何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「“それ”がいる森」感想 一体どういうつもりなのか?

どうもきいつです


ホラー映画「“それ”がいる森」観ました

森の中で得たいの知れない何かに遭遇した人々の恐怖を描いたホラー

監督は「リング」などの中田秀夫
主演を努めるのは相葉雅紀です

 

あらすじ
田舎で農業を営む田中淳一
彼のもとへ別れた妻との息子の一也が東京から訪れ2人はしばらく共に暮らすことになる
そのころ、近くの森で不可解な現象が発生し
彼らが住む町でも不審死や失踪が続発していた
そして、彼らは得たいの知れない“それ”を目撃してしまう

 

感想
真面目に作ってこうなってしまったのか
あえてこんなのを作ったのか
観ていて意図が全くわからない
どんな気持ちでこの映画を観ればいいのか…
まあ、どっちにしたってクソなのは間違いないけど

 

地雷だろうなとは思ってたけど
“それ”の正体が気になったので観てきました


…が
“それ”の正体に期待してしまうと…

 

まず、本作を観た人のほとんどかCMや予告を見て
“それ”の正体が気になったから観たんじゃないでしょうか
相葉雅紀ファンもそれなりにいるとは思いますが

CMや予告を見る限りでは
この映画のメインは“それ”の正体が何なのか
という部分だと思いますよね

 

ただ、実際に本編を観てみると
本当に拍子抜けと言うか…

これは予告詐欺と言われても仕方ない

あれだけCMや予告で煽ってるのなら
“それ”の正体は想像以上のものでなくてはならない

しかし、実際は想像のはるか下
なんじゃそれって感じです


ネタバレすると
“それ”の正体は宇宙人です
しかも超テンプレなグレイタイプのやつ

宇宙人なのは百歩譲って良しとしましょう
なら、せめて造形をもっと斬新で想像を絶するものにしましょうよ

こんなの令和の時代でやることか?

 

まあ、“それ”の正体の話についてはこれで終わりです

本題はここから
この映画は“それ”の正体が拍子抜けってことだけでなく
それ以外にもいろいろと酷いと思わされる映画です

何から話せばと悩むんですけども…

まず最初は
そもそもこの映画が古臭すぎるってとこからですかね

宇宙人の造形ももちろん今さらすぎるわけですが
基本的に本作でやってることは全て周回遅れ甚だしいです

もし、この映画が20年前に公開されていたとしても
その時代ですら50周遅れくらいしてる

宇宙人や地球外生物を題材にしたホラーなんて昔からたくさんあって
僕が生まれる前の作品ですら
前衛的で想像を超えてくるようなものは多くある

そんな昔の作品に比べても本作は相当劣っています


ストーリーに関しても新しさの欠片もなくて
ものすごくステレオタイプです

キャラクターにしろ設定にしろ展開にしろ
どれを取っても今さらすぎ

最後まで予想外の事は1つも起きなかったです
怖くもないし
シンプルにつまらないですよね

 

で、次に気になるのは
あまりのチープさです

特にやはり演技ですかね
マジでヤバイです
近年まれに見るヤバさ

ただ、これって出演者の演技が下手とか
そんなレベルじゃないんですよ

たぶん主演の相葉雅紀は下手だと思うけど
脇を固めてる実力派の人たちも何故か下手だったりします

この映画で一番感じたのが
心が無いんですよ

出てくる人みんながなんかハリボテみたいなんです
中身が空っぽと言うか
心を抜き出されたんじゃないかと思うほど

ラストなんて
子供が3人も死んでるのに笑いながらサッカー応援してたので
こいつらサイコパスだなと思いました


で、この心の無さの原因は
たぶんセリフだと思います

この映画は本当にセリフが酷くて
観ていて嫌気が差してくるほどでした

基本的に説明セリフで埋め尽くされていて
これじゃあ、いくら演技が上手くても嘘っぽくなるよ

登場人物たちが
その時の気持ちや状況や出来事を全て言葉に出してるわけです

不可解なものを見つけた時には絶対に
「なんだこれは…」って言いますからね
岡本太郎じゃないんだから…

セリフで全部説明した後に回想シーンがあったりもするし
めっちゃくどい

その上、肝心な登場人物の内面や考えは描かれず
行動原理や目的が理解不能なまま物語が進んでいく

あとは
こんな映画に出てるからなのか
出演者全員の目が死んでましたよね
みんな黒目が真っ黒でした
子役ですら目が死んでたよね

本当にこの映画に出てくる人みんなゾンビみたいでした
この映画はゾンビ映画ですね


他に気になったのは
主人公の息子が嫌いっすね
あいつマジでイライラする

父親や大人に偉そうに逃げるなとか言ってるくせに自分は逃げてばっかだし
基本、他力本願で自分で何もしないし
大して何の役にも立ってないし
結局、成長もしてないし

この映画においてのあのガキの存在意義がわからない

つまらないだけでなくイライラもさせられました


それ以外にも脚本の酷さとかも目に余るかな…

唐突な展開は多いし
登場人物はみんな頭悪いと思うし
もっと脚本はちゃんと作った方がいい

 

ここまでいろいろと文句を垂れてきましたけども
本作で最も不可解なのが
どういうつもりでこの映画を撮ったのか
ってことなんですよ

真面目に怖いホラーを撮ろうとしてこの体たらくなのか
あえてチープでギャグみたいな映画を撮っているのか
そこが観ていて全然伝わってこないんですよね

まあ、たぶんあえてチープでバカバカしく少し懐かしさを感じるように作られた映画なのかとは思うんですよ

とは言え、やはりその意図が伝わってこないし
多くの人がただのクソ映画と思ってしまうのなら
やり方が間違ってるってことです


本作が
どこの馬の骨ともわからない監督によって撮られた
知らない役者ばかり出ている超低予算B級映画だったなら
たぶんこれでも笑えただろうなと思うんですが

実際は
大御所監督によって撮られ
ジャニーズやら実力派俳優やらをふんだんに使い
そこそこ金もかけられ宣伝しまくっている上
シネコンなど上映館数の多い映画なので

例えこれが“あえて”のクソ映画であったとしても
正直、笑えない

 

そもそも、“あえて”これをやっていたとしても
スベってると言うか
あえてクソ映画を撮ってますよってのが予防線にしかなってないかな

これを“あえて”のギャグ映画で面白いと認めてしまえば
なんでもありになってしまいますよね

 

エンドロールの実際のUFO映像なんかも
意図があまりわからない
どういうつもりなんだろうと

一体この映画をどうしたいのか?

結局、誰に向けられているのか?
どう感じてほしいのか?
何を表現したいのか?
そういうのが本当に曖昧と言うか伝わってこないと言うか
何がしたいんだろう?って感じなんですよ

僕としても
この映画を肯定するも否定するも
どの路線ですればいいのか定まらない

 


つまるところ
この映画が真面目に作られた映画であっても
“あえて”こう作られたギャグ映画であっても
面白くないですね

これは悪い意味でのクソ映画でしかないかな…

この映画で一番怖かったのは
これにお金を払ってしまったこと

 


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