何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「アルキメデスの大戦」感想 エンターテイメントとして面白い映画 ただ、ちょっと引っかかる部分も…

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どうもきいつです


戦争映画「アルキメデスの大戦」観ました

週刊ヤングマガジンにて連載されている
三田紀房による同名漫画の実写化映画
戦艦大和の建造計画を食い止めようと
奔走する天才数学者を描いた歴史ドラマ

監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」
などの山崎貴
主演は菅田将暉が務めています

 

あらすじ
昭和8年、第2次世界大戦前の日本
日本帝国の海軍上層部は巨大戦艦大和の
建造計画を立てていた
上層部の動きに危険を感じた
海軍少将の山本五十六は数学者の櫂直を
軍に招き入れる
櫂は卓越した数学能力をもって
計画の裏で蠢く軍部の陰謀を暴くことに挑む

 

感想
エンターテイメントとして
とても楽しめる作品でした
派手な映画ではないけれど
最後まで引き込まれる魅力があった
でも、戦争映画だからこそ
ちょっと引っかかる

 

正直言うと
この映画を観るつもりはあまり無かったです

そもそも、原作漫画も知らなくて
そんなに興味が惹かれなかったのと
山崎貴が監督ということでちょっと不安もあった…

たまたま友達に誘われたので観に行ってきました


実際観てみるとなかなか面白かったです
山崎貴を舐めてました
今まで観た山崎監督作品の中では
1番面白かったかもしれない

とても楽しめる作品でした

 

まず、冒頭の大和沈没シーンがすごかった
さすがのCGクオリティだと思います

単純に派手で激しい戦闘シーンに
圧倒されましたし
ここで気持ちを掴まれます

山崎監督の作品は毎回CGのクオリティは
すごいレベルだと思います
日本トップレベルですね


そして、本作は山崎作品の割に
CG映像がそんなに使われていなかったりします

本格的に使われる派手なCG映像は
この冒頭の戦闘シーンだけで
他はたまに映る戦艦とかそれくらい
基本は会話がメインの作品です


それが逆に良かったのかもしれない

他の作品では
すごいCG映像を無駄に見せつけてくるような
演出が多くて
個人的にはそれがくどくてあまり好きじゃなかった

でも、本作はそんなすごいCGを
最初のシーンに全て凝縮していて
それがすごくバランスよくなっていたと思う

観ている時は
どこかで無理やりCG映像を
ぶち込んでくるんじゃないのかと
少しビクビクしていたけど
結局、最後まで無理やりなCGは
入ってこなかったので安心しました

 

ストーリーに関しては
史実を基にした完全なフィクションなので
結構ファンタジーな内容になっています

だからこそか
楽しめる物語にもなっています


ストーリーの切り口も面白いと思います

戦争映画ですけど
ドンパチやっている戦争シーンはほぼ無く

戦争を起こさないために主人公が頭脳を使って
軍の動きを変えて戦艦大和の建造を
阻止しようとする話


だから、ほとんどが会話劇で
かなり地味な映画だと思います

でも、そんな会話だけの場面を
飽きないように楽しませてくれる


本作のメインとなるのは
主人公の櫂と彼に付き添う田中小尉
ほとんどがこの2人のやり取りだけなんですが

この2人のやり取りにユーモアがあって
笑わせてくれます

最初はギクシャクしていた2人が
だんだんと息が合っていくのも
観ていて面白かったですね
最終的にはベストコンビになってます

それに、菅田将暉と柄本佑の演技も良くて
2人がとても魅力的に感じれました

この2人だけで最後まで飽きずに
観ることができると思います


それだけじゃなくて
他の俳優たちもみんな良かったです
それぞれがみんな存在感があるし
観ていて全員がすごく面白い

俳優の力で引っ張っていた映画だったとも
思いました

 

ストーリー的には
戦艦ヤマトは造られるし戦争も起きると
結末がわかっている話なんですが

それを阻止しようとする櫂の姿には
応援したくなる気持ちが湧くし

タイムリミットへ向けてのギリギリの戦いには
最後までとてもハラハラさせられる

物語の展開も
最後まで飽きさせないような作りに
なっていました


ラストのオチのつけ方も
矛盾なく納得できるし
カッコいい終わり方だったと思います

 

欲を言えば
櫂がなぜ天才なのかという部分に
説得力を持たしてほしかった

映画の中では天才ともてはやされていますけど
実際はただ計算が速い人以上には見えないです

櫂の天才描写が
計算をしている場面しかないので
いまいち説得力に欠けると思う

この映画の中での天才というのが
ファンタジーのように思えて
あまりリアリティを感じれないんですよね


数字の計算以外にも
櫂の頭の良さを見せても
よかったんじゃないでしょうか

例えばもっと人との駆け引きを見せるとか
天才だからこその突拍子の無い発想をするとか

そんな部分があるだけでも
天才ということに
納得できたかもしれないです

 

とは言え
全体的にバランスも良かったと思うし
エンターテイメントとして
面白い映画に仕上がっていました

 

だだ、ここで引っかかることがあります

この映画は
娯楽エンターテイメント作品ですが
戦争を描いた作品でもある

そこに引っかかってしまう


フィクション作品ではありますが
実際の第2次世界大戦を描いている

そんな作品が
ただ楽しくて面白いだけの映画で
終わっていていいのか?
と思うんですよ

てか、戦争映画に面白さっているのか?
とさえ思う


僕は昔からこういう作品を観ると
違和感を感じてしまうんですよね

戦国時代の織田信長とか
明治維新の坂本龍馬とか
英雄として描いた作品なんかも
観たことありますけど
そんな気持ちになってしまう

海外の映画だと
「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を
観たときもそう感じた


確かに面白いしカッコいいし
感動するような作品もたくさんありますけど

こういう作品って
それでいいのか?
って気持ちになってしまうんですよね

 

本作も同じで
カッコいいしとても綺麗な話
ヒーローが悪を倒すような娯楽作品で
とても楽しめるエンターテイメント

でも、なんか違う気がする


これが戦争映画でなければ
なにも引っかからなかったと思う

特に第2次世界大戦は
今の時代に直接つながるような
身近な戦争でもあるしよりそう思います

 

こういう作品には
人間の歴史を後世に伝える
という役目もあるはず

それが、ただのカッコいい話とか
泣ける感動話とかだけで終わってしまうと
その役目を果たせなくないですか?


戦争の生々しさとか
自分の力ではどうしようもないやるせなさとか
善悪では割り切れないものとか

もっとリアルなものが必要だと思う


「火垂るの墓」
「この世界の片隅に」
とかはそういうものを感じれますよね

感動するだけじゃなく
それ以上に何かを考えさせられるものがある


海外の映画でも
「アメリカン・スナイパー」や
戦争映画ではないけど
「デトロイト」なんかは
現実を突きつけられているような気持ちになります

人間の醜さとか
何が善で何が悪かわからない世界を見せられ
とても辛い気持ちにもなる


こんな作品には
ファンタジーで終わりではなく
現実を突きつけるようなリアルさが
必要なんだと思うんです


しかし、本作にはそういったものは
全く無かったと思います

正直言って
戦争映画としては深さが全然無く
とても浅い映画だった

ただのエンターテイメントでしかないんです


これはこの映画を否定してるわけではなく
戦争映画ってなんだろう?
と思ったときに本作には疑問を感じるって話です

 

エンターテイメントとしては
面白いし好きな映画

でも、戦争映画としては
浅い内容だと思うし
ちょっと稚拙な内容かもしれない

少なくともこの映画を観るときは
フィクションであるということを
十分に理解した上で観るべき映画だと思います

 


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