何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「さんかく窓の外側は夜」感想 雰囲気は好きだけど物足りない

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どうもきいつです


ミステリー映画「さんかく窓の外側は夜」観ました

ヤマシタトモコによる漫画を実写化した作品
霊を祓うことができる徐霊師と霊を見ることができる青年の2人が
連続殺人事件の真相に挑む姿が描かれるホラーミステリー

「おじいちゃん、死んじゃったって。」の森ガキ侑大が監督を務め
出演するのは岡田将生、志尊淳、平手友梨奈などです

 

あらすじ
幼い頃から霊が見える三角康介は
偶然出会った冷川理人に能力を見い出だされ
彼の助手として徐霊の仕事を手伝うことになる
刑事の半澤から連続殺人の調査を依頼された2人は
真相を探るうちに自殺した殺人犯の声を耳にする

 

感想
ホラーと異能者ものをミックスした設定は面白くて好きです
最初のうちは独特な世界観に引き込まれます
でも、盛り上がりに欠けて物足りない
終盤はテンポも悪かったしちょっと退屈でした

 

原作漫画は全く知りませんでしたが
本作の予告を見て気になったので観に行ってきました

予告の時点ではすごく面白そうだな
と思っていましたけど
実際に観てみるとちょっと微妙でした
期待していたのとちょっと違ったってのもあります


序盤は個人的にも好きな世界観や雰囲気というのもあり映画に引き込まれました

ちょっと冷たい空気感のある映像や
志尊淳と岡田将生の綺麗なツーショット
そこに若干グロめの表現が上手くマッチしていて独特の雰囲気が醸し出されている

徐霊の時にねっとりと志尊淳を触る岡田将生
という映像もなかなか面白いです

映像的にはすごく好きだなと思わされました


さらに、中二病な設定も個人的には好き

それぞれの特殊能力をお互いに補いあって威力倍増みたいなのは
バディものの定番でワクワクさせられます

幽霊や呪いなどのオカルトな世界観もめっちゃ好きなので
それだけでこの映画の期待値が上げらる


ただ、引き込まれたのは最初のうちだけで
そこからは尻すぼみ
終盤になるにつれ
退屈だなと思わされてしまいました

 

特に全体的に物足りなさを感じます

パンチが弱いというのもあるし
説明不足や伏線回収できてなかったり
観終えた後になんかモヤモヤがすごく残る

もうちょい欲しいんですけど
って気持ちになりました


中でも
幽霊が見える三角と徐霊ができる冷川がコンビを組んで能力を発揮する
ってストーリーなのに
あまり能力を発揮してないのがめっちゃ不満

そもそも全然徐霊してないし

軽くこんな仕事しましたよって回想が一瞬あるくらいで
早い段階で呪いがどうとか謎の方向へシフトしていく

呪いの話もいいですけど
徐霊は?
凶悪な幽霊と戦ったりはしないの?

物語の導入から考えて
そっち方面へ期待してしまうのは必然で
僕以外にもそう思った人は間違いなくいると思う

思わせぶりなことをしておいて
幽霊退治の仕事に触れないのはちょっとムカつく

たぶんですけど
原作では徐霊エピソードがしっかり描かれてるんじゃないかと思う
それがあっての呪いのエピソードなんじゃないかと

映画化にあたって
そこが時間の都合でカットされてるんじゃないでしょうかね

 

それと、物語が盛り上がらないというのも問題ある気がします

一番盛り上がりそうな終盤の展開ですらいまいち盛り上がりません

えっ?これで終わり?
って感じなんですよね…

終盤の大きな盛り上がりが無いのも問題ですが
小さな盛り上がりも全然無くて
全体的にとても淡々としている

退屈な場面が多かった印象です

 

これは結局
ストーリーだけを描こうとしてるからだと思うんです

人間ドラマや人物描写を放ったらかしで
ストーリーだけが先走ってるように感じる

終盤の呪いを解く解決法が
冷川のトラウマからの脱却なんですが
そこに至るまでのドラマが薄いから
ここだけドラマチックにされても全然盛り上がらない

冷川と三角の絆みたいなのも見せられるけど
そこに至るまでの積み重ねがないから
そんなに感動的にも思えませんし


他にもストーリーだけが先行してるなって思わされる部分がたくさんあって

さっき言った徐霊の場面が少ないというのもそれ

この映画において
三角と冷川が協力して徐霊の仕事をこなすというのは重要だと思います
これを経て2人の絆の深まりなどの関係性を描けるはずです

それ無しで
2人の考え方の違いで三角が失望して離れていく
って展開をやられても
正直、なにそれって感じ

BL的な要素も2人の関係性の描写が薄いから
中途半端でちょっとキモくなってしまってる

2人の絆が物語のキーでもあるのに
そこがあまりにも描かれてないと思うんですよね
で、作品自体も薄っぺらくなってるんですよ


他のキャラにしたって
描写が薄くてキャラが定まっていない

呪いをかけてる非浦英莉可も
最後まで目的がよくわからんし
どんな気持ちで行動してるのかもよくわからん

教祖の指示に従って呪いをかけてるにしても
なぜ従ってるのかの説明がないし
バックボーンもあまりわからないので
感情移入が全然できなかった

終盤で救いを求めてるけど
あんなに人を殺しておいて自分のことだけかよって腹が立ちましたし
好きになれるキャラではないですよね

英莉可を演じる平手友梨奈は個人的に好きなんですけど
本作に関しては全然魅力を発揮できてなかった
あまり可愛くないと言うか…
ただ暗いだけの女って感じでしたね


刑事の半澤もキャラがブレてていまいち

信じない力が強いとか言ってるけど
結構いろいろ信じてるし…

三角に対しては彼を心配してる素振りを見せて
冷川の過去の話をしたりする
いい人って感じで人を信じないタイプには思えない

幽霊を信じないってところも
冷川を頼ってる時点で信じてるってことじゃないの?

もっと人を疑ってかかるとか
死体や霊的なものを蔑ろに扱うとか
そんな描写があればそこに納得もできるんですけどね…


そんな行動原理のわからない薄いキャラが繋がっていっても
結局、薄いドラマしか生まれず
ストーリーが進んでいくだけで中身は空っぽ

観ていても感情が全く動きません

 

あとは
説明不足がほんとに多いですね

三角や冷川の能力なんかも
どんな能力なのかそんなにわからない

幽霊が見える
徐霊ができる
ってのはわかるけど

徐霊するときに手をかざして幽霊が消えるのは
なにそれって感じです

幽霊の過去が見えたりしてるけど
それは三角の能力なのか冷川の能力なのか曖昧だし
過去が見えることがどう作用して徐霊されてるのかも謎

生前の心残りを解消して徐霊とかなら納得できるんですが
この映画は幽霊がただ消えてるだけなんですよ

呪いの装置なんかも仕組みが曖昧
何を集めてるのかもわからんし集め方もよくわからない
教祖の目的やその後どうなったのかも謎

いろいろと放ったらかしなのは不満です
納得できないことが多いから最後まで観てもモヤモヤする


で、重要な要素をカットしなければならないほど尺が足りなかったのかと言うと
そうでもないように思う

無駄なシーンも結構多いんですよね

冷川の過去のシーンなんかは
何回も見せられてくどかったですし

終盤の展開もやたらとテンポ悪くて
ダラダラと過去の説明ばかり

全体的に
思わせぶりなシーンや伏線みたいなシーンとかが無駄に多いように思いました

そのわりにあまり回収しないですけどね…

 

それと、もう1つ気になったのが
幽霊のビジュアルが微妙なところ

浮浪者レベル100みたいな風貌であまり怖くないしチープ

なんであんな変な見た目にしてしまったんでしょうか?
CGを使ってるのもとてもチープに見えてしまいますし

もっとオーソドックスなJホラーっぽいビジュアルでよかったんじゃないかと思う

ホラーと言うよりファンタジーみたくなってしまってるのがもったいないですよね…

 

雰囲気や設定など
素材はとてもいいと思うんですが
中身がそれに伴ってないような映画でした

もっと怖くできただろうし
もっとドラマチックにできただろうし
もっとワクワクする作品が作れたと思う

なんかもったいない映画でした

 


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