何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ファースト・マン」感想 すごい映画だけど チャゼル監督の映画はハマらない


どうもきいつです



宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いた映画「ファースト・マン」観ました

 

ジェームズ・R・ハンセンが記した
アームストロングの伝記「ファーストマン」を
原作にした作品
監督は「セッション」「ラ・ラ・ランド」などの
デイミアン・チャゼルです
主演は「ラ・ラ・ランド」でも主演を務めた
ライアン・ゴズリング





あらすじ
幼い娘を亡くした空軍のテストパイロット
ニール・アームストロングは
NASAの宇宙飛行士に応募し選抜される
指揮官のディーク・スレイトンは
当時の宇宙計画において圧倒的優位にあった
ソ連も成し得ていない月への着陸を宣言する



感想
完成度も高いし
すごい映画だと思いました
でも個人的には
心に響かなかった



この映画は
初めて月に降り立った人間たちの
汗と努力のサクセスストーリー
では無くて

月に初めて降り立った男
ニール・アームストロングの
人間ドラマです

なので、この映画は
月を目指すという夢に突き進んでいく
物語ではなく
ニール自身と彼の家族を描いた
意外と狭い範囲の物語

宇宙が題材なので
壮大なストーリーを想像しがちですが
かなりこじんまりした映画でした


全体的にはかなり地味です
話の抑揚もあまりないし
目立ったエピソードもそんなに無い

そして、終始暗い雰囲気です
観ていてテンションが下がる感じ

その中に
ニールの苦悩や彼の家族の不安
さらに家族の絆など
家族のドラマをメインに描かれています

月に到達することでの
ニールの心の成長も見る事ができます



暗めの映画なんですが
宇宙の描き方、ロケットの発射など
迫力があり壮大な世界観も
表現しています

所々に入る壮大な世界が
普段の小さな世界との対比もあって
とても印象的でした


特に
ロケット発射からの宇宙でのトラブルを
描いたシーンは
迫力と臨場感がハンパなかった

発射の爆音からの宇宙の静けさ
そこからの機械トラブル

ここはハラハラドキドキで
一気に引き込まれました


ラストの
月に着陸からの月の歩行シーン

ここはチャゼル監督らしい演出です
常人にはたどり着けない
向こう側の世界を見せてくれます

月の無音の静けさ
そして映像の見せ方
単純にスゲェと思えるシーンです

このシーンのためだけに
この映画を観る価値はあると思います



そんな感じで
普通にすごい映画ではあります
高いクオリティの映画です

ただ、個人的には心に響かなかった


そもそも、この映画って
面白い映画ではないと思う
正直、退屈なシーンがとても多いです

でも、これって地味だから退屈
ってわけでもないと思います


この作品はちょっと中途半端にも
感じるんです

1人の人間ニールの
人間ドラマとしても薄いように思えるし
宇宙飛行士のニールの
ドキュメント的なリアルな作品としても
弱いと思いました


全体的にドキュメントのように
淡々とリアルな描写が続く映画なんですけど
その割にニールの人間ドラマも
ちょくちょく入ります

そして、その人間ドラマがメインと思いきや
そのドラマの描き方もドキュメントのように
リアルさ重視で
あまり、感情や考えが伝わってこないんです

さらに、ライアン・ゴズリング特有の
無口で無骨な雰囲気の演技は
味があっていいんですが
この映画に限っては
ちょっと合っていない気もしました

映画自体がリアル重視で
雰囲気から読み取らなければならない
作風なので
さすがにニールがあの感じでは
何を考えているのかがわかりにく過ぎます

だから、感情移入もあまりできず
月でのシーンも
そんなに感動が無いんですよね


ドラマ部分は伝わりづらく
ドキュメントのようなリアルな世界は
ドラマメインの物語の中では
ちょっと違和感で
どっちつかずの中途半端な印象でした



ここからは
完全に僕の好みの問題で

僕はチャゼル監督の作品が
ことごとく合わないんですよ
これは僕の人間性に問題が
あるだけかもしれませんが

「セッション」にしろ「ラ・ラ・ランド」にしろ
あんまり好きになれないんです
面白いとは思ってるんですけどね

僕が思うに
チャゼル監督の作品って
選ばれし人間、才能に恵まれた人間が
到達する
常人にはたどり着けない向こう側の世界を
表現していると思うんです

どの作品も最後にはものすごい映像を
見せつけられるんです
それは選ばれし人間だけが
たどり着ける場所です

上でも触れた月でのシーンも
そういうものだと思います


それを、僕みたいな何も持たざる
捻くれた人間が観てしまうと
なんか腑に落ちないんです

映画の中では
努力して苦悩して挫折を味わう
キャラクターたちですが

結局アイツらは才能を持った
選ばれし人間たちなんですよ
最終的にはなんか上手くいってるでしょ

そして、下の人間は眼中にない
なんか無視されてる気分

みたいな嫌な考え方になってしまいます

これは、大金持ちの豪華なパーティーを
見せられて捻くれているだけの
貧乏人みたいな考え方なので
僕が悪いだけです
僻みみたいなもんです


たぶん、チャゼル監督も
選ばれた人間なんですよ
いろいろ苦労もしてると思いますが
結局は才能があり大成功してる人です

そもそも、考え方が違い過ぎるんでしょう
だからハマらないんだと思います

僕はやっぱり「ロッキー」みたいな
泥臭いのが好きです



個人的にはハマらなかったですが
すごい映画だとは思います
クオリティはとても高いです
月でのシーンも素晴らしいと思います

面白さはあまりないですけど
良い映画でした



ファースト・マン 上: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 (河出文庫)