何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「残酷で異常」感想 設定とテーマがとても面白い

f:id:kiitsu01:20200810192542p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「残酷で異常」観ました

妻殺害の罪を追求され
永遠に殺害現場のループを繰り返す男の姿を描いた
2014年カナダのサスペンス映画

監督はマーリン・ダービズビックが務めています

 

あらすじ
ある日、エドガーは誤って妻を殺害してしまう
気が付くと時間が巻き戻っていた
同じ時間を繰り返す中、謎の建物に行き着くエドガー
そこでは自分の罪を追求され罪を犯した時間を永遠に繰り返さなければならなかった

 

感想
地獄の表現が斬新で面白い
SFループもののようで
実は罪を宗教的な価値観から描いた映画
興味深い内容だったけど
ラストはちょっと納得できない

 

アマゾンプライムビデオで配信されていて
気になったので観てみました


観る前はサスペンスホラー的な内容を想像していたけど
実際に観てみると全然ホラーではなくて
サスペンス要素もそこまで強くない

どちらかと言えばテーマ性を重視したような作品でした

密室からの脱出劇やSF的なループものを期待して観ると
なんか思ってたのと違う
ってなってしまうかもしれません

だからと言って、つまらない映画ではなくて
なかなか興味深い内容の映画です


この映画は同じ時間を繰り返すタイムリープな物語なんですけど
よくあるSFとは違って舞台は地獄

明確に地獄という言葉は出てこないですけど
明らかに地獄の話です
本作は主人公のエドガーが
地獄の中で自分の罪に向き合っていくという物語

なので、かなり宗教的な視点で描かれていたりもします
殺人の中でも自らの命を奪う自殺が
最も重い罪と扱われているのも宗教的価値観が強いですよね


まず、地獄の表現が今までに見たことないようなもので少し斬新

よくある炎が燃えたぎっているとか
暗闇に悪魔が潜んでいるとか
そんな雰囲気の地獄ではなく
本作は殺風景で冷たい雰囲気の普通の建物の中が地獄です

そんな無機質な建物の中に殺人を犯した者が集められて
グループセラピーのような会で自分の罪を語らされ
そして、その後に自分の犯した罪を追体験させられます

これだけだと何が地獄なのか?
とも思ってしまいますけど

これを永遠と繰り返さなければならないという
苦行なんですよ

どんなに自分の罪を反省して償ったとしても
永遠と自分の犯した罪を語らされ
自分の犯した罪を繰り返さなければならない

単純に痛みを与えられるとか辛い思いをするとか
そんなレベルではないくらいの苦行
そういうところに地獄を感じさせられる

何よりも自分の罪に向き合い
自分の行いに後悔して心を入れ換えた上で
それでも同じ罪を永遠と犯し続けなければならない
というのは犯罪者にとって1番キツい拷問かもしれないです

そんな地獄の表現はとても興味深く面白く観れました


その地獄を舞台に描かれる主人公のエドガーの姿も
とても興味深く描かれています

はじめエドガーは妻を殺してしまったのは事故だと言い
実際にも事故ではあるんです

観ている側もエドガーがそんなに悪い人間とは思ってないし
なんでそんなに責められてるの
と少し疑問にも思う

その後、エドガーが同じ時間を繰り返す中で
妻に殺されてしまったことも発覚し
ますますエドガーそんなに悪くないじゃん
となってくる

しかも妻のほうが先に死んだからエドガーのほうが罪深い
という謎理論を展開されてちょっと可哀想でもある


ただ、この映画が面白いのは
全く罪の意識がなかったエドガーが
同じ時間を繰り返すことで
自分の罪深さに気づいていくという点

それと同時に観客もそれに気づかされていきます
時間を繰り返すことでエドガーの内面があらわになってくる

最終的にはエドガー以外の人間の視点を見せられることによって
エドガーの罪はただ殺したことだけじゃない
という部分も見えてくるんです


時間を繰り返すことで
無意識に行動していた中に実は罪が隠されていることに
エドガー自信も気づかされていくわけです

無意識に殺していたけど実はちゃんと殺意がある
それに気づくことでエドガーの罪の意識は深くなり
後悔や罪悪感にさいなまれます


これこそがこの地獄の必要性で
本人に罪の意識を自覚させ
その上で罰を与える


罪を償うというはそこが大事で

例え罪人を死刑にしたところで
本人がその罪に気づいていなかったら
それは償ったとは言えない

罪を犯したら自分の罪に向き合うこと
そこが重要だと思うんです

本作はそんな罪に対する倫理観を考えさせられる作品でした


とても興味深い映画だったんですが
終盤の展開や設定のユルさはちょっと気になります


例えば
エドガーが天井の扉から外に出た時
自分に関わる人物の視点が見えるけど
そこが唐突で
どういうこと?
と少し混乱してしまう

その後もまた同じ場所に戻ってくるし

結局、あの天井の扉はなんだったのか
という疑問はモヤモヤと残ります


他にも
ループからの脱出の部分も
いまいち納得できない

僕はあのタイムリープは擬似的に体験させられてると思ってたんですけど
実際に時間も戻ってるんですね

ただ、あの世界観で過去を変えれてしまうのは
あまり納得できないですよ

それができたら全員地獄から抜け出せますよね

他人が自分の過去に介入できて
他人なら過去を変化させることができる
ってところもよくわからない理論だし


でも、この少し歪な設定を抜きにしたら
終盤の展開はすごくいいと思うんですよね

自分の罪に向き合い理解し反省した上で
妻や他人を救うために自己犠牲を払い
さらに重い罪を被る展開は
変えることのできない運命から
唯一抜け出せる方法のようにも思えます

最終的にエドガーは
地獄の中で永遠に罰を受け続けなければならない
救いの無い物語にも思えるけど

誰かのために自分を犠牲にすることによって
罪の意識から解放され
地獄の中だけど彼の心は救われているんです

これは人間が罪から解放される救いの物語でもあると思います

着地点もやはり宗教的な意味合いを強く感じました

 

タイトルや作品の雰囲気から
B級なサスペンスホラーと思ってしまうけど
意外と深いのもが込められている
哲学的な映画だったと思います

期待していたものと違って驚くかもしれないですが
世界観や設定が斬新でとても興味深い内容の作品でした

 


残酷で異常 (字幕版)