何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「オカルトの森へようこそ THE MOVIE」感想 面白い けど、めっちゃ酔う…

どうもきいつです


ホラー映画「オカルトの森へようこそ THE MOVIE」観ました

WOWOWのホラードラマ「オカルトの森へようこそ」の劇場版
異界へと繋がる森へ足を踏み入れた人々を襲う恐怖を描いたPOVホラー
ドラマ版にはない短編「訪問者」が同時上映

監督を務めるのは「不能犯」「ノロイ」などの白石晃士
出演するのは堀田真由、筧美和子などです

 

あらすじ
ホラー映画監督の黒石は実録映画撮影のため
助監督の市川を引き連れ山奥の家を訪れる
2人は黒石のファンだと言う三好から黒石が撮った映画と同じ体験をしたと聞かされる
すると突如、不可解な現象が発生し
そこから彼らを思わぬ恐怖が襲うのだった

 

感想
白石ワールド全開でとても楽しめました
白石作品の集大成って感じ
いろいろとブッ飛んでいて面白い
ただ、手ブレが激しくマジで画面酔いする
序盤あたりからずっと気持ち悪かった…

 

白石晃士監督の新作ということで観てきました
かなり楽しみにしていた作品


まず、本作はTHE MOVIEと銘打ってるけど
ドラマ版の続編というわけではなく
ドラマ版全6話を一つにして映画として公開したって感じです

なので、ドラマ版は観てなくて大丈夫
僕もドラマ版は観ていません

 

まず、本作はやはり独特な作風なので観る人を選びますかね
つまらないと感じる人はとことんつまらないんじゃないでしょうか

そもそも、本作は土台に定番のホラーや定番のPOVがあって
それを踏まえた上で作られた作品かと思います

普段からホラーやPOVの作品をよく観る人だからこそ刺さるものが多いです

なので、そんな作品に馴染みのない人がいきなり本作を観ると
なんじゃこりゃ
って感じだと思いますよ

基本的にやってることは下らないし滅茶苦茶だし
よくわからん変な映画としてしか目に映らないかもしれませんね

とは言え、普段からホラーやPOVに馴染みがあって
その上、白石作品が好きな人ならば
本作は最高に楽しめると思います

 

言ってしまえば
この映画は白石監督の集大成のような作品
白石ワールド全開です

POVホラーの定石を崩しつつ
頭のおかしい人たちがコミカルに格好よく大活躍します
根底にクトゥルフ神話の世界観があるのも定番ですね


で、登場人物に関しては
これまでの白石作品のアベンジャーズみたいになっています

助監督の市川は
名前からして「コワすぎ」シリーズの市川ですよね
性格は物怖じせずちょっとドライでガンガン行くタイプ
これは「コワすぎ」の工藤みたいな性格になっていて
市川と工藤を足したようなキャラクター

他にも
三好麻理亜は白石作品によく出てくる“あっち”の世界に毒されて頭がおかしくなった人

江野さんは白石作品にいろんな形で登場するあの江野さん

ナナシは「カルト」に登場したネオのような反則急の超人

もちろんカメラで撮影するのは白石監督本人です

登場人物だけでも全部盛りオールスターなわけですよ
白石作品を観てきた人ならばこれだけでテンション上がります


それだけでなく
登場人物がみんな魅力的に描かれていて
それが本作の面白さでもあります
基本的にみんな頭がイッてます

市川はガンガン進んでいくので
主人公として物語を引っ張っている
市川を演じる堀田真由も可愛くて良かったですね

黒石こと白石監督は弱々しいけどやる時はやるってのがいつもの感じ
今回は三好麻理亜に恋しているという設定が面白かった

三好麻理亜は明らかにヤバい女でしたけど
なんか可愛いかったですね
天真爛漫な雰囲気もあって愛嬌を感じられる
黒石が好きになるのも納得できる

江野さんは江野さんでした
なんかめっちゃ強かったし
言動が絶妙にヤバくて笑えます
スーパーボランティアとかも絶妙に古くて笑える

ナナシは最強
そしてイケメン
とにかくイケメン
抱かれたい

とにかくみんな魅力的でそれだけでこの映画を最後まで観てれました

最後に戦うカルト集団も絶妙だし
あのおばさん達がちょうどいいヤバさ
笑えるような笑えないような

白石監督の良さって
やっぱり、頭のおかしい人の描写ですよね
マジでヤバい人に見える
でも、どこかコミカルで好きになれたりもする
絶妙なバランスのキ○ガイ描写です

 

ストーリーに関してはかなり薄い
と言うか、ほぼ無い

“あっち”の世界の“なにか”が現れて
それから逃げたり戦ったりするだけの話です

軽く恋愛やら熱い展開やらはあるけど
ストーリーを楽しむ映画ではないかな

本作は白石ワールドを体感するアトラクションって感じですね

起こる出来事にしても
出てくるバケモノにしても
白石作品らしいもの満載で楽しいです

とにかく、ノンストップで最後まで駆け抜けていくような作品で
本当にジェットコースターのようなアトラクションでした

ここも楽しめる人は楽しめるけど
楽しめない人は微妙に思ってしまう部分かもしれませんけどね

 

個人的に最高に楽しめる作品だったのは間違いないんですけども
難点があるとすれば
めちゃくちゃ酔います

終始、手持ちカメラの映像なので手ブレが激しいです
さらに走ったりするシーンも多く
カメラが左右によく振れたりもするので
序盤のうちから気持ち悪くなっていた

今までの人生で様々な映画を観てきましたが
歴代1位で酔いました

映画を観終えた後はぐったり
帰宅するまで引きずりました…

僕はどちらかと言えば三半規管が弱い方だとは思いますが
POVもよく観るのでそれなりに馴れてはいる

それでもヤバいほど酔いました
だから僕だけでなく酔う人はかなり多いと思います

映画館で観たからより酔いやすいというのもあったのかもしれませんね


この手ブレはあえてのことだとは思うんです
臨場感やリアリティを出すための手段
後はチープな部分を誤魔化すための工夫だとも思う

でも、もう少し抑えれなかったんですかね…

休憩するヒマもあまりなかったので
途中、走ってる場面とか目を瞑ってましたから

正直、これはマイナス要素としてかなり大きい
気持ち悪すぎて集中力も欠けますしね

バスの場面とかマジでヤバかったっす
このままだと吐くんじゃないかと不安でいっぱいだった

別な意味でスリルを感じてました


それと、酔って気持ち悪くなるだけでなく
もう少し登場人物をしっかり見たかったってのもあります

手ブレが酷いので
顔や動きなどが終始わかりにくく
役者の演技や表情もあまりちゃんと見れなかった印象

手ブレが止まってる場面もあるっちゃあるけど
圧倒的に少ない
止まってるときは休憩タイムって感じになってしまってましたしね…

とにかく画面酔いはかなりキツかった…

 

あと、思ったのが
やっぱりお金と時間をかけて好き放題やってる白石作品が観てみたい

本作も低予算だろうしかなりチープなわけですよ

はっきり言ってCGはめっちゃショボいし
手ブレにしてもそれを隠すための工夫でしょうし

舞台が森の中だけだとか
人の数が明らかに少ないとか
そういう部分からチープさがプンプンしてきます


終盤のバトルももっと大人数いればさらに盛り上がったと思います

この前観た韓国映画「カーター」の銭湯バトルみたいなのが本作にもあればマジですごい映画になってただろうし

お金をかければナナシの超人さをもっと出せたはず
バケモノ達をもっとリアルで怖いものにできたはず

白石監督自身もお金さえあればやりたいことがたくさんあると思うんですよ
それを観てみたいです

白石監督は低予算でも工夫して面白い作品を作れる人です
だからこそ、お金と時間をかけて好き放題やれば
もっとすごいものが生まれるかもしれない

こういう監督たちはたくさんいて
そんな人たちにお金をかけて素晴らしい作品をたくさん生み出していって欲しいですけども
今の日本の映画業界では無理でしょうね…
そこが残念…

僕が大富豪ならこんな監督たちに大金渡して好き放題映画撮らせたいですけどね

 

本作はチープなのは否めないけど
白石作品の魅力がてんこ盛りで
ファンとしては最高に楽しめました

ただ、めっちゃ酔うので
観るのなら酔い止め薬を飲んでから挑むことをオススメします

 


カルト [DVD]