何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「アス」感想 なかなか怖いし面白い 風呂敷を広げ過ぎな気はしたけど…

f:id:kiitsu01:20190915183853p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「アス」観ました

自分たちと全く見た目が同じ存在が現れ
それらと対峙する一家の恐怖を描いた
サスペンススリラー作品

数々のホラーやスリラー作品をヒットさせてきた
ジェイソン・ブラムが製作
「ゲット・アウト」がアカデミー賞の脚本賞受賞し
大きく話題を集めたジョーダン・ピールが
監督を務めています

 

あらすじ
アデレートは夫と2人の子供たちとともに
幼い頃に住んでいたサンタクルーズの家を訪れる
彼女たちはビーチへ出かけるが
不可解な出来事に見舞われ
過去のトラウマがフラッシュバックする
その夜、自分たちと瓜二つの
謎の4人組が家の前に現れた

 

感想
怖かったり笑えたり
とても楽しめる作品です
社会問題なども描いていて深さもある
ただ、風呂敷を広げ過ぎて
最終的に辻褄合わせが上手くいってないような
印象で終わってしまいました

 

監督の前作「ゲット・アウト」が面白くて
この映画はとても楽しみにしていた作品です

そして、期待どおり面白い映画でした
エンターテイメントとして
とても楽しめる内容だったと思います


本作は前半がホラーっぽい雰囲気で
後半になるとぶっ飛んだ展開になっていく
という作りの作品です


前半のホラー部分はちゃんとホラーでしたね

すごく不気味な雰囲気ですし
ビックリ演出も多くてハラハラドキドキする

そして、謎が謎を呼ぶような展開で
画面に引き込まれていきます


序盤のビーチでの
不穏な空気感もとても良かったと思いますよ
これから何かが起きそうな
不気味な空気感がすごく伝わてきます

そこで気持ちを煽って

家の前に謎の4人が現れてからは
怒濤のホラー展開で
もう最高でした

主人公のアデレードたちを狙う4人の
風貌、表情などが気味が悪くて
恐怖感をすごく感じる

アデレードにそっくりのレッドの喋り方も
めっちゃ怖かったですし
他の奴らも急に奇声を発したりするので
ビビらされました


敵は容赦なく襲ってくるんですが
それにどうにか対抗している家族たちの姿も
なかなか面白さがあります

みんなギリギリのところで上手く立ち振る舞うので
スリルがあってハラハラさせられます

お父さんはめっちゃやられてましたけどね
最終的にケガだらけで歩くのもやっと
この情けなさがちょっと面白かったりする

 

そんな感じで前半はがっつりホラーな
雰囲気の作品ですが

白人一家が襲われるあたりから
雰囲気が変わってきます

なんかコミカルになります

ユーモアがありますし
笑えるとは思いますが
今までのこともあるし笑えない人もいそう

まだ殺伐とした空気も残ってますしね


このあたりからは
ホラー色が薄まって
ちょっとSFっぽくなっていくんですよね

そして、正直言うと
このあたりからちょっと退屈でした

ここからは答え合わせみたいな感じで
今までの真相が徐々に明かされていきます

伏線の回収や謎の解明などがメインで
なるほど
とは思わせられるけど
あまり面白くはないですよね

しかも、終盤に向けて進んでいるのに
さらに風呂敷が広がっていって
これ収まるのか?
とちょっと不安になってきます

結果的には
強引ですけど収まっていたとは思います


後半は答え合わせメインの話になっていて
冗長に感じてしまいましたね


それでも、全体の流れで言ったら
後半は謎が解けていくというだけでも
見入ってしまいますし
そこまで悪くなかったようにも思えます

それに、ここでは
格差社会への問題提起みたいな
メッセージ性が込められていていましたしね

 

そして、この作品のメッセージ性は
なかなか良かったですよね

普段、目をつむってしまっているような事を
直視させるような内容です


「ゲット・アウト」では人種差別を
テーマにしていましたが
今回は格差社会、貧富の差を取り上げています

直接的に描いてはいませんけど
地上の人間は裕福な人間
地下の人間は貧しい人間と
単純にあてはまるのでわかりやすいです

そこで描かれるのは
生きる環境によって生まれる弊害と
それを無視することによって生まれる弊害


これはアメリカだけの問題でなく
日本にも当てはまりますよね

やっぱり貧しければ
学力が落ちるでしょうし
将来的に貧しいままの可能性は高い
犯罪率も上がるでしょう

で、問題はそこじゃなくて
そんな部分に蓋をして
見ないようにすることなんですよ

そんな事じゃ
格差の問題は解決することも無く
ますます格差が広がっていくだけ

それを無視し続けていたら
最終的にはこうなっちゃうよ
というのをこの映画では描いています


それでも裕福な人は言うんですよ
でも育ちや環境は関係ない
自分の努力次第でどうにでもなるんだ
みたいなことを

それに対してもこの映画では
クローンという存在を使って描いている

全く同じ性質を持った人間であっても
生きる環境が違えば
最高にも最悪にもなりえる

そして、最悪な環境で生まれても
良い環境で育てば真っ当に成長するし
良い環境で生まれても
最悪な環境で育てば歪んでいく

この映画は
生きる環境が人に与える影響の重要さを
描いている作品でもあると思いました

 

基本的には面白い映画だったと思います
メッセージも込められてましたし

でも、不満に思うこともあるんですよね

監督の前作「ゲット・アウト」では
小さく上手くまとまっていたんですが

本作はスケールが大きくて
ちょっとまとまってない

終わり方もちょっと強引に思ったし


矛盾と言うか
辻褄が合わないことが多いんですよ
そこがすごく気になってしまう

地上の人間と地下の人間が
シンクロしてるのかしてないのか問題
これが1番気になる

地下の人間たちは地上の自分と同じ人間と
同じ動きをしながら生活している描写があるけど

実際は地上に出てきてるし
そのときは違う動きしてます

何らかの理由でそのルールが壊れて
そんな事が起きてるのかと思いきや
弟の動きはリンクしている

その弟も都合の良い時だけ
リンクしてますしね

そもそも、なぜ動きがリンクしてるのか
地下のクローンたちは何なのか
結局、コイツらの目的は何なのか

疑問がめっちゃ多いし解消もされない

そのへんがすごくモヤモヤします


他にも
禁断の場所のような地下世界に
あまりに簡単に出入りできてしまったり

主人公の記憶やトラウマが
最終的に何だったのか疑問です

細かい部分で言ったら
まだあると思う


とにかく設定が風呂敷を広げ過ぎて
ゴチャゴチャしてしまってます
そしてあまり上手くまとめ上げれていない

ラストは全てを説明しない終わり方なんですけど
設定の詰めが甘いから考察も捗りませんし

いろいろと強引に推し進めていた
映画だったと思います

 

でも、細かいことを気にしなければ
楽しめる作品だったりするので
そのへんをスルーしたら面白い映画ですよ

ストーリー自体は面白いし
軽い気持ちで観るのがいいかも
ちょっとバカなエンターテイメントとして
観れば楽しめるんじゃないでしょうかね

 


【Amazon.co.jp限定】ゲット・アウト ブルーレイ+DVDセット(特製収納ケース付き) [Blu-ray]