何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

久しぶりに映画「セブン」を観たらサイコパスな殺人鬼に共感していた話

 

どうもきいつです

かなり久しぶりに「セブン」を観ました
すると、自分の中に新たな気付きがありました


「セブン」は1995年のサスペンス映画
監督はデヴィッド・フュンチャー
脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
主演はブラッド・ピット
他にはモーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、ケヴィン・スペイシーなども出演しています

とある街で“七つの大罪”になぞらえた連続殺人事件が発生し
その事件を追う刑事たちの姿を描いた作品

 

初めて本作を観たのはずいぶん前で
たぶん10年くらい前?
いや、もっと昔かもしれません

かなり前に観た作品なので内容もうろ覚えで
忘れている部分も多かった

ただ、やはり結末は衝撃的で眼に焼き付いてましたし
グロくて気持ち悪い描写も多く刺激的な描写は印象深く記憶に残ってる
当時としてはなかなか鮮烈な映画だったのではないでしょうか

僕が初めて本作を観たとき
陰湿でグロく気持ち悪い描写にゾクゾクさせられ
ラストの展開とブラピの表情には心を掻き乱された記憶があります

そして、この事件の犯人
ケヴィン・スペイシーが演じるジョン・ドゥには
ヤバいサイコパスという印象を持っていた

 

で、最近になり改めて本作を観てみると
ちょっと印象が変わってたんですよね

映画全体の雰囲気や面白さとかは
以前に観たときの印象とさほど変わりませんでしたが
ジョン・ドゥの見えかたが少し変わりました

 

まず、本作の重要な要素でもある“七つの大罪”の話をすると

七つの大罪とは
キリスト教において罪の根元とされる悪しき感情
“傲慢” “嫉妬” “憤怒” “怠惰” “強欲” “暴食” “色欲”の7つを言います

これが本作のテーマであり最も重要なポイントなわけです


ジョン・ドゥはそんな七つの大罪をモチーフに
かなりイカれた猟奇的な殺人を繰り返します
これだけを見ればサイコなヤバいやつ
てか、実際にサイコなヤバい奴であるのは間違いないですが…

しかし、終盤に彼が殺人を犯した動機が語られるのですが
それを知ると共感できてしまったんですよ
むしろ、ジョン・ドゥの感覚は何も狂ってはいないんじゃないかと思えたほど

簡単にジョン・ドゥの動機を説明すると
モラルが腐敗したお前ら街の人間たちに
この殺人を以て如何に貴様らが狂っているのかを知らしめてやる
みたいな感じですかね

これは映画を観ている人たちに向けられたメッセージでもあって
本作のメッセージとジョン・ドゥの思想はリンクしています
メタ的な構造ですよね


ジョン・ドゥは
“七つの大罪”の根元的な悪しき感情に囚われ
自らの感情や欲望をコントロールできていない人間たちを憂い
そして、苛立っている人なんです

そんなジョン・ドゥの思想が
今の僕の気持ちと重なる部分もあり
めっちゃこいつの言ってること分かるわー
ってなりました

正直、僕も今の人間たちを憂いて苛立っています


今の日本は
この映画の舞台となる雨の止まない街と似ている
今の日本には“七つの大罪”が蔓延っている
そして、誰もそれに気付いていない

 

ここからは僕が日々の生活で感じていることを
“七つの大罪”に当てはめていきます

 

“傲慢”
これはSNSの発展と共に顕著になったように思います
インスタ映えとかが分かりやすい例かと

如何に自分は美しいか格好いいか充実しているかを
SNS上でアピールしている人は多いです

Twitterなんかでは
如何に特別か優れているか賢いかを
学歴や収入や趣味なんかでアピールして
そして、マウントを取り合っている
みたいな光景はよく目にします

まあ、これが実力や努力に伴うプライドであれば健全だと思いますけど

実際は
写真を加工して原型がないほと美しく見せていたり
知識もないのに知ったかぶりして賢く見せていたり
根拠もないのに上から目線で他人を見下したり

嘘や虚栄心にまみれた彼らのプライドは
とても不健全に思えます

SNSの発展でよりお手軽に人からの注目や称賛を得れるようになったことで
人々に歪みが生じてきているのかなと思う

 

“嫉妬”
これもまたSNSでよく目にしますけど
他人に嫉妬して攻撃的になる人が多いですよね…

幸せそうな人、成功した人、高い能力を持つ人
こういった人たちを羨み妬み
そして、足を引っ張ってやろうとする人たち

よく芸能人がSNSで炎上したりするけど
嫉妬からくるパターンも多いんじゃないでしょうか
てか、ほぼ嫉妬ですよね

何かといちゃもんをつけて正論っぽい言葉を振りかざし攻撃的に噛みつきます
もっともらしい理論で自分を正当化してるけど
結局は妬み嫉みをぶつけているだけ

こんな人たちは
とにかく揚げ足を取って攻撃してくる

根本にあるのは
自分に対する劣等感からくる嫉妬なんでしょうね

SNSで必要以上に執念深く攻撃する奴らなんて
所詮は時間を持て余し心の隙間を埋めるために他人を攻撃している雑魚です


“憤怒”
これまたSNSの話になるけど
マジで怒ってる人多いですよね
しかも、自分に全く関係ない事に怒ってたりする
例えば芸能人の不倫とか

自分が侮辱されたとか
自分の大切な人が傷つけられたとかで怒るのならまだ全然理解できる

でも、ネットの世界では自分と関わりのないものに対しキレ散らかしてる人がすごく多い

これの原因はやはり匿名性かな
正体がバレなければ好き放題に暴れ回れる

怒るにもエネルギーは必要だしリスクも伴う
しかし、素性が明らかでなければ無責任に怒り放題なわけです

そして、無責任な怒りをぶつけられた人もまた怒り
負の連鎖です
これの行き着く先は戦争ですね

 

“怠惰”
これに関して最近思うのは
思考停止した諦めですかね
人生を諦めてる人がすごく多いなと思う

キャッチーな話題で言えば親ガチャとかですか

確かに子供は親を選べず
最低な親のもとに生まれてくる人は少なくありません
親だけでなく金銭面であったり地域であったり
人生のスタートはランダムなガチャと言っても過言じゃない

ただ、環境が恵まれなかったからと思考停止して諦めてしまうのはいかがなものか

親ガチャだけでなく
何も考えず流れに身を任せて生きていく人
誰かの指示をただこなすだけの人
そんな思考停止した生き方は怠惰の罪だと僕は思うわけです

どんな最悪な環境であろうと
自分自身や自分の人生には向き合うことが必要なんじゃないでしょうか

自分の環境、自分に与えられた境遇だからこそ
自分がやるべき事、やらなければならない事があると思う

 

“強欲”
これはいつの時代もですが
自分の欲のために他人を蔑ろにして踏みつけるような人は多くいますよね
最近では転売ヤーとか

でも、1番問題なのは
多くを持っている人ほどさらに多くを求めること

政治家が腐っているのも強欲が故
大企業の不祥事なんかも強欲が故

上にいる多くを得た人間が下にいる持たざる弱者から止めどなく搾取する現状
考えるだけでしんどくなってくる…

 

“暴食”
これはちょっとぴんと来ない気もするけど
みんな食べ過ぎなのは否めないと思う
食べ過ぎは体に毒ですから
僕も他人のことは言えない…

で、ちょっと視点を変えてみると
食べ物だけでなく今の人たちは多くのものを必要以上に摂取しすぎかな

例えばサブスクとかね
これってバイキング食べ放題みたいなもんじゃないですか

最近ではコスパだタイパだと言って
倍速再生で映画やドラマなどをとにかく大量に観るみたいな

これもある意味
暴食と言えるんじゃないでしょうか

食べ物にしろそれ以外にしろ
味わってしっかり咀嚼することで自分の糧になるわけですよ

それを噛まずに呑み込むだけでは
栄養にはならないしむしろ体に悪い

無駄な知識や情報を大量に摂取し
それが脂肪のようにまとわりついて
それによって身動きが取りづらくなってる人なんかもいると思います

暴食はいろんな感情や欲望を抑えれなくなるきっかけにもなるだろうし
多くを摂取したいという気持ちを制御するのは大切なのかもしれない

 

“色欲”
色欲で思い付くのは不倫や性犯罪とか
最近で言えばパパ活とかですかね

性欲そのものは罪ではないけど
愛の無い性欲は悪いことへ繋がると思います
これによる悪影響は
分かりやすいところで病気の蔓延や
産まれた子供を育てれないとか

不倫に関しては愛があるのならば罪深いことではないのかもしれない

まあ、これもネットの進化によって顕著になってるだろうし
複雑にもなってますよね

ネットを使えば犯罪者も動きやすいだろうし
パパ活みたいな援助交際もやり易いでしょ

SNSやマッチングアプリを使えば
とりあえず性欲を発散したい人同士が簡単に繋がれたりもするわけです

あと、ちょっと本来の色欲の罪とは意味が違うかもしれないけど
アイドル、VTuber、二次元キャラとかに必要以上に入れ込んでる人も不健全に思うんですよね…

趣味として程よく楽しむのなら問題ないけど
入れ込みすぎて破滅に向かってるような人もいますし

そこにハマることで現実から目を背け無気力になってしまったり
酷ければストーカーや憎悪して攻撃的になったりもする

本来の色欲の罪は性欲を抑えれない罪だけど
この人たちは性欲ではなく恋愛感情を抑えれない
矛盾してるけど愛の無い恋愛感情のように思ったりもします

 

こんな感じで大雑把に分けていろいろ言ってきましたけども
現実はもっと複雑で
多くの人の感情や欲望が反応しあって入り組み連鎖していると思います
簡単に一括りにはできませんよね


で、結局何が言いたいのかと言うと
世の中、自分の感情や欲望をコントロールできていない人が増えすぎな気がします

いろんな要因はあるだろうけど
本当にみんな自分勝手


個人が多少なり身勝手に感情や欲望を発散しているだけなら大して問題ないだろうけど
そういう人が増えてくると社会全体が荒んでくる

ジョン・ドゥはそんな社会を嘆いていたんです
そして、そこに一石投じてやろうとしたわけですよね

「セブン」で描かれていた街のように
今の日本はどんどんと荒んでいってるように思う


七つの大罪で言われる感情や欲望は
決して無ければいいものではなくて
これが生きる原動力にもなります

自信が自分の言動の裏付けになり
欲するものを得るために努力する
怒りや妬みは行動を起こすためのきっかけ
誰かを愛せばそのために頑張れる
食べることでエネルギーを摂取し
時には休息を取って心や体を回復する
生きるために必要なことです

ただ、やはり現状はバランスは崩れて
みんな必要以上の感情や欲望に呑まれているように感じます


僕自身ができることは
自分はそうならないように自分自身を抑制することぐらいで
他人を変えることなんて到底できない

多くの人が身勝手に振る舞い社会がどんどんと荒んでいこうが
それを止めることなんて全くできないやるせなさ

絶望すら感じてしまいます…


七つの大罪は罪の始まりみたいなもんで
これ自体はたぶんそんなに問題はないんですよ
でも、ここから始まり止まることなく社会が悪い方向へ進んでいけば
想像もしたくないような未来が待っているんだろうなと…

 

結局、この映画のように
人間は一度痛い目を見なければ自分の罪深さに気づけないのかもしれない

目には目を
歯には歯を
罪には罪を
今の社会にはジョン・ドゥのような人間が必要なのかもしれませんね

なんか嫌な世の中…

 


セブン [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]