何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「パラサイト 半地下の家族」感想 とても面白くて楽しめた映画 そこまで深くは思わなかったけど

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どうもきいつです


韓国映画「パラサイト 半地下の家族」観ました

2019年の第72回カンヌ映画祭で
韓国映画初となるパルムドールを
受賞した作品
半地下に暮らす貧しい家族と
豪邸に暮らす裕福な家族との
出会いから始まる物語を描いたサスペンス

監督は「グエムル 漢江の怪物」などの
ポン・ジュノが務めています

 

あらすじ
半地下に暮らすキム一家は家族4人ともが
失業中で日々の生活にも苦労していた
そんなある日、長男のギウがIT企業のCEO
であるパクの豪邸で家庭教師として働くことに
そして、兄に続いて妹のギジョンも
パクの豪邸に足を踏み入れる

 

感想
重たい内容であるものの
エンターテイメントととして
とても面白く楽しめる映画でした
予想外の展開にハラハラドキドキさせられます
ただ思ったのは
この映画を観た人たちは
情報に踊らされてる感じがする

 

今話題の本作
予告を見た時点ですごく面白そうだったので
とても期待して観に行ってきました

そして、期待通り面白かった


社会派ドラマで重そうな雰囲気も
ありますが
想像以上にコミカルでエンターテイメントな
作風の映画です

そんなに小難しくもなく単純に面白いと思える

 

まず、アイデアが面白いですよね

全員失業中の貧乏一家が
豪邸に住む金持ち一家を巧みに騙して
タイトル通りパラサイトする

この過程が普通に面白いし
所々にブラックジョークもはさみつつ
物語が展開していきます

笑えるしスリルがあるし
最終的には社会問題についても
考えさせられるし
いろいろと心を揺さぶられました

まるでジェットコースターですね


特に主人公たちキム一家が
パク一家の懐に入り込んでいく様が
とても面白く描かれてました


キム一家が作戦を練り工夫を凝らして
1つ1つミッションをクリアしていく様子は
まるでクライム映画やスパイ映画のよう

それぞれの特技を生かしつつ
いかにパクさん家に雇ってもらうかを
面白おかしく見せてくれます

この部分は
この先どうなるんだろう?
とハラハラしながら観れましたし
キム一家の立ち振舞いはカッコ良くも見えて
なんかスタイリッシュですよね


しかし、後半になると
とある出来事をきっかけに物語は一転して
とんでもないことになります

すごくバイオレンスで
すごく重苦しい
今までとは雰囲気ががらりと変わります

ここでは、社会の闇や
人間の愚かさなどが描かれていて
とてもやるせない気持ちになる


とにかく、感情が揺さぶられる映画
だったと思います
気持ちの浮き沈みも激しく
少し不安定な気持ちにさせられた

それがこの映画の面白い部分でも
あると思います

 

そして、登場人物もそれぞれ
面白いキャラクターをしていて
みんな好感が持てる


キム一家は人を騙してるとは言え
どことなく愛嬌のある家族で
そんなに嫌いにはなれない

貧乏でどうしようもない家族だけど
家族の仲はとても良好で
お互いを信頼しあっている家族なんです

息子のギウは
すごく父親を尊敬しているようにも見えますし
中身はしっかりとした人たちなんだと思う

それに意外と頭が良かったり
すごい能力に長けていたりと
才能や能力は持っているのに
報われない人たちでもあります


それに対するパク一家は
なかなかの大金持ち
生活には全く不自由していないです

かと言って
典型的な嫌な金持ちというわけでもなく
むしろ、とても良い人たちなんですよ

金を持っているだけでなく
人としてもできた人たち

家族の仲もすごく良いし
家庭に問題なんて無い
絵に描いたような幸せ家族です


特に奥さんがいいキャラしてましたね
すごくいい人で簡単に騙される
そこが可愛らしくもあります

所々に英語をまじえて喋るのも
ルー大柴みたいで面白い

金持ちなのに全然嫌味ったらしくない
面白いキャラクターでした

 

そんな感じでとても面白い映画
最後まで楽しめたんですが

ちょっとみんな過大評価な気もしてしまう

みんな超大絶賛してますよね

社会問題に切り込んでいて
すごく考えさせられる
みたいな感想が多いです


でも、僕的にはそこはそんなに刺さらなかったし
エンターテイメントとして楽しめたな
ってくらいの感想

楽しめたとはいえ
人間ドラマが薄い印象のある
映画でもあったので

こんなにみんながみんな大絶賛している
状況には少し違和感を感じます


それに観る人によって
見えかたが変わってくるような
映画だとも思うので
みんなが同じ方向を向いて
絶賛しているのはなんか変

観る人の環境や立場によっても
この映画の見え方は違ってくるとも思うし
1つの視点ではなくいろんな角度で観ること
のできる作品だとも思う

みんな前情報にちょっと踊らせれてるのかな?
って印象を感じました

社会派映画とか
ネタバレ厳禁とか
パルムドールとか
そんな情報に引っ張られて
なんかすごい映画として見なくちゃいけない
みたいに思ってしまってるのかも

僕がこの映画を観た感想は
もう少し軽い気持ちで
楽しみながら観るライトな映画
のような気がしたので


ネタバレに関しては
別にそこは重要じゃないと思います
この映画の面白さの本質は
そこじゃないと思いました

 


で、人間ドラマの薄さの話をすると

アイデアは面白かったけど
中身がちょっと弱いと思います

人間ドラマがあまり深く描かれていない

キム一家の作戦は基本トントン拍子で
あっさりしていて
その過程で人間らしさが見えてこない
それに、パク一家に寄生してから
その先が無いんですよ

この人たちはとりあえず仕事が見つかれば
それで終わりでいいのか?
と疑問が浮かんでくる

それじゃあ結局その場しのぎで
今までとそんなに変わらないし
キム一家には向上心が無いんですよね

それはいいとして
そこを深掘りしてキム一家の問題を
浮き彫りにしていけば
そこから別のドラマが生まれそうですが
そういう方向には話が進みません


あと、キム一家とパク一家の対比
というのも貧乏か裕福かという部分だけです

人間的な部分での対比はあまり描かれていない

この2組の関係性はとても重要だと
思うんですが
ただ騙し騙されの面白展開の関係性の
部分しか見せられないんですよね

人間的にどう違うのか?
貧富の差によって人間は
どう変化するのか?
みたいなものはほとんどない

見ようによってはどっちも幸せ家族で
キム一家もそこまで不幸には見えないわけです

だから人間ドラマがちょっと弱く
感じてしまい
少し盛り上りに欠ける


そんな前半の弱さがあるから
後半の展開が粗っぽく感じるんです

かなり悲惨な結末を迎えるわけですが
そうなったきっかけが弱い
行動原理が理解しがたい

なんとなくはわかるんです
臭いの描写もすごくいいと思うし

でも、前半のドラマ部分が弱いから
さすがに臭いの事だけであんなことしないだろ
って思ってしまいます


終盤は衝撃だし重たい話になるし
かなりインパクトが強いので
それだけで引き込まれるんですが

冷静に考えるとちょっと強引だと思うし
力技だなって感じの展開でした

 

で、みんなが絶賛している
社会問題について考えさせられる
という部分ですが
個人的にはもう一歩先まで描いてほしかった

確かに社会の問題提起はされてますけど
それで終わってるような気がする

世の中には貧富の差があり
それがきっかけで悲惨なことが起きる
かもしれない

みたいなことは伝わります

でも、そんな現状があるのは伝わるけど
そんな中で人間はどう生きるべきか
どうあるべきなのか
という部分は見せてくれない

本作と似たようなテーマの作品では
「万引き家族」や「ジョーカー」などを
思い出しますが
これらはその先を描いていたと思うんですよね

「万引き家族」の場合は
最悪な結末をむかえますが
そこには本当の絆を感じれるし
希望も感じれた

「ジョーカー」はそんな世界をぶっ壊すことで
カタルシスを感じれる映画でした


ただ、本作の結末は
希望も感じなければカタルシスもない

キム一家の父親がパクを殺すのは
いまいち動機が弱くて
そこで何かが爆発したようには感じれなく
カタルシスがあまり感じれないし


ラストのギウの決意も
その前に計画を立てることを
父親が否定する描写があるので
全然希望を持てない終わりかたに
見えてしまいました

ギウが父親の言葉を聞いて
それでも計画を立てることの意味を
押し通してるのなら話は別ですが

ギウにそこまでの意思は感じれないまま
終わってしまいますしね


ただ、それだけでも
社会の現状を知り
それについて考えさせられるのは
間違いないので
全然悪くはないと思いますが

もっと深い部分まで踏み込んでほしかったな
って気持ちはあります

 

ちょっと期待値が高かっただけに
ハードルが上がっていたのかもしれません
普通に観るととても面白いし
楽しめるエンターテイメントですから

賞を取ってるからすごい映画
社会問題を取り扱ってるから深い映画
そんな固定概念を捨てて観るほうが
この映画は楽しめると思います

賞を取って話題になってるから
仕方ないとは思うけど
もっとフラットな気持ちで観ると
この映画の本質も見えてくると思う

 


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映画「フォードvsフェラーリ」感想 熱い戦いに感動した レースの臨場感がすごい

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どうもきいつです


伝記映画「フォードvsフェラーリ」観ました

1966年のル・マン24時間レースをめぐる実話を
基に映画化した伝記ドラマ
レースで絶対王者に君臨していたフェラーリに
勝負を挑んだフォードの男たちを描いています

監督は「LOGAN/ローガン」などの
ジェームズ・マンゴールドが務め
フェラーリに挑む男たちを
マット・デイモン、クリスチャン・ベイルが
演じています

 

あらすじ
元カーレーサーのキャロル・シェルビーは
レースの常勝チームのフェラーリ社に
勝つようフォード・モーター社から命じられる
敵を倒すための新車開発に励む彼は
破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに
目をつけ上層部の反発を反発を受けながらも
マイルズをチームに引き入れる
そして、2人はフェラーリに勝つため力を合わせ
試練を乗り越えていく

 

感想
2人の勝利に対する熱い思いに
感動させられた
レースシーンの臨場感もすごい
音や映像がすばらしく
見ているだけで興奮する
かなり見応えのある映画でした

 

予告を見て面白そうだったので
観てきました

僕は車にはあまり詳しくないし
フォードやフェラーリもよくわからない
なんとなく自動車を作ってる会社と
知ってるくらいの知識で
思い入れも何も無いんですけども

普通にこの映画は楽しんでみれました
結構、感動しましたよ
良い映画だと思いました
個人的にもかなり好きなタイプの映画です

 

映画の内容は
全く敵わないような相手に
男たちがそれでも勝つために
立ち向かっていく
というかなり熱い物語

そんな中で
シェルビーとマイルズの友情や絆
それぞれの意地や思い

そして、本当の敵はフェラーリではなくて…

みたいな
かなり人間ドラマがしっかりとしていて
映画を観ている側も
すごく熱い気持ちになってきます

とにかく、観ているとすごく引き込まれる

いつの間にか
シェルビー、マイルズのフォードのチームを
めちゃくちゃ応援してしまってる

2人に立ちふさがる障害がある度に
頑張れ!!とエールを贈りたくなる

フォードのお偉いさんがたが
身勝手な事をしたり
理不尽な要求を押し付けたりすれば
すごく腹が立つし

ケンがフェラーリを追い抜いたときは
ガッツポーズをしたくなる


この映画を観ていると
こちら側も映画の中のチームと一緒に
一喜一憂してるんです

すごく感情を揺さぶられる映画
だったと思います


シェルビーとマイルズの2人の人物描写も
すごく良くて
2人ともとても魅力的なキャラクターに
なっていると思います

シェルビー、マイルズは共に
レースに対する思い入れがとても強く

特にマイルズはこだわりが強すぎて
自己中心的にすら見える
でも、それは純粋に速さを求めるがゆえで
その心の奥には家族への愛や
より良いものを作りたいという職人気質な
性格が溢れています

はじめは良い印象を持てなかったマイルズですが
最終的にはすごく好きになってました


シェルビーに関しても
フォード社の上層部の人間たちの思惑と
チームとしてレースで絶対に勝つ
という気持ちとの間で板挟みになり
苦悩や葛藤していく姿は
すごく感情移入してしまいます

そんな中だからこそ
彼の強い思いや信念を感じることができて
とても魅力的に見えました


そんな2人の人間関係も
とても面白く描かれていて

はじめはビジネスパートナーのように
ちょっと距離も感じられますが
壁にぶち当たり試練を乗り越える度に
徐々に2人の絆が深まっていく

そして、最終的にはレースで
勝利を掴み取る姿には
感動させられました


そんな人間ドラマに
引き込まれるような魅力があるから
車に詳しくなくても面白く観れたのでは
ないでしょうかね

 

そして、本作の目玉と言っても過言ではない
レースの場面

これが本当にすごかった

臨場感が半端なく
この映像には完全に心を鷲掴みにされました

レース中の車のスピード感
エンジンの音
操縦者の緊迫感

そのとれもが全身で
感じとることができるんですよ

僕は通常の上映で観たんですが
IMAX上映で観たらヤバいでしょ
もっと興奮できたと思います

レーサーたちがいかに限界に挑んでいるのかが
この極限を形にしたような映像から
ひしひしと伝わってくる

レースのシーンは
半端なくハラハラドキドキで
ものすごい興奮を味わえました


そして、レースの結末ですが

これはめっちゃムカつきますよね
フォードが大嫌いになる

2代目の社長も意外と良いとこあるな
と思ったけど
結局、嫌なやつだと思わされるし

会社という組織の嫌な部分を
これでもかと見せつけられましたね


ただ、そんな最悪なレースの結末で
後味が悪いのかと言うと
全然そんなことはなくて

むしろ、清々しい気持ちになる

結果的には優勝できなかったけど
達成感はすごくあるんです

それはシェルビーとマイルズが
本当の意味で戦いに勝ったからだと思います

実際に彼らが勝負に懸ける思いは本物で
最後までその気持ちを貫いている

そして、フェラーリをも押さえつけ
実質ダントツのトップに躍り出る訳です

最終的にマイルズが同着という選択を
選んだのはこのレースに満足できたから
この時にマイルズは本当に大切な何かを
手に入れることができたような気がする


この物語の結末も
とても切なく悲しいようにも思えますが

そんなに嫌な気分にはならないんですよね
なんか心が暖まるような感じもする

すばらしい人間の生きざまを目の当たりにして
こんな生き方は羨ましいな
と思わされました

こういう人間に憧れるし
自分もそんな生き方がしたいです

カッコいい男たちの姿に
感動させられました

 

こんな熱い映画は大好きです
めっちゃ感動させられ
興奮させられた

この臨場感溢れるレースシーンは
是非映画館で体感してほしいですね

とてもすばらしい映画だったと思います

 


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映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」感想 なんか地味に怖い映画

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どうもきいつです


ホラー映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」観ました

低予算で製作されながらも世界中で
大ヒットとなった1999年のホラー映画
魔女伝説を題材にしたドキュメンタリーを
撮るため森へ立ち入り
そこで恐怖に飲み込まれていく3人の姿を描いた
モキュメンタリーホラー作品です

監督はダニエル・マイリックと
エドゥアルド・サンチェスが務めています

 

あらすじ
大学生のヘザー、ジョシュ、マイクの3人は
大学の課題のため魔女伝説ブレア・ウィッチ
についてのドキュメンタリー映像の
撮影を始める
地元のインタビューを終えた3人は
ブラック・ヒルズの森へ入り撮影を始めるが
道に迷い森の中をさ迷うことになる

 

感想
昔観たときよりも面白く観れた
今ではありがちなPOV映画だけど
それでも、本作はその元祖なだけあり
工夫が凝らされた作品
地味に怖い映画だと思いました

 

子供の頃に観た映画だったんですが
あらためて観てみました

昔観たときは
オバケが出てくるわけでもなく
若者3人が森で迷って
ひたすらケンカしてるだけの内容に
正直つまらないと思ったんですが

あれから20年ほどだった今
あらためて観てみると意外と
面白く観ることができました

 

この映画を簡単に説明すると
大学生がひたすら森で迷う映画です

ホラーですけど直接的に
怪物や幽霊が現れるわけでもなく
何かがいそうな雰囲気があるだけ

所々に超常的なことは起きますが
そんなのは微々たるもので

基本は森をさ迷っている映像が
ひたすら続く


そんな映画なので
アメリカ的なホラーを期待すると
完全に期待はずれで
めっちゃつまらない映画と思ってしまう

僕も子供の頃に観たときは
最後まで何も出てこないから
なにこれつまらん
みたいな感想でした

だってほとんどホラーな描写なんて
無いです
驚かすような演出も無いし

大学生のケンカだけを見せられて
何が面白いんだよ
って内容ですもんね

 

でも、少し見方を変えてみると
意外と面白いと思えたし
怖さを感じることもできた

まず、根本的に
この作品をアメリカ的なホラーとして
観るのが間違っていたのかもしれません

むしろ、本作は日本的なホラー映画に近いと思う

何かがいそうでいない
なんかヤバそうな雰囲気を感じる
何か不気味な気配がある
みたいな

そんな恐怖の形を突き詰めた作品だと
思えます

日本のホラーでもそんなゾクゾクするような
恐怖演出があるにしても
結局はビジュアルであったり
急に現れて驚かすみたいな
力技で怖がらしたりしてます


でも、本作は完全にその力技の部分は
捨て去って
純粋に雰囲気の怖さだけで勝負している

暗闇の恐怖
何かに狙われている気がする恐怖
絶望的な状況からの抜け出せない恐怖

そんな漠然とした恐怖を表現しようと
している作品なんですよ

だから、ちょっと掴み所がなくて
伝わりづらくなってるんですが

その表現したいことと表現方法が
ピッタリとハマっていると思う


今では当たり前な
POVモキュメンタリー映画ですが
当時はかなり斬新でしたよね

その撮影方法が
本作の恐怖表現に上手く機能している

本当に起きた出来事のように見せる
ということがこの作品で最も重要なところ

本物っぽい映像だからこそ
臨場感が生まれ
本人目線の映像だから
それだけで感情移入もできるわけです

だから、特に説明など無くても
観てる側も登場人物たちと同じように
恐怖を感じることができる

派手な演出が無くても
その場にいるような雰囲気で
地味な恐怖をじわじわと
味わえるんですよね


終始地味な映像が続いて
若干飽きそうにもなってくるんですが
そんな時にちょっと話が展開したり
怖い演出を入れてくるのも
工夫が感じれます

でも、わかりやすくオバケが現れる
みたいな演出ではなく
リアルな範囲内でそれを見せるから
ノンフィクション感は薄れない程度で
気持ちは引き離されない

でも、おかしなことは起きているわけです

そういうのが絶妙なさじ加減だと
思いました


そして、全体的に地味なんですが
ラストの展開は地味ながらに盛り上がります

ここでもやっぱり明確には何かが
起きているわけではないんですが

登場人物たちの感情の高まりなどが感じれるし
明らかに何かが起きている雰囲気は
ビンビンと感じられる

結末も何が起きたかはわからず
でも何かが起きている
そういう演出が想像力を掻き立てて
なんとも言えない恐怖を感じるんですよね

 

ここまではホラー映画的な怖さの話を
したんですが

あらためて本作を観て
この映画の怖さの本質は
そこではないんじゃないのか
と思ったんですよね

この映画で1番怖いと思ったのは
森で迷ってしまうこと
だったんですよ


サメに襲われる映画「オープン・ウォーター」を
観たときにも思ったんですが

この映画はもちろんサメの恐怖を描きつつも
本質はそこじゃなくて
なにもない海のど真ん中で漂流してしまうこと
の恐怖を描いている作品でした


本作も同じで
魔女伝説のある森で得体の知れないものに
狙われてしまう恐怖を描きつつも
本質は森で迷ってしまうことの
恐怖が描かれていると思うんです

だから、地味に嫌な描写が
とても多かったりする

迷い始めたときの
「道に迷っただろ」
「迷ってない」
のやり取りなんかの
絶妙にギクシャクした雰囲気や

川を渡って靴が濡れて気持ち悪いとか
雨が降ってくるとか
一日中歩いて同じ場所に戻ってくるとか

地味に嫌な森に迷った時あるある
みたいなものの積み重ねで
精神をすり減らされていくんです

これがすごくリアルに思えて
実際に自分に置き換えてみると
絶対にこんな状況に陥りたくないと
思ってしまうはず

特に夜の森なんてめちゃくちゃ怖いと思う
何も出てこなくたって怖いですから


それに追い討ちをかけるように
不可解な現象も起きる訳です

そりゃ怖いですよ

この精神状態じゃ
目の前に虫が飛んできただけでも
相当怖いはず

そこを
気持ち悪く積まれた石、謎の木の飾り
変な液体、子供の声、仲間が行方不明
地味なことですが、そんなのが襲いかかって
正気でいられるはずがない

そう考えれば
この映画はなかなか怖いと思える
何かが出てくるから怖いのではなく
何も出てこないから怖い

人間の精神的な恐怖を
すごく上手く表現していると思います

 

あらためて観ることで
いろんなことに気づけた作品でした

今では溢れるほどあるPOV映画ですが
本作は元祖でありつつ
POVの利点をかなり上手く生かした
映画だと思います

この映画を観たら
絶対に森で迷いたくないと思うはず

 


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映画「インターステラー」感想 SFと言うよりファンタジー 壮大な物語に感動した

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どうもきいつです

SF映画「インターステラー」観ました

食料不足や環境の変化によって
人類の滅亡が迫る近未来を舞台に
家族や人類のため未知の宇宙へ
旅立つ男の姿を描いた2014年のSF映画
さまざまな科学的考証用いた演出や
信頼、愛、限られた時間などの
ヒューマンドラマも描かれている作品

監督は「ダークナイト」「インセプション」などの
クリストファー・ノーランが務めています

 

あらすじ
地球規模の食糧難と環境の変化で
人類の滅亡が迫っている近未来
そんな状況の中
宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つ
というミッションに
元エンジニアの男クーパーが抜擢される
彼は地球に残さなければならない家族と
人類滅亡の回避との2つの間で葛藤し
やがて、家族に帰還を約束し
宇宙へ旅立つことを決意する

 

感想
世界観、設定、ストーリー、映像
どれも良かったと思う
SFよりファンタジーのような作品
科学的考証を用いてるというわりには
ちょっとぶっ飛びすぎだったり
ご都合主義の奇跡が起きたりするので
そこは気になりましたが…

 

前から観ようとは思っていたのですが
すごく長い映画だし
腰が重くてずっと後回しにしていた作品
先日やっと観てみました

すごく評判が良いし
とても期待していたんですけど
期待通り面白い映画でした

3時間近くある映画ですが
最後まで引き込まれて
面白く観ることができた

 

まずは世界観や映像がすばらしい

宇宙やさまざまな星の表現は
すごくリアルに見えるし
壮大で荘厳
宇宙の巨大さ大自然の脅威などが
とても感じれます


それぞれ探索で訪れる星の描写も
地球ではあり得ないような
ものすごい世界を見せてくれます

めちゃくちゃ高い超巨大な波が
押し寄せる星や
全てが氷で覆われて雲までもが
凍りついている星など

超自然的な光景を目の当たりに
することができます

とにかく、こんな映像には
すごくワクワクさせられてしまいます
冒険心がくすぐられる

他にもワームホールであったり
ブラックホールであったりと
地球では絶対に見ることができない
と言うか
宇宙に行ったとしても見ることが
できないような
ものすごい景色を堪能できるんですよ

この映像や世界観を感じることが
できるだけでも大満足
すごいものを見せてもらえました

 

ストーリーに関しても
設定を生かしつつ面白い展開になっていて
最後まで楽しんで観ることができます

主人公クーパーの家族に対する思いや
娘マーフィーの父親への思いなど
それらがすごく伝わってくるし

地球に残る家族たちと
宇宙を旅するクーパーとの
時間のズレをストーリーにも面白く絡めて
最終的には感動的な物語に
仕上がっています


1つ目にたどり着いた星での
時間差の展開も面白かったですね

少し滞在するだけでも
星の外ではかなり時間が過ぎてしまう
浦島太郎みたいな展開

そんな星での少しのミスでも
大きく時間をロスしてしまうという
スリルのある展開はハラハラさせられます

味方と思っていた人の裏切りや
絶望的な状況からの逆転劇など
物語にメリハリもあって
最後まで飽きずに楽しめました

ラストも感動的でスッキリした
終わりかたなので
モヤモヤも残らず清々しい気持ちで
映画を見終えることができますしね

宇宙や時間
それを超えるほどの壮大な人間ドラマは
とても見応えがあったと思います

 

科学的な話については
正直、ほとんど理解できませんでしたが…

ちゃんと科学的考証に基づいて
リアルに作られているらしいですけど
その点に関しては本当にそうなのかも
よくわかりませんでした

ただ、完璧にリアルなのかと言えば
そうではないようには思います

映画を面白くするために
いろいろと脚色は施されているだろうし

そもそも、この映画での科学は
オカルト的な領域にも入ってると思います

実際に時間の概念や
ワームホール、ブラックホールなんかも
現状では完璧に解明されてないでしょうし
ましてや4次元、5次元だとかは
もう想像上のものだと思いますよ

その辺を深く見てしまうと
ツッコミどころはあるはずで
詳しい人ほどそれはおかしい
と思うこともあると思います

ブラックホールに普通に突入できてしまうのとかは
無知な人が見ても
さすがに無理あるだろ
とは思ってしまいますし

でも、この映画はSFではありますけども
ファンタジー映画として観るのが
正しいのかもしれません

そんな部分につっこむのは
野暮な気がしてしまう

ハリー・ポッターを観て
魔法なんてあり得ないだろ
のようなツッコミが野暮なように

この映画もそういう世界だと思って
広い心で観るのが
より楽しんで観ることができるのだと思います

 

そんな感じで面白かったし
すごく楽しめるエンターテイメント大作
だったんですが

そこで思うのが
みんな絶賛し過ぎじゃない?

確かに面白い映画ですよ


でも、さすがに絶賛し過ぎだと思う

この映画を見た人の感想で
すごい映画
すばらしい人間ドラマ
完璧なSF
みたいな事を言ってる人が多いですけど
ちょっとハードル上げすぎ

なんかこの作品が神格化されてる
気すらしてしまうし


クリストファー・ノーランの作品では
ありがちのことですが…
「ダークナイト」とかは特に


本作もそんな大層な代物ではなくて
軽く楽しむエンターテイメントととして
観るほうが全然いいと思うんですけどね

そこまでハードルを上げてしまうと
逆にそんなすごくない
ってのがバレてしまう


人間ドラマなんかも
壮大なテーマの割には雑なとこが
あったりします

ずっと嘘をついていた博士とか
2つ目の星にいたマン博士が
なぜあんな行動をしたのかとか

少し行動原理が理解できないことが
多かった気がする

主人公のクーパーに関しても
宇宙に旅立つまでの描写が
薄かったと思いますし

終盤のクーパーが助かってからの描写も
あっさりしすぎてるように感じました

全体的に
人間ドラマが深いようで
そんなに深くない

別にそれが悪いとは思わないですけど
人間ドラマを大絶賛されてしまうと
そんなにすごいか?
と疑問に思ってしまいます


他にも
科学的なことに関しても
科学的な事をしっかりと踏まえて作っています
って作風の割には
最終的に精神論で解決してしまってたり

5次元に関しても説明不足で
結局、あの空間はなんなのか?
なぜあの場所にたどり着くのか?
みたいな疑問は解消されない

地球の環境にしても
食糧難や環境の悪化などの原因や
なぜ改善することが不可能なのかは
全然説明されないですしね

映像だけ見てると
そんなに地球が絶望的な状況に
見えなかったりもする

宇宙の果てまで行けるような
すごい技術のある世界なら
あんな未開の地を開拓するより
環境を改善するほうが簡単じゃないのか
と思ってしまいますよね

 

あと、ちょっと詰め込みすぎ
だとも思います

それぞれの要素が面白く観れるから
そんなに気にはならないですけど
詰め込みすぎでいろいろ薄まってしまってると
思うんですよ

宇宙を開拓するだけでも1つの作品が
作れそうですし
地球が崩壊していくだけでも作れそう
時間差の家族愛だけでも作れると思う

そんなのを1つにまとめてしまってるから
それぞれが薄まってる
その上、上映時間がめっちゃ長い

テーマを1つに絞ってれば
もっと深く掘り下げれそうに
思いました

 

ただ、いろいろ文句も言いましたが
それを含めてこの作品の良さだとも思います

いろいろ詰め込みすぎの長尺の本作だからこその
楽しめるエンターテイメントなんですよね

だからこそ、大絶賛し神格化する作品ではなくて
軽く楽しむエンターテイメントであるべき作品
だと思うわけです

それくらいの気持ちで観るほうが
絶対にこの映画は面白いですし

 

単純に楽しめる内容で
個人的にも好きな作品でした

とてもクリストファー・ノーランらしい
作風の映画だったと思う
だからこそ絶賛されているのかも

なんかすごい映画に見える
それがクリストファー・ノーランの才能
なのかもしれませんね

あと、子供の頃のマッケンジー・フォイちゃんも
可愛いです

 


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映画「コールド・スキン」感想 表現したいことはわかるけど… ちょっと地味だしわかりづらい

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どうもきいつです


ホラー映画「コールド・スキン」観ました
アルベール・サンチョス・ピニョルの小説
「冷たい肌」映画化した作品
孤島に暮らす新任の気象観測員と灯台守が
謎のクリーチャーと死闘を繰り広げる姿を
描いた2017年のスペインのホラー映画です

監督は「フロンティア」などのザヴィエ・ジャンが務めています

 

あらすじ
新しく孤島の気象観測員として青年フレンドが島へやって来た
島の住人は変わり者の灯台守グルナーだけかと思われたが
夜になると島へは異形の生き物が大群で押し寄せてくるのであった
フレンドはグルナーと共に灯台を拠点とし
命がけでクリーチャーたちと戦うことになる

 

感想
作品の雰囲気は良いし面白いシーンもあります
いろいろと意味が込められた作品ということも伝わってくる
ただ、なんか地味すぎるし
内容もわかりづらい
あまり面白い映画ではないと思う

 

前から少し気になっていた映画だったので観てみました

はじめにこの映画をホラーと言いましたが
それほどホラーではありません
と言うかホラーではないと思う

ジャンル分けするなら
ホラーかな?
ってくらいの感じです

多少残酷な描写とかはありますが
それはホラーでなくてもあるし

なので、ホラーっぽいものを求めて観ると
ちょっと思っていたのとは違うかも

 

そんな映画なので
なかなかクセの強い映画だと思います
この作風にハマれば好きになれるかも

ただ、僕にはあまりハマらなかった

でも、全然つまらなかった
というわけではないんです
それなりに面白い表現はありましたし
映像も悪くなかった

ちょっと哲学的で
いろんな暗喩のある作品でもあります

作品全体の雰囲気も良かった


そんなに悪い映画ではないと思います

ただ、最初から最後まで地味すぎる上に
結局、何を伝えたいのかもわかりづらい

最後まで観てもなんか後味悪いし
いろいろとほったらかしで
終わってしまった気もして
モヤモヤするんですよね

 

まず、地味さの話をすると

世界観や映像が落ち着いていて少し暗い
ビジュアル的にかなり地味です

でも、そこはそんなに問題ではないと
思っていて
むしろ、この作品の魅力になっていると思う

問題なのはストーリー展開だと思います


はじめからずっとストーリーにメリハリが
無いんですよ
ただ淡々と物語が進んでいくだけだし
さらに同じことの繰り返しのようにも感じる

海からやって来た半魚人と
戦って追い払っての繰り返し

その戦いも毎回同じですしね
最初は戦いのシーンも面白く見れますが
かなり早い段階で飽きてしまいます

この戦いがすごく不毛
ある意味、作品のテーマには沿ってる
ような気もしますが…
しかし、退屈です

こんな不毛な戦いをやめてくれ
と感情移入するのではなく
こんなつまらん戦いは退屈で見たくないからやめて
って気持ちになってしまう…


人間ドラマも同じで全然何も進展しない

フレンドとグルナーの関係性は
特に変化するわけでもなく
飼われているメスの半魚人との交流
というのもあまり描写されない

この中であるのは
ちょっとした2人の会話と日々の生活
それがずっと繰り返されるわけです

これに関しても
テーマには沿ってると思うけど
やっぱり退屈です

基本的に同じことの繰り返しで
特に物語も進展しないような作風

そりゃ地味ですよね
世界観や映像の暗さも相まって
余計に地味に見えてしまうわけです

 

そんな作風の映画なので
とても繊細な印象を受ける作品でもありますが
意外と雑なとこがあったりもする

意味深なセリフや伏線らしきものが
ほったらかしだったりします

結局どういうことなの?
って部分が解決しないまま終わってしまいます

あえて語りすぎないように
作られた映画なのかもしれないけど
もう少しわかりやすくしてくれても
いいと思うんですが


半魚人たちがなぜ襲ってくるのか
ということもいまいち説明がない

たぶん、テリトリーを守るため
みたいなことだとは思うけど
明確ではないし

フレンドやグルナーが何を考えているのかも
ちょっとふわっとしすぎで
最後まで掴み所が無かったりもする

グルナーがなぜそうなったのか
ということも説明無いですし

だから、ラストもすごく意味深だけど
あまりよくわからないんですよね

ただ、それだけなら
ちょっと不思議で何か意味ありげな
知的で哲学的な映画
という風にも見れるんですが

登場人物がバカっぽいので
そこが足を引っ張ってるように思います

主人公たちがなんか抜けてるんですよ
おっちょこちょいと言うか…

半魚人を追い払おうとして
家を全焼させてしまったり
チェスを楽しみすぎて半魚人の侵入を
許してしまったり
あげくのはてには自分たちでしかけた
ダイナマイトの爆風に巻き込まれてしまう

さすがに天然が過ぎる

これのせいで作品自体もバカっぽく
見えてしまうんですよね
せっかく知的な雰囲気を作り上げているのに
これで水の泡となってしまってるんです

 

それから、この作品は
哲学的なことや社会問題の暗喩など
そんなのが詰め込まれた映画でもあります

なんとなく
エゴイズム的なことや
白人の先住民への侵略、迫害
戦争など
そういうものが感じられます

そういうのはいいと思うんですが
この作品に関しては
なんか回りくどく感じました

わざわざ比喩的な表現で
そんなメッセージを込めなくても
いいんじゃないか?
と思えてしまいます

こんなファンタジーなフィクションで
それをやるより
ノンフィクションの映画で
それを表現したほうが
観てる側にも伝わるような気がするし

この映画はただ単にメッセージが
伝わりづらくなってるだけで
この作品だからこそ伝えれるメッセージでも
ないと思うんですよ

最後まで観ても
何が言いたかったのかが
よくわからないですから

 

哲学的な部分も

自分の居場所や自我を保つために
不毛な戦いを続けている
という表現ですけども

そこもあまりピンとこない

結局、身勝手な男のエゴを
最後まで見せつけてられるだけのようで
それが心に刺さらないんです

主人公のフレンドも
小難しいことをよく言ってるけど
このキャラを通して何を伝えたいのか
最後まで理解できなかった

 

最後まで意味はありそうだけど
それが何かはわからない
みたいな映画でした

雰囲気はすごく良いし
わかりづらいけども
全然わからないわけでもなく
こちらが汲み取れば
それなりに何を伝えたいのかは
多少理解もできますし

かと言って
それがいいのかと言うと
そうでもないように思う

ちょっと観るのが面倒くさくなってくる
映画ではありましたね

退屈な映画だし僕にはハマりませんでした

 


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映画「宇宙戦争」(2005年)感想 迫力の映像が楽しめる 主人公は好きになれないけど…

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どうもきいつです

 


SF映画「宇宙戦争」観ました

H・G・ウェルズによるSF小説「宇宙戦争」を
原作とした2005年の作品
巨大なマシンを操り地球を攻撃する宇宙人に
必死の抵抗を試みる人々を描いたSF映画

監督は「E.T.」「未知との遭遇」などの
スティーブン・スピルバーグが手掛け
主演をトム・クルーズが務めています

 

あらすじ
平凡な労働者のレイが別れた妻との間にもうけた
子どもたちと面会する日に
アメリカのとある町で突然、稲光が何度も
地上まで達する異変が起き
突如現れた何者かが町を破壊しだした
レイは子どもたちとともに生き残るために
町を逃げ出す

 

感想
臨場感のある派手な破壊シーンに
ハラハラさせられる
絶望的な世界観がすごく良かった
パニックムービーとしてとても楽しめました
ただ、ちょっと主人公がダメすぎて
最後まで好きになれませんでしたが…

 

昔に軽く観たことがありましたが
ほとんど内容も覚えておらず
先日テレビで放映されていたので
あらためて観てみました

最後のオチやなんとなくの内容もわかっていたし
ちょっといまいちな作品だった記憶があった上に
評判もあまりよくないので
さほど期待はしていなかったんですが
あらためて観ると意外と楽しめた


やっぱり映像のクオリティは
すごく高いです
臨場感がすごくあります

お金も相当かけられているのか
めちゃくちゃ派手なシーンが多いですし
SF映画というよりもパニック映画
って感じで世界が崩壊していく様が
絶望的で素晴らしい

この映像だけでもかなり楽しめました


そして、この映画をあらためて観てみると
見え方が少し変わっていました

前回観たときは宇宙戦争というタイトルから
人類VS宇宙人みたいなのを想像して
あの内容だったから
ちょっと拍子抜けしてしまいましたが

そういう先入観を捨て去って
災害パニック映画として観てみると
なかなか面白い映画だと思います

襲ってくるのは宇宙人なんですが
やってることはほとんど災害映画
宇宙人の理不尽な攻撃から
ひたすら逃げ惑う映画です

ほとんど戦争要素は無いわけですが
戦争という部分を忘れてしまえば
ただ単にスリルのあるパニックムービー

だから、そういう風に見れば
臨場感のある映像にスリルをとても感じれるし
圧倒的な宇宙人の強さに為す術もない人間の
絶望感も存分に味わえる


宇宙人の兵器から発せられるビームで
人間が灰になって消えていく様は
最高だと思う

宇宙人によって町が崩壊していく様子も
やり過ぎているほどで本当に派手

人類が手も足も出ず絶望に追い込まれていきます

終盤の世界の終わりみたいな描写も
絶望的で最高なんですよね


まあ、とにかく映像が素晴らしかった
最初から最後まで臨場感があり派手な
最高の映像が観れます

この映像だけで見応えのある映画
だったと思います

個人的にはこの部分だけでも
かなり楽しめた

 

しかし、ストーリーはやっぱり微妙

親子愛を描いたストーリーですが
なんか取って付けたようで
ラストのハッピーエンドも感動できない

そもそも、最初から最後まで
主人公のレイが全然好きになれないんですよ

あえてのダメ親父っぷりというのはわかります
だからこそ親子の絆の深まりのドラマも
描くことができると思うんですが

でも、本作の場合は
親子の絆の深まりをあまり感じられない
ちょっと薄っぺらく感じるんですよね

てか、レイがずっとダメ親父のままというか…
成長してるように見えない
だからレイを最後まで好きになれないんです


最後まで自分の子どもを連れ回して
自分勝手に逃げ回ってるだけ

最後はちょっと勇気出して戦うけど
それ以外は全く戦うこともせず
言い訳して逃げるだけ

そこが本当にモヤモヤする
観ていてちょっと気持ち悪いんですよね
最後の方だけでも
積極的な姿を見せてほしかったです

心境の変化をもっと感じられるだけでも
スッキリと気持ちよく観れたと思う


それと、そんな逃げ腰のヘタレ主人公の割に
都合よく生き残っているのも納得できない

主人公だから生き残らなければ
成り立たないですけども
なんか、ただ主人公だから生き残っている
という風にしか見えないのでちょっと冷める

主人公がどうにか切り抜けて生き残るのではなく
運良く生き残っているだけなので…

たまたま乗った車が動いたりするし
ビームが撃たれまくっているのに絶対に当たらない
周りが死にまくりの中でも
絶対に死なないですもんね

主人公だから当たり前のことなんですけども
そこが気になってしまう

そして、最後にはなんかいい感じのハッピーエンド
息子もよくわからないけど生きてて
レイの妻のもとにたどり着いているし

家族の絆も取り戻した
みたいな終わり方だけど
さほど絆を取り戻すエピソードなんて無かったり

人間ドラマはすごく薄っぺらいですよね

 

さらに、この物語の結末ですよ

あまりにあっけない

原作通りなのかもしれないけど
これはちょっと…

宇宙人たちは遠い星からやってきて
大昔からトライポッドを地球の地面の下に
埋めていたほど計画的なはず

ものすごいハイテク技術を持っているような
高度な宇宙人のなのに
最終的に地球の微生物に順応できずに死んでしまう

いや…普通そういうのチェックしない?
宇宙人からすれば未知の惑星ですし
しかも何百年も前から狙ってたのならなおさら
対策するでしょ

人間以上に知的な生物のはずなのに
バカすぎますよね


あと、すごい技術力持ってるのに
ちまちまと町を破壊していたり
原始的な檻を使ってるのも変ですし

終盤で人間の血液を吸ってエネルギーにしている
描写があるのに
はじめにほうはむやみやたらと
人間を灰にしてしまってるのも
ちょっと意味が分からないし

全体的にリアリティが薄いんですよね

もう少し設定を練れなかったのかな?
と疑問に思ってしまう

ちょっとテキトーに作ってる感は
否めないですよね

 

映像のクオリティの高さに対して
ストーリーはちょっとクオリティが低い

ストーリーや設定がもう少し練られていれば
すごく面白い映画になっていたと思います

とは言え
映像はかなり見応えがありますし
災害パニック映画として観れば
なかなか面白い映画でもある

個人的にはそこまで嫌いではないかもしれない
あと、ダコタ・ファニングが可愛いです

 


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映画「マスカレード・ホテル」感想 面白かった ただ、テレビドラマの延長線上なのは否めない

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どうもきいつです


ミステリー映画「マスカレード・ホテル」観ました

東野圭吾のベストセラー小説
マスカレードシリーズの第1作
「マスカレード・ホテル」を実写映画化
連続殺人事件の新たな現場となるとされた
ホテルを舞台に
エリート刑事とホテルの従業員が犯人を追う物語

テレビドラマ「HERO」シリーズなどの
鈴木雅之が監督を務め
主演は「HERO」シリーズでも主役を務めた
木村拓哉です

 

あらすじ
都内で3件の不可解な殺人事件が発生し
現場には不可解な数字の羅列が残されていた
刑事の新田浩介は数字が次の犯行現場を
予告していることを突き止め
次の現場とされるホテル・コルテシア東京で
潜入捜査に乗り出す
優秀なフロントクラークの山岸の指導を
受けながら新田は宿泊客の素性を暴こうとする

 

感想
面白く観れました
伏線回収も良かったと思うし
ミステリーとして引き込まれる内容
でも、やっぱりテレビドラマ感はすごくある
あと詰め込みすぎな気もした

 

前から気にはなっていたけど
スルーしていた映画

たまたまテレビで放送されていたので
観てみました


東野圭吾の作品は特別好きではないし
小説も読んだことありません
なので原作と比較することはできませんが

本作はなかなか面白く観れました

犯人は誰なのか?
というミステリーな部分に最後まで引き込まれたし
なによりキムタクがキムタクでとても格好いい
長澤まさみもすごく魅力的

謎解きもそれなりに楽しめました
伏線回収はわかりづらすぎず
でも、説明しすぎてもいない
ちょうどいいバランスだったと思います

 

まずはキムタクが演じる
主人公の新田が魅力的だと思います

キムタクってどんな役をやっても
いつもキムタクでしかありません

なので、作品のキャラにそれがハマらなければ
全然魅力を感じれないんです
逆にハマればすごく魅力的なキャラになる

で、本作の場合はハマっていると思います

キムタクがキムタクらしく
生き生きとしています

さすが「HERO」で一緒にやっていただけはある

監督はキムタクがどうすればカッコいいのかを
わかっているんだと思います

キムタクのナルシストな雰囲気を
嫌な感じではなく
カッコよく見せることができてる

コミカルなシーンも
シリアスなシーンも
ぶちギレたシーンも
どれもがキムタク
それ以上でもそれ以下でもない

悪く言えばいつもと同じな訳ですが
でも、キムタクという存在は唯一無二だとも
思うので
いつもと同じでいいと思う

そのいつもと同じキムタクをどう生かすのか
というのが重要

本作はキムタクがちゃんと生きていました

 

次にストーリーですが

とてもシンプルでわかりやすいミステリーで
ライトな気持ちで楽しめるエンターテイメント
だったと思います

伏線もいろいろと散りばめられていて
なんとなくわかりやすいけど
説明しすぎてもいないので
映画を観ながら主人公と一緒に
謎解きしてる気分を味わえます


オムニバスのように繰り広げられる
それぞれのエピソードも
わかりやすく感動できるような
いい話だったりするし


新田と山岸とのやり取りや
絆が深まっていく描写も良かったと思う

はじめは相容れない水と油のような
2人ですけど
そんな正反対の2人が
徐々に良いコンビになっていく物語は
個人的にもすごく好きな内容

この2人を中心としたドラマは
面白く観れました


全体的に万人ウケするような
わかりやすくてライトな映画
だったと思います

 

とは言え
やっぱりテレビドラマの延長線上の映画
なんですよね…

正直言って
テレビで放送されているのを観たから
面白いと思えたのかもしれません

これを映画館で観ていたら
感想が違っていたかも


豪華なキャストを映画館で見れるだけで
テンションが上がり満足できるミーハーな人も
たくさんいるでしょうけども

僕は有名な芸能人キャストとかには
ほとんど興味が無いので
それだけでは全然満足できない

ラストの出演キャストの表示に
明石家さんまがあっても
全然テンションなんて上がらないです


ストーリーや演出も
やはりテレビドラマっぽい

なんか無駄に感動話にしがちだったり
無意味によくわからない
カッコいいっぽい演出をしていたりと

簡単に言えば
ちょっとダサい

映画にしてはチープに思えてしまいます

映像とかホテルの内装とか
出演キャストの豪華さなど
すごそうな要素は
たくさん詰め込まれているのに

総合的に安っぽく見えてしまうのは
否めないと思います


あと、音楽も好きじゃないですね

感動的なシーンに感動っぽいBGMを
流すのは本当にダサい

それも毎回そんなシーンにそんな曲を流すから
くどくて聴き心地が悪い

 


それに、2時間ほどの中に
詰め込みすぎのような気もします

それぞれのエピソードの感動要素なんて
全然いらないと思うんですよ

そんな感動エピソードなんて
軽く流してしまって
もっとメインの事件の部分を深く見せて欲しい

それぞれ単体のエピソードも
一応事件のヒントになってたりもするんですが
さほど繋がりはなかったりする

メインの事件のミスリードの役割が
あるのはわかるんですけども
結局、単体で毎回解決してしまうから
ミスリードの役割も
そこまで果たしてない気もしますし

それらのエピソードが無駄に主張
してしまっているせいか
全体のまとまりも悪くなってると思うし


で、最終的には犯人の描写が
すごく薄くなってる

こんなエピソードに時間を費やすのなら
犯人をもっと深く掘り下げるべき

全く犯人に魅力が無いんですよ

常軌を逸した狂気を感じなければ
人を殺してしまうほどの怨念も
感じることができない

だから、犯人が発覚してからは
ちょっと盛り上がりに欠ける

謎解きに関しては
そういうことだったんだ
と納得はできるけども
それ以上に感情は昂りません


さらに、豪華キャストというのが
この作品の場合は仇となってる

この映画に登場する人たちは
もれなく有名芸能人
誰もが一度は見たことのある顔が
揃っています

だからこそ犯人がわかってしまう

明らかに1人だけ
変装して誰だかわからない人がいるんですよ
それも重要そうな人なのに

これは怪しすぎですよね

他の人はちょい役でも有名人なのに
この人だけ全然誰だかわからない

そして、案の定この人が…

しかも、タイトルが「マスカレード・ホテル」
もう犯人を言ってしまってるようなもの

終盤の展開で
この変装していた人はあの有名女優でした!!
って言われても
重要なのはそこじゃないし…


とにかく
もう少しやりようはなかったんですかね?
これじゃあ犯人がわかりやすすぎる

せっかく伏線とかいろいろ用意してるのに
これはちょっともったいない


まあ、いろいろと文句も言いましたが
それなりに楽しめる映画ではありました

芸能人が好きなミーハーな人たちは
この豪華キャストで大満足だろうし
テレビドラマっぽいというのも
良く言えばライトで取っつきやすい

軽い気持ちで見れば全然面白く観れる映画
だったと思います

 


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