何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「JUNK HEAD」感想 キモカワイイ世界に魅了される

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どうもきいつです


アニメ映画「JUNK HEAD」観ました

堀貴秀が独学で7年の歳月かけて制作したSFストップモーションアニメ
人類が絶滅に瀕した地上で暮らし
地下には人工生命体が暮らすディストピアな世界を描いた作品
ファンタジア国際映画祭では最優秀長編アニメーション賞を受賞し世界的に評価されています

原案、脚本、撮影、デザインなど全てを堀貴秀が1人で担当しています

 

あらすじ
環境破壊が進み地上は人類が住めなくなるほど汚染されていた
人類は地下開発のため労働力として人工生命体マリガンを作り出すが
自我に目覚めたマリガンが地下を乗っ取ってしまう
それから1600年の月日が経ち
遺伝子操作により永遠の命を手に入れ
代償として生殖能力を失った人類は
地下のマリガンの調査を始める

 

感想
独特な世界観が魅力的
ストーリーは大したことないかもしれないけど
キモカワイイ造形や荒廃した世界の描写など
個性的な作風に引き込まれる
ほぼ1人で7年かけたというのも凄まじい
いろんな意味で狂気を感じる映画

 

独特な雰囲気に惹かれて
この映画を観てきました

ストーリーや設定などはほとんど知らずに
本作を観てきましたが
なかなか不思議な映画で個人的にはとても好き

なによりも
この映画はほぼ1人で作られたというのには驚きを隠せません

100分の映画を1人で
しかもストップモーションアニメなわけです
その上、独学で1から作ってるという…

それだけで本作は普通ではない映画
観ても損はないと思います

 

そして、映画の内容はと言うと
好き嫌いは分かれるのかな
って映画

正直言ってちょっと気持ち悪いし
これを受け付けない人もいるでしょうね

それに、ストーリーに関しては
結構、中途半端かなって部分も多くて

そもそも、大したストーリーではないです
主人公がひたすら地下の世界を放浪してるだけ

これと言って捻った展開もなく
ラストなんかは尻切れトンボで
何も解決せずに映画が終わってしまいます

まあ、3部構成の作品らしいですけどね


てか、ストーリーは無いと言ってもいいかもしれない
設定は細かくありますけども
人間ドラマなんてほぼ無いし
主人公がただ歩いてるだけのシーンが大半

なので、ストーリーだけを取ると
そんなに面白い映画ではないですかね

 

でも、だからと言ってつまらない作品ではなく
本作はストーリー以外のところに魅力のある作品だと思います

中でも造形はとても面白くて
キャラクターや背景を観ているだけで
ワクワクと楽しい気持ちになってきます

これも万人ウケの造形ではないけど
ハマる人にはハマると思う

基本的になんか気持ち悪くて
グロかったり怖かったりもしますが
キモいけどどこか可愛らしさもあって
あまり憎めないというか

キモカワなキャラクターやクリーチャーには愛嬌も感じれます

キャラのデザインは
映画やゲームなんかで見たことあるような雰囲気がありつつの
とても独創的でこの映画はならではのデザインだと思います

カオスなようで統一感があったりもしますし
世界観が完全に作り込まれてますよね


それに背景もすごくいい
いかにもディストピアSFって感じですが
手作り感がすごく不思議な空気感を醸し出しています

細かく作り込まれているこの背景には
普通に圧倒されますよね

これを1人で作り上げているんですから
狂気です

この完成度の高い背景があるからこそ
この不思議で独創的な映画にリアリティを与えられている

異常でありえない世界観だけど
画面を通してこの世界が存在すると思えるような
1つの世界が生み出されています

 

そして、この映画特有の謎の言語
これも賛否は分かれそうだけど
この映画の魅力の1つだと思います

この謎の言葉で話す登場人物たちを見て
置いてけぼりになる人も多いと思う

ただでさえクセが強いのに
さらによくわからんクセの強い言葉でしか会話しないんですから…

字幕が出るので読めばわかるけど
字幕読むのが嫌とか
日本の映画なら日本語を喋れ
って思ってしまうかもしれない

しかし、これはこういうものと思うしかないですね
これを含めてこの映画の世界ですから

こんなのに慣れてない人は抵抗がありそう


でも、ゲームとかでは結構ありますしね
「大神」とか「GRAVITY DAZE」とか
僕はそんなゲームで架空の言語には慣れていたので
すんなり受け入れることができました

それに、何度も出てくる単語なら
ちょっと意味がわかってきたりするのも面白いです

 

映像のクオリティの話をすると

スタジオライカの映画のような
超絶クオリティの作品と比べると
到底比べ物にはならないと思います
動きやカメワークなどには粗さを感じる

ただ、それがマイナスなのかと言うと
そうでもなくて
むしろ、この粗っぽさがこの作品の味にもなってる

大人数で大金をかけて作られた作品だからこその魅力的な作品もありますが

本作のように
たった1人で作られた作品だからこその魅力というものもあると思う

1人だから出来ることには制限があるし
ましてや独学で1から作ってるわけです
そりゃ粗っぽくもなるし限界がある

でも、それを補う工夫や作品に掛ける情熱
独学だからこその新しい発想など
そういうものがあるから本作は独創的で
唯一無二の作品になってるんだと思います

とにかく、粗っぽいけどセンスを感じるヤバい映画

 

そんな感じで
この映画の内容にいろいろヤバいと思わされましたが
エンドロールでさらにそれを思い知らされます

エンドロールがほとんど堀貴秀の名前で埋め尽くされてるという…

さすがににちょっと笑ってしまいます

このエンドロールを見れば
マジでこの映画クレイジーだなと痛感するはず

発想が面白いとか
造形が魅力的だとか
そんなことよりも

たった1人でこれを作ったことに衝撃を受けて
感動すらしてしまいます
この事実が本作の最大の魅力なのかもしれない

こんなのを観たら
創作活動をしている人ならものすごい刺激を与えてもらえると思う

やってることがクレイジー過ぎて尊敬します
こんなに情熱とこだわりを持って作品作りする姿には憧れます

 

物語はまだ終わっていないので
是非とも続きを制作して欲しいです
続編も絶対に観に行くと思う

好き嫌い
面白い面白くない
この映画に対して人それぞれ思うことはあるかもしれないけど

確実に言えるのは
間違いなくこの映画はすごい