何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

特撮「仮面ライダーBLACK SUN」感想 思いは伝わってくるけど 雑さが気になる

どうもきいつです


特撮ドラマ「仮面ライダーBLACK SUN」観ました

1987年に放送されていた「仮面ライダーBLACK」のリブート作品
人間と怪人が共存する複雑な社会で戦いに身を投じる者たちが描かれます
Amazonプライムビデオにて全10話が独占配信されています

監督は「孤狼の血」などの白石和彌
出演するのは西島秀俊、中村倫也などです

 

あらすじ
2022年、人間と怪人が共存を掲げてから50年が経った
怪人差別の撤廃を訴える少女の和泉葵は南光太郎と出会う
彼は次期創世王のブラックサンと呼ばれる男だった
そして、もう1人の創世王の候補である秋月信彦も動き出す
彼らの再開がやがて大きなうねりとなっていく

 

感想
仮面ライダーだけどほぼ白石和彌って感じの内容
バイオレンスで社会風刺ゴリゴリな仮面ライダー
やってること自体は面白いけどかなり雑さも目立ってました
特にキャラクターは薄いかな…

 

「仮面ライダーBLACK」のリブート作品ということで楽しみにしていました
白石和彌が監督するという部分でもとても楽しみにしていた作品

この2つの組み合わせというだけで期待してしまいますよね


オリジナルの「仮面ライダーBLACK」に関しては
僕が生まれる直前の作品なのでリアルタイムでは観てないけども
子供の頃にビデオで観てました
ギリギリ仮面ライダーBLACKごっことかもしてましたし

友達と2人でブラックとシャドームーンになって戦ってましたよ
その時はRXだったかもしれないけど

なので思い入れはそれなりにある作品ですね
だからこそ本作に期待も膨らんでいた


で、本作の話ですが
やはり白石和彌が監督というだけあり
らしい作品になっています

バイオレンスあり社会風刺ありの
いかにも大人向けって感じの仮面ライダー
なかなか暗い雰囲気の作品でもある

一応、R18指定で子供は観れません

グロい描写や痛々しい描写はなかなか多く
差別をテーマにしていたり
近代日本の闇の部分を仮面ライダーの設定に当てはめて表現していたりと
やってることは面白く興味深い

そんな中でも
特撮らしい表現を損なわず
昔ながらの特撮ヒーローを意識して作られていたし
オリジナルの「仮面ライダーBLACK」をリスペクトしている要素もたくさんあります

特に最終話のOPなんか
単純でチョロいと思われるかもしれないけど
気持ちがめっちゃ上がりましたしね

細かい部分でもオマージュはたくさんありました

ビルゲニアとかもすごく良いと思うんですよ
普通ならこいつは排除されるか別ものとして再構築されるかが妥当だと思うけど
そこをちゃんとビルゲニアとして登場させている

正直、ビルゲニアだけ明らかに浮いてるし
ツッコミどころの1つにはなってしまってるけど
あえて挑んでるのは伝わるので
これには好感を持てますよね
ビルゲニアの存在が本作の良い味になってた


白石和彌の色を出しつつも特撮ということもしっかりと意識されていて
面白い作品を作ろうという気概を感じられます

最近のレギュラー放送されている質が落ちた仮面ライダーよりも
よっぽど高い志を持って作られていると思うし
それだけで好感を持てますかね

 

そして、賛否が分かれそうな風刺的な描写
政治批判だったり差別問題だったり

仮面ライダーにそんな思想やメッセージはいらない
みたいな意見もちょくちょく見受けられましたが
個人的にはこういう作風もありだと思いますかね

むしろ、仮面ライダーでこういうことをやってしまうのは面白い試みをだと思う


差別団体の描写とかすごくリアルで観ているだけでモヤモヤさせられてしまいます
胸くそ悪いしやるせないし
めっちゃ嫌な気分にさせられる

ルー大柴が演じる総理大臣なんて
いろんな意味で嫌な見せ方してますよね
誇張してるようで
でもどこかリアルでもあって
意地悪な描写のしかたと言うか

白石和彌監督らしく
人間の闇の部分や嫌な部分の見せ方はとても上手くて
目を瞑りたくなるような胸くそ悪さを感じつつ
それがリアルの世界にもリンクしてるような

こういう描写から現実の世界についてもつい考えさせられてしまう


そんな点では白石和彌によって作られた意義を感じれますし
仮面ライダーとしても個性が光った作品になっているのではないでしょうか

 

やってることは面白く好感が持てる作品ではありましたが
本作が雑なのは否めなくて
そこにはちょっと引っ掛かります


特に気になるのは人物描写の薄さ
本作は人物の内面や言動が薄っぺらいんですよね

ストーリーや展開は全然悪くなくて
観ていて話の続きが気になって
10話のドラマではあるものの一気に最後まで観たくなる作品にはなっています

ただ、ストーリーが先走ってキャラクターが置いてけぼり

登場人物がみんな
ストーリーを進めるためだけの駒になっている

それは本当にもったいないなと思う
そのせいて作品自体も薄っぺらくなってます


中心人物の南光太郎と秋月信彦は西島秀俊と中村倫也が演じていますが
そもそもこの2人の能力が高いからか
単純にこの2人が演じているということだけで存在感や説得力があるんですよ

なので、それだけで観れてしまうっちゃ観れてしまうわけです

でも、やはり2人の関係性の描写やドラマは薄く
ただの幼馴染みってだけなので
それ以上の友情や絆は観ていても感じられず

結果、2人の対立や対決ではさほど盛り上がらないし
最後の決着にもカタルシスは感じれない

光太郎と葵の関係性にしたって
2人が交流する間もなくストーリーだけがどんどん進んでいくので
この2人の言動に説得力がないんですよね

ストーリー上は光太郎と葵の絆が深まってる前提の展開だけど
実際は他人以上に絆が深まってるようには全く思えず
そこにすごく解離を感じてしまう

葵に関しては
家族との関係性が中途半端で
父親との別れの場面が変な感じになってますよね

自分が怪人側になったときも
差別反対を主張してたわりにすごく拒絶していたので嫌なキャラに見えてしまってた

ここは当事者になることで見えてくる人間の愚かさを描いているのはなんとなく理解できるけど
人物描写が薄いからいまいち伝わってないように思えました


他のキャラも基本的に何を考えているのか不明で
何をするにしても原動力が曖昧なんです

ビルゲニアの最期とかも
場面としては格好いい感じではあるものの
やっぱり何を考えてるのかよくわからないので
あまり乗り切れず盛り上がりに欠けるなと思ってしまった

コウモリ、クジラ、ノミも
何故ブラックサンの味方側になってるのかよくわからなかったり

全体的に人物描写はすごく雑な印象でした

 

それと、回想シーン
本作は現在のパートと過去のパートが同時進行で描かれます
この作風は面白いと思うけど

過去パートがストーリーの説明にしかなってないのは残念
回想シーンが
昔こんなことがありましたよ
という答え合わせでしかない
それ以上のものは何もない

これもまた人物描写の話になるけど
過去パートもただ出来事だけが描かれて
それぞれの人物の関係性や心境の変化などはいまいち描かれません

キーパーソンのゆかりも結局は最後まで何を考えてるのかわからんかったし

あえてミステリアスに謎のまま終わらせたのかもしれないけど
ゆかりの存在が曖昧なせいでストーリーがフワッとしてしまってキレが悪く感じた

ゆかりを取り巻く光太郎と信彦の感情も曖昧で
過去パートは説明以外の部分が本当にフワフワなんです

正直言うと
過去パートは観るのダルかった


あとは、ツッコミどころも多くて
そこがノイズになったりもしてる

気になったとこで言えば
葵がぶちギレて二度とこんな店に来ないと言っていた喫茶店にまた行ってたりとか

キングストーンが取り出し可能で
いまいち設定がよくわからなかったり
キングストーン周りの設定は変な部分が多かった印象

怪人たちはみんな改造されて生まれた存在なのに
一部の怪人以外みんな改造されていることを知らないのは
さすがに強引すぎるような…

雀の男の子
あれは生殖で生まれたのか?
だとしたら話がおかしくならんか?
とか

いろいろと引っ掛かる点は多かった

「仮面ライダーBLACK」の設定を
強引にリアリティのある世界に置き換えているので
無理が生じるのは仕方ないことなのかもしれませんが

 

そして、アクションですが
正直、これもちょっと微妙かな…

バイオレンスな描写が多いしグロかったりもするので
第一印象はなかなかインパクトがあります

白石和彌作品らしい頭踏みつけ腹蹴りみたいな痛々しい暴力描写も満載で
それを仮面ライダーで見れるのは面白い

ただ、全体的にあまりアクションにスカッとしないしちょっと地味

アクションにギミックもないので面白いバトルシーンにもなってないんですよね

最後のブラックサンとシャドームーンの戦いも
格好いい雰囲気はあるものの
すごく物足りなかった

もう少し現実離れした派手なアクションがあっても良かったのかも

せめて最後はライダーキックで決めて欲しかったかな

そもそもアクションシーン自体が少なめだったので
そこはかなり不満でした

 

ちょっと否定的な意見が多くなったけど
造形とかはかなり好きです

ブラックサンとシャドームーンはめっちゃ格好いいと思います
バッタ怪人状態も好き

創世王もよかったですね

昔ながらの特撮スーツにこだわっていて
手作り感が強くかなりチープさはあるけども
個人的にはこのチープさがすごく好きだし
本作からは日本の特撮ヒーローの魅力をとても感じることができました


何よりも変身がすごく良かった
ダサいほど本気で熱くポーズを決めて変身します

リアルで暗い作風なので
この変身シーンがやたら浮いていてバランスがおかしくもなってるけど
だからこそ変身が際立つ

ダサすぎるからこそ
逆にめちゃくちゃ格好よくて盛り上がりがあるんですよ

やっぱり変身はこうでなくちゃ
と思わされました

 

不満もそれなりにあったけど
ここ数年の日曜にやってる仮面ライダーがあまりにも酷いので
その反動で本作はすごく良い作品に思えました

ニチアサ仮面ライダーよりも全然特撮に向き合って真摯に作られた仮面ライダーだったんじゃないでしょうか

配信限定でも
こういう路線の仮面ライダーは今後も続いていって欲しいですね

 


仮面ライダーBLACK Blu-ray BOX 1