何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「シライサン」感想 ちゃんと王道のJホラー ただ特出したものはなくインパクトは弱かった

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どうもきいつです


日本のホラー映画「シライサン」観ました

鈴の音とともに現れ、視線を逸らしてしまうと
最後には命を奪われてしまうという
新たなホラーキャラクター“シライサン”の恐怖を
描いたホラー映画

人気小説家として知られる乙一が安達寛高の名義で
長編映画監督デビューを果たしています

 

あらすじ
眼球が破裂した死体が立て続けに発見され
死因はいずれも心臓麻痺だが死の直前に
何かに怯えとり憑かれた様子だったという
親友を目の前で亡くした瑞紀と弟を無くした春男は
事件の真相を探る中で詠子という人物にたどりつく

 

感想
怖いし不気味だし
ちゃんとしたホラーとして作られていました
シライサンも怖いキャラに仕上がっていた
でも、やっぱり普通過ぎて物足りない
終盤は怖さに慣れてしまう

 

前からなんとなく観たかった作品
出演している飯豊まりえと稲葉友も
結構好きだというのもあって
映画館まで行って観てきました

正直言って
そんなに期待していなかったんですが
思ったよりも良かったです

普通に怖く思うシーンがいくつもあったし
ストーリーも悪くなかったと思う

王道なJホラーって感じの作風で楽しんで観れました

 

まず、本作のホラーキャラクターの
シライサンがなかなか怖い

見た目がかなり不気味だったし
見せ方も良かったです

序盤ではシライサンはそこまではっきり見せられず
暗闇の中で見えるか見えないかくらいの
かなり曖昧な姿で映し出される

確かにそこには何かがいるけども全貌はわからない
そして、その何かがゆっくりと近づいてくるわけです

その映像がすごく不気味で地味にゾッとさせられる
恐怖心を煽られるんですよね


シライサンの顔アップも気持ち悪くて
なかなか怖いです

中盤あたりでシライサンの姿がハッキリと
見えるんですが
ハッキリ見えたときも異形の姿にゾッとさせられる


そんな感じで
シライサンのビジュアル面はすごく良かった
この見た目だけでも恐怖を煽られると思います

そういった点では
ホラー映画のキャラクターとしては
出来が良かったんじゃないでしょうか

 

そして、ストーリーなんですが
これはシンプルなホラーって感じで
とてもわかりやすいし最後まで飽きずに観れた

内容は王道のホラーって感じで
呪いの解き方や呪いの真相を
主人公たちが追っていき
その道中で不可解なことに襲われる
みたいな日本のホラーによくあるやつ

「リング」とかとやってることは同じです

そんな内容なので
それなりに物語には引き込まれて
最後まで見せられてしまいます

ストーリー自体はよくあるパターンなので
そんなに面白くはないですが
所々に怖いシーンが散りばめられているし
ホラー映画としては全然いいほうだと思いました

 

とにかく
ホラー映画としては単純に怖がることができるし
最近の日本のホラー映画の中では
まだ全然良い出来の映画だと思いました

ただ、やっぱり普通過ぎてちょっとつまらない
ホラー映画をよく観る人なら
この映画は物足りなくて満足できないと思います


ちょっと微妙なところも多々あるし
全体的に間延びしていたような気もしますし
めちゃくちゃ良かったホラーかと言うと
そうでもありませんでした

やってることがほぼ「リング」と同じという時点で
新鮮味はないわけですし…
「リング」って20年以上も前の映画で
いまだにそれと同じじゃ少し古臭いと思いますしね


いろいろ気になる所はあったんですが

特に思ったのが
スタミナ切れしてるよな
ってところですね

はじめはシライサンの見せ方や風貌が
とても怖いしゾクゾクさせられたんですが
途中からは全然怖くないです

はじめにスタートダッシュを頑張り過ぎたのか
中盤以降のシライサンの見せ方がちょっと雑

シライサンを見慣れてしまっているのも相まって
怖さが完全に無くなってしまっています

序盤の暗闇の遠くのほうに見えるような演出や
中盤近くのシライサンのアップなど
前半でいろいろやってしまい
中盤以降はやることがなくなってしまったんでしょうか?

なんか変な見せ方が多い

シライサンを見つめていれば動かない
というシーンでは
主人公たちがひたすらシライサンを見つめて
動きを止め続けるんですが
このシーンはちょっと滑稽

なんかシュールなギャグシーンにも見えてきます

ここではシライサンの姿も
はっきり見えたままなので
見た目の怖さにも完全に慣れてしまって
もはや可愛くすら見えてきます


終盤には昼間の明るい時間にも
シライサンが登場して
完全に姿がくっきりと見えてしまうんですよね

こんな異形の姿の怪物を
明るい場所で見せられてしまったら
作り物ってことをすごく感じてしまいます

偽物感がすごいというか
所詮フィクションだったということを
突きつけられる

こんなキャラって暗くて見えづらいからこそ
どことなくリアリティーも感じれて
もしかしたら自分のもとにも来るんじゃないのか
みたいな恐怖心を抱けるものですが

光を当てちゃやっぱり駄目ですね
どんなに気持ち悪い見た目でも
少し滑稽に見えてしまいます

 

それと、ストーリーの流れも
あまり良くないように感じました

99分とそんなに長くない映画ですけども
体感時間は長く感じた

ちょっとテンポが悪いし
時間の割に内容が薄すぎる気がしましたし

時間を持て余して
無駄に時間を引き延ばしているような印象を受けました


ストーリーがシンプル過ぎて
やることがなくなったんですかね?

シライサンを見つめて止めておくシーンなんかも
無駄に長かった
瑞紀と死んだ友達とのやり取りとか
どうでもいいように思ったし
ちょっとくどすぎる気もしました


それに、どうでもいいような会話シーンも
すごく多かったですよね

瑞紀と春男の会話なんて
物語とは全然関係なかったりする

会話シーン単体で見れば
あの他人同士だからの絶妙に気まずい感じの会話シーンは
面白くも思うんですけど

ホラー映画としてはすごく無駄なように思う
その会話が後の展開に繋がってくるわけでもないし


シライサンからの逃れ方がわかった
というシーンでも

シライサンの噂を拡散するかどうかでもめるだけで
実際は何も行動しないまま
結局どちらにしろ誰かが犠牲になるのは
変わらないまま解決せずに終わります

じゃあ、このやり取りには何の意味があったのか?
とモヤモヤが残ってしまう
ここから解決へのカギが見つかるのなら
納得できるけど
このシーンから全く何も生まれないので
このシーン自体が無駄に思ってしまう


そして、無駄なシーンが多かった割には
伏線とかは投げっぱなしだったりもしましたね

あえて謎を残しているのかもしれませんが
無駄なシーンで時間を埋めるのなら
シライサンの謎の部分を掘り下げたほうが
いいと思いますが

結局、シライサンが何だったのとかは
謎のまま終わっていきますしね

ホラーだからの後味の悪さと言うよりも
この映画に納得できない後味の悪さが
残ってしまいました

 

まあ、いろいろ言いましたが
普段あまりホラーを見ない人たちなら
この映画はなかなか怖いと思うし
面白く観れると思います

ホラーをよく観る人なら
よくある普通過ぎる内容に物足りなくて
余計なところやツッコミどころなど
粗が気になっていしまうかも

でも、最近の日本のホラー映画の中では
かなりましですよ
まともなホラー映画だと思います

 


小説 シライサン (角川文庫)