何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「N号棟」感想 ミッドサマーっぽいなにか

どうもきいつです


ホラー映画「N号棟」観ました

2000年に岐阜県富町で起きた幽霊団地事件をモチーフに描かれたホラー
幽霊が出ると噂される廃団地を訪れた大学生たちが怪現象に襲われます

監督、脚本は「世にも奇妙な物語」シリーズに携わってきた後藤庸介が務め
主演は「成れの果て」などの萩原みのりです

 

あらすじ
女子大生の史織は同じ大学の啓太と真帆と共に心霊現象が噂される廃団地を訪れる
しかし、廃墟のはずの団地には多くの住民が住んでいた
そして、史織たちの前で心霊現象が発生し自殺する住人まで現れる
そんな中、住民たちは顔色ひとつ変えず
怯える若者たちを仲間にしようと迫ってくるのだった

 

感想
「ミッドサマー」っぽくしたい作品なのはわかります
ただ、それっぽ過ぎて
もはやオリジナリティが無い
主人公の言動が支離滅裂だしストーリーは説明不足だし
結局、何を伝えたい映画なのかわからなかった
ホラーとしてもあまり面白くない

 

前から気になっていたので観てきました

予告を見る限り怖そうなジャパニーズホラーって印象でしたが
実際に観てみると完全に「ミッドサマー」でしたね

「ミッドサマー」を観たことある人なら
これはみんな思うことでしょう

 

正直言うと
「ミッドサマー」には全然及んでいないし
オリジナリティもないし
ホラーとしても特別な魅力はないし
結局、なんだかよくわからないし

全体的に中途半端で面白い映画ではないです

 

まずは「ミッドサマー」っぽいという話から

そもそも何らかの作品の影響を受けて
それっぽい作品を作ること自体は悪くないと思います

既存の作品を自分なりの解釈でアップデートしてみたり
自分なりの表現をしてみたり
そこから新しい道が開けていくこともあると思います

本作の場合は
「ミッドサマー」に影響を受けているのは十分に理解できて
そういう作品を作りたかったんだろうなと思います

ただ、あまりにも「ミッドサマー」の要素が多すぎますよね
全体の流れも「ミッドサマー」だし所々の細かい部分も「ミッドサマー」

若者たちが異様なコミュニティの中に入り
どんどんと侵食されていく流れはそのまんまで

主人公のメンヘラっぽいキャラ設定だったり
大学の課題のためその場所に訪れたり

さらには
外での食事会や謎のダンス
得たいの知れない飲み物
コミュニティの誰かが自殺しても全く動じない住民たち

コミュニティが必要以上に個々との繋がりにこだわっているのなんて
まさしく「ミッドサマー」

てか、考察ありきの作風が「ミッドサマー」そのものですし

さすがに何から何まで「ミッドサマー」過ぎるんですよ

これはパクりと言われても文句は言えないです


影響を受けてオマージュするのは構わないけど
やり過ぎればオリジナリティが損なわれる

せめて、全体の流れを似せるのならば
細かい要素や場面などはオリジナリティのあるもので勝負すべきだと思うし

逆に食事やダンスみたいな場面をオマージュで差し込むのなら
全体の流れはもう少しオリジナリティのあるもにすべきだと思うんですよ


まあ、作っている側もこれじゃあ「ミッドサマー」過ぎると思ったのか
本作では「死」というテーマが扱われています

でも、9割くらい「ミッドサマー」でやっちゃってるので
このテーマの整合性が悪い

「ミッドサマー」に無理やり別のテーマをねじ込んだような居心地の悪さもあり
結果的に「死」というテーマが全然しっくりこない

テーマがしっくりこないのは
「ミッドサマー」要素を詰め込みすぎて
「死」というテーマが地に足ついていないからだと思います

 

で、「ミッドサマー」っぽ過ぎる件を抜きにしても
本作は微妙な部分が多いです

特に感じるのは説明不足

公式に考察型ホラーみたいなことを言っているみたいですね

これを言っちゃってる時点でダサいんですけども…

考察するかどうかは観る側のこっちが決めることで
そちらから考察しろと言われましても…
って感じですよ


それに考察するにしても
そこに至るまでの説明やヒントは絶対に必要で
何もないところから考察なんてできないわけです

本作は確かに意味深な場面とかはいろいろとあるんですが
じゃあその意味深なものには本当に意味があるのかな?
と考えたところで
あまり意味があるようには思えない

「死」というテーマもどういう意味合いで扱っているのかが曖昧で
それを通して何を伝えたいのかはあまりわからない

幽霊の存在に関しても中途半端に扱っていて
最後まで観ても
結局、この作品においての幽霊の立ち位置がよくわからん

意味深だけど最後まで放ったらかしなことが多くて
意味がわからないで終わってしまう


その点では「ミッドサマー」は
細かいところまで伏線が散りばめられていて
説明すべきところはしっかり説明しています
考察するための土台はちゃんと用意してくれているわけです

「ミッドサマー」の表面的な部分はいろいろ拝借してるのに
根本の部分には全く影響を受けてなくて
それが本作がダメな所以なのかもしれません

 

そして、登場人物たちの言動が支離滅裂ですよね
これは単純に観ていて不快になるレベル

主人公の史織なんて本当に酷いもんで
最初から最後まで何のために行動しているのか全く理解できません
全てが唐突で理解不能
行動原理は不明だし情緒不安定だし
感情移入ができなければ好きにもなれない

この女がただのヤリマンメンヘラ女にしか思えません

てか、死に対して異常に恐怖を抱いているという設定なのに
死のリスクがあるにも関わらず
危険な行動を自ら進んで行っているのは明らかに矛盾ですし

で、そんなリスクを伴う行動には強い意思や行動原理があるわけでもなく
なんとなく行動してるだけ
何故かわからないけど無駄に行動力だけが先走ってるんです

そもそも、元カレについて団地に行く理由が謎だし
嘘をついてまで団地に居座るのも謎
団地の住人を必要以上に敵視してたり疑ってたりするのも謎
急に団地の真相を解き明かそうと行動し出すのも謎

こいつ一体何をしたいんだよ
目的がわからん
汚い廃墟の団地で友達の彼氏とセックスがしたかったんですか?
ただの痴女やん


元カレの啓太や友達の真帆も
フワッとした理由で団地住民に取り込まれてしまう

主人公を含めた三角関係はいまいち機能することなく
ただ気持ち悪いだけだったし


団地の住人たちは
何に執着してるのかよくわからん
何を思いこのコミュニティに属してるのかは不明です


登場人物たちがみんな
ただストーリーを進めるための駒でしかないですよね

なぜ行動しているのか
どんな思いなのか
そんなものは全く描かれず
淡々とストーリー進行に合わせて動いてるだけ

もはや彼女たちに意思はない
ゾンビです

この映画はゾンビ映画だったんですね

 

幽霊の扱いやゴア描写に関しても
インパクトのあるものは見せてもらえず
ホラーとしても全然楽しめませんでした

そんなことなら幽霊のような超常的なものは無しにして
シンプルにカルト集団の怖さみたいなのだけでいけば良かったんじゃないでしょうか

オカルトなのかカルトなのかどっち付かずで
そういう所も中途半端でしたね

 

団地の見せ方やロケーションの良さはありましたけど
それを全く上手く生かせず
ただ「ミッドサマー」っぽいだけの映画でした

大して練られてもいない意味不明なものを考察しろはただの横暴

なにも言わずとも
観る側が考察したくなる映画を作ってくれ

 


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