何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「イソップの思うツボ」感想 アイデア以上のものが無かったように思う

f:id:kiitsu01:20190821003328p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「ウソップの思うツボ」観ました

「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督を
中心とした製作スタッフが再集結し
予測不能な物語を描いた作品
ウサギ、カメ、イヌの名前を持つ3人が
童話さながらのだまし合いを繰り広げる

上田監督と「カメラを止めるな!」で
助監督の中村裕矢、スチール担当の浅沼直哉の
3人で共同監督、脚本を務めています

 

あらすじ
友達が亀だけの内気な女子大生の亀田美羽
売れっ子タレント家族の娘で恋愛体質の兎草早織
復讐代行屋でその日暮らしの生活を送る戌井小柚
この3人が織りなす予測不能な物語

 

感想
やりたいことはわかるけど
なんかちょっといまいち
アイデア以上のものが無かったような気がする
リアリティも薄すぎる

 

2018年に大ヒットを誇った「カメラを止めるな!」
その監督の新作ということで
かなり期待していた本作

「カメラを止めるな!」がとても面白かったので
とても期待値が高かったです


ということで
ハードルがかなり高い状態というのもあったのか
すごく微妙な映画に思いました

正直、あまり面白くなかった

面白くなりそうな雰囲気はあるんですけど
突き抜けないというか
いまいち想像を超えるようなものは無かった

 

本作は「カメラを止めるな!」と同様の
予想外のどんでん返しで
観客を驚かして楽しませるタイプの作品だと
思います

で、実際に本作も予測できない展開が
次々と起きていき
それが原動力となって物語が進んでいきます

所々に謎や伏線が散りばめられていて
それを回収していくことで面白さを作ってる
いろいろと仕掛けが施された作品です


ただ、散りばめられた謎に対する答えが
あまりにも弱かったと思うんですよ
確かに納得はできるんです
でも、いまいちインパクトに欠けるというか

パンチが弱い気がする
ガツンとこないんですよ


予告とかでは
騙されるとか騙し合いとか
バトルロイヤルとか言って煽ってるんですけど

実際に観てみると
言うほどではないんですよ

そんなに騙し合いをしてるわけでもないし
命懸けの駆け引きなんかも無いですし
予告以上のものは見れなかったです

 

特に終盤はダレてくる
ある程度、事の全貌が把握できてからは
そんなに大きな動きも無く
ただ流れで話が進んでいくだけです

あと2、3回くらいどんでん返しがあれば
盛り上がったかもしれません

例えば
さらに誰かが嘘をついていたとか
騙していたと思ったら騙されていたとか
もっと裏の裏をかいた展開とか

終盤こそ
そんな仕掛けだらけの展開を
怒濤に詰めこんでも良かったんじゃないかと思う

誰が嘘をついているのか
誰がその場を支配しているのかがわからない
疑心暗鬼に陥るほどの展開なら
ハラハラしたスリルも味わえたと思います


本作は終盤になるにつれ
勢いが落ちていっていました

 

そして、序盤の淡いラブストーリーのようなパート
これがちょっとつまらな過ぎますよね

後半とのギャップのために
あのチープでベタな演出にしているのは
重々承知なんですけども

「カメラを止めるな!」とやり方が同じ過ぎて…

「カメラを止めるな!」の場合は
後半が爆発的に面白くなったので
序盤のあれは許されてたところもあると思います

でも、これって諸刃の剣ですよね

つまらないのを我慢して観た後に
すごく面白くなるなら
それ含めて面白いと思えるけど

本作の場合は
後半がちょっと弱いというのがある上に
「カメラを止めるな!」を観ていた人は
ある程度構えてしまいます

だから、今回の場合は
ギャップで見せる面白さが
通用しないと思うんです


序盤のチープなつまらなさが
後半になっても尾を引くんですよね

そんな事になるなら
序盤のラブストーリー風の演出も
もうちょっと観れる内容にしていても
良かったと思います

 

あと、仕掛けにこだわりすぎて
リアリティが損なわれていると思うんです

伏線とかどんでん返しを頑張って
作っているのは伝わるんですけど
登場人物の描写が雑すぎるし
設定も強引過ぎる

だから、この映画がすごく嘘っぽく
見えてしまうんですよ


特に登場人物のドラマが薄すぎる
どんな感情か
どんな想いで行動しているのか
原動力は何なのか

そういう内面の描写がすごく薄っぺらい

表面的には描かれているんですが
深い部分を感じれないです

復讐にしたって
恨みの念とかがあまり伝わってこない
なんかみんな飄々としてる感じがする

崩れていく家族の描写もなんか弱いですし
追い込まれた時の反応がテンプレートなんですよね

戌井さんたちが蚊帳の外
ってのもなんかもったいないです


複雑な境遇の人たちが1つの場所に
集まってるのにもかかわらず
そこにドラマが全く生まれない

この場面になってからは
実はこうでした
って種明かしだけになってしまってる

せっかく3種類の家族が登場しているのに
その対比とかも描いてほしかったですね


設定に関しては
この作品を成り立たせるために
ちょっと無理やりになっています

借金あるのに大学に行ってたりとか
タレント一家があまりにも手のひらの上で
転がされすぎですし
1千万円あれば留学できるってのも現実味が無い

アイデアを先に思い付いたから
後付けで無理やり設定を合わせに行ってる
って感じが否めないです

あまりに設定が強引なので
そこがノイズになってしまって
現実に引き戻される感覚でした

 

それと、ちょっといろいろとスベってましたね
たぶん笑わそうとしてるんだろうな
ってところがことごとくスベってました

再現映像のシュールな絵も
笑わそうとしてるんでしょうけど
面白くなかったです

そもそも、そんなコメディー作品ではなかったので
あまり気にはなりませんでしたけども

 

まあ、そんな中でも
登場する女の子たちが3人とも可愛かったのは
かなりポイント高いです

みんなそれぞれ違った魅力がありましたし
見た目もタイプが違ってすごく良かった
将来有望な3人だと思います

 

たぶん本作は実験的な映画でもあると思います
だから、粗さがあったり詰めが甘かったりも
するんだと思う

でも、そんな自主製作みたいな映画が
全国で公開されていて1900円取られるってのも
ちょっと疑問に思う
「カメラを止めるな!」みたいに
面白いと評判になってからならわかるんですが…

これも大ヒットの呪いなんですかね…

でも、アイデアは面白いと思いましたし
監督の次回作がどうなるのかも気になります
監督の次の新作にも期待します

 


カメラを止めるな! [Blu-ray]