何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」感想 センスがあるのはわかった で、何が言いたいの?

f:id:kiitsu01:20200102224123p:plain
どうもきいつです


青春映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」観ました

月間ベツコミに連載された
相原実貴による漫画「ホットギミック」を
実写映画化した作品
女子高校生が3人の男性の間で
揺れ動く姿を描いた青春ラブストーリー

監督は「溺れるナイフ」などの山戸結希
主演を乃木坂46の堀未央奈が
務めています

 

あらすじ
高校生の成田初は兄の凌、妹の茜、両親に
囲まれたごく普通の家庭で暮らしていた
ある日、彼女は同じマンションに住む橘亮輝に
弱みを握られてしまう
亮輝の命令に振り回される初だが
そんな中、数年前に引っ越した
幼馴染みの小田切梓がマンションに戻ってきた

 

感想
監督にセンスはあるんじゃないでしょうか
なんかすごい映画っぽくは見える
でも、センスを押し付けてくるだけで
それ以上に感じるものはない
結局、何が言いたかったのか?
今流行りのサブカル邦画って感じでした

 

すごい映画だという声をちらほらと
目にしていたので
以前から少し気になっていた映画

Netflixで配信されていたので
良い機会だと観てみました

 

正直言って
僕には全然合わない映画でした

面白いとも思わなければ
何か心に刺さるものがあるわけでもない
特にすごい映画だとも思わなかった


ただ、こんな映画が支持される理由も
わからんでもない

たぶん、サブカル好きの中高生あたりは
この映画スゲー
ってなりそうな気はします

僕もそれくらいの年齢の頃に
この映画を観てたらスゲーって
思ってたかもしれない

でも、この歳になって
いろいろ映画も観ているし
映画以外の作品にもたくさん触れ
それなりに人生経験を積んだ状態で
この映画を観ても

ふーん
くらいの感想しか浮かばない

 

それにしても
最近こんな映画が多いですね

「チワワちゃん」「ウィーアーリトルゾンビーズ」とか
今どきのアート邦画みたいなの

まあ、サブカル界隈での流行
だと思いますけども


基本的に僕はこんなタイプの映画は
好きじゃないんですよね

簡単に言うと
こういうタイプの映画って
アート映画ではなく
アートっぽい映画だから好きじゃない

すごい映画と言うよりも
すごく見えているだけの映画


表面的にだけ見れば
奇抜だったり攻めた表現だったり
なんか綺麗でキラキラしてて
すごく芸術的には見えると思う

でも、本当は表面的にアートを
着飾ってるだけで
本質的な部分はカラッポ
もしくは伝わってこない

自分のセンスを押し付けるだけで
相手に伝えるということは考えてないんです

言ってしまえばただの自己満足

そんな作品から伝わってくるのは
この発想すごいでしょ?
この映像奇抜でしょ?
このセリフ回し哲学的でしょ?
みたいな

自分のセンス褒めてくれ!!
っていう自己顕示欲しか
伝わってこないんですよ

そんなものを押し付けられても
こっちとしては
そうなんですねー
としか言いようがない


それと、特にこんな作品がダサいと思う理由は

いかにも監督の自己表現としての作品
ってスタンスで
独特なカット割りとか
不思議なセリフ回しとか
すごくきれいな映像とか

映画を通して自分の個性を表現してます
って作風なのに

なんかどれも似かよってるんですよね

厳密には
細かい部分でやってることは
違うかもしれないけど

結局、題材や表現とか同じようなのが多い


こういう作品を観ていると
美大生の卒業製作展を観てるような
気持ちになってくる

一見、自由に自分の個性を作品に
表現しているようで
なんかみんな型にはまってる


本作のような映画も同じで
自由に表現しているようで
流行などに囚われてるようにも思うし

 

ここまでは
こんなタイプの映画について思ったことで

ここからは本作について言っていきます

 

序盤はすごく良かったと思うんです
独特なセリフとそのテンポ
バックで流れるBGMのカノン

すごくリズミカルで聞き心地が良い
このはじめのシーンで
この映画にすごく引き込まれました

ただ、そこまではいいんですが
その先もずっとこの感じが続くんです

そうすると、だんだんバックで流れるBGMが
ウザくなってくるし
独特なセリフ回しも聴きづらいだけになってくる

で、最終的には内容が頭に入ってこない

基本的に登場人物がみんな
中二病的でちょっと哲学匂わすような
よくわからない言葉の応酬を繰り返すから

マジでコイツら何言ってるの?
って状況がすごく多い


まあ、表面的に見ればすごいことを
やってるようには見えるわけです


その他にも
小刻みなカット割り
カラフルな色彩
キラキラの都会の街並み
急なモノクロ

アートっぽいものはたくさん詰め込まれていて
見映えはよかったり奇抜にも見えたり

雰囲気はすごく良い

でも、センスを押し付けてるだけなんです

と言うよりも
センスだけで最後まで突っ走っているのかも

観客に何かを伝える気は完全に無い
と思ってしまいますね


そのセンスが有無を言わさぬような
ものすごいものならば
それだけで認めざるを得ないんですが

正直言って
他の監督に比べてこの監督が特出してる
とも思えない

結局、他の人とやってることは
そんなに違わないですから

あと、こんな作品の選曲って
なぜかオシャレ系ラップみたいな
歌多いですよね

あれダサくない?
すごく安易な選曲でしょ

 

で、そんなアートっぽい部分だけにこだわって
他の部分がおざなりな作品です

キャラクター描写や人間ドラマ
そんなのがすごくテキトー

登場人物が何を考えてるのかわからない
それを通して何を伝えたいのかもわからない

そもそも、物語自体はシンプルだと思うんですよ
自分に自信を持てない女の子が
3人の男性との関係を経て
少しだけ大人に成長する話だと思う

それだけの単純な物語を
よくわからない演出や
なんか小難しいセリフなんかで
周りを固めて
無意味に難解にしてると思うんですけど

普通にやってれば伝わるところを
無理やりややこしくしてる

そんなアートっぽい演出などに
何か意味が込められてるのかというと
いまいちそこは伝わってこない

よくわからない難解な作品だと
それだけですごいと思ってしまいそう
ですけどね

でも、実際はシンプルなものを
無理やり難解にしてるだけなんですよ

 

それと、主演の堀未央奈の扱い方が
あまり上手くないと思う
てか、アイドルを主演にする必要の無い
映画だと思うんですけども

この映画は堀未央奈の魅力を引き出せてないし
堀未央奈は初というキャラの魅力を
引き出せていない

監督は等身大で生々しいリアルな少女
ってのを表現したかったのかも
しれないですけども

それをアイドルにやらせたら
なんか矛盾しない?

アイドルってフィクションみたいな存在だし
人々に注目されキラキラした
普通の女の子とは真逆にいる存在

確かにこの役を堀未央奈がやれば
自身の女優としてのステップアップには
なると思いますが

ただ、この作品としては
全然ハマっていないですよね

それなら無名の若手女優にやらしたほうが
作品としては上手く成り立つと思う


ハマっていないから
初が魅力的に見えることもあれば
全然魅力を感じないときもある
なんかムラがすごい

シーンによって顔が違って見えたりもする

主人公の存在がブレてるから
作品自体もブレてるように感じる


それに、やたらキスシーンが多いんですけど
アイドルがそれをやるから

アイドルなのにそんなにキスするの?
みたいな余計なノイズが入るんですよ

僕は堀未央奈のファンではないので
ショックとかは全然無いですが
それでも、現役のアイドルがそれをやるのは
なんか気が散る

無名の女優ならたぶん気にならないところが
アイドルという肩書きがあるだけで
変に意識してしまうんですよね

それが堀未央奈の新しい一面を引き出せていれば
特に問題ないと思うけど
いまいち引き出せてなかったと思うし

 

いろいろ言ってきましたが

結局、この映画ってすごく閉じた世界なんですよ

それは監督の作品に対する姿勢も
そうだと思いますし

物語の中の登場人物たちも同じで
普遍的なものはなく
ただこの作品の世界の中だけでの物語

だから共感もできなければ
感情移入もできない

これに共感できるのは
同じような経験をした人
だけだと思いますよ

そんな人少ないと思います


僕からすれば
この映画の全てが他人事
入り込む余地は全く無いわけです

 

なんかすごい映画には見えるので
絶賛する人もいれば支持する人もいるでしょう

僕はやっぱりアートっぽい作品は
全然好きじゃない
映画という表現方法を選ぶなら
映画だからこその表現をしてほしいですね

ただのアートなら
2時間の映画でお金を取るのはどうなのか?
そんなのは個人的に映像作品をギャラリーで
展示すればいい

 


ホットギミック 文庫版 コミック 全6巻完結セット (小学館文庫)