの歌声も良かったですね
このキャスティングも成功だと思います


そして、戦闘シーンです
これもカッコよく見せようというのはとても伝わってきて
アクションも頑張ってるように思えました

派手な演出で見映えが良い
原作のいろんなキャラがたくさん登場するのでお祭り感もあります

勢いもあって終盤のバトルなんかはなかなか盛り上がっていました

 

そんな感じで
表面的に楽しめる要素はたくさんあります

ただ、やはり表面的な部分だけなので
深く考えると微妙な部分もたくさんあります

いろんな意味で雑な映画だったなという印象でした


ストーリーに関しては
内容は薄く強引に推し進めてるだけ

どのキャラクターにもあまり感情移入できないストーリーですかね
人物描写はおざなりでした

本作で中心になるキャラクターは本作オリジナルの登場人物ウタなんですけども

行動原理や目的がブレてる上に
さほど深く描かれてるわけでもないので
好きになれるキャラではないです

そもそも、世界平和を目的に計画を遂行するんですが
その行動原理が漠然としていて
いまいちぴんとこない
ウタが結局何をしたい人なのかよくわからん

シャンクスに捨てられたってバックボーンはあるけど
それが世界平和がどうとかいう話には繋がらないし


ウタがただのメンヘラみたいなキャラになってしまってるので
感情移入ができず好感も持てない

そんなブレブレのキャラが中心なのでストーリーもブレブレなわけです


それと同時にルフィも中途半端な描かれかたで
いまいち何をしたいのかわからんのですよね

ウタに対してどういう気持ちで向き合ってるか謎で
最後までウタに寄り添うわけでもなければ突き放すわけでもなく
ルフィのくせにすごく優柔不断なんですよ

ルフィがウタを助けようとする理由も
幼なじみだから
ってだけ

もうちょっとこの2人の関係性を深掘りしてくれれば納得できたと思う

強引に物語を運んでそれっぽくはしてますが
雑なことには間違いないですね

 

それと、既存キャラの扱いは酷いなと思わされました
これが本作が酷評される理由の1つだと思います

お祭りだから原作のキャラが再登場
というのは言い訳で

この映画
都合の良い能力を持ってるキャラを都合よく登場させてるだけなんです

ご都合主義のためのキャラが多すぎます

ロー、ブルーノ、バルトロメオ、ブリュレあたりは完全にただの便利屋ですね

物語をスムーズに進めるためだけに登場させたって感じです

カタクリの扱いなんかも雑でしたね
これもご都合主義のためのキャラになってしまってた


そして、本作の目玉の1つでもあるシャンクス

シャンクス率いる赤髪海賊団の登場は盛り上がるっちゃ盛り上がるんですけど

原作をちゃんと読んでる人からすれば
この扱いどうなの?
と、引っかかるはず

僕はあんまり良くない出し方だなと思いました

そもそも、ルフィの前にシャンクスが普通に現れてしまってることがなんか違うし

ルフィとシャンクスがリンクして敵を倒す展開にしても
確かに熱い展開ではあるけど
これは違うでしょ

ウソップとヤソップの意志疎通
親子愛みたいなのは感じるけど
やっぱ違う

赤髪海賊団がみんな本格的に戦っていて
確かにカッコいいけど
これでいいのか?

正直言って
この映画におけるシャンクスの扱いは
ただの客寄せパンダなんですよね

サブタイトルのREDってのも
最後まで見ても全然意味が繋がってこない
このタイトルは客を呼び寄せるためのものでしかない

シャンクスについて深く描かれる映画だと思わせるような宣伝の仕方もしています
これはなかなか悪質な宣伝だよ

こんな中途半端な形で原作の重要キャラのシャンクスを消費してしまえば
怒るファンがいても当然のこと

これに関しても表面的には盛り上がってるので
シャンクスカッコいいー!!
とキャーキャー言える人は満足だと思う

ただ、思い入れが強い人は
この展開に納得できないでしょうね

 

あと、この映画が批判されるのは
ちょっと媚びすぎなところもあると思う

歌を中心にした作りは明らかに流行に合わせた媚びだし
Adoの起用は若者に媚びてる
REDってサブタイトルはファンに媚びてますよね

媚びてるが故に
わざわざ「ONE PIECE」でやらなくていいようなことを数々やってしまってるので
批判されるのも仕方がない

結局は動員数や興業収入などの数稼ぎに走ってしまった
ってことだと思います

 

あと、もうちょっと文句を言うと
さっき褒めたアクションシーンですけど
勢いや派手さは十分だけど
やっぱり雑ですね

みんなただ技を出して攻撃してるだけで
ギミックとかはなく単調
映像をゴチャゴチャさせることで誤魔化してたりも

赤髪海賊団は原作ではほぼ戦ってる場面なんてないので
特色のある戦闘なんて見せれるわけもなく
無理やりすごいっぽく戦わされてました

この無理やり感は正直ちょっとキツかったかな…


「ONE PIECE」が好きだった頃の気持ちを思い出して
なんか批判的な感じになってしまったけど

別に駄作だとも思っていません
大絶賛もしないですけど

批判的な人も原作とは別物だと思ってみればまだましかも

AdoのMVと思って観ればちょうどいいんじゃない?

 


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