何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ゼイラム」感想 ヒロインが美ししく格好いい

f:id:kiitsu01:20200821232500p:plain

どうもきいつです


特撮映画「ゼイラム」観ました

凶悪な宇宙人ゼイラムと
それを追って地球にやってきた女賞金稼ぎとの
戦いを描いた1991年のSFアクション

特撮ドラマ「鳥人戦隊ジェットマン」を手掛けていた雨宮慶太の劇場映画デビュー作品

 

あらすじ
異星人の賞金稼ぎイリアは
突如地球に飛来した凶悪な生物兵器ゼイラムを
捕獲するために地球にやってきた
特殊な空間を作りゼイラムの捕獲を試みるが
偶然居合わせた平凡な地球人の男2人も
その空間に紛れ込んでしまい戦いに巻き込まれていく

 

感想
古い特撮作品ではあるけど
様々な工夫が凝らされている特撮映像は面白く観れました
敵の造形がキモカッコよくてすごく好き
美しいヒロインが戦う姿も最高でした

 

以前から気になっていた作品だったので
観てみました


まあまあ古い作品ですけど
当時の技術や工夫がいろいろ見れて面白い映画でした
同監督の「仮面ライダーZO」や「仮面ライダーJ」などが好きなら楽しめる作品だと思います
雨宮監督のらしさが存分に出ている作品です


昔の作品だし低予算だというのもあって
全体的にかなりチープなのは否めません

ショボいなと思ってしまうところは多々あります

主人公のイリアの戦闘スーツみたいなのも
かなり安っぽく見えてしまうし
敵ゼイラムの風貌も作り物感がある
小道具とかも少しおもちゃのようです

映像に関しても
今のフルCGの映像を見なれてしまっている人からすれば
かなりリアリティは低くて
作り物だということは明らかにわかってしまうと思います

 

そんな古くてチープな作品ですけども
その中には面白く見せるための工夫がみられるし
センスもすごく感じられる


特にゼイラムの造形がすばらしいですよね

宇宙から来た生物兵器と言う設定ですけど
和をモチーフにしたデザインがなかなか面白い

傘を被った浪人なのか僧なのか
ゼイラムが登場した時にお経のようなBGMが流れるので
たぶん僧なんだと思いますが

このシルエットがなかなか格好いい

それに頭の能面のような顔
あれがすごく気持ちわるくて怖い

あの顔が伸びてきたときなんて悲鳴上げそうなくらい怖かったです

ゼイラムが産み出す子供みたいなのも
すごい気持ち悪い
動きもキモいし

途中、何故産み出されたのかわからないドロドロの人間みたいなのも
ただただ気持ち悪かった
しかも最後は踏みつぶされてグロかったり…

終盤のゼイラムの真の姿もなかなか…


基本、すごくホラーテイストが強いです
子供の頃見たら忘れないだろうな
と思えるほどホラー的なインパクトがある

お経のようなBGMとか
ちょくちょくあるグロテスクなシーンとか
SFアクションですけど
ホラーと言ってもいいレベルかもしれない

 

それに、面白く見せようとする工夫も凝らされています

ゼイラムが攻撃を受けてガイコツみたいな姿になってからは
ストップモーションアニメや合成で表現していたり
ゼイラム目線で見せることで
違和感なくアクションシーンを見せていたりもします

日本の特撮ならではの着ぐるみでのアクションシーンも観ていてやっぱり面白いし
特撮だからこそのアクションシーンも楽しめる

爆発なんてあの時代だからこそのやり過ぎの大爆発が最高
どんだけ爆発するんだよってくらい爆発します

無駄に爆発するってのが最高ですよね
これぞ日本の特撮

派手なシーンはちょっと無茶をやってるくらいのものが多くて
今の時代ではあまり見れないかもしれません

 

ストーリーに関しては
かなりシンプルで中身はカラッポ
大したストーリーではないです

宇宙から来た敵とそれを倒そうとするヒロインが
ただ戦ってるだけの内容
それに一般市民が巻き込まれる

ありがちなテンプレな流れだと思います


ただ、ハラハラさせるために
かなり主人公たちをドSに追い込んでいる

ホッとした後に実はまだ…
みたいな展開が何回もあるんですよね

ちょっとくどいような気もしてしまうけど
それがあるおかげで最後まで飽きずに観れたというのもあります


イリアとゼイラムの戦いはかなりシリアスなのに
巻き込まれて2人は何故かすごく楽観的なキャラで
全然緊張感が無かったりもする
そこがいい意味でギャップになっていて
なんか面白い作風になっています

この2人の会話のやり取りが終始おとぼけで普通に笑えて
いつの間にかこの2人を好きになっている

そんなおとぼけ2人組だけど
最後の最後はいいとこ見せてくれて格好いいし

最初は
この2人必要あるのか?
とか思ってしまっていたけど
最終的にこの2人がすごくいい働きをしていました

 

そして、個人的にこの映画の1番の魅力は
主人公イリアの存在だと感じました

単純にイリアを演じている森山裕子がすごく美しい

もう芸能界を引退している人らしいですが
すごく美人ですね

彼女が画面に映っていると
それだけで満足だと思えるほど

そんな美人がすごく強くて
異形の怪人と激しいアクションを繰り広げるなんて
最高じゃないですか

アクションシーンは美しく格好いいし
終盤はタンクトップ姿でちょっとエロくもある

序盤のゼイラムとのバトルもなかなかカッコよくて
美しさに見入ってしまいます

演技に関してはあまり上手くなくて
ちょっと棒読みっぽい感じではありますが
それが妙にイリアのクールなキャラクターにハマっていて
そんなに不自然ではありませんでした
むしろいい味が出ていたと思います

でも、だからこそイリアのアクションシーンを
もっと見たかったというのもあります

序盤のバトルが終わってからイリアが
いったん退場して残された2人がメインで話が進むけど
正直、この2人よりイリアの活躍を見たいんですよね
そこが多少不満ではありました

 

こんな感じで
結構褒めの多い感想になりましたけど
やっぱりマニア向けの作品と言うのは否めません

この映画に普通のSFアクション映画を求めてしまうと
ちょっと納得できないかなとは思う

チープだしひねったストーリーでもないし
最近の技術が発達した作品に慣れていると
古臭さだけであまり好きにはなれないかもしれません

おすすめの映画を聞かれても
本作の名前を出すことできませんかね…

 

とは言え
魅力的な作品で
特撮が好きなら楽しめる映画だと思う
過去の作品だからこその魅力もたくさんあります

イリアの美しさだけで本作を観る価値はあると思いました

 


ゼイラム&ゼイラム2 Blu-ray BOX

 

 

映画「スーサイド・ショップ」感想 ユーモアとテーマが噛み合ってないような気がする

f:id:kiitsu01:20200820185000p:plain

どうもきいつです


アニメ映画「スーサイド・ショップ」観ました

ジャン・トゥーレの小説「ようこそ、自殺用品専門店へ」を原作に作られたアニメ映画
根暗な自殺用品専門店に赤ちゃんが生まれ
それをきっかけに変化していく家族の姿を
ブラックユーモアを交えて描いています
2012年フランス、ベルギー、カナダ合作の作品

「髪結いの亭主」のパトリス・ルコントが
自身初のアニメーション作品として監督を務めています

 

あらすじ
自殺者が後を絶たないとある大都会
その街の片隅に自殺をするための道具を売る専門店があった
店を営むドヴァシュ一家はネガティブ思考の暗い家族
そんな一家に男の子が生まれアランと名付けて育てられ
やがてアランの存在により家庭内の雰囲気が少しずつ変わり始める

 

感想
世界観や雰囲気はとてもよくて引き込まれるような魅力がありました
独特な画風のアニメにも魅力を感じれます
でも、内容は少しブレていると思う
ユーモアとテーマが相反していて
いまいち納得できないようなストーリーでした

 

アマゾンプライムビデオで見つけ
気になったので観てみました


なんか雰囲気はとてもいいアニメですね
こういうアニメが好きな人は大好きだと思う

ティム・バートン作品とかアダムスファミリーみたいなのとかが好きな人なら
本作も好みの作風なんじゃないでしょうか

それに、本作はミュージカルでもあって
陰湿で暗い世界にミュージカルという
なかなか面白い世界観が生まれています

かなり独特な作風の作品で
それがこの映画の最大の魅力でもあると思います


背景の表現なんかも
すごく暗くて嫌な雰囲気が漂っている

この物語の舞台が明確にどこの国なのかわからないんですけど
どこか日本のような雰囲気もあったりします

自殺大国の日本をモチーフにしていたりもするのかもしれません


そんな本作は自殺がテーマの一つでもあり
とにかくみんな自殺する

どんな辛いことがあったのかは不明ですが
この街自体がそんな空気に飲まれていて
みんな暗い顔をして自殺を望んでいます

ただ、暗い世界で自殺をする人々を描いているわりには
意外と重い映画ではないんですよね

むしろ、どこかコミカルでポップな雰囲気も漂っている

全体的にもブラックユーモアの効いたコメディー作品です

そもそも、自殺用品を売る専門店という設定の時点でちょっとおかしさがあります

自殺用品を紹介する場面では
少し自殺を茶化したような感じもしますし

自殺をしてしまう人たちも
悲しさや虚しさよりも滑稽さが目立っていて
可哀想と言うよりかは笑えてしまう

ドヴァシュ一家も過剰に暗い人たちに描かれていて面白いし
言動もやたらひねくれていて
そこに皮肉が込められているのも感じれます

ドヴァシュ一家それぞれのキャラクターにも魅力があるし
それがこの映画の面白さとも繋がってる

 

とは言え
雰囲気だけならそれなりに魅力がある映画なんですけど
中身はそんなにかなって感じでした

ストーリーに関してもメッセージ性に関しても
ちょっと微妙だと思います


まず、ストーリーの話をすると
特に面白い展開があるわけでもなく
淡々と進んでいくだけなのでちょっと退屈

ミュージカルや絵の雰囲気で持ってるけど
それを抜きにしたら大したことのない内容です

暗い家族が末っ子の影響で明るくなってハッピー
ってだけのストーリー

一家の深い部分に触れるエピソードは特にないし
他の自殺していく人々にも大したエピソードはなく
全部があっさりしている印象

ドヴァシュ一家の父と母が自殺用品を売るのに嫌気が差して落ち込むって場面も
唐突で中身がないからいまいち感情移入ができないです

アランの行動原理も特に理由がなく
ただ根が明るいいい子だからってだけなのは
ちょっとつまらないですよね

アランはキーパーソンな訳だから
もう少しなにか深みがあってもいいんじゃないかと思う

アランの兄と姉も薄い
姉はまだそれなりに活躍する場面があるけど
兄に関してはほとんど空気みたいな扱いです
この2人が暗いのもドヴァシュ家だからってだけでかなり薄い

 

そして、何よりも納得できないのが結末です

簡単に言えば
本作の最終的な到達点は
生きていればいいことあるよ
という所です

ネガティブなことばかり考えず
小さな幸せにでも目を向ければ
笑顔で楽しい生活を送れるよって話なんですよね

シンプルにハッピーエンドのいい物語で終わるんですけど
そこにあまり納得できなかったりします

このストーリー自体は悪くはないですが
ここに至るまでの描写が悪い

このハッピーエンドとブラックユーモアが
全然噛み合ってないと思うんです

例えば
最終的に家族愛を描いているストーリーなのに
親の愛情を感じれない描写がとても多いんですよ

父親ミシマが息子のアランに煙草を吸わせる場面は
煙草を吸わせることで寿命を縮める
というブラックな笑いの場面です

ブラックユーモアとしては面白い描写ですけど
本作のラストを考えると
ここはすごくノイズになる

息子を殺そうとしてるわけですから

ぶちギレたミシマが刀振り回しながらアランを追っかけるのも
ノイズになりますよね…

こんなのがあって最後だけ幸せな家族の姿を見せられても
説得力がないんです


あと、ラスト付近の
クレープ屋を始めたドヴァシュ一家の元にやって来た首吊りに失敗したおじさんが
ミシマから秘密で毒薬を買って自殺してしまう
というのも
笑いとしてはありなんですけど
やっぱり本作のハッピーなメッセージからすれば
真逆のことをやっていてすごく引っかかる

ここは普通に
アランのいたずらのお陰で命をとりとめたんだから
クレープを食べてハッピー
みたいにシンプルにやればいいのにと思いました

生きていればいいことあるって言ってるんだから
最後にこのおじさんを殺してしまったら
全部が台無しになってしまうと思うんですけどね

これは結果的にどうすれば良かったのかを考えると

ブラックユーモアを徹底したダークな作品にするか
人間ドラマをしっかり描いたメッセージ性の強い作品にするか
どちらかに絞るべきだったように思うんです

本作は両方とも同じ比率でやってしまったから
中途半端な出来になってしまってる

個人的にはハッピーな映画より
ブラックユーモアを貫いたもっと刺激の強い作品を観てみたかったって思いもありました

 

全体的に独特な魅力的で
これだけでこの映画はなかなか面白い作品だとは思うけど
もう少し内容が濃ければもっといい映画になっていたと思います
ハッピーエンドの良い話だし
軽い気持ちで観れば雰囲気を楽しめる良作でした

 


スーサイド・ショップ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

 

 

映画「ジェクシー! スマホを変えただけなのに」感想 なんか惜しい いいとこもあるけど突き抜けない

f:id:kiitsu01:20200817193052p:plain

どうもきいつです


コメディー映画「ジェクシー! スマホを変えただけなのに」観ました

スマホ依存の男が
新しく買ったスマホに搭載されている人工知能に
翻弄される姿を描いたコメディー映画
便利なはずのスマホが暴走を始めます

監督は「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の脚本を務めたコンビ
ジョン・ルーカスとスコット・ムーアです

 

あらすじ
子供の頃から携帯電話を手放せないフィルは
大人になってもスマホを手放せないスマホ依存症だった
そんな彼が新しく買ったスマホにはジェクシーという優秀なAIが搭載されいた
しかし、ジェクシーは傍若無人な態度を取りフィルを振り回す
やがてジェクシーによりフィルは生活を改善していくのだが…

 

感想
面白くて笑えるシーンも多々あるけど
全体的に中途半端だった印象
この設定ならもっと面白くできたと思う
キャラがブッ飛んでるわりにいまいち突き抜けていませんでした
あと、予告で内容を見せ過ぎてる

 

映画館で予告を見て面白そうだったので
観に行ってきました


早速言いたいのは
予告で内容を全部見せ過ぎ

予告でこの映画が面白そうと思えるんですけど
実際に本編を観てみると
予告以上の面白さがない

予告を見ればこの映画の全てがわかってしまいます
てか、あれネタバレだと思いますし

後半の意外な展開を予告で普通に見せてしまってる
と言うより
そこを大々的に押し出してたりするんですよ

公式のあらすじですら全部言っちゃってますから

ちょっと宣伝のしかたが悪いですよね…

 

ここからは映画本編の感想です

全体的に笑えるシーンもありましたし
テンポがよくサクサク進むので
最後まで面白く観ることはできました

ただ、インパクトは弱かったなって印象です
予告で見せ過ぎというのを差し引いても
やっぱりインパクトは弱い

特に後半部分があっさりしすぎだったと思います

 

まず、良かったところの話からすると

終始テンション高めのギャグ描写や
主人公のフィルとスマホのジェクシーのキャラクターがブッ飛んでいて
そこはすごく面白いです

基本的に下ネタや汚い言葉だらけの低俗でバカなギャグばかりなんですが
まあ、あそこまで貫き通せば面白いですよね

ジェクシーなんて口を開けば下品な言葉のオンパレードです

あのスマホ音声の無機質な感じでの下品な言葉は
ちょっと新鮮にも感じて
それだけで面白くて笑えるというのはあります

普段は真面目で作業的な言葉ばかりのAIが
めちゃくちゃな言葉を発するというキャップがいいですよね

そして、メインの登場人物フィルとジェクシーのキャラクターが本当に素晴らしい
この2人が喋ってるだけで面白いです

普通こんなコメディーって
どちらかが頭おかしければどちらかがまともなもんですが
本作はフィルもジェクシーも両方頭がおかしい

ただ、2人ともおかしな言動ばかりというわけでもなく
どちらかがボケればどちらかがツッコミする
というWボケ漫才のシステム

2人の会話がすごくテンポよくて
お互い変な言動があっても噛み合ってるから
本当に漫才を観てるような感覚で楽しめます

それに2人ともアホな言動ばかりな上に
常軌を逸してるけど
どこか愛嬌があって2人とも可愛い

ジェクシーなんか常に下ネタと暴言ばかりだし
見た目はただのスマホなのに
なんかすごく可愛く見えてきます


笑ったシーンで言えば
フィルが執拗に彼女にチンポの写真を送ろうとする場面
あれはアホすぎてめっちゃ笑いました

なんでそんなに送りたいんだよ!?
というところでもめっちゃ笑えるし
ノリノリでいろんな角度から写真を撮るのは最高にアホで爆笑しました

あんなに止めようとしているジェクシーの言葉を全く聞かずに
夢中でスマホで撮り続けるフィルには狂気すら感じる

この時の2人のやり取りも面白いですし
ここは本作で1番笑いました

 

そんな感じで面白い部分もあるんですけど
ちょっとギャグ描写やキャラクターの魅力だけに
頼りすぎているようにも思いました

ストーリーに関しては
スマホのAIが傍若無人という設定は面白いものの
やってることはそんなに新鮮というわけでもなく
結構ありがちなモテない男のサクセスストーリーって感じ
その内容もまあまあ薄っぺらかったりもします

フィルの恋愛もさほど障害がなくトントン拍子で進んでしまうので少し物足りないし
フィルとジェクシーの関係性もあまり中身は無いかなって感じがします


何より後半の
フィルに彼女ができてジェクシーを放ったらかすことでジェクシーが暴走しだす
という展開は
ラストにかけてすごく面白くなりそうなのに
めっちゃあっさりしていて全然盛り上がらない

予告でこの部分がネタバレされているから
余計につまらなくなっています

ここは、もっとフィルとジェクシーの戦いを見せてほしかったし
ジェクシーにはもっとめちゃくちゃやってほしかった

でも実際はただフィルがジェクシーから逃げて
最終的にフィルと彼女と上手くいったからジェクシーは諦める
それだけで終わってしまう

ジェクシーの暴走行為も予告で全部見せてしまってるから
それに対する驚きとかもないし

予告であれだけ見せてるから
もう一捻りくらいあると思っていたけど
そんなのも無くあっけなくエンディングです

 

それと思ったのが
最初から飛ばしすぎかな

ジェクシーに出会う前
フィルがスマホを買い換えるときの店員のおばさんとか
ちょっとくどかったんですよね

スマホ依存への皮肉のシーンだけど
直接的すぎる上にダラダラ長ったらしいし

あそこまで嫌みを言われてもスマホを買ってしまう
という皮肉のシーンではあるんですけど
必要あったかなとも思う


ジェクシーに関してもはじめからあの調子なんで
もう少し序盤は押さえても良かったかも

最初は普通のスマホだけど徐々に本性を現していく
という流れのほうが良かった気がする

テンションは高いけど終始一本調子なので
メリハリはあまりなかったですね

 

あと、スマホ依存からの脱却
みたいなのがテーマになってるけど
それとストーリーとがあまり噛み合っていないようにも思えました

スマホ依存のフィルが外の世界に目を向けて成長するって内容だけど

そもそもフィルがスマホ依存以前に
人間性の部分にすごく問題のある人なので
途中からあまりスマホ依存関係ないよな
って思えてくるんですよね

それに起きていることが特殊すぎて
共感できるところも少ないですし

記号的には
友達がいないとかSNSで良い顔しがちとか
あるあるネタはあるけど深堀りはされない

これに関してはどうでもいいっちゃどうでもいいんですけどね

 

最後に

僕は本作を吹き替えで観たんですが
この映画に関しては吹き替えのほうが面白く観れると思います

英語を聴きとれる人は別ですけど
聴きとれない人は字幕を読みながらになるわけで
そうなるとやっぱり本作の軽快な会話のテンポが削がれてしまうと思う

吹き替えなら日本人でもわかりやすい表現にもなってるし
笑いに関してもわかりやすく笑えます

それに、本作はなかなか吹き替えにも力を入れているみたいですし
普通に吹き替えのレベルも高かったです

この映画は吹き替えをおすすめしたい

 

設定はすごく面白いし笑えるところもたくさんあるけど
それ以外がちょっと中途半端でした
いい部分を生かしきれていなかったって印象

もっと面白くなりそうなのに突き抜けないのは
惜しかったです

 


ハングオーバー! [Blu-ray]

 

 

映画「3年目のデビュー」感想 初心者なら面白く観れる ドキュメンタリー映画としては微妙かも

f:id:kiitsu01:20200812195908p:plain

どうもきいつです


ドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」観ました

人気アイドルグループ日向坂46を追ったドキュメンタリー映画
前身のけやき坂46から改名を経て
現在の日向坂46までの軌跡を映し出しています

TBS CSで放送された「セルフ Documentary of 日向坂46」の製作チームが本作も手掛けています

 

あらすじ
欅坂46のアンダーグループとして活動してきたけやき坂46当時や
日向坂46へ改名を経てさらなる躍進を見せる現在に至るまで
その中で奮闘するメンバーたちの日々の輝きや苦悩を映し出す

 

感想
最近になって日向坂46が気になる、好きになった
という人にはとてもわかりやすい入門編
これまでの道のりを観ることで
よりこのグループを好きになると思う
昔から好きな人も思い出に浸りながら楽しめるかも
ただ、ドキュメンタリー映画としては微妙かな
とも思いました

 

日向坂46が好きなので
本作には期待して映画館まで観に行ってきました

まず、僕は日向坂46が好きとは言え
本格的に興味を持ち出したのは改名後ですし
ライブには行ったことない
曲を全て完全に網羅してるわけでなもない

本当に大ファンの人からすれば
僕みたいなもんは
にわかですらないかもしれません

でも、最近のアイドルグループの中では1番好きだし
1番追っているアイドルグループです

 

そんなライトなファンの僕ですが
本作は普通に面白く観ることができました

むしろ、ライトなファンだからこそ
この映画を面白く観れたのかもしれません


正直、以前に観た乃木坂46のドキュメンタリーに比べると
全然こっちのほうが面白いですね

乃木坂46のやつは何を言いたいのかよくわからない
意味不明なドキュメンタリーになってましたし

一方、本作は何を伝えたいのかがストレートに伝わってくる

この映画の伝えたいメッセージは
日向坂46は今まですごく頑張ってきたし
これからも頑張っていくからずっと応援してね
ってことだと思います

単純ですごくシンプルなメッセージだけど
だからこそストレートに伝わってくる
日向坂46を応援したいな
って気持ちにさせてくれる作品です

 

映画の内容は
改名前のけやき坂46が結成されてから
改名して日向坂46として活躍する現在の姿までを
順を追って見せていってくれます

簡単に言えば
日向坂46ってこんなグループだよ
と紹介している映画ですね

だから、僕みたいなにわかや
最近このグループを好きになったファンなど
グループのことそんなに知らない
知識はあるけど実際の姿は目の当たりにしていない
って人にはすごくわかりやすい入門編

僕の場合は
けやき坂46時代はよく知らないので
前半部分はすごく興味深く観ることができた

どういう経緯でグループが誕生して
どんな道を歩んでどんな壁を乗り越えたのか
知識としては知っていたけど
実際に映像で追っていくとやっぱり違いますね


初心者でなく結成当時から応援している人も
過去の映像や現在までの軌跡を追っていくことで
昔のことを思い出して感慨にふけることもできるし
メンバーに思い入れがあれば
彼女たちの努力や葛藤に感情移入して
感動することもできると思います


とにかく日向坂46が好きな人なら
すごく楽しめるし感動できる作品になっていると思います

 

ただ、個人的には手放しで最高と言える映画でもなかった
正直言ってドキュメンタリー映画としては微妙

映像的にもドキュメンタリーの作りとしても
映画館で上映するレベルではないような気はします

そもそも、テレビ関係の人たちが作ったというのもあってすごくテレビっぽい

それに映画としてだけでなくドキュメンタリーとしても
いまいちに思う部分は多々ありました


本作ってドキュメンタリーを作るために撮られた
と言うよりも
いろいろと今まで撮ってきた素材が増えてきたから
それを編集してドキュメンタリーっぽくしてみた
みたいな作品になっています

繋ぎ合わせた映像にナレーションで説明を載っける
みたいな作風

なので、日向坂46の活動記録のダイジェスト
って感じなんですよね
ドキュメンタリーとしての深さみたいなものは全然無いです

これまでの活動の中で
いろいろとエピソードはあるんですが
どれもすごくあっさりしてると言うか

綺麗な上澄みだけをすくっただけで深堀はされていません
かなり薄っぺらい内容です

特に改名した後はすごく薄いなと思ってしまいました

日向坂46になってからは順風満帆すぎて
大したことが起きてないんですよね

だから
小坂菜緒が体調不良で不在の中ライブする
小坂菜緒が映画撮影で不在の中ライブする
って同じようなエピソードを大々的に持ち上げて
それで間を持たせたりもしてます

そもそも、センターメンバーが不在でライブしなければならないって状況は
どこのグループでもよくあるだろうし

そこをわざわざかぶせる上に
すごく大きいエピソードとして語るのは無駄なようにも思える

そこに時間を割くなら
小さい出来事でもいいから
深い部分を見せてほしかった

 


本作は全体的に
このグループは常に大きい壁に立ち向かってる感
を出しすぎてると思うんですよね
劇的なサクセスストーリーに見せようとしすぎてる


これは以前からちょっと引っ掛かってことで
日向坂46は底辺から上り詰めました
みたいなのをちょっと出しすぎ

確かにメンバーの苦悩や葛藤は事実だろうとは思う
欅坂46の2軍的なスタートでいろいろとあったとは思うんですけど
とは言え、やっぱりレールに乗ってるグループというのは明らかで
この映画を見てもそこは感じてしまう

グループに課される無理難題なんかも
かなり大人たちに操作されてるだろうし
劇的なストーリーを作り上げられてる感じはする

このグループ以上に泥水すすってるアイドルなんて山ほどいて
そんなアイドルたちからすれば
この程度で大袈裟にしすぎ
と思われても仕方ないです


本人たちは努力したり思い悩んだり
葛藤や壁を乗り越えていることは事実で
そこに嘘は無いんですけど

過剰にサクセスストーリーの部分を押し過ぎて
ちょっと偽物っぽくも見えてしまう


ただ、それは見せ方の問題で
変に劇的で感動的なサクセスストーリーではなく
単純に彼女たちの等身大の姿を見せればいいと思うんですよ

そもそも、日向坂46の魅力って感動的なストーリーじゃなくて
グループ全体の雰囲気のよさだったり
個人個人の個性だったり
そこをもっと押し出せばいいのになと思う


本作に関してもやっぱり全体のストーリーを重視して
感動させよう、泣かせよう
みたいなのをすごく感じてしまった

これで感動して泣いたら
運営のしてやったりって感じですよね
完全に手のひらの上で転がされてる


僕はこんな薄っぺらい感動ストーリーより
もっと細かいところにスポットを当てて
それぞれの思いや葛藤
レールに乗ってるグループだからこそのプレッシャーとか
そういう部分を見せてほしかった

所々にそういう場面もあるけど
さらっと流すだけになっていたのはもったいないですよね

終盤に上村ひなのにスポットが当たりますけど
ああいうのをもっとたくさん見たかったし
もっと深く掘り下げてほしかった

ありがちで小さなことかもしれないけど
本人たちにとってはすごく大きな意味があることってたくさんあるだろうし

2期生なんて小坂菜緒以外はみんな空気みたいな扱いで終わっていたけど
あの子達こそ
すごくいろんな思いが渦巻いてるだろうし
そこを掘り下げればすごく面白くなりそうです


辞めたメンバーにしたって
みんな全然ポジティブな理由じゃないのに
なんかいい話であっさり流して
逆に嫌な見えかたになってる

それに対する残ったメンバーたちの本音を見せてくれるだけでも印象が全然違ったと思います

アイドルだから限界はあるかもしれないけど
だからこそそこを掘り下げれば
この映画はすごい映画になってたと思うんですよ

 

途中で唐突に東村芽依と金村美玖のプライベートに密着みたいな
明らかにプライベートじゃないだろ
って場面
仲良いと言ってるわりに絶妙に盛り上がってない感じとかが面白い変なシーンがありましたけど

ああいうユルいのも
もっとあってよかったと思うんですよね

あんなユルい場面からも
それぞれの関係性とか
そこから見えてくるグループへの思いとか
そんなのを感じれると思うし

 

このグループの感動的なサクセスストーリーも
狙いがあっての演出だろうけど
個人的には狙いすぎててちょっと冷める

それならもっとさりげないけど深い部分を見せてほしかったって気持ちが強いです

 

あと、この映画でなぜか印象に残ったのが
メンバーが汗だくでライブする姿を
こんな寄る?
ってくらいアップで撮されてた場面
しかも顔じゃなくて首元やうなじあたり
あれは笑ってしまった

あれなんなんですかね?
カメラマン変態なんですか?

たぶん、こんなに汗かいてるぞ
ってのを見せたかったんでしょうが
変な風にしか見えない

僕の中ではあれが本作の1番の名シーンでした

 

ファンなら面白いし感動できる作品にはなっています

ただ、やっぱりそれは手のひらの上で転がされる感じかして
冷静に考えればそんなに深いドキュメンタリーではないです

個人的にはもっとグループやメンバー個人の
深い部分を見たかったです

 


日向坂46ストーリー

 

 

映画「怪物はささやく」感想 現実に向き合えの一点張りはさすがに酷 少し説教臭い

f:id:kiitsu01:20200810193816p:plain

どうもきいつです


ファンタジー映画「怪物はささやく」観ました

イギリスの作家パトリック・ネスによるベストセラー小説を映画化した2016年のダークファンタジー
病に侵された母親と暮らす孤独な少年と
彼の前に現れた怪物との出会いを幻想的に描いています

「永遠のこどもたち」などのJ・A・バヨナが監督を務めています

 

あらすじ
難病の母と暮らしているコナーは悪夢にうなされていた
ある夜、コナーの前に巨大な樹木の怪物が現れる
怪物は3つの真実の物語を語ると言い
そして、4つ目の物語はコナー自身の真実を語るように告げた
コナーは嫌がるが夜な夜な怪物が現れ物語を語りだす

 

感想
メッセージ性を込めているのはわかる
ただ、終始退屈な映像が続いて盛り上がりもなく
ちょっと眠くなるような映画でした
それと、感動させようとしすぎなようにも感じた
少し説教臭い映画でした

 

前から少し気になっていたので観てみました

同監督の「永遠のこどもたち」は観たことあって
なんとなく同じ雰囲気の映画かなと思って観ました

実際に雰囲気や作風はどことなく似ていて
かなり静かなタイプの映画だと思う
その中にメッセージを込めている
みたいな映画

ただ、やっぱり静かすぎる
最初から最後まで大して動きの無い映画なんですよね

メリハリも無いし盛り上がりも無い
ちょっと退屈でした

本作は少年の成長物語がメインなんですけど
そこもいまいちパッとしないなと思ってしまいます

つらい境遇にある心をふさいだ少年が
最終的にちょっと心を開く
みたいな内容で

そこに少しファンタジー描写をプラスした
ちょっと幻想的な物語でもあります

ただ、全体的に中途半端かなって印象

人間ドラマも薄く感じるし
ファンタジーな映像もインパクト無いし
ストーリーもよくあるようなもので
そこまで感動できる映画でもありませんでした


少年の成長を描いた人間ドラマの部分は
ちょっと閉鎖的すぎる気がする

周りの大人は頼りなくて全然当てにならず
だからこそコナーはふさぎ込んでいるわけですが

そこから先の成長していく過程にも
あまり大人が絡んでこず
全て自己完結で終わってしまってるのが
結局、成長したのか?
と少し納得できない要因でもあります

怪物に聞かされる物語によって
コナーの心に変化が芽生えていく話なんですが
そこに関しても
いまいち怪物の物語と現実の出来事が
そんなにリンクしてるわけでもなくて
結局、何を言いたいの?
って状況がずっと続きます

まあ、この怪物がコナーに伝えたいことをシンプルに言えば
現実に向き合え
ってことなんですけど

終始、徹底してそれだけなので
いつ母親が死んでしまうかわからない子供には
ちょっと酷すぎるだろうと思ってしまう


ファンタジーと現実を織り混ぜた作品なので
つらい現実をましにするための空想の世界
というようなものが描かれると思っていたけど

実際はそれとは真逆で
現実はこういうものだ
という事をひたすら説教するような映画なんですよね

そこに少し窮屈さを感じてしまったのは否めないです


ただ、このメッセージは全然悪いことではなくて
子供であろうが向き合わなければならないことであるのは確かです

だからこそ
たった1人の子供にそれを背負わすのは
つらすぎるように思う

コナーの祖母や父親はコナーのためにと行動してるけど
どこか腫れ物扱いで
余計にコナーもふさぎ込んでしまいます

そこからコナー1人で自己完結で成長するけど
そこは大人が寄り添ってあげて欲しいと思うんですよね

僕が思うに
この物語は大人も一緒に成長するべき物語だと思うんです

大人がコナーに寄り添い共に成長して
子供は現実に向き合うことを学んでいく
それが絶対必要です

しかし、本作の大人たちは
何を考えてるのかわからないし子供とは別の世界にいる

そこにすごくモヤモヤとさせられてしまいました
この映画には優しさがない

 

そして、やっぱり盛り上がりが全然無いのが
1番退屈に思ってしまう要因

この映画でやってることは
現実を見ろ
嫌だ
の繰り返しで
一向に話が前に進まない

話が動かないから盛り上がりもないんですよね

最終的なコナーの心の真実も
つらい境遇から解放されたいってことで
そりゃそうだろうねとしか思えない

感動させたい雰囲気はすごく感じるけど
そこが押し付けがましいわりには
ちょっと描写が薄い気がするし

この映画で感動してる人もそれなりにいるみたいだけど
僕の心には全く響きませんでした

子供に対して現実と向き合えの一点張りは
少し怖さも感じてしまいましたしね

 

あと、映像に関しては
悪くはないけどなんか微妙です

特に怪物が話す物語の場面
ここがいまいち

物語をアニメ映像で見せるんですけど
なぜアニメ?
と思ってしまいます

このアニメ自体は美しいし
表現的には全然悪くないけど

ミスマッチ感がすごいんですよね
ここは実写のファンタジーのほうが絶対にいいですよ

予算的な問題でアニメになってるのかもしれないですけど…

ここは実写のファンタジーで
その世界にコナーも入っているような演出のほうが
観ている側も世界に入り込めて
映像で盛り上がりも生まれると思う

それに、アニメ映像に紙芝居みたいなセリフで
ただ物語のあらすじを言っているだけなので
そこもすごく悪い

この紙芝居みたいな演出がすごく説明的で面白味がないし
ただでさえ説教臭い物語が
余計に説教臭くなってしまってます

なんか堅苦しいんですよね


その他の映像はそんなに悪くなくて
怪物の造形も悪くないし
怪物が現れる場面なんかはなかなか迫力もありました
全体的に暗めの映像だけど美しさもありましたし
そこは物語にとてもマッチしていました

 

この映画に感動できる人はできるのかもしれないけど
個人的には説教臭さが窮屈に感じてしまい
全然感動できなかった

子供の成長を描くなら大人の存在は必要だと思うので
子供の1人の自己完結というのもちょっと納得できません

いい映画のような雰囲気はあるけど
自分の心には全く刺さりませんでした

 


怪物はささやく [Blu-ray]

 

 

映画「残酷で異常」感想 設定とテーマがとても面白い

f:id:kiitsu01:20200810192542p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「残酷で異常」観ました

妻殺害の罪を追求され
永遠に殺害現場のループを繰り返す男の姿を描いた
2014年カナダのサスペンス映画

監督はマーリン・ダービズビックが務めています

 

あらすじ
ある日、エドガーは誤って妻を殺害してしまう
気が付くと時間が巻き戻っていた
同じ時間を繰り返す中、謎の建物に行き着くエドガー
そこでは自分の罪を追求され罪を犯した時間を永遠に繰り返さなければならなかった

 

感想
地獄の表現が斬新で面白い
SFループもののようで
実は罪を宗教的な価値観から描いた映画
興味深い内容だったけど
ラストはちょっと納得できない

 

アマゾンプライムビデオで配信されていて
気になったので観てみました


観る前はサスペンスホラー的な内容を想像していたけど
実際に観てみると全然ホラーではなくて
サスペンス要素もそこまで強くない

どちらかと言えばテーマ性を重視したような作品でした

密室からの脱出劇やSF的なループものを期待して観ると
なんか思ってたのと違う
ってなってしまうかもしれません

だからと言って、つまらない映画ではなくて
なかなか興味深い内容の映画です


この映画は同じ時間を繰り返すタイムリープな物語なんですけど
よくあるSFとは違って舞台は地獄

明確に地獄という言葉は出てこないですけど
明らかに地獄の話です
本作は主人公のエドガーが
地獄の中で自分の罪に向き合っていくという物語

なので、かなり宗教的な視点で描かれていたりもします
殺人の中でも自らの命を奪う自殺が
最も重い罪と扱われているのも宗教的価値観が強いですよね


まず、地獄の表現が今までに見たことないようなもので少し斬新

よくある炎が燃えたぎっているとか
暗闇に悪魔が潜んでいるとか
そんな雰囲気の地獄ではなく
本作は殺風景で冷たい雰囲気の普通の建物の中が地獄です

そんな無機質な建物の中に殺人を犯した者が集められて
グループセラピーのような会で自分の罪を語らされ
そして、その後に自分の犯した罪を追体験させられます

これだけだと何が地獄なのか?
とも思ってしまいますけど

これを永遠と繰り返さなければならないという
苦行なんですよ

どんなに自分の罪を反省して償ったとしても
永遠と自分の犯した罪を語らされ
自分の犯した罪を繰り返さなければならない

単純に痛みを与えられるとか辛い思いをするとか
そんなレベルではないくらいの苦行
そういうところに地獄を感じさせられる

何よりも自分の罪に向き合い
自分の行いに後悔して心を入れ換えた上で
それでも同じ罪を永遠と犯し続けなければならない
というのは犯罪者にとって1番キツい拷問かもしれないです

そんな地獄の表現はとても興味深く面白く観れました


その地獄を舞台に描かれる主人公のエドガーの姿も
とても興味深く描かれています

はじめエドガーは妻を殺してしまったのは事故だと言い
実際にも事故ではあるんです

観ている側もエドガーがそんなに悪い人間とは思ってないし
なんでそんなに責められてるの
と少し疑問にも思う

その後、エドガーが同じ時間を繰り返す中で
妻に殺されてしまったことも発覚し
ますますエドガーそんなに悪くないじゃん
となってくる

しかも妻のほうが先に死んだからエドガーのほうが罪深い
という謎理論を展開されてちょっと可哀想でもある


ただ、この映画が面白いのは
全く罪の意識がなかったエドガーが
同じ時間を繰り返すことで
自分の罪深さに気づいていくという点

それと同時に観客もそれに気づかされていきます
時間を繰り返すことでエドガーの内面があらわになってくる

最終的にはエドガー以外の人間の視点を見せられることによって
エドガーの罪はただ殺したことだけじゃない
という部分も見えてくるんです


時間を繰り返すことで
無意識に行動していた中に実は罪が隠されていることに
エドガー自信も気づかされていくわけです

無意識に殺していたけど実はちゃんと殺意がある
それに気づくことでエドガーの罪の意識は深くなり
後悔や罪悪感にさいなまれます


これこそがこの地獄の必要性で
本人に罪の意識を自覚させ
その上で罰を与える


罪を償うというのはそこが大事で

例え罪人を死刑にしたところで
本人がその罪に気づいていなかったら
それは償ったとは言えない

罪を犯したら自分の罪に向き合うこと
そこが重要だと思うんです

本作はそんな罪に対する倫理観を考えさせられる作品でした


とても興味深い映画だったんですが
終盤の展開や設定のユルさはちょっと気になります


例えば
エドガーが天井の扉から外に出た時
自分に関わる人物の視点が見えるけど
そこが唐突で
どういうこと?
と少し混乱してしまう

その後もまた同じ場所に戻ってくるし

結局、あの天井の扉はなんだったのか
という疑問はモヤモヤと残ります


他にも
ループからの脱出の部分も
いまいち納得できない

僕はあのタイムリープは擬似的に体験させられてると思ってたんですけど
実際に時間も戻ってるんですね

ただ、あの世界観で過去を変えれてしまうのは
あまり納得できないですよ

それができたら全員地獄から抜け出せますよね

他人が自分の過去に介入できて
他人なら過去を変化させることができる
ってところもよくわからない理論だし


でも、この少し歪な設定を抜きにしたら
終盤の展開はすごくいいと思うんですよね

自分の罪に向き合い理解し反省した上で
妻や他人を救うために自己犠牲を払い
さらに重い罪を被る展開は
変えることのできない運命から
唯一抜け出せる方法のようにも思えます

最終的にエドガーは
地獄の中で永遠に罰を受け続けなければならない
救いの無い物語にも思えるけど

誰かのために自分を犠牲にすることによって
罪の意識から解放され
地獄の中だけど彼の心は救われているんです

これは人間が罪から解放される救いの物語でもあると思います

着地点もやはり宗教的な意味合いを強く感じました

 

タイトルや作品の雰囲気から
B級なサスペンスホラーと思ってしまうけど
意外と深いのもが込められている
哲学的な映画だったと思います

期待していたものと違って驚くかもしれないですが
世界観や設定が斬新でとても興味深い内容の作品でした

 


残酷で異常 (字幕版)

 

 

映画「レゴバットマン ザ・ムービー」感想 終始ハイテンションでアホなノリ こんなの子供はわからねぇ

f:id:kiitsu01:20200808190522p:plain

どうもきいつです


アニメ映画「レゴバットマン ザ・ムービー」観ました

ブロック玩具レゴを題材にした3Dアニメ
「LEGO(R)ムービー」に登場したバットマンを
主人公に描いた2017年のアニメ映画です
レゴブロックで作られたゴッサムシティを舞台に
ジョーカーの悪の計画を阻止すべくバットマンが活躍します

監督は前作「LEGO(R)ムービー」にも携わっていたクリス・マッケイが務めています

 

あらすじ
日々、ゴッサムシティを守るバットマン
彼は寂しがり屋のくせに強がってばかりの面倒くさいヒーローだった
そんなバットマンの前に少年ディックが現れる
ディックの行動にペースを乱されるバットマン
そんな中、宿敵ジョーカーがよからぬ計画を企て実行に移す

 

感想
ある意味バットマンの集大成
はじめから最後まで
子供をおいてけぼりなおバカなノリで突き進む
そのくせアニメのクオリティは無駄に高くて
最後はちょっと感動
これは子供向けアニメの皮をかぶった大人向けアニメ

 

前作「LEGO(R)ムービー」はすごく好きな作品なんですけど
本作は観れていなくて今さらながら観てみました

「LEGO(R)ムービー」に登場したバットマンが主人公の映画ですけども
前作との繋がりなんかは全然なくて
独立した世界観の独立したストーリーになっています
スピンオフですらないかもしれない

ただ、レゴを使ったアクションシーンなんかは健在で
ちゃんと受け継いでる部分も存在します
あの悪ノリの感じも前作同様ですね

 

そして、レゴを使った子供向け映画ではあるのですが
これが意外とバットマン映画でもあるんですよね

子供だましにバットマンが活躍する作品ではなくて
これまでの様々なバットマンを踏まえた上で
バットマンのストーリーを描いています
時にはバットマンというものを茶化しつつも
根本的にはバットマンの孤独の物語でもある

バットマンシリーズのヴィランが総登場していたり
バットマンとジョーカーの関係性だったり
バットマンが好きなら楽しめる要素がてんこ盛りなんですよ

でも、それをシリアスには見せていなくて
レゴだからこそのポップで楽しい作風に表現されている

バットマンとジョーカーの関係性なんかも
根本の部分は変わらないんですけど
すごく可愛くて面白く笑えるように描かれています

ポップでコミカルな作風は
これまでのバットマンとは真逆のようにも思えるけど
本作はちゃんとバットマンらしさは残しつつ
それをやってしまっているからすごい

ただ、こんなの子供にはわかんねーよ
とは思いますけど

子供向けのようで結構大人向けだったりもするんです


コメディー描写だって
今までのバットマンの作風を知ってるからこそ笑える場面や
バットマンとジョーカーの関係性を知ってるから笑えるシーンがあったり

バットマンのクールなキャラクターを
ただの中二病じゃん
みたいな茶化し方をしてたりする
バットマンが他のヒーローからハブられてるのは笑ってしまう

とにかくバットマンをそれなりに知ってたら
とても楽しめる部分が多いんですよ

でも、たぶん子供はそんなにバットマン知らないし
ダークナイトなんて観てないと思うよ

完全に子供はおいてけぼりなんですよね


そして、終盤のいろんな敵大集合は最高
作品の垣根を越えた敵オールスターが見れます
いくらなんでもふざけすぎ

これも完全に子供はおいてけぼりだけど
映画好きの大人が見れば最高だと思います

グレムリンはいるし
ヴォルデモート、キングコング、ジョーズ、エージェント・スミス
サウロンにはさすがに爆笑してしまった
他にも知ってるようなのがたくさん
そんな敵たちが大暴れします

パロディーに笑ってしまう反面
ここまで様々な敵が勢揃いしたら
もはやワクワクしてテンションがぶち上がりますよ

 

いろいろとバカバカしい映画ではあるんですが
意外と感動できる物語でもあります

本作はストレートにバットマンの孤独を描いた物語

そんな孤独なバットマンが家族の絆や宿敵との絆を取り戻す
ハートフルなストーリーなんです

失うことを恐れ人と繋がることを極端に嫌うバットマンですが
実は寂しいし心の底では絆を求めている

バットマンが仲間と出会うことや
仲間と共に戦いを乗り越えることで
徐々に心が変化していく成長物語になっています

最後には心を開き
人と繋がることを受け入れるバットマンには
少しグッとくる

ここでの家族の絆というのも良かったんですけど
バットマンとジョーカーの宿敵の絆もすごくいい

本作はバットマンがいるからジョーカーがいる
ジョーカーがいるからバットマンがいる
このいがみ合う敵同士の間にも絆がある
ということも描かれる

本作はかなりコミカルで可愛らしくハートフルにそれが描かれているけど
お互い嫌い合うからこそ生まれる絆というのは
「ダークナイト」にも通じるのもがあります

てか、実は「ダークナイト」でやってることと同じですよね

本作はその敵同士だからこその絆が
よりわかりやすく伝わってきます

バットマンに冷たくあしらわれて泣きそうになってるジョーカーは可愛くて笑えるけど
このシーンでは2人の間には揺るぎない絆があって
どちらか片方が欠けるだけでもバランスが崩れるように思わされる
バットマンがジョーカーを捕まえない理由
ジョーカーがバットマンに執拗に執着する理由

それはバットマンという世界観を保つためでもある

これはアンパンマンとバイキンマンの関係性とほぼ同じてすよね

本作を観ると
あらためてバットマンの本質に気づかされたような気がしました

 

ここまで、子供がおいてけぼりだと
散々言ってきましたけど

実際は子供も結構楽しめる内容だと思います

ストーリーはかなり単純でわかりやすいし
何よりも、レゴのキャラクターがハチャメチャに暴れまわっている
これだけで子供は十分楽しめると思います

レゴだからこその楽しいし表現や独特のアクションなど
子供が観ても大人が観ても面白い


それに、やっぱり映像のクオリティが素晴らしいですよね
前編フルCGアニメですけど
本物のレゴが動いているように見えます
どこかストップモーションアニメのようにも感じれる

子供ならこの壮大なレゴだけで作られた世界には
最高にワクワクさせられると思います

と言うか、大人の自分も最高にワクワクさせられた

ふざけたバカな映画だけど
本気の部分は本気で
映像のレベルは世界トップクラスだと思います

このギャップがこの映画の魅力で
コメディー描写が生きてくるし
レゴという滑稽な世界だけど本物のようなリアリティが感じられるんです

 

レゴの映画だからって舐めちゃいけない
いろんな意味でクオリティの高い映画でした

これはバットマンの集大成
バットマンが好きなら最高の映画だと思います
しかも、全然暗くない楽しいバットマンでした

 


レゴ(R)バットマン ザ・ムービー [Blu-ray]