何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「嘘喰い」感想 何もかもがチープ

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どうもきいつです


サスペンス映画「嘘喰い」観ました


週刊ヤングジャンプで連載されていた迫稔雄によるギャンブル漫画を実写化した作品
嘘喰いの異名をもつ天才ギャンブラーが大金と生死を賭けた戦いを繰り広げます

監督は「リング」「スマホを落としただけなのに」などの中田秀夫
主演を務めるのは横浜流星です

 

あらすじ
日本の裏を牛耳るギャンブル倶楽部“賭郎”
天才ギャンブラー斑目貘は
かつて賭郎の頂上決戦で破れ会員権を剥奪されていた
それ以来、姿をくらませていた貘だったが
倶楽部を荒らす新たな会員の佐田国の噂を聞き
再び賭郎の頂点を目指し命懸けのギャンブルに挑む

 

感想
原作は全く読んだことがないけど
たぶん原作の良さをこれっぽっちも出せていないんだろうな
というのが伝わってくる
全てにおいてチープで嘘っぽい
醍醐味であろうギャンブルバトルも全然ハラハラしなかった

 

原作はタイトルくらいしか知りませんでしたが
こういうタイプの作品は嫌いじゃないので
映画館まで観に行ってきました

正直言うと地雷臭は感じていたけど
期待も半分くらいあった

結果はあれでしたけど…

 

本作はいわゆるデスゲーム系の作品ですかね
中でもギャンブルを題材にした
「カイジ」「LIAR GAME」みたいなタイプの作品です

既存のゲームやら作品オリジナルのゲームやらで
大金や命を賭けて戦うギャンブルバトルがメイン
その中での互いの駆け引きやどんでん返しなどを楽しむ作品


なので、世界観ややってること自体は現実離れしていて
ちょっとバカっぽさすらあるけど
意外と知的なジャンルだったりします

如何にゲームを面白く見せるか
駆け引きやルールの穴などを綿密に作り込まなければならないので
作者の頭の良さが問われるジャンルですよね

 

で、本作なんですけど
そんなジャンルの作品としてレベルはかなり低いですかね

本作を観て一番に思ったことは
たぶん原作はもっとちゃんとしてるんだろうな

もし原作がこの映画と同じレベルだとしたら
49巻も続くような人気作にはなってませんよね

本作は
とりあえず人気漫画を実写化してりゃいいだろ
ってくらいの志の低さを感じます
ダメな方のよくある邦画です


やはり、この映画で感じるのは
原作を知らなくてもわかるほど詰め込みすぎ

無駄に展開が早く
その上、一つ一つのエピソードはすごく薄い

メインのギャンブルバトルですらあっさりしすぎで面白味に欠けています


本作の醍醐味でもあるギャンブルやデスゲームは
ポーカー、ルーレット、サバイバル、ババ抜き
など、いろいろ用意されてるけど
そのどれもが全然面白くない中途半端さ

まず、冒頭の飛行機が飛ぶかどうかのやつ
この時点でちょっと不安がよぎります

この賭け自体は面白い発想だけど
中身は子供だましで
この映画の第一印象が知的なものとは感じれません

貘が負けるのすら想定内すぎる結果だし
貘のこの自信満々はどこから来てるのか疑問です

映像的には派手な感じだけど
ギャンブルものの掴みとしては微妙なのは否めない

その後のポーカーやルーレットに関しては
世界観や登場人物の説明みたいな感じなので
そんなに重要ではないけど
それにしても面白味はないですよね

ポーカーなんてただポーカーしてるだけだし
ルーレットで勝つのもあっさりしすぎだし
登場人物の能力の高さとかはあまり見えてこない

まあ、ここまではメインのゲームじゃないし
多少ショボくてもいいです

で、本作のメインのゲーム
サバイバルとババ抜きですが
全然面白くないです

サバイバルなんてサバイバルしてるだけですからね
知的な駆け引きや騙し騙されの戦いなんて全く無く
運と勢いで勝ってるだけ

知的さとはかけ離れた脳筋バトルです
こういうの求めてないんですけど


終盤のババ抜きは
やっとそれらしいゲーム来たな
と思いきや
中身が薄っぺらくて全く面白くない

勝った方法に納得はさせられるけど
これがまかり通るならなんでもありだし…

敵のイカサマを暴くだけで
それ以外の駆け引きは無いんですよ

2人でやるババ抜きというシンプル過ぎるゲームだからこそ
そこでもっと心理戦とかを見せてほしい


それに逆転劇も全然盛り上がらないです

そもそも主人公が追い込まれている感じがないので
逆転した時に気持ちよくないんですよね

負けてる時にもっとヤバい雰囲気を出してれば
逆転した時にカタルシスが生まれるのに
負けの描写が弱いので勝った時の盛り上がりも弱くなってる

このタイプの作品って
やっぱり逆転した時の気持ち良さは大事ですし
そこが弱いのは致命的だと思います


これに関しても
やはり詰め込みすぎなんでしょうね

原作漫画はなかなか長編みたいだし
たぶん1つのゲームに割いてる時間もかなり長いと思うんですよ

本来なら深く描かれてるんだろうけど
2時間弱の映画にいくつもゲームを放り込んでるから
結果的にめっちゃ中途半端になってるんじゃないでしょうか

これは本作に限ったことじゃなく
「カイジ」とかもそうでしたけど
2時間くらいの映画に複数のゲームを詰め込むのがそもそも無謀で
「LIAR GAME」みたいな連続ドラマの方が相性は良いんだと思う

1、2時間で1つのゲームを描くくらいがちょうどいい
だからこそドラマの「LIAR GAME」は面白いんですよ

韓国ドラマの「イカゲーム」がヒットしたのもドラマだからだと思います

 

ただ、本作はゲームがつまらないだけじゃなく
その他もなかなか酷いです

特に登場人物が酷いです
基本的に全員微妙


主人公の貘なんかも
目的や行動原理が不明すぎて全く感情移入ができなければ応援もできない

唐突に世界平和とか言い出すのもちょっと気持ち悪い


貘の相棒も好きになれないですね

こいつが情緒不安定で言ってることコロコロ変わるので不快です

住む世界が違うから来るなと言われたのに
よくわからん理由で強引についていくわりに
途中で自分の住む世界じゃないと逃げ出したりするから
普通にムカつく

で、結局ギャンブルでも全く役に立たず
ストーリーでも足を引っ張ってるだけ
こいつの存在意義がわからない


あとやっぱり酷かったのが白石麻衣が演じる蘭子
完全に棒演技です

でも、これは演技が下手というより
無理して演技してるって感じ

このキャラが白石麻衣のイメージと全然合ってない
キャスティングがミスってますよね

あとセリフが酷いです
これは蘭子だけに限ったことではなく
この映画はセリフがことごとくチープ

蘭子なんてSMの女王様みたいなセリフ回しで
こんなセリフでまともに演技できるわけない

これに関しては白石麻衣が可哀想
演技できないイメージ付いちゃいますよね


あと、敵キャラとかも
無駄にオーバーな演技でマイナスです
こういう作品ってオーバーな演技しなくちゃいけないってルールでもあるんですか?

この演技のせいで
ただでさえリアリティの無い世界なのに
よりリアリティが損なわれてる

そんなオーバーなキャラがいても構わないけど
じゃあそれ以外の部分でリアリティを出せよと思う

 

他にも
無駄アクションシーンがあるとか
いちいち文字を出すとか
説明的なシーンが多すぎるとか
要らないキャラを無理やり出してるとか
セットがチープ過ぎだとか
問題点はすごく多い

シンプルに映画として質が低いのは否めない

 

そんな中で横浜流星はすごく頑張っていたと思いますよ

酷い脚本の安っぽいストーリーで
めちゃくちゃキャラが薄く何を考えてるかわからない主人公を
それなりに魅力的に演じることができてます

セリフの内容なんて酷いもんだけど
それでも格好よく見せることができてました

表情とか佇まいもすごくよかったし

もしこれがちゃんとした映画だったなら
もっと良い主人公になっていたと思う

こんなクソ映画でも魅力的に主人公を演じれるのは
横浜流星の能力がかなり高いということなんじゃないでしょうか

本作で僕の中での横浜流星の評価がぐんと上がりました

 

このタイプの映画は最低限知的であってほしい
仕掛けなんかより心理戦が重要です

なにより、ブッ飛んだ非現実的な世界観なんだから
脚本、演出、キャラクター、セリフなどでリアリティを出さなければならない

本作はことごとく全てがチープで
到底面白い作品には仕上がっていません

このレベルの映画化だと原作にも悪影響なんじゃないでしょうか?

 


嘘喰い 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

映画「大怪獣のあとしまつ」感想 小ボケの多さにうんざり

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どうもきいつです


SF映画「大怪獣のあとしまつ」観ました

大怪獣の死後
その大怪獣の死体処理を題材に描いた空想特撮エンターテイメント
死体処理に奮闘する人々がコミカルに描かれます

監督を務めるのはドラマ「時効警察」シリーズなどの三木聡
主演はHey! Say! JUMPのメンバー山田涼介です

 

あらすじ
人々を恐怖に陥れた大怪獣がある日突然死んだ
国民が安堵するのもつかの間
残された死体は徐々に腐敗し膨張が進み爆発する可能性が出てきた
そんな状況で死体の処理を任されたのは特務隊員の帯刀アラタだった
爆発までのカウントダウンが迫る中
彼は大怪獣の死体処理に挑む

 

感想
コメディーではあるものの
笑いのレベルが低くて全く笑えない
低レベルな小ボケの応酬や下ネタの応酬には観ていてうんざり
すごく疲れました
ストーリーの整合性が悪かったり設定を笑いに生かせてなかったり
シンプルにつまらない映画

 

怪獣の死体処理という面白い視点に興味を惹かれ期待もしていた作品

でも、公開してすぐ
ネットでは今までにないほどのぶっ叩かれぶりで
ハードルは完全に下がっていました

実際に観てみると
そんなに叩かれるほどか…?
ってくらいの内容でしたかね

この叩かれようは完全にネットの悪ノリで
本作はネットでおもちゃにされた感は否めない
そういう点ではちょっと可哀想な作品ですね

この映画よりもクソな映画は山ほどあるし
この映画とさほど変わらないレベルの作品でも評判が良い作品もたくさんある

 

とは言え
この映画が面白かったかと言うと
正直めっちゃつまらないです

本作に求めていたものは全く与えてくれなかった印象
せっかくの面白い視点の題材を
全く上手く調理できていませんでしたね


そもそも、予告と本編のギャップが大きくて
そこがマイナスかも

予告では
真面目に特撮やりました
って雰囲気を醸し出してますけど
実際の本編の中身は
めっちゃバカバカしいアホな映画です

このギャップが本作が叩かれている要因でもあると思います

おそらく
真面目だと思ったら実はおバカ映画だった
という部分でも笑いを作ろうとしたのかもしれないけど
本作の完成度の低さがそれを実現させなかった
って感じですかね

 

この映画のダメなところを考えると
やはり笑いの質が低いということが大きいと思う

本作はコメディー映画なんですが
正直、全然笑えないんですよ

基本的に最初から最後までスベりっぱなしの映画です

これは同じ三木聡監督の「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」を観たときとほぼ同じ感想

笑わそうとするギャグの手数はめちゃくちゃ多いんですけど
そのどれもがもれなくいまいち

全然ガツンとこない中途半端なギャグの応酬がひたすら続く映画です

つまらないギャグをひたすら見せられると
うんざりだししんどいし
苦痛すら感じてしまいます

そんな小ボケをワンパターンでひたすら見せられる
というのが本作のセンスの無さ


で、この映画の笑いのパターンはと言うと
登場人物が変な言動を見せる
この一点張りです

誰かが訳わからんことを言うと
別の誰かが訳のわからんことを言う
みたいな
それの繰り返し

しかも、その言動が
本作のストーリー、設定、世界観などと全く繋がりのない一発ギャグみたいなのばかりで
観ていて意味がわからなくなってきます

真面目な会議の場面とかでも終始そのノリなので
段々とストーリーの筋も見えなくなってくるんですよね

こいつらの目的はなんなのか?
どんな気持ちなのか?
何が問題なのか?

ギャグのせいで無駄にわかりづらく
なんかゴチャゴチャしてきて
難解なストーリーじゃないのに意味不明

笑えない上に物語の邪魔もしていて
本作のギャグ全てが無駄に思えてくる

 

あと、やっぱり下ネタもかなり低レベルで全然笑えない

下ネタでスベるって一番やっちゃいけないことですよ…

これは僕が下ネタが嫌いとかじゃなくて
単純に下ネタのレベルが低い

この映画がやってることって
ただ“うんこ”“ちんこ”って言ってるだけのようなもんなんですよ

小学生とかなら大爆笑でしょうけど
大人だとこの程度で笑えるわけがない

下ネタを入れるにしても
前後の文脈とか必要性とかは大事だし
なによりタイミングも重要ですよね

ここぞというタイミングで下ネタをぶっ込めば爆笑だって取れるだろうけど
本作の場合はダラダラと下ネタを連呼してるだけなのでとてもくどくて
パンチは弱いし意外性もないし
ただ不快感だけが残ってるという…

キノコだらけの人間のアソコだけ黒く隠すとかも
いかにもテレビのバラエティー的な手法で
映画とは相性最悪でしたよね

 

本来この映画でやるべきことって
怪獣の死体処理を行うことで起きる出来事を笑いにすることだと思うんです

死体処理における弊害であったり
国民の反応であったり
政府の動きであったり
怪獣の死体処理というあり得ない設定だからこそ
そんな部分に滑稽さが生じるはずで

そこを笑いにできるでしょ

てか、普通はそこを中心に笑いを作るんですよ

でも、本作はその真逆で
何故か死体処理のパートはクソ真面目にやってます

本作は真面目なメインストーリーに
必要のないくだらん小ボケ無理やり付けたしてるだけ

でも、本来は無理やり小ボケを詰め込む必要なんてないと思う

怪獣の死体処理なんて意味のわからんことを
みんなが大真面目にするだけでも面白いじゃないですか

本当はしょうもない小ボケなんて必要ない


例えば
怪獣のガスの臭いがうんこかゲロかってとこがあったけど
ここをもっと広げるべきですよね

あっさりと銀杏の臭いとかしょうもないオチにしてたけど
こんなしょうもないボケより
大人たちがうんこかゲロか議論をクソ真面目にやってる方が面白くないですか?

その議論の結果が銀杏だったら銀杏というワードにも笑えると思う


怪獣の名前とかもあっさりしすぎなんですよね
ここも広げた方が絶対に面白くなる

みんながいろんな名前を挙げて
悩みに悩んだ末の“希望”なら笑えるんですよ

国民から名前募集とかしても面白かっただろうし


登場人物たちの会話にしたって
様子のおかしい言動をぶつけ合うんじゃなくて
会話の中で生まれるズレとかを見せれば
くだらないボケなんてなくても笑えます
その方が知的ですし


基本的に本作は前フリなくただボケを連発してるだけなので
一つ一つのボケが弱いんですよね

設定を生かせばもっと知的な笑いを生み出せるはずで
ストーリーとの相性もよくなると思うんですが

本作はストーリーなど根本的な部分は大真面目で
それを茶化すかの如く小ボケを詰め込んでる

そうすると
やっぱりお互いの良さを相殺してしまうんですよ
真面目なストーリーだから小ボケが不快に思えるし
小ボケが多いからストーリーを真面目に観れないし


結果、終始スベり倒した映画に仕上がってるわけです
わかりやすくボケてるからスベった時のダメージはデカいしね

 

それと、他に気になるのは
説明不足と無駄な演出

主人公とか何を考えてるのかわからなすぎて
キャラがめちゃくちゃ薄いです
目的や原動力が謎のまま最後までいくので
感情移入は全くできない

もっと主人公を掘り下げる描写は必要だったと思う


恋愛描写も同じで
入れるならもっと掘り下げるべき
中途半端にラブストーリーをぶっ込んでるだけなので
単に邪魔なだけでした

他の登場人物も基本的に描写不足で
観ていて全然気持ちが乗っていかないんですよね

この映画の登場人物がどうなろうとどうでもいいや
って感じでした


ストーリーに関しても説明不足で
すごく繋がりが悪かった印象

前後が上手く整合されてないので
ぶつ切りになっていたように思います

前の展開が次の展開へと繋がってないんですよね
終盤のミサイル爆破とかよくわからんかったし


そして、無意味な演出はめっちゃ引っ掛かります

無駄スローモーションがすごく多いです
なんのためにやってるのか謎
意味不明

恋愛描写とかもそうですけど
結局は“っぽく”してるだけなんですよ
恋愛がある方が映画“っぽい”し
スローモーションがある方が映画“っぽい”

浅はかさがにじみ出てますよね

こういう部分が本作のレベルの低さが露呈している原因


それと本作のオチですが
これに関しては悪くはないと思うけど
見せ方が悪いですかね…

特撮が好きで勘がよければオチの意味を察することはできるけど
勘が悪ければ意味不明なオチですから

ここに関しても
何故隠す演出をしたのか?
普通に姿を見せればよくない?

これもやっぱり意味深“っぽく”なるからですかね


このオチは
最初からそれやっとけよ
って今までのを全て無駄にするオチだけど

ここに至るまでの前フリをしっかりしてれば
笑えるオチだと思うんですよね

ここに至るまでにみんながクソ真面目に怪獣の死体処理に挑んでいれば
このオチで
今までの全部無駄やったんかい!!
で笑えるんですけど

実際はここに至るまでに無駄なほどみんなふざけまくっているので
このオチがめちゃくちゃ弱くなってるんです

このオチ自体は絶対に悪くないのにプロセスが悪すぎて
結果的に中途半端に笑えないオチになってしまっていました

全体を通して思うのが前フリが下手すぎる

 

この映画が特出して他の映画よりクソなのかと言うと
そこまでではないけど
はやり、クソなのは間違いない

素材はめちゃくちゃ良いのに
調理が下手すぎだと思います

真面目に観ることもできなければ
笑うこともできない
あまりにも中途半端な映画でした

 


時効警察はじめました DVD-BOX

 

 

映画「バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ」感想 好きなのはわかるけど… さすがに詰め込みすぎ

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どうもきいつです


ホラー映画「バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ」観ました

実写映画化もされた人気ゲーム「バイオハザード」を新たなキャストとスタッフで映画化
巨大企業アンブレラ社の拠点がある町を舞台に
主人公たちがゾンビと化した人々と戦いを繰り広げるホラーアクション

監督は「海底47m」などのヨハネス・ロバーツ
出演するのはカヤ・スコデラーリオ、ロビーアメルなどです

 

あらすじ
製薬会社のアンブレラ社の本拠地だったラクーンシティは
今では衰退しつつある町だった
この町の施設で育ったクレアはアンブレラ社の秘密を知り兄のクリスのもとへ訪れる
そんな中、町の人々が異形の姿に変貌していくのだった

 

感想
たぶん監督はバイオハザードが好きなのかなとは思います
ただ、あまりにもいろいろ詰め込みすぎてて
正直、意味不明な映画
そして内容はすごく薄いです
原作に対する愛が必ずしも作品の良さに繋がるわけではないのか
と思わされた

 

「バイオハザード」実写化映画のリブート
ということで観てきました

予告を見る限り
前シリーズよりも原作ゲームを忠実に再現しているようで
かなり期待していたんですが…

もともと期待しすぎていたわけではなかったけど
想像以上に期待値を下回ってました

原作愛は感じるし
良い部分もたくさんあるだけに
なんかもったいないな
という印象

 

そもそも、僕は
ゲームの「バイオハザード」シリーズに関しては
正直、そんなにやってなかったりします

好きなのは好きなんですが
自分でプレイするより
弟がやっているのを横から見ていたって感じ

自分でやってるのも多少あるけど
思い入れはあまりないかもしれないです

とは言え
ゲームのストーリー、登場人物、世界観などは
それなりに理解しています

なので、本作と原作の共通点や違いなどは
なんとなくはわかりました
小ネタなんかもちょくちょく気づけましたし

 

で、映画の内容の話をすると

序盤はかなりいいんですよね

特に導入部分は雰囲気もすごくいいし
映画には引き込まれるほどの魅力を感じる

クレアの幼少期から物語が始まりますが
ここの場面が王道なホラー演出ってのもあり
怖さを感じるし興味も惹かれる

そして、時が進み
ラクーンシティの町全体が舞台になり
物語の本題が始まります

ここもなかなか良くて
普通にワクワクさせられるんですよね

トラックで轢いた人間が突然消えたりとか
町の人たちの様子がおかしかったりとか
徐々に人々がゾンビに変貌していく様子とか
こういうのもホラーとして上手く見せてました

ベタと言えばベタだけど
ホラー映画には
やはりこんな王道なものを求めてますし

見たいものはちゃんと見せてくれてるんですよ

前シリーズでは
ちょっとアクションメインでホラー要素が薄かった印象でしたが
今回のリブートはかなりホラーを意識した作りになっていたと思います

 

ここまではいいんですよ

かなり僕好みの作風でもあって
序盤で完全に心を掴まれ
この先にも期待が膨らんでいました

しかし、だんだん雲行きが怪しくなってきます

面白くなりそうな雰囲気だけで進んでいき
なかなか盛り上がらない

そして、終盤に近づくにつれ
いろいろと怒濤の展開になっていくけど
なんか意味がわからない

主人公が何をしたいのかもわからない
てか、主人公が誰かなのかすらもよくわからん

 

この映画の欠点は
原作の要素を詰め込みすぎているところだと思う

ゲームを知っている人なら
なんとなく着いていけるんですけど

これ、知らない人は
なんのこっちゃ
って映画だと思うんですよ

 

まず、登場人物なんですけど
すごくごちゃごちゃしてます

そんなに登場人物が多いというわけではないんですけど
それぞれのキャラに設定を背負わせすぎて
めっちゃとっ散らかってます

原作では主役級のクレア、クリス、レオン、ジルが
本作では4人とも登場していて
その上、全員かなり重要なキャラになっています

しかも、それだけでなく
ウェスカー、シェリー、リサ・トレヴァーなんかも登場してる

そんなに重要キャラを多く出してる上に
それぞれにスポットを当ててしまってるから
結局、全員薄くなってます

誰にも感情移入できないまま物語が進んでいき
説明不足もめちゃくちゃ多い

それぞれのキャラの目的も違うから
どこへ向かって話が進んでるのかも不明
誰目線で物語が進んでいるのかもわかりません


メイン主人公っぽいのはクレアですが
そもそも彼女の行動原理がよくわからないんですよね

真実を知ったからラクーンシティに戻ってきたらしいけど
何をどうしたいのかわからない

一体、クレアは町に何をしに来たのか?

他のキャラも目的がよくわからんまま
ダラダラとなんとなく話が進んでいきます

最終的に町から脱出することが目的になってるけど
いつの間に?
って感じです

てか、町の崩壊を知っているのが
裏切り者のウェスカーだけですからね…

終盤で唐突に町の崩壊を知らされて
みんなで一致団結って感じになるけど
全然着いていけないというか…

今までバラバラだったものを終盤で強引にまとめて終わらしてるんですよね

 

そして、設定も詰め込みすぎの説明不足で
かなりぐちゃぐちゃになってます

説明しなくちゃわからないことを説明せず強引に押し進めている


例えば
町の人たちゾンビ化ですら謎な状況で
リッカーが出てきて
さらにそのリッカーをリサ・トレヴァーが出てきて倒すという

唐突に出てきた謎モンスターを
唐突に出てきた謎モンスターが倒すって
なにがなんだかわからん状況

その後も全く説明なしだし

僕はバイオハザードの世界観を知ってるから
リッカーやリサ・トレヴァーが出てきても
なんとなく受け入れることができるけど

知らない人からすれば
マジで意味不明だと思うんですよね


他にも
ウェスカーが裏切るのだって
ゲームでのウェスカーの立ち位置を知ってるから
この展開は納得できるけど

知らない人からすれば
こいつ何なん?って感じだと思います


ラスボスなんかも本当に唐突で
Tウィルスの説明もないままGウィルスまで出して
説明不足が渋滞してるんですよ

結局、リサ・トレヴァーもなんだかわからんまま有耶無耶で終わって

何もかもが解決しないままで
なんか脱出して終わりの映画になってました

 

この映画の何がダメなのか考えると

とにかく設定だけを積み重ねてることにつきると思うんですよね

正直言って
この映画にはストーリーがない

原作の設定をいろいろぶち込んで終わりの映画です


たぶん、監督はバイオハザードが好きなんだろうと思います
この映画を観ていると
原作に対する愛は感じれるんですよね

好きだからこそ
いろんなキャラを登場させたかったんだろうし
原作の世界観を全部持ってきたかったんだろうと思う

でも、やり過ぎちゃったって感じ

本作はゲームの1作目と2作目を合わせた内容になっていて
さすがに詰め込みすぎですよ


詰め込むのなら
ゲーム1作目の館だけを舞台にして
評判がよければ続編
みたいな形でよかったと思う


欲張りすぎなのかリスペクトしすぎなのか
愛が暴走してしまったが故に
1つの映画作品としては残念な結果に終わってしまった

 

でも、良い部分も多いんですよ

やはり、ホラー演出は全体的に悪くない

館でのゾンビとの戦いとかはめっちゃ良かったです

ライターがついたり消えたりの場面なんてハラハラさせられましたし
ゾンビとの戦いもギリギリな感じでスリルがあります


原作愛があるので
原作オマージュなどもとても気が利いてるな
と思わされました

武器なんかもバイオハザードって感じで
最後にはロケットランチャーまで出てきましたし
こういうのはテンション上がります

ピアノをひくと隠し通路が…
とかも
ついニヤけてしまった

基本的に「バイオハザード」の雰囲気は上手く作れてるんですよね


この映画って
断片的に見るとめっちゃ良いシーンが多くて
クオリティは全然低くないと思うんですよ

ゾンビやクリーチャーの造形も頑張っていて再現度はすごく高い

これを上手く繋げてさえいれば
「バイオハザード」の映画として名作にすらなれていたんじゃないかと思う


そう思うと
本当にすごくもったいない

主軸となるストーリーが存在すれば…
取捨選択をもっとストイックにやっていれば…

なんか残念な気持ちでいっぱいです

 

前シリーズの「バイオハザード」は
原作とはかけ離れた作品になっていきましたが
ある意味、この愛の無さが面白さに繋がっていたのかもしれない

本作はオリジナルのゲームに対する愛や熱意はすごく感じて
そこに好感は持てました

ただ、好きなだけでは面白い作品は作れないのかな
とも思わされた

続編やる気満々だったけど
たぶん打ち切りでしょうね…

 


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映画「ゼイリブ」感想 今だからこそ深まるテーマ

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どうもきいつです


SF映画「ゼイリブ」観ました

異星人のサブリミナルによる姿なき侵略を描いたSFスリラー
物質主義やメディアによる洗脳などの批判や警鐘が込められた風刺的なものも描かれている
1988年の作品です

監督は「遊星からの物体X」などの鬼才ジョン・カーペンターが手掛けています

 

あらすじ
貧富の差が激しく失業者が増える中
ネイダはホームレスのキャンプに流れ着き寝泊まりすることになる
建設現場で肉体労働を繰り返す日々の彼だが
偶然手に入れた特殊なサングラスを通し
人間になりすまし世界を支配する侵略者の姿が見えてしまうのだった
真実を知ったネイダは侵略者と戦うことを決心する

 

感想
昔の映画なのに
現在進行形で世界の姿を写したかのような映画
この時代から世界がなにも変わっていないのか
時代がよりこの映画に近づいたのか…
少しモヤモヤさせられた

 

今まで観たことがなかったんですが
リバイバル上映されてるということで観てきました


そこそこ古い映画ではありますが
テーマは現代に通じるものがありますし
発想もなかなか面白くて
最後まで興味深く観ることができた

独特な作風がクセになる映画でもありますね
個人的にもなんか好きな作品でした


まず、この映画は
どこかもっさりしてると言うか
ちょっとテンポが独特と言うか
あまりスカッとはしないですね

終盤になると怒濤の展開にはなるけど
全体的に流れはゆったりしています

だから、少し取っつきにくさはあるかもしれません

特に序盤は
何かが起きそうで何も起きず
淡々と主人公のネイダの姿が映し出される

ここでは
仕事を失いながらもどうにか日々を過ごすネイダや
ホームレスのキャンプで暮らす貧しい人々が描かれているわけです

これがいまいち掴み所がなくて
どんな気持ちで本作を観ればいいのかちょっと戸惑う

しかも、ストーリーの流れがゆったりとしているので
観ていて気持ちがフワフワしてくるんですよね
今、自分は何を観ているのだろう…?
みたいな気持ちになってくる

ただ、音楽や暗い雰囲気などで
少し気持ちを煽られているような気もして
若干、気持ち悪さや不安な気持ちも生まれてきます

この何とも言えない絶妙な雰囲気が
ネイダやキャンプの人々たちの気持ちと
どこかリンクしているようにも感じるんですよね


ネイダがサングラスを見つけてからは
物語が一気に加速する
と思いきや
ここからも思ったよりはゆったりしてる

ただ、物語に動きが起きるのと発想の面白さとで
どんどんと映画には引き込まれいきます

やはり、サングラスを掛けると世界の真実の姿が見える
というのは面白いですよね

実は社会を牛耳っているのが謎の宇宙人的ななにかであったり
街の看板や雑誌には
「考えるな」「消費しろ」「眠っていろ」などが書かれていて
全ての人間はサブリミナルによって洗脳されているんですよ

この描写や世界観が
今見てもなかなか斬新なものだと感じます

侵略者の姿は
ドクロのような妙に気持ち悪い姿で
そこが魅力的でもある

そんな点でも
とても独創的で観ていてワクワクさせられてくるんですよ

 

で、本作で描かれているものは現実の世界と通じるものがあり
そこが面白かったりもします

知らずに宇宙人に洗脳されている地球人たち
というSFな物語ではあるけども
これってかなり現実社会でも当てはまるテーマですよね

一般市民たちが大きな存在に操作され支配されているなんて
現実的じゃないような気もするけど
よく考えればそれが現実なのは否めないこと

特にネットが普及した今だからこそ
この映画が公開された時代よりもそれが加速しているようにも思う

例えばGoogleなんて
検索履歴や位置情報などから
完全に行動や趣味嗜好を把握されていて
ピンポイントで欲しいものをおすすめしてきたりするじゃないですか

その思惑通りに消費させられ搾取されているのは間違いないですよね

それだけでなく
Netflixなどのサブスク、広告だらけのYouTube、ガチャを引くだけのスマホゲームなど
何も考えずに楽しめるコンテンツで溢れかえり
みんな思考停止してお金を搾取され続けている

そして、みんなそれに気付かず
自分で選択して行動していると思い込んでいるわけです

まさしく「考えるな」「消費しろ」「眠っていろ」と刷り込まれてしまっている世界ですよね


今となればずいぶん昔の映画だけど
本作のユーモアに込められた皮肉は
今の時代だからこそより刺さると言うか…

この映画が30年以上も前に
そんな世界に警鐘を鳴らしていたにも関わらず
世界は停滞したままで
なんか、そこに少し恐怖も感じたりしました

てか、もはやそれが社会のシステムで
バランスの取れた世界のあり方なのかな?

 

そして、本作は
宇宙人に支配された社会に抗い戦う主人公が描かれていますが

この主人公のように抗い戦って社会を変えよう
というメッセージが込められているのかと言うと
そうでもなくて

主人公の行いが正しいと言い切っていない
曖昧さもあるんですよね


主人公のネイダはいわゆる底辺の人間
そんなネイダがサングラスを掛けることで世界の真実を知り
宇宙人に戦いを挑んでいきます

ただ、ネイダの行動が
あまりに突発的だし暴力的
正直、ちょっと怖いレベルです

地球人の中に宇宙人が紛れていたからといって
躊躇なく無差別に殺すのは
さすがにやばくない?

ネイダが執拗に宇宙人を倒すことにこだわっているのもいまいち理由がわからず
感情移入が全然できないんですよ

途中でネイダが
昔、父親から虐待されていたという話をして
それも宇宙人のせいだ
みたいな感じになってましたけど

いやいや…
さすがにそれは関係なくない?


ネイダを見ていると
自分がこんな状況なのは社会のせいだ
と責任転嫁して暴れているようにも見える

確かに社会のせいで貧しい生活を送っているのも間違いではないけど
本当にそれだけなのか?
という部分もありますよね

ましてや、全て社会のせいで自分は全く悪くない
って思考はちょっと極端


本作はネイダをただの正義の味方として描かないことで
この問題にどう向き合うべきなのかを考えさせてくれる

本作のラストは
ネイダの行動が世界を変えるという結末ですけど
世界が変わったことでどうなったのか
までは描かれていません

宇宙人の侵略が終わったのか
はたまた侵略はこれからもずっと続くのか
そこはわからないままです

明確な答えを用意しないことで
この問題に向き合うことを促されているような気もしました

宇宙人に取り入ることで富を得た人物が登場しますが
その人が言ってることも一理あるなと思ったり
でも、ネイダのように抗い戦うことにも意味があるように思ったり

結局は
こんな世界の中でも自分を見失わず考えて
搾取されるだけの弱者にならないよう生きていくしかないのかもしれない

 

あと、本作で印象に残るのは
ネイダと彼の同僚フランクとの殴り合いのケンカのシーン
これが無駄に長くて笑えてくるレベル

ケンカの原因も
サングラスを掛けるか掛けないかという
めっちゃしょうもない理由
これも笑えます

ひたすらどつき合いプロレス技をかけ
不毛な戦いを見せ続けられます

単純に面白い場面になってて
ここを長いと不満に思う人もいるだろうけど
僕は結構好き

それに、この不毛なケンカが
戦争を比喩しているようにも見えたりする

はじめはサングラスを掛けるかどうかで始まったわけだけど
途中からはそんな理由はそっちのけで戦うことが目的になってたり
そんなよくわからない戦いが無駄に長引く

で、最終的には
もはや何故ケンカをしていたのかもわからなくなる

もう、これは戦争ですよね


まあ、ネイダ役のロディ・パイパーが当時の人気プロレスラーというのもあり
サービスとしてケンカシーンを入れたが故
無駄に長くなった可能性は無きにしも非ずですが

 


SFとしても発想やセンスが面白く楽しめる作品でしたし
この映画のテーマは
今だからこそより深みが増してるようにも思います

いろいろと興味深い映画でしたね

 


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映画「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」感想 これぞスパイダーマン祭り

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どうもきいつです


アメコミアクション映画「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」観ました

MCUスパイダーマンの第3弾
前作「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」の直後から始まるスパイダーマンの活躍を描いています

監督は前2作と同じくジョン・ワッツが務め
スパイダーマンことピーター・パーカーを演じるのは前作同様トム・ホランドです

 

あらすじ
ミステリオの策略で
全世界にスパイダーマンだと正体を明かされてしまったピーター・パーカー
追い詰められた彼は
かつて共に戦ったドクター・ストレンジに助けを求める
スパイダーマンの正体の記憶を世界中から消すためストレンジは呪文を行使するが失敗し
それが原因でスパイダーマンを狙う様々な敵を呼び寄せてしまうのだった

 

感想
スパイダーマンだからこそ生まれた映画
スパイダーマンが好きなら興奮できる作品だと思います
スパイダーマンファンに捧げるとても粋な映画でした

 

MCUスパイダーマンは個人的にも好きなシリーズで
新作公開ということで今回も期待して観てきました


本作はとにかく
スパイダーマンが好きな人は観に行って欲しい

余計な前情報なんかは全部シャットアウトして映画館まで観に行ってください
スパイダーマンファンなら十分楽しめる映画だと思います

 

ここからはネタバレも含むので
観るつもりの人は読まないのが得策です

 

まず、本作のマイナス部分から言うと

スパイダーマンに思い入れが無ければ
たぶん、あまり面白い映画ではない

もちろん、MCUスパイダーマンの過去2作を観ていなければ理解し難い内容なのは否めません

その上、完全に理解しようと思えば
スパイダーマン以外のMCU作品を観ていなければならない敷居の高さもあります

さらに、本作は
MCUスパイダーマン以前の
サム・ライミ版「スパイダーマン」
マーク・ウェブ版「アメイジング・スパイダーマン」
この2シリーズも深く関わってくると言う…

正直、この映画は
みんなのために作られた映画ではなくて
スパイダーマン好きのオタクのために作られた映画です

なので、本作で初めてスパイダーマンを観てしまった人からすれば
意味不明で何が面白いのかもわからないと思います

だから、スパイダーマンに興味がなければ
この映画を観る必要はないです
違う映画を観た方が有意義

本作は万人ウケの映画ではなく
一部のコアな人に向けられた映画
やはり、その点はこの映画の最大のマイナス要因だと思います

 

ただ、逆に言えば
そんなコアなファンに向けた作風は
スパイダーマンファンを楽しませることに特化している

それ故に
スパイダーマンが好きな人は
最高に楽しいし
最高にワクワクするし
最高に感動できる

そんな素晴らしい作品に仕上がっていました


スパイダーマン好きと言っても
サム・ライミ版「スパイダーマン」からリアルタイムで追い続けてる人もいれば
MCUスパイダーマンしか観ていない人もいる
本作が公開されることによって過去のスパイダーマン作品に初めて触れた人もいるでしょう

人によってテンションや思い入れは違って
本作に対する感じ方も違ってくると思います

僕はサム・ライミ版「スパイダーマン」から
リアルタイムで全てのスパイダーマンを追って観てきたし
MCU作品も全て観ています
スパイダーマン関連の「ヴェノム」も観てるし
そして、昔からスパイダーマンが大好き

万全なコンディションで観ることができたわけです

だからこそか
この映画を最高に楽しめたし
感動できたし興奮もできた

スパイダーマンを好きでよかったな
と思えました

 

細かい話をしていくと

そもそも本作は
かなりブッ飛んだことをやっていて
強引だしめちゃくちゃだし
ほぼ反則みたいな…
こんなのあり?
って映画です

その上、いろんな作品が絡んでいるので
かなり複雑な映画でもある

しかし、そんな無茶を上手くまとめ上げていて
多少無理なこともあるけど
それを勢いで誤魔化せてしまってたりもする

1つの作品として成立してないはずなんだけど
何故か成立してしまっているという
すごく変な映画


実はストーリーはかなりしょうもなくて
ドジを踏んじゃったスパイダーマンとドクター・ストレンジがそれの尻拭いをする
ってだけの話だったりします

でも、そんなしょうもないストーリーの中で
主人公ピーター・パーカーの成長が描かれ
歴代シリーズのヴィランが大暴れ
スパイダーマンとストレンジの能力全開のバトル
歴代スパイダーマンの歴史から感じれる深み重み
などなどが盛り込まれていて

しょうもないストーリーだけど
とても重厚なものに感じれます


これができてしまうのは
やはりスパイダーマンだからこそであって
他の作品やシリーズではこんな作品はなかなか生まれないと思います

これまで打ち切られては新しいシリーズが作られてきたスパイダーマン
MCUの1作品として展開している現在のスパイダーマン
そんな立ち位置があるからこそ
この絶妙なバランスの映画が成立してしまったんだと思うんですよね

 

で、やっぱりこの映画の面白さと言えば
全く別物だった過去のシリーズ
サム・ライミ版「スパイダーマン」とマーク・ウェブ版「アメイジング・スパイダーマン」から
スパイダーマンを苦しめた数々の悪役が再登場する
という部分です

本来は繋がっていない世界だけど
ドクター・ストレンジのなんでもありのブッ飛び能力のお陰で
これが実現してしまいます

グリーンゴブリン、Dr.オクトパス、エレクトロなど過去の強敵がただ登場するだけでなく
その敵たちをちゃんとオリジナルキャストが演じています

それだけで昔からスパイダーマンを観てきた人にとってはテンションが上がるわけですよ


さらに本作の最大の目玉であり最大のサプライズ
歴代のスパイダーマンまで登場してしまいます

演じるのはもちろん
サム・ライミ版のトビー・マグワイアとアメイジングのアンドリュー・ガーフィールド

この2人が登場したときは
正直、鳥肌が立ちました
まさかこの3人のスパイダーマンが揃うとは…

ラストバトルで3人揃っての決めポーズには
マジで興奮してしまいました


そして、本作は
ただ歴代のスパイダーマンやヴィランを再登場させているだけでなく

過去作の登場人物たちによってMCUスパイダーマンが成長する物語になっており
さらに
過去シリーズを上手く昇華しているんですよね

過去のスパイダーマンシリーズは面白い反面
どこかモヤモヤが残るシリーズでもありました

特に「アメイジング・スパイダーマン」は2作目で打ち切られ
かなり消化不良な不遇の作品でもある

そこを本作では
粋な演出を交えて解消してくれました

アメイジングのスパイダーマンがMJを助ける場面はまさしくそれで
あまりにも悲しすぎるラストで幕を閉じてしまった「アメイジング・スパイダーマン」に
救いの手を差しのべてくれたような演出になっています

ここは本当に泣きそうになりましたよね
たぶん泣いてる人は多いと思う


メイおばさんが死んでしまい心が折れてしまったピーターの前に2人のピーターが現れる場面

ここではMCUのピーターを過去作のピーターが救う場面ではあるけど
逆にこのシーンで
多くのものを失い孤独に戦ってきた過去作のスパイダーマンたちも同時に救われたようにも思います

作品としても打ち切られたり中途半端だったりするけど
そんな過去の作品があるからこそ
今のスパイダーマンが存在する
そんなメタ的な見かたもできるシーンでした


最終的に全ての敵を救うという本作の結末も
過去作では敵を救いたくても救えなかった悲しい結末からの解放で
そこにカタルシスを感じます

だからこそ過去シリーズを観てない人にとっては何のこっちゃわからんわけですが…


とにかく、本作はただ大集合のお祭り騒ぎ
ってだけではなく
過去のスパイダーマンへの感謝やリスペクトが込められている作品

そして、この映画が生まれたからこそ
過去のシリーズがより魅力的なものに感じることができる

 

あと、本作の結末は
今までのMCUスパイダーマンにしては
かなり暗いし悲しい結末になっています

この結末に納得いかない人もいると思う

前作までは明るくコミカルな楽しい作風だったので
ちょっと温度差が激しいんですよね

でも、僕はこのラストは結構好きです

確かに前作までの明るい雰囲気は面白かったけど
軽すぎると言うか
子供っぽすぎるんですよ

個人的にヒーローは
孤独を背負い人知れず平和を守るために戦う漢
という方がしっくり来る

本作ラストのスパイダーマンは
僕が好きなそんなヒーローに変貌する
哀愁漂う姿がめちゃくちゃカッコよかった

孤独で寂しい結末だけど
過去作のスパイダーマンたちの意思も受け継ぎ
最後のピーターの姿は力強くも感じます

この物語を経て
MCUスパイダーマンが本物のヒーローになったように思え
そこにグッと来て感動させられました

 


それと
ドクター・ストレンジやヴェノムの扱いもよかった

ストレンジの不思議空間での戦いは
やっぱり映像的にすごく面白いし
この中でのスパイダーマンのアクションは最高に楽しいシーンになっている

あらためてドクター・ストレンジの映像的な面白さを再確認させられました

頑固なストレンジと子供なスパイダーマンを対立させることで
無理なくストレンジを退場させるのも上手かったし

最強キャラのストレンジを
自然にでしゃばらないように持っていく脚本はすごく良かったですね


ヴェノムに関しては完全にギャグ要員で
それがあのヴェノムの扱いとしては完璧だと思いました

あの扱いにすることで
「ヴェノム」という作品はこんな作品だよ
と、キッパリ明言してるようで
あの作品のヴェノムは凶悪ではなく可愛い存在なんだと確信を持てた

今まで「ヴェノム」に不満爆発してたけど
「ヴェノム」のあの作風はこれはこれでありかな
と思えてしまいました

この映画はドクター・ストレンジやヴェノムの株まで上げてしまうという
全方面に良い影響しか与えていないすごい映画ですよね

 

本作はスパイダーマンの歴史があるから生まれた唯一無二の作品でした

昔からスパイダーマンを追ってきた人なら
感動して泣けるしワクワクして興奮できるし
素晴らしい映画体験ができるんじゃないかと思います

僕はこのお祭り騒ぎに乗っかれて幸せ
スパイダーマンが好きでよかった 

 


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ブログを書く理由

どうもきいつです


僕がブログを初めてから3年以上になりました

思ったより長く続いた
今や日常の習慣になってしまってます

ここまでブログを書き続けていろいろと思うこともあり
今回はそれについて書いていきます

 

そもそも、僕がブログを始めた理由は
普段思っていることを形にしたいな
と思ったから

例えば映画を観たときに
頭の中でいろいろと考えてはいるけど
それは断片的だったり
ふわっとした感想だったり
あまりまとまってはいません

それを文章として形にしようとすると
やはり、より深く物事について考えるので
自分の考えの整理にもなります

昔から映画をよく観ていましたが
ただ観ているだけではもったいないなと思い
ブログを始めました


あと、あわよくば広告収入も入るんじゃないか
と邪な気持ちもあったけど
現実はそんなに甘くなく
3年以上続けた今でも収入なんてほぼありません


お金は入ってこないけど
それに代わるモチベーションはあって

単純にブログを書くのが好きだし
文章を書くことで自分の気持ちや考えを表現することは
とても有意義なことだと思えます

むしろ、お金目的だけならここまで続いてなかったかも

広告収入を得るためにアクセス稼ぎをするノウハウも存在するけど
そのためにブログをやってしまうと
やっぱりしんどいだろうし
書きたくないことも書かなきゃならないし

たぶん楽しくないですよね

僕はとにかく自分の言いたいことを言いたくてブログをやってます
だから別に嫌われてもいい
アクセス数なんて必要ありません

でも、お金なんて入ってこなくても
それに代わるものは手に入れていると思います

それに、そんな自分勝手なブログでも
それを面白いと言ってくれる人が少数でもいるので
それはブログを続ける原動力になります

感謝しかないです

 

ブログを書いていると
自分が頭の中で考えている以上のものが出てきます

頭の中で考えているだけだと見えてこないものも多くあって
文章にすることで初めて
自分の本当の気持ちや物事の深い部分などに気付けたりします

好きだと思っていたものが嫌いだと気付いたり
つまらないものがとても興味深いものだと気付けたり
映画を観ただけでは発見できなかった面白さがあるんですよね

だから、めちゃくちゃつまらない映画を観たときでも
それについてボロクソに文句を言ってると
それはもはや楽しくて
総合すれば面白い映画体験になっている

例えつまらない映画を観たとしても
その2時間は無駄な時間にはならないんです

面白い映画を面白いと絶賛するのも楽しいですが
つまらない映画をボロクソにブッ叩くのかなり楽しい

 

それだけでなく
何を書けばいいのかわからない時も多く
それを無理やり絞り出すというのも自分にとってはとても重要

面白くもなくつまらなくもない映画の感想を書くのは
めちゃくちゃ面倒くさいんですけど
それを逃げずに無理やりやりきることで

新しい視点でものを見ることや
いろんな価値観から物事を考えることができ
自分の価値観をアップデートできたりします

感想難しいなってときほど
書いてみると自分に無かった考え方を発見できて
ちょっと自分が成長できるんですよね

それを積み重ねていくと
同じものでも違った見えかたがしてきます

これもブログを書く楽しさの1つです

 

それと、このブログがきっかけで仲良くなれた人なんかもいて
それもやってて良かったと思えるメリットです

僕は基本
ブログでは心を開いて本当の気持ちをストレートに出している

だから、僕のことを嫌いな人はめっちゃ嫌いだろうなと思います
ただ、逆にこれを受け入れてくれる人とはとても仲良くなれます

やはり、自分から心を開くというのは大事ですね

まあ、でも
どこかで僕のことを嫌いになってしまう可能性は否定できない…


そんな感じで
やってて楽しいことがとても多いので
ブログをやってきたことは全然無駄ではなかったなと思えます

 

しかし、最近になって
このままこれを続けることに意味はあるのかな?
という疑問が生まれてきました

無駄ではないし
これを続けてマイナスは無いと思うんです

でも、自分が本当にやりたいことはなんだろう?
と、考えると
今やってることは少しズレているような気がします

僕は自分を表現したくてブログを始めましたが
この手段は正解なのかな?

Twitterや他の人のブログなどを客観的に見ていると
僕と同じようなことをしてる人もたくさんいて
僕なんかよりも多くの人に影響を与え
たくさんフォローされたり反応を貰えたり
中にはそれでお金を稼ぎご飯を食べていけてる人だっている

じゃあ、自分の目指す場所はそこなのか
と、考えてみると
なんか、ちょっと違うんですよね…

僕はそこに全然憧れが無いと言うか
仮に自分のブログがバズって多くの人に影響を与える存在になれたとして
それに満足できるのかなと…

そういう想像をしても全然ワクワクしない自分がいます


いろんな作品に触れ
いろんな作品について考え
そんな作品の感想を書いていると
そこに芽生えてくるのは作品を生み出す人への憧れです

僕のやってることは所詮は消費する側の延長線上でしかない

確かに自分の好きな作品について語り嫌いな作品を貶し
そこで自分を表現できているのは間違いなく
そこに自分の個性もあると思う

じゃあもし映画、漫画、音楽、芸術などの作品が全て消えてしまったとして
自分に残るものはあるのか?
それが無くなってしまうと自分を表現する術も無くなる

そう思うと
自分には何も無いんですよね…


僕は与えられるだけでは満足できなくて
やはり、自分で何かを生み出したいという気持ちが強いです

ブログをやっていると
そんなことを忘れさせてくれて
簡易的に満足を得れてしまう一面もある
何かをやってる気持ちにはさせてくれるんですよ

でも、そこに甘んじてしまうと
この先にはなにもないのかなと…

ブログを書いている時間
映画を観ている時間
この時間は無駄ではないけど
この時間を別の方向にも使えるんじゃないかな
と、最近思うようになってきました

たくさん映画を観ることや
その感想で自分を表現することで
何者かになったような気持ちでいたけど
実はこんなこと誰でもできることで
それが自分の存在意義では無いんじゃないかな?


そう思うと
自分のやるべきことは別にあって
本当はそこに時間を費やすべきなのかもしれない

映画を観るにしてもブログを書くにしても
時間と労力がかかります
同じ時間と労力を費やすのなら
自分で何かを生み出すことへ使うべきなのではないか?


かと言って
やはりいろんな作品に触れることは大切で
それが自分の糧になっているのは間違いない

ブログを書いて思いを巡らすことも
自分にとってはとても重要です


でも、バランスは明らかに片寄っていて
これを機に正そうかと思います

少し映画を観る時間やブログを書く時間を減らし
自分に向き合ってみようと思います

時間は有限で
使い方は考えないといけないですよね

ブログを書くのは好きなので今後も続たいと思いますが
ちょっと頻度は減らしていきたいです

こんな文章、誰も読んでいないだろうし
読んでもらうようなものでもないですが…

なんか、よくわからない宣言みたいになってましたね

そんな感じで終わり

 

 

なぜ海賊版サイトは無くならないのか サブスクが鍵

どうもきいつです

最近ですが
漫画の海賊版サイトのアクセス数が急増している
という記事を目にしました
コロナ禍の巣ごもりの影響で増加しているようです

以前から「漫画村」など海賊版サイトが問題視され話題にもなってきましたが
そんな流れの中でいろいろ思うことがあります

 

まず、“海賊版サイト”とは何かと言うと
漫画、映画、音楽などを
著作者の許可を得ず違法にコピーし
それをインターネット上で公開しているサイト

そんなことをする理由は
サイトに張り付けている広告による広告収入を得るため

「漫画村」の場合は月間6000万円前後の収入があったと言われており
推定被害額は3200億円だそうです

現在、「漫画村」は閉鎖されましたが
その後継のサイトが数多くあり
被害額はさらに増加しているとのこと

この状況はなかなか酷いものだと思います

 

そんな海賊版サイトがなぜ無くならないのか?
ということを考えたいと思います


まずは
そんなに悪いことをしているのに
なぜ奴らは野放しにされているのか

それは、インターネット上で起きていることなので
逮捕するにしても損害賠償を請求するにしても
なかなか難しい

最近では海外サーバーを使用しているのでより厄介になっています

そして、例え1つのサイトを潰したとしても
また別のサイトが生まれて同じことの繰り返し
いたちごっこなわけです

最近は大きな社会問題として取り上げられ
いろんな人たちが頑張って戦ってくれてますけど
正直、真っ向勝負で戦っても
この悪に勝つことはおそらく無理です

海賊版なんてインターネットが流行る前からずっと蔓延っているもので
さらにネットが普及することでより巧妙になってしまった

これを根絶やしにすることなんて不可能だと思います

 

次に
そんな海賊版サイトで漫画を読んでいる人たちです

読む人がいなければ
そんなサイトは自然に減っていくでしょうが
現状はむしろ増えていっている

もちろん違法に読む側も悪いことには間違いないですが
現状ではデータをダウンロードしなければ犯罪にはなりません
サイト上で閲覧するだけなら
取り締まることができないんですよね

それに、例え読むこと自体が犯罪で取り締まれたとしても
それこそキリがなくて
たぶん逮捕者なんてほとんど出ないでしょうね

僕の意見としては
海賊版サイトで読んでる人たちはそこまで悪いとは思わない

この人たちに悪意なんてないだろうし
読めるから読んでるだけって人がほとんどでしょう
そりゃ、読めるんだから読みますよね

この人たちに
悪いことだから読むのをやめろ
と、良心に訴えかけたところで無駄

そもそも悪いと思ってないから
そして、そんなに悪いこともしてないから


海賊版サイトを運営する方も
海賊版サイトで漫画を読む方も
どちらもグレーゾーンで上手くできてしまってるから
そこを真面目な正攻法で対処するというのは相当難しいんじゃないかと思う

 

で、海賊版サイトによる被害ってどれはどのものなんだろうな
と考えてみると

僕の感覚では
そんなに被害を受けてるようには思えない

数字では数千億円とか出てますけど
それってアクセス数から割り出した単純計算で

海賊版サイトが全く無かったとして
それだけの額がプラスになっていたのかと言うと
そんな訳ないですよね

その上、海賊版サイトのアクセス数が急上昇しているにも関わらず
近年では「鬼滅の刃」が記録的な売り上げを見せ
他にも「呪術廻戦」「東京卍リベンジャーズ」などもかなり売れてる

単行本が売り切れで本屋に行っても売ってない
なんてこともよくありました

漫画の単行本が売り切れてるなんて
今まであまりなかったですからね

近年稀に見るほど
漫画が盛り上がっているようにも思います

そう考えると
海賊版サイトのアクセス上昇と漫画の売り上げには因果関係がないように思えてくる

 

そこで見えてくるのが
海賊版サイトで読む層と漫画を買って読む層は全く違うんじゃないか
ということです

違法とは言え
これだけ無料で漫画を読める時代に
わざわざ紙の本を買って読む人たちは
例えどれだけ海賊版サイトが幅を利かせたところで
ずっと漫画を買い続けるでしょうし

逆に海賊版サイトで漫画を読んでるような人は
海賊版サイトが根絶やしになったとしても
わざわざ漫画を買ってまで読むのかと言うと微妙
他のお手軽なコンテンツに流れていくと思います

この2つの大きな違いは
漫画が好きかそうじゃないかの違いなんですよね

漫画の未来を考えるなら海賊版サイトなんかで読むな
みたいな訴えかけをする人もよくいますけども

そもそも、海賊版サイトで読む人たちは
漫画が無くなってもダメージはありませんし
漫画の未来なんてどうでもいいし
ただ暇さえ潰せればなんでもいいわけですよ

この人たちにとって漫画というものは
暇つぶしのコンテンツにすぎない

 

じゃあ、このまま海賊版サイトを放っておいてもいいのか
と言うと
それとこれとはまた別問題

僕の考えでは
放っておけば若干マイナスにはなるだろうけど
漫画が衰退するような事態にはならないと思います

ただ、今のままでは
衰退せずとも発展することもないと思うんですよね

もしかすると
今のこの状況は
漫画界のターニングポイントなのかもしれません


海賊版サイトのマイナス面を取り上げ
それが大きな社会問題となっていますが

見かたを変えれば実はプラスな面もあると思います

さっきも言いましたが
海賊版サイトを利用する人たちはべつに漫画が好きなわけではありません
本来ならこの人たちが漫画に大きな利益を与える存在ではなかったはずです

それが、海賊版サイトが現れることにより
そんな人たちが可視化され
さらに、そんな人たちにより大きなお金が発生することがわかりました

これは完全にビジネスチャンス
そこで注目すべきはサブスクです

映画、ドラマなどの映像ならNetflixなど
音楽ならSpotifyなど
月額さえ払えばさまざまなコンテンツが使い放題のあれです

漫画でも一応それらしきものはあるけど
正直、かなり微妙なものばかり


漫画の海賊版サイトがここまで流行っている理由は
無料で漫画が読めるからだけではない
いつでもお手軽にさまざまな漫画をすぐに読めるから
それが最大の理由だと思います

むしろ、お金を払いたくないから海賊版サイトを利用してる
って人は少数だと思う


なら、なぜ今存在する公式の漫画サイトやアプリが海賊版サイトに負けているのか
という話になります

海賊版サイトはやはり違法なサイトなだけあり
問題点も多くある
特にウイルス感染の危険は大いにあって
アクセスするのにはリスクも伴う

他にもこういうサイトはやたらと広告をクリックさせようとするので
使用するにもストレスを感じるのは否めない
画質に関しては安定してないだろうし

サイトのクオリティが高いかと言うと
決してそうではなく
むしろ、使いづらい部類に入るんではないでしょうか

でも、そんな海賊版サイトに公式のサービスが負けてしまうのは
それ以上に使いづらいものばかりだからです

公式のサービスは大体
基本無料だけど課金しないと読めない漫画もあります
広告を見るとポイントが貰えてそのポイントを使えば有料の漫画も読めます
期間限定でこの漫画が無料で読めます
みたいな、そんなサイトやアプリがほとんど

さらに、出版社によってそれぞれサイトやアプリが作られたりもしてるので
例えばジャンプの漫画が読みたければ集英社
サンデーの漫画なら小学舘
みたいに、読みたい漫画によって登録したりアプリをダウンロードしなければならない

煩わしいことがめちゃくちゃ多いんですよね
やってることが中途半端すぎるんです

そこがネックとなり
お手軽な海賊版サイトに全く及んでいないわけです


なので、やはり必要なのは大規模なサブスク

出版社の壁を取っ払い多くの作品を1つのサービスで自由に読め
より使いやすく読みやすいサービスを提供すればいい
世界に発信するのなら言語を自由に選択できるようにすればいい

月額制で有料であろうとも
使いやすさと安心安全の保証があれば
海賊版サイトからみんな流れてくると思います

結局、それが海賊版サイトの淘汰にも繋がり
違法なサイトはどんどんと消えていくはず


そんなに上手くいくわけないだろうと言う人もいるだろうけど

映像の分野ではいまやサブスクが席巻し
海賊版サイトなんてほぼ消滅しました

音楽もサブスクがかなり強いですよね

映画にしろ音楽にしろ違法アップロードなどが大きな問題になっていたけど
それを力でねじ伏せてしまいました
漫画業界も参考にすべきことは大いにあります

時代は完全にその流れで
正直、漫画業界はかなり遅れている


サブスクが流行ることで紙の漫画が売れなくなる
という懸念もあると思います

確かにサブスクで漫画が読めてしまえば
そりゃわざわざ紙の本を買う必要なんてなくて
売れ行きは少し下がるでしょうね

でも、それが漫画業界にとってマイナスなのかと言えば全くそんなことはなく
むしろ、プラスのほうが大きいのではないでしょうか


映画などのサブスクを例にしてみれば

NetflixやAmazon prime videoなどが世界的にもかなり多く利用され
今やお手軽に多くの映画を家でいつでも観れる時代になりました

じゃあ映画館に行く人がいなくなったかと言えばそうではなく
いまだに映画館に観に行く人もたくさんいる
DVDやBlu-rayをわざわざ集める人もいます

漫画もそれと同じで
例えサブスクが流行しようと
好きな人は絶対に紙の漫画を買うはずです

てか、オタクはサブスクを利用した上で
さらに紙の漫画も買うと思う
多くの作品に触れる機会が増えれば
もっと多くの紙の漫画を手に取ってもらう可能性が増えるかも


そして、サブスクの利点は
そこからさらなる作品が生まれるというところ

最近ではNetflixオリジナルの映画やドラマが大ヒットすることも多くなりました
オリジナルのアニメなども多く作られている

漫画もそれと同じように
サブスクから新たなヒット作品が生まれる可能性があります

サブスクから火がついて紙の漫画が大量に売れる
なんてことも起きるかもしれない

今の雑誌連載の体制では日の目を見なかったような作品に
スポットが当たることだってあるでしょう

サブスクが流行すれば
漫画の可能性もさらに広がっていくはずです


僕はサブスクはメリットだけではなくデメリットもあると思っていますが
今の状況ではメリットのほうが大きいと思います


ただ、現状では
漫画業界のしがらみや忖度や古い体制
紙の本が売れなくなるんじゃないかという恐れなどがあるだろうし

日本という国は
エンタメや芸術など文化の発展にはとことん疎く
そんなものは後回しのお国柄なので
なかなか難しいでしょうね

サブスクのサービスを始めようにも
莫大なお金や労力がかかるでしょうし
個人で頑張ろうと思っても簡単にできるものじゃないです


ただ、漫画は日本の文化だ
とか言ってるのならば
サブスクくらい作ってくれないと困りますよ

その程度のことできなけりゃ
日本の文化だなんて胸を張る資格はないと
僕は思いますけどね

漫画のサブスクは
日本の漫画発展の鍵を握っていると思います

 

海賊版サイトを無くすという視点で見てもサブスクは絶対必要だし
漫画の発展という視点で見てもサブスクは絶対に必要

漫画の未来を考えるなら海賊版サイトを読むな
と、読者に言ってる段階ではない

漫画の未来を考えるのなら
今すぐ古い体制に囚われない大規模な漫画のサブスクを始めるべきです