何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「大怪獣のあとしまつ」感想 小ボケの多さにうんざり

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どうもきいつです


SF映画「大怪獣のあとしまつ」観ました

大怪獣の死後
その大怪獣の死体処理を題材に描いた空想特撮エンターテイメント
死体処理に奮闘する人々がコミカルに描かれます

監督を務めるのはドラマ「時効警察」シリーズなどの三木聡
主演はHey! Say! JUMPのメンバー山田涼介です

 

あらすじ
人々を恐怖に陥れた大怪獣がある日突然死んだ
国民が安堵するのもつかの間
残された死体は徐々に腐敗し膨張が進み爆発する可能性が出てきた
そんな状況で死体の処理を任されたのは特務隊員の帯刀アラタだった
爆発までのカウントダウンが迫る中
彼は大怪獣の死体処理に挑む

 

感想
コメディーではあるものの
笑いのレベルが低くて全く笑えない
低レベルな小ボケの応酬や下ネタの応酬には観ていてうんざり
すごく疲れました
ストーリーの整合性が悪かったり設定を笑いに生かせてなかったり
シンプルにつまらない映画

 

怪獣の死体処理という面白い視点に興味を惹かれ期待もしていた作品

でも、公開してすぐ
ネットでは今までにないほどのぶっ叩かれぶりで
ハードルは完全に下がっていました

実際に観てみると
そんなに叩かれるほどか…?
ってくらいの内容でしたかね

この叩かれようは完全にネットの悪ノリで
本作はネットでおもちゃにされた感は否めない
そういう点ではちょっと可哀想な作品ですね

この映画よりもクソな映画は山ほどあるし
この映画とさほど変わらないレベルの作品でも評判が良い作品もたくさんある

 

とは言え
この映画が面白かったかと言うと
正直めっちゃつまらないです

本作に求めていたものは全く与えてくれなかった印象
せっかくの面白い視点の題材を
全く上手く調理できていませんでしたね


そもそも、予告と本編のギャップが大きくて
そこがマイナスかも

予告では
真面目に特撮やりました
って雰囲気を醸し出してますけど
実際の本編の中身は
めっちゃバカバカしいアホな映画です

このギャップが本作が叩かれている要因でもあると思います

おそらく
真面目だと思ったら実はおバカ映画だった
という部分でも笑いを作ろうとしたのかもしれないけど
本作の完成度の低さがそれを実現させなかった
って感じですかね

 

この映画のダメなところを考えると
やはり笑いの質が低いということが大きいと思う

本作はコメディー映画なんですが
正直、全然笑えないんですよ

基本的に最初から最後までスベりっぱなしの映画です

これは同じ三木聡監督の「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」を観たときとほぼ同じ感想

笑わそうとするギャグの手数はめちゃくちゃ多いんですけど
そのどれもがもれなくいまいち

全然ガツンとこない中途半端なギャグの応酬がひたすら続く映画です

つまらないギャグをひたすら見せられると
うんざりだししんどいし
苦痛すら感じてしまいます

そんな小ボケをワンパターンでひたすら見せられる
というのが本作のセンスの無さ


で、この映画の笑いのパターンはと言うと
登場人物が変な言動を見せる
この一点張りです

誰かが訳わからんことを言うと
別の誰かが訳のわからんことを言う
みたいな
それの繰り返し

しかも、その言動が
本作のストーリー、設定、世界観などと全く繋がりのない一発ギャグみたいなのばかりで
観ていて意味がわからなくなってきます

真面目な会議の場面とかでも終始そのノリなので
段々とストーリーの筋も見えなくなってくるんですよね

こいつらの目的はなんなのか?
どんな気持ちなのか?
何が問題なのか?

ギャグのせいで無駄にわかりづらく
なんかゴチャゴチャしてきて
難解なストーリーじゃないのに意味不明

笑えない上に物語の邪魔もしていて
本作のギャグ全てが無駄に思えてくる

 

あと、やっぱり下ネタもかなり低レベルで全然笑えない

下ネタでスベるって一番やっちゃいけないことですよ…

これは僕が下ネタが嫌いとかじゃなくて
単純に下ネタのレベルが低い

この映画がやってることって
ただ“うんこ”“ちんこ”って言ってるだけのようなもんなんですよ

小学生とかなら大爆笑でしょうけど
大人だとこの程度で笑えるわけがない

下ネタを入れるにしても
前後の文脈とか必要性とかは大事だし
なによりタイミングも重要ですよね

ここぞというタイミングで下ネタをぶっ込めば爆笑だって取れるだろうけど
本作の場合はダラダラと下ネタを連呼してるだけなのでとてもくどくて
パンチは弱いし意外性もないし
ただ不快感だけが残ってるという…

キノコだらけの人間のアソコだけ黒く隠すとかも
いかにもテレビのバラエティー的な手法で
映画とは相性最悪でしたよね

 

本来この映画でやるべきことって
怪獣の死体処理を行うことで起きる出来事を笑いにすることだと思うんです

死体処理における弊害であったり
国民の反応であったり
政府の動きであったり
怪獣の死体処理というあり得ない設定だからこそ
そんな部分に滑稽さが生じるはずで

そこを笑いにできるでしょ

てか、普通はそこを中心に笑いを作るんですよ

でも、本作はその真逆で
何故か死体処理のパートはクソ真面目にやってます

本作は真面目なメインストーリーに
必要のないくだらん小ボケ無理やり付けたしてるだけ

でも、本来は無理やり小ボケを詰め込む必要なんてないと思う

怪獣の死体処理なんて意味のわからんことを
みんなが大真面目にするだけでも面白いじゃないですか

本当はしょうもない小ボケなんて必要ない


例えば
怪獣のガスの臭いがうんこかゲロかってとこがあったけど
ここをもっと広げるべきですよね

あっさりと銀杏の臭いとかしょうもないオチにしてたけど
こんなしょうもないボケより
大人たちがうんこかゲロか議論をクソ真面目にやってる方が面白くないですか?

その議論の結果が銀杏だったら銀杏というワードにも笑えると思う


怪獣の名前とかもあっさりしすぎなんですよね
ここも広げた方が絶対に面白くなる

みんながいろんな名前を挙げて
悩みに悩んだ末の“希望”なら笑えるんですよ

国民から名前募集とかしても面白かっただろうし


登場人物たちの会話にしたって
様子のおかしい言動をぶつけ合うんじゃなくて
会話の中で生まれるズレとかを見せれば
くだらないボケなんてなくても笑えます
その方が知的ですし


基本的に本作は前フリなくただボケを連発してるだけなので
一つ一つのボケが弱いんですよね

設定を生かせばもっと知的な笑いを生み出せるはずで
ストーリーとの相性もよくなると思うんですが

本作はストーリーなど根本的な部分は大真面目で
それを茶化すかの如く小ボケを詰め込んでる

そうすると
やっぱりお互いの良さを相殺してしまうんですよ
真面目なストーリーだから小ボケが不快に思えるし
小ボケが多いからストーリーを真面目に観れないし


結果、終始スベり倒した映画に仕上がってるわけです
わかりやすくボケてるからスベった時のダメージはデカいしね

 

それと、他に気になるのは
説明不足と無駄な演出

主人公とか何を考えてるのかわからなすぎて
キャラがめちゃくちゃ薄いです
目的や原動力が謎のまま最後までいくので
感情移入は全くできない

もっと主人公を掘り下げる描写は必要だったと思う


恋愛描写も同じで
入れるならもっと掘り下げるべき
中途半端にラブストーリーをぶっ込んでるだけなので
単に邪魔なだけでした

他の登場人物も基本的に描写不足で
観ていて全然気持ちが乗っていかないんですよね

この映画の登場人物がどうなろうとどうでもいいや
って感じでした


ストーリーに関しても説明不足で
すごく繋がりが悪かった印象

前後が上手く整合されてないので
ぶつ切りになっていたように思います

前の展開が次の展開へと繋がってないんですよね
終盤のミサイル爆破とかよくわからんかったし


そして、無意味な演出はめっちゃ引っ掛かります

無駄スローモーションがすごく多いです
なんのためにやってるのか謎
意味不明

恋愛描写とかもそうですけど
結局は“っぽく”してるだけなんですよ
恋愛がある方が映画“っぽい”し
スローモーションがある方が映画“っぽい”

浅はかさがにじみ出てますよね

こういう部分が本作のレベルの低さが露呈している原因


それと本作のオチですが
これに関しては悪くはないと思うけど
見せ方が悪いですかね…

特撮が好きで勘がよければオチの意味を察することはできるけど
勘が悪ければ意味不明なオチですから

ここに関しても
何故隠す演出をしたのか?
普通に姿を見せればよくない?

これもやっぱり意味深“っぽく”なるからですかね


このオチは
最初からそれやっとけよ
って今までのを全て無駄にするオチだけど

ここに至るまでの前フリをしっかりしてれば
笑えるオチだと思うんですよね

ここに至るまでにみんながクソ真面目に怪獣の死体処理に挑んでいれば
このオチで
今までの全部無駄やったんかい!!
で笑えるんですけど

実際はここに至るまでに無駄なほどみんなふざけまくっているので
このオチがめちゃくちゃ弱くなってるんです

このオチ自体は絶対に悪くないのにプロセスが悪すぎて
結果的に中途半端に笑えないオチになってしまっていました

全体を通して思うのが前フリが下手すぎる

 

この映画が特出して他の映画よりクソなのかと言うと
そこまでではないけど
はやり、クソなのは間違いない

素材はめちゃくちゃ良いのに
調理が下手すぎだと思います

真面目に観ることもできなければ
笑うこともできない
あまりにも中途半端な映画でした

 


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