何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「やっぱり契約破棄していいですか!?」感想 思ってたのとなんか違う

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どうもきいつです


コメディー映画「やっぱり契約破棄していいですか!?」観ました

死にたい小説家志望の青年と
落ちぶれてクビ寸前の殺し屋が繰り広げる
追走劇を描いたイギリスのコメディー映画

監督は本作が長編デビューの
トム・エドマンズが務めています

 

あらすじ
小説家を目指す青年ウィリアムは
人生に絶望して何度も自殺を繰り返すが
いずれも失敗していた
一方、ベテラン殺し屋のレスリーは
暗殺件数のノルマを達成できず
引退寸前に追い込まれていた
偶然レスリーと知り合ったウィリアムは
自分を暗殺するよう彼に依頼する

 

感想
なんか思っていたのと違う
もっと笑えるコメディーなのかと思ったら
そんなに笑えず…
かと言ってシリアスなドラマとしても微妙
中途半端な印象の作品でした

 

予告映像を見て面白そうだったので
観に行ってきました

予告だけを見ると

自殺志願者の青年を暗殺者が殺そうとするが
なかなか殺せない
というのをドタバタコメディー的に
見せてくれるのかな?
と想像していたんですけど

ちょっと想像していたのとは
違った印象の映画でした


確かに大まかな流れは予告通りではあるんです
でも、観たかったものとはちょっと違う


コメディーだと思って
笑う準備万端で挑んだんですけど
実際観てみると

そんなに笑えなかったし
シリアスな作品としてもいまいち

全体的に中途半端だったと思います

 

まず、笑いの話をすると

作品中の笑いの数が圧倒的に少ないと思う

とは言え、スタートダッシュは良かったんですよ

何回自殺しようとしても死ねない主人公とか
暗殺プランをカタログで紹介するとか
最初のオープンカフェでの暗殺なんかは
とても面白かったと思います

はじめはギャグシーンの数も多いし
キャラのやり取りもコミカルで面白いんですが

主人公のウィリアムとエミリー2人での
逃走劇が始まってからは
途端にギャグシーンが無くなって
真面目なシーンが続きます

ここからはすごい中だるみで
めっちゃ退屈な映画になってしまっています


さらに、映画全体の雰囲気と笑いのタイプが
全然合っていないと思うんです

この映画は基本的にすごく暗い印象
まず物語のメインである
ウィリアムと殺し屋のレスリー
この2人がすごくネガティブ

ストーリー自体もちょっと重くて
暗い内容なんです

でも、その割に
この映画のギャグは単純だったりバカっぽかったり
するのが多い

なので、内容とギャグとの温度差がありすぎて
いまいち笑えないんです
笑っちゃいけないような気持ちにさせられる

序盤はそんなに暗い印象も無くて
それなりに笑えますけども
終盤に近づくにつれだんだん笑えなくなってくる


作風が暗かったとしても
爆発的に面白いものをぶっこんだり
シュールな笑いやもっとブラックな笑いなら
まだ笑えるような気がします

 

でも、やっぱり一番の欠点は
殺す側と殺される側の駆け引きが
全然笑いに繋がっていなかった事ですよね

銃弾をたまたま避けて周りの人が巻き込まれるのと
電話が鳴ってレスリーが気付かれるやつ
くらいしか面白いシーンが無かった

そもそも、この暗殺者からの逃走が
めちゃくちゃ少ないんですよ

本当に最初だけです


本作を観る前は
暗殺者から1週間どう逃げ切るかを
面白可笑しく描いてくれてるものだと思ってました

でも、ふたを開けてみると

暗殺協会がどうとかでロシアの殺し屋が出てきたり
レスリーの奥さんの
クッションのコンテストだったり
ウジウジしたウィリアムの心の葛藤や
エミリーとの恋愛だったり

マジでどうでもいいものが盛りだくさん


単純に登場人物ほぼ2人で
単純にウィリアムを暗殺しようとする話を
最初から最後まで描くだけでも
全然成り立つと思うんですけどね…

むしろ、殺そうと思っても殺せないウィリアムを
殺し屋があの手この手で殺そうとする
って話のほうが笑いにも繋げやすそうですし
単純で観ていて楽しいと思うんですけど

 


そして、笑いだけではなく
ストーリーもやっぱり微妙

結局なにが言いたい映画なのかが
あまりわからない内容になってしまってました

それは、いろんな要素を入れ過ぎていて
話がブレてしまっているのが1番の原因だと思う

ウィリアムの死生観をメインに描くべきなのに
同じ比重でレスリーの夫婦の絆や
仕事に対する執着とかが描かれて
エミリーが出てくると恋愛の要素もあるし

ゴチャゴチャしすぎで
メッセージが全然伝わってこない


ラストのオチのつけ方もかなり中途半端ですしね
あの終わらせ方をするなら
ウィリアムが死ななきゃならないと思います

死なないのであればあのオチに
あまり意味は生まれないと思うんです


最終的にいろいろ話を広げた結果
収拾がつかなくなって
全部が中途半端になってしまってました

それに、変に良い話にしようとしていたのも
笑いへの弊害になっていて
本作のコメディー要素がよけいに削られてましたね

 

さらに、登場人物の描写が薄すぎるのも
悪かったと思います

キャラクターの表面部分しか
見せられないので全然感情移入できない


ウィリアムの場合は
死にたいと口では言ってるけども
その気持ちが伝わってこない

なぜ死にたいと思っているのかがすごく曖昧で
そもそも、本当に死にたいのか?
と疑問に思えてきます

自殺未遂が何回もありますけども
自分の意思で中断とかもしてますし
本気さが無いんです

だから、その後に生きたいとなってからも
いまいち説得力に欠けるんですよ
もともと死にたい人にあまり見えていなかったから


レスリーに関しても
殺し屋にこだわる理由が描かれないので
頑固で偏屈なジジイにしか見えない

殺し屋でなければ自分じゃない
みたいな感じの人なんですけど

それはなぜ?
という部分を見せないから
掴み所の無いキャラで終わってしまってる


登場人物たちが描写不足で
キャラクターの重みが全く生まれていませんでした

キャラクターに重みが無ければ
必然的にストーリーやメッセージの深みも
低くなってしまいますよね

キャラクターの面白みも
コメディーの笑いに繋がると思うので
やっぱりここでも
笑いの足を引っ張っていたんだと思います

 

あと、邦題がセンスないですよね
何なんですか? このタイトル

長いしダサいし…
もっと良いタイトルが
思いつかなかったんでしょうかね

わざとダサくしてるんですか?

これは作品のせいではないですけどね

 

いろいろ言いましたが
本作はアイデア自体すごく良いと思います
ただ、方向性が間違ってたような気がしました

バカバカしい設定ですし
もっとバカバカしいシンプルな話にしていたら
コメディーとして
さらに面白く作れたんじゃないでしょうか