何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」感想 自己犠牲のアイドル

どうもきいつです


ドキュメンタリー映画「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」観ました


ももクロの愛称で知られる人気グループ
ももいろクローバーZに密着したドキュメンタリー
TBSドキュメンタリー映画祭2022で限定上映された作品に新映像を追加した劇場版
20代後半となったメンバー4人の人生観や将来像をインタビューなどを通して映し出されます

監督はTBSの様々な番組に携わってきた酒井祐輔が務めています

 

あらすじ
2008年に結成され2014年には国立競技場で女性グループ初のワンマンライブを成功させたももいろクローバーZ
百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れに4人のメンバーが30歳目前となり
これからどこへ向かうのか、何を考えているのか
ももクロの今に迫っていく

 

感想
ももクロ4人のアイドルやファンへの向き合い方がもはや狂気
他のアイドルに比べても異質
彼女たちの自己犠牲の精神には少し不安も…
興味深い内容でした
ただ、彼女たちの話は興味深いもののドキュメンタリー映画としては微妙
正直、映画館で上映するレベルではない

 

なんとなく興味が湧いたので観てきました

僕は昔はももクロのファンだったし
このグループへの思い入れはそれなりにあります

今は完全に離れてしまいましたが
5年ほど前まではしょっちゅうライブに行くほど好きでした

現在進行形のファンの人と比べると
この映画の見え方は違うかもしれないけど
僕なりに思うことも結構ありました


まず、彼女たちが30歳目前というのは
なかなか感慨深いものがありますね

僕が初めてももクロを知った時はまだ全員10代
みんな中学生、高校生でした

その頃は僕自身もまだ20代前半でしたし
今の自分がこの年齢なら
そりゃももクロもそんな歳だよなって感じ
僕と高城れにちゃんは5歳しか違わないし

だから、同じ時間を共に過ごしてきたような変な感覚もあります
共に歳を重ねてきたみたいな

本作を観ると
やはりももクロの成長や変化はとても感じました
5年ほど離れていたのでよりそれを感じたのかもしれません

そんなももクロの変化を感じれたことが
この映画を面白く観れた要因ですかね


だから、ファンじゃない人や興味ない人からすれば
この映画はいまいちかな…
あまり心に刺さるものは無いかと思います

ファンに向けた映画なのは間違いない

 

で、僕が本作で興味深く思ったのが
年齢や結婚についてのトークからももクロメンバーそれぞれの思いが深掘りされたところ

実は年齢や結婚についての具体的な話なんかはどうでもよくて
そこから見えてくるグループへの向き合い方やファンへの思いなどが面白い

なんと言うか
ももクロって自己犠牲の精神がちょっと異常なんですよね
特に赤の百田夏菜子と紫の高城れに
この2人が普通じゃないです

それがももクロの魅力なのかと改めて思わされました

普通、アイドルを目指す女の子って
有名人になりたいとか人気者になりたいとかちやほやされたいとか
そういうのが原動力になってると思うんですよ

例えばAKBや坂道系のグループは
グループという形はあるものの団体戦と言うよりは個人戦
如何に個人がグループの中で這い上がるかなんですよね

他のグループにしたって
アイドル活動を経て芸能界にトップにのしあがりたい子や
小さいコミュニティでもちやほやされたい子とか
そういう人の集まりがアイドルだと思う

結局はみんな橋本環奈になりたいわけです


ただ、ももクロは逆で
4人ともあまり目立とうとしないと言うか
個々が自分優先ではなく
グループだったりファンだったりが中心の考えなんです

百田夏菜子と高城れにはそれが顕著で
自分のためにアイドルをやっているんじゃなくて
アイドルであることに人生を捧げているって感じです

それがちょっと異常にも思えて少し心配になるレベル
もう少し自分の事を考えてもいいんじゃないかと…

この2人の姿を見ていると
ファンとしてももクロを消費していた自分としては
心をえぐられるような思いにもなりました

まあ、そこがももクロの魅力にも繋がっていて
カルト的なももクロ信者がいるのにも納得できる

彼女たち自身もそれが生き甲斐で幸せなのかもしれない

玉井詩織と佐々木彩夏に関してはそこまで自己犠牲の人ではないと思うんですけど
人生を捧げている2人に引っ張られてそっち側になったって感じですかね

逆に脱退した青と緑はそういうのについていけなかったんだろうなと思う

今の4人になってから
よりももクロの濃度が高まったのかな
と、この作品を観て感じさせられました


他にも
辞めたいと思ったことがあるか?
10年、20年後はどうしていると思うか?
みたいな質問からもこのグループの深い部分を掘り下げれていたと思います

4人でのトークや個人のインタビューで
ももクロの魅力は十分に引き出せていました

この映画から感じれるのは
ももクロはグループやファンへ真摯に向き合い大切にしている
すごく真面目にアイドルをやっているということ

彼女たちの言葉には打算や嘘はないんだろうなとも思えます

それがももクロの愛される理由なんでしょうね

 

ここまでめっちゃももクロを褒めましたけども
結局はももクロを知ってるからの戯れ言でしかなくて
知らない人からすれば
は?って感じだと思う
やたら語ってる僕のことをキモいと思ってるかも

で、この映画がももクロを知らない人に何かを伝えれる作品なのかと言うと
全然、伝えれていないドキュメンタリーです

正直、ドキュメンタリーとしてレベルが低い

そもそも、テレビで放送したものを再編集して映画にしたらしく
テレビ番組の延長線上なのは否めません


まず、密着取材をしてるんですけども
密着してる意味があまり無い作りです

普段のももクロ活動から見えてくるものが無いんですよね
密着映像をちょくちょく挟んではいるけど
別に無くてもいいと思うほど意味がない

それに、たぶんライブにしか密着してないんですよ
ライブにどう向き合ってるのかはわかるんですけど
それ以外のももクロは見えてこない

テレビ番組の撮影とか個人の活動とか
そういう部分にまで密着すれば
仕事に対する思いや彼女たちのアイドル像なんかをもっと深く見せれたと思う


それに、やっぱり内輪ノリが目立って
ファン以外にはつまらない部分が多々ある

冒頭のメンバー内でのダラダラした会話もファンは嬉しいだろうけど
知らない人からすれば入り口として最悪
ここで拒否してしまう人もいると思う

ドキュメンタリーとしても冒頭の会話は必要ないと思うし


4人の座談会に関しては
トーク内容は興味深いけど
やっぱりテレビって感じで
これを映画館で見せられるとさすがに萎えますかね

もうちょい見せ方があったんじゃないでしょうか

ドキュメンタリーなのにテレビのバラエティー番組っぽくなってるところが
この映画を作り物みたくしてしまってる

この作りじゃ
ももクロがいくら真実を話そうが
嘘っぽく聞こえてしまっても仕方ないです


あと気になったのが
結婚がテーマの話をしているのに
脱退した青と緑を完全にスルーしてた

青と緑は脱退した後に結婚しているので
このテーマで話をするのなら触れてほしかったかな

まあ、青はともかく緑のことは完全にタブーになってるし
話さないのは当然か…

緑のタブー扱いはももクロの嫌な部分ではありますね

昔のももクロならそういうネガティブなことにも触れてくれる信頼感がありましたが
緑の脱退後はそれが崩れてしまいました
緑に関しては話せないレベルの闇なのかな…

この緑タブー扱いにしても
ファンでない外側の人からすればマイナスでしかないですよね
この映画を観るとより不信感が生まれると思う

 

昔に比べてももクロは内輪向けのグループになってしまっている現状で
この映画でもその悪い部分は出てしまっていたな
という印象です

僕がももクロから離れた理由はそこにあったりもする

この映画はファンでない人が入るには入り口が狭いかな…
ドキュメンタリーとしても面白くないと思うし

まあ、ももクロに思い入れがあれば
この映画を観ていろいろと思うことはあるだろうし
そんなに悪い作品ではないですかね

 


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