何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「雨を告げる漂流団地」感想 地味で暗くて幸が薄い

どうもきいつです


アニメ映画「雨を告げる漂流団地」観ました

「ペンギン・ハイウェイ」などを手掛けたスタジオコロリドによる長編アニメ映画
小学生6人が不思議な現象に巻き込まれ
取り壊しの決まった団地で大海原を漂流するファンタジー作品
2022年9月から劇場公開と同時にNetflixでも配信が開始されました

監督は「ペンギン・ハイウェイ」でも監督を務めた石田祐康です

 

あらすじ
幼馴染の航祐と夏芽は
航祐の祖父が亡くなったことをきっかけに関係がギクシャクしていた
ある日、航祐は友達とともにお化け団地へ忍び込んだ
そこで偶然、夏芽に遭遇し謎の少年のっぽの存在について聞かされる
すると突然、周囲一面が大海原になり団地が漂流していた
そして、航祐たちは力を合わせてサバイバル生活を送ることになる

 

感想
なんか常に陰湿な空気が漂っていて
少年少女たちの冒険ものなのに全然ワクワクしない
みんなの関係性がギスギスしてるのも観ていてしんどい
最終的にあまり意味もわからないし
観終えたときの幸福感が全く無かった

 

以前観た「ペンギン・ハイウェイ」が面白かったので本作も観てみました
映画館ではなくNetflixでの鑑賞です

 

率直な感想は
面白くなかった

正直、映画館で観なくてよかったな
と思ってしまうほど


アニメ映像のクオリティに関してはレベルが高いと思います

細かい描写がとても美しいし
キャラクターの動きも滑らかでした
映画館の大画面でも耐えうるクオリティではあるのは間違いない

特に廃墟の描写がすごく良かった

たぶん、廃墟を描きたいというところからスタートしたんではないかと思います

廃墟が海を漂流する
というシュールなアイデアから企画が始まった作品なのではないでしょうか

そう思わされるほど
廃墟の描写にはこだわりを感じます
汚ならしさや朽ちていく様子はとてもリアルで
廃墟の描写だけでもそこそこ見応えはありました


ただ、本当にそれだけなんですよね

廃墟の描写以外には良いところが全く無かったかな…
廃墟が海を漂流するというアイデアだけで終わっていた映画でした

 

特につまらなく思わされたのは
毎回ワンパターンの展開

基本的に同じようなことを繰り返してるだけのストーリーで
段々と観ているのが苦痛になってきます

同じようなピンチを同じような方法で乗り越え
同じような悩みに何回も葛藤し
同じような原因で同じようなケンカを繰り返す

物語が進むにつれて
自分は何を見せられてるんだろう…
って気持ちにさせられてくる


それに唐突な展開も多かったです
特に終盤は前置きなく急に話が展開していく

嵐になった理由もよくわからんし
観覧車が流れてきて新キャラ登場もあまりに唐突で説明不足
のっぽ君を置いてけない助けたいってくだりも全然感情移入できませんでした

のっぽ君に関しては
序盤で仲良くなるだとか友情を築くだとか
何かしらエピソードを用意するべきでしたね

 

それと、やっぱり全体的に意味不明
あまりに説明が少ないと言うか…

のっぽ君の正体もね
なんとなくはわかるんですよ
てか、早い段階からそういうもんなんだろうなってのは予測がつく

ただ、明確に答えを示してなさすぎ
のっぽ君が団地の化身なのか妖精なのか
後天的に心が芽生えたのか
はじめからそういう存在なのか
結局はなんかよくわからん存在ですよね

そちらで考察してくださいってことなのかもしれないけど
それってさすがに手抜きじゃないですか?

のっぽ君のことだけでなく
本作は劇中で語るべきことを全然語れてないなと思います

キャラクターのバックボーンにしろ
団地が漂流していることにしろ
あの海がひたすら広がる世界にしろ
最後に行き着く場所にしろ

全て観ている側が察しろ考察しろってスタンスで
あまりにも投げっぱなしですよね


意味不明な作品でも認められているものはたくさんあって
考察ありきの難解な作品が悪いとは思ってないけど

本作に関しては
そもそも考察したいと思わされるほどの面白さがない

面白い作品なら意味不明であってもいろいろと考えたくなりますが
この映画の場合は
観終えたら
それ以上この映画に時間を費やしたくないなと思ってしまう

観ているときでさえ時間を無駄にしている気持ちになるのにね…

 


あと、僕が本作をなんか嫌だなと思うのは
ネガティブすぎるところ

基本的にすごく暗いんですよね
キャラクターの性格もそうだし起きる出来事もそうだし

観ていて全然楽しくない
むしろ、しんどくなってきます


観る前は
ワクワクする子供たちの冒険譚
ジュブナイルもののイメージでした

実際に観てみても
確かにそういうジャンルではあるけども

観ていて一向にワクワクしてこなくてノスタルジーな気持ちにもさせられない
なんかすごくジメジメしてるんですよ


特にヒロインの夏芽ちゃんが酷い
ずっとウジウジと悩んで
最後まで身勝手な行動で友達たちを振り回して

夏芽ちゃんがめっちゃ嫌なキャラになってました

主人公の航祐やのっぽ君なんかも
自分の気持ちをなかなか表に出さず終盤の方までウジウジしてる感じで
これも印象が悪かった

唯一、自分の気持ちをはっきり言葉にするレイナちゃんは
こっちはこっちでは毎回同じようなことでキレてケンカが始まり
仲間の関係性をギスギスさせてる嫌な子になってる

そして、他の子たちはほぼ空気
存在している意味がない


子供たちが冒険するって話なのに
終始、空気が悪くスゲーしんどい


ネガティブなところで言えば
ピンチの描写も嫌でしたね

起きていることは基本地味で
そして、すごく嫌なピンチなんですよ

この映画のピンチって
ケガをするというリアルで痛々しいものばかり

ガラスで膝を切るとか
落下して頭を打って生々しく血を流すとか
そういうのをめっちゃ繰り返すんですよ

で、そういうのがきっかけでケンカが始まったり…
それの繰り返し

これの何が面白いんですか…?

観ていると本当にひたすら気持ちが落ち込んでいく
観ているこっちもマイナスな気持ちになっていきます

この映画の意図がわからないんですよね
観客を嫌な気持ちにさせたいんですか?

子供向けアニメにしては楽しさやワクワクの欠片もなく
大人向けにしてもいまいち感情移入はできずさほど深いものも感じない


この映画は
航祐と夏芽のネガティブでギスギスした関係性で最後まで引っ張り
その上、のっぽ君のミステリアスな面でも最後まで引っ張っていて

最後までネガティブな印象しかなく
さらに意味不明という
観終えた後に全然すっきりしないんですよね

ハッピーエンドで終わってるのに
終わった時の幸福感が全く無い
すごく幸の薄い映画に感じさせられました

 

同じことの繰り返しだとか
登場人物が多い割に扱いきれてないだとか
意味深な世界観なのに説明不足だとか
やはり脚本が悪いですよね

もっと脚本を練るべきだったと思う
映像面やアイデアが良いだけにもったいない


設定やシュールな世界観にこだわってるのはわかるけど
それだけで終わってる
中身が伴っていないです

最近、そういうアニメ映画多いですね
同じNetflixで配信されてた「バブル」もそんな感じだったし

最近のアニメ映画の傾向のせいで
水浸しアニメ映画に対して警戒心が発動する体になってしまった

 


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