何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「君の名は。」感想 この映画はジブリと比べちゃダメ

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どうもきいつです


アニメ映画「君の名は。」観ました

田舎町で暮らす少女と東京に住む少年の
心が入れ代わり、それを通して2人が
惹かれ合っていく姿を描いた
2016年のファンタジーアニメ

記録的ヒットをたたき出した
大ヒット映画です

監督は「秒速5センチメートル」「言の葉なの庭」などの
新海誠が務めています

 

あらすじ
1000年ぶりの彗星の接近が迫ったある日
田舎町に暮らす女子高校生の三葉は
東京の男子高校生になった夢を見る
一方、東京で暮らす男子高校生の瀧も
山奥の町で女子高生になる夢を見ていた
そんな現象が続き、やがて2人は
お互いが入れ代わっている事に気づく

 

感想
あらためて観ると
見え方がだいぶ変わっていました
今だからこそ
映画の内容以外にも思うことがある

 

先日、この映画がテレビで放映されていたので
久しぶりに観てみました

はじめに観たのは
公開されてすぐくらいだったので
2016年の夏ですね
あの頃はまだ流行る直前だったと思います

あれから時間も経ってるし
そこから他の新海作品もいくつか観たので
当時と若干見え方が違ってると思います


初見でのこの映画の感想は
面白かったけどちょっとキモい映画
そんなに大したことないな
って感じでした

それに、その後の大ヒットにも
とても違和感を感じた
そんなに騒ぐほどの映画かな?
と思っていました


今思えば
流行る要素は兼ね備えてると
思えるし

この作品の良さも
以前とは違った目線で観ることができました

僕自身が新海誠の作品を
好きになりつつある状態なので
ちょっと他の人と感じ方が
違ってるかもしれません

 

まず、この映画がなぜヒットしたのか
考えてみると

それは歌だと思います
RADWIMPSの「前前前世」の力が大きいです

近年のヒットしている映画のパターンって

耳に残るキャッチーな音楽と
シンプルなストーリー
美しかったりインパクトのある映像

そんな映画がヒットしてると思う
「アナと雪の女王」「ラ・ラ・ランド」
「グレイテスト・ショーマン」「ボヘミアン・ラプソディ」など

どれも共通点があると思うし
「君の名は。」もこの流れに乗ってると思う

それに、どの映画も後でよく考えれば
そんなに大した内容でなかったりもしますし


この映画のヒットは
ほぼ「前前前世」のおかげといっても
過言ではないと思います

この歌が無かったら本作は
絶対にヒットしていないと思う

それだけ「前前前世」は名曲で
すごい歌だったということです


とは言っても100%この歌のおかげ
というわけでもないと思っていて

この歌が流れている場面での
映像の見せ方やテンポの良い演出なんかも
影響してとても魅力的なシーンになっています

音楽に映像の魅力が合わさった
このMVのようなシーンに
一気に映画の世界に引き込まれてしまうと
思います

それがこの映画の最大の魅力ではないかと
思うんです

 

そんな感じで大ヒットしてしまった映画
それ故に可哀そうな作品でもあると思う

それは、この大ヒットのせいで
国民的アニメに位置づけられてしまったこと

正直言ってこのアニメは
万人ウケのアニメではないと思うんですよ
好きな人が楽しんで観る映画

だって、この映画なかなかキモいですもん
いろいろとキモい要素がある
それがこの映画の良い部分でもあるんですが


そんな映画なんですが
ヒットしてしまったので
ジブリ映画なんかと
比べられてしまうんですよ

そして、つまらなかったとか
気持ち悪いだとか言われてしまう

そもそも、比べる対象がジブリじゃない
同じアニメですけど全く別物だと
思ってください

 

ここからは
僕が思う「君の名は。」の魅力です

それは大きく2つあるんですが
ちょっとキモい恋愛描写と
リアルだけどリアルじゃない映像表現

これらは「君の名は。」だけじゃなくて
新海誠の作品に共通することです

それが新海誠らしい表現で
僕は好きなんですよね


まず恋愛描写の話をすると

新海誠の恋愛描写って
男女のすれ違いをメインに描くんですよ

今まで散々キモいって言いましたが
「秒速5センチメートル」なんか
本作より断然キモい映画です

主人公のポエムみたいな心の声を
ずっと聞かされて
子供の頃の思い出にふけって
片思いを続ける話

そんな中に男女の気持ちのすれ違いを
描いています


本作の場合はそこまでキモくはないものの
やっぱりすれ違いを描いている

そもそも恋愛関係にある三葉と瀧が
物語上でほぼ出会わないですからね

2人には時間のズレがあるし
まともに言葉を交わすのも
終盤の山の上での場面だけです

お互いの気持ちに気づけた後は
記憶が薄れてお互いを忘れてしまう

そこまですれ違わせる?
ってくらいすれ違ってるんですよ
なんか一貫してますよね

ちょっと異常ですよ
普通じゃない

でもこれが新海誠の恋愛観なんでしょう
そして、そんな価値観を
映画の中で存分に表現している

そんな作品に対しての取り組み方が
表現者として好感が持てる
そこから作者の思想や哲学が感じられます


人が死んだり、不治の病だったりの
お涙頂戴の大量生産ラブストーリーなんかより
よっぽど恋愛というものに向き合っている
作品だと思います

監督自身が作品を作ることで
答えを見出そうとしてるようにも思えます

 

次に映像表現ですが
これもとても独特だと思います

とてもリアルで細かい描写なので
ただの綺麗で写真みたいな絵
だと思う人が多いと思う

リアルなだけで
それなら実写でいいじゃん
みたいに言ってる人もいますけども

でも、実はリアルだけどリアルじゃない絵
だと思うんです

それは光の表現がとても特徴的で
異常なほど光が強調されている

空からの光
窓から差し込む光
反射光など

それらがとても強く描かれている

その表現があるから
ただの上手いだけの絵になっていない
個性があるし独特な美しさも
描けているんです

他のアニメと比べると
全然違うと思いますよ


これがとても魅力的な映像になっている
そういうところにも
監督のこだわりを感じます

 

今まで褒めてきましたけども
ちょっとストーリーが強引だったり
矛盾が多い作品でもあります

そこにはやっぱり引っかかってしまう


テレビやスマホがあるのに
3年のズレに気づかないのは
おかしいし

隕石落下という特殊な災害にも関わらず
瀧があまりにも疎すぎる
たぶん糸守町なんかすぐ見つかると思う

細かいとこまで言えば
まだ矛盾点もあると思うし

そういうのがノイズになってしまって
邪魔なのは否めないですね

 

この映画は好き嫌いが分かれると思う
ストーリーは大したことないし
キモい映画なので

僕は「君の名は。」よりは
以前の作品の方がクセが強くて
好きですね

新作も公開されますけども
今、新海誠は大ヒットという呪いに
かかっている状態なので
「天気の子」がどう転ぶかは予測できないですね

それでも期待はしています

 


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