何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

アニメ「どろろ」(2019)感想 良いアニメ化だったけど尻すぼみ感は否めない

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どうもきいつです


テレビアニメ「どろろ」観ました

手塚治虫の名作漫画「どろろ」の
2度目のアニメ化作品

体を失った百鬼丸と出会ったどろろが
百鬼丸の体を取り戻すため
妖怪退治をしながら冒険を繰り広げる物語
2019年1月から全24話放送されました

 


あらすじ
時は戦国、醍醐の国の主である景光は
12体の鬼神像に領土の繁栄と引き換えに
我が子の体を差し出した
景光の息子は体のあちこちが欠けており
川に流され捨てられてしまう
時は流れ、どろろという幼い盗賊が
両腕に刀を仕込む作り物の体の
百鬼丸に出会う

 

感想
良くも悪くも今風に改変された
過去の名作
出だしは良かったけど
段々と勢いが落ちていったように
感じました

 

漫画の「どろろ」は読んでいていましたが
特に大好きな漫画ってわけでもなく
面白い漫画だったな
くらいの気持ち


でも、アニメ化には期待していましたし
名作と言えど過去の漫画で
それをどう現代のアニメとして
表現するのかにも興味がありました

僕個人的には良いアニメ化だったんじゃないかと
思いました

賛否はあるとは思いますし
原作を読んでるか読んでないかでも
評価が変わると思いますが

 

まず、原作漫画の話をすると
名作とは言われていますけども
結構、歪な作品でもあると思います

全体的に勢い任せな
物語の進み方だったりする
体を取り戻すという設定も
そんなに生かしてるわけじゃない

例えば、百鬼丸が声を失ってるのに
テレパシーみたいな能力で
普通にコミュニケーションが取れますし
体を取り戻すことのメリットやデメリット
なんかがあまり見られません

あと、戦国時代くらいの時代設定なのに
カタカナ言葉が出てくるのも気になったりします
ミュータントとかサイボーグ
みたいな言葉も出てきます

ラストに関しても
打ち切りみたいな終わり方で
消化不良に思いますし

ただ、そんな中には
手塚治虫の思想や哲学が込められているので
とても深い内容の漫画にもなってるんです


そんな過去の漫画を
どう現代に蘇らすのかというのが
このアニメでの最も重要なところだと思います

 

原作とアニメとの違いはと言うと
全体的にかなり違うと思います

画風は全然手塚治虫の絵ではなく
今っぽい絵に変化してます
どろろや百鬼丸の性格も全然違うし
作品の雰囲気は全く異なってる

終盤の展開なんかはほぼ別物
原作はギャグが多かったですが
アニメはかなり真面目で
終始重たい雰囲気でした

でも、全体の話の流れや
個々のエピソードなどは原作通りで
登場人物などもそんなに変わりがないです
それでも細かい部分を見ると
やはり大きく変化はしています

原作が大好きな人からしてみれば
余計なことするな
って思うかもしれませんが
それなら漫画を読んでればいい話ですし
せっかくアニメにするなら大きく変化させるのも
ありだと思います
ましてやかなり昔の漫画ですしね

 

そして、その変化が良かったのかというと
良かったところもあれば
悪くなってるところもある
って感じですかね

良かった点で言うと
百鬼丸が体を取り戻すということが
物語上でとても生きている
原作以上にそこは上手く描かれていました


はじめは目も無く耳も無く声も無い
五感が全てない上に
体の一部もそれぞれかけている状態で
それ故に感情もあまり無い

そこから少しづつ感覚や体を取り戻して
いろんなものに触れることで
感情も取り戻して
百鬼丸が人間になっていきます

ただ、途中からは体を取り戻すことに
固執してしまうがあまりに
逆に人間でなくなっていく姿も描かれて

百鬼丸の感情の変化が
心揺さぶられるしグッとくる
原作以上に百鬼丸の内面が
描かれていたと思います

 

それぞれのエピソードを
じっくりと見せてくれるのも
良かったところですかね

原作はちょっとテンポが良すぎて
余韻に浸れなかったり
ギャグシーンも多いので
重いはずであろう場面も
あまり重く感じれなかったんですが

アニメではそういう場面を
じっくりと見せてくれて
とても重苦しく感じる

特にアニメの5、6話は原作の法師の巻を
かなりじっくりと描いていて
とてもいいエピソードになっていたと思います


百鬼丸と弟の多宝丸との兄弟対決も
原作には無い要素で
面白い展開でしたね

 

次は悪くなっていたと思った所です

まずはどろろのキャラクターが
かなり弱くなっていました

なんかおとなし過ぎるというか
真面目過ぎるというか
すごく良い子になってしまっている

原作では自分勝手に暴れ回ったり
感情の起伏が激しかったりで
子供っぽさがとても出ていた
面白いキャラクターだったんですが

今回のアニメでは
すごくつまらないキャラに
なってしまってましたね

タイトルにもなっているキャラなのに
存在感が薄すぎると思いました

聞き分けが良すぎるし優しすぎるし
子供ならではの危うさみたいなものが
全く感じられない

どろろにはもっと制御のつかない行動で
場をかき乱してほしかったですね
だったら物語にも抑揚ができて
スリルなんかも生まれそうですし


それと、このアニメ全体が
ちょっと真面目すぎるというのも
物足りなさを感じる要因です

作風を真面目にすることで
物語の重さを引き立てようとするのは
わかるんですけど
それにしてもユーモアが無さすぎる

原作はユーモアに富んだ作風
それが作品の面白さや可愛らしさを
演出できていて
愛される作品になったんだと思います

せっかくならそういう部分も
リスペクトしてほしかったです


そういったところから
作品全体が平坦なまま進んでしまい
ちょっと面白みに欠けるアニメにも
なってしまっていました

はじめのスタートダッシュは良かったけど
途中からは中だるみで
勢いが落ちてしまった印象です

 

それでも、ただ原作をそのままアニメに
するのではなく
新しいものを表現するという気持ちは
大事だと思いますし好感を持てました


ただ、アニメ作品としては
ちょっと作画が安定してなかったのかな
というのも感じました

それと作品全体の絵がのっぺりした印象で
画面の動きも弱かったように思います
そこまで悪いとは思いませんでしたが
ちょっと気になりました


あと、主題歌良かったですね

1969年のモノクロアニメ版の主題歌とは
うってかわって
とてもカッコいい歌でした

前期、後期と両方ともOP曲は
すごく好きでした

昔の歌もあれはあれで
すごく好きですけど

 

名作漫画をそのままアニメ化
しなかったのは良かったと思います
良いところもたくさんあるアニメでした

ただ、このアニメが名作かと言えば微妙で
良作止まりって感じでしたね

 


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