どうもきいつです
SFアニメ映画「HELLO WORLD」観ました
近未来の京都を舞台に
未来の恋人が事故死すると聞かされた
男子高校生が、その運命を変えようとする姿を
描いたSF青春ラブストーリー
アニメシリーズ「ソードアート・オンライン」
などを手掛ける伊藤智彦が監督を務めています
あらすじ
2027年の京都
引っ込み思案な男子高校生の直実は
ある日、謎の青年と出会う
その青年は10年後の世界からやってきた
未来の自分ナオミだった
ナオミから未来で結ばれる女性を
事故で失ったしまうと聞いた直実は
その未来を変えるため奔走することになるが
自分の生きる世界に隠された真実や
ナオミの本当の目的を知ることになる
感想
世界観、設定、ストーリーはとても面白く
楽しめる映画でした
ただ、登場人物やドラマが
なんか薄っぺらく感じる
さほど情報を知っていたわけではなく
特に気にかけていた作品じゃなかったんですが
評判がなんか良いみたいですし
ちょっと気になったので観てきました
大して期待していなかったからなのか
今風のSFアニメで
とても楽しんで観ることができました
先の展開はあまり予想できなかったし
熱いシーンや感動できるシーンなどもあり
最後まで面白く見れると思います
アニメのクオリティもそんなに悪くはなかったし
背景なんかはとてもリアルでした
SFの設定は
なかなか作り込まれていて
さほど矛盾も感じず納得できる内容
無理があると思ったりもしますが
フィクションだからと許容できる範囲です
全体的に面白く見れる作品なんじゃないでしょうか
ストーリーの話をすると
2転、3転と物語が変化しながら展開していき
とても引き込まれる作りになっている
それに、先の展開が読めないのも良かったです
世界観自体がかなり独特で
ちょっと掴み所が無かったりするんですが
それが物語に上手く生きていました
この世界自体が謎に包まれていて
そんな中でのストーリーは
なかなかどう進んでいくのか予測しづらい
はじめは提示された一つの目的を目指して
主人公が動いているだけなので
かなりシンプルでわかりやすい
でも、それだけじゃ面白くないよな
って内容でもあります
ただ、その目的を達成してからは
物語が大きくひっくり返って
さらに世界が広がる
そうなってからはこの物語がどう転んでいくのかが
全然つかめなくなっていきます
その後にも
さらに物語をひっくり返す展開が起きたりするので
後半になると
この後どうなるの?
って気持ちだけで最後まで観させられました
それだけじゃなく
主人公が目的達成のために努力したり
好きな子を守るために必死に戦ったりと
少年漫画的な面白さもあったり
直実、ナオミ、一行さんを取り巻く
ラブストーリーが感動できたり
日常ほのぼのコメディーがあったりと
面白要素はたくさん詰め込まれている
そういうのも相まって
この作品が面白く仕上がっていたと思います
普通に軽い気持ちで観れば
面白い作品だとは思うんです
ただ、この作品には深さが無い
とても薄っぺらいと思いました
特に登場人物とドラマです
これらが本当に薄っぺらい
言ってしまうとテンプレートなんですよ
登場人物は
内気な主人公
ちょっと不思議な女の子
辛い過去を背負った謎の人物と
なんかそれっぽい設定です
そこからキャラクターを深く掘り下げていけば
作り物の人間ではなくて
生きた人間に見えると思います
でも、本作は設定以上の人物描写が無いと思う
ストーリーに沿って動いているキャラクター以上
のものは全く見えてこない
それは、ドラマの部分も同じで
みんなこういうの好きだろ
ってテンプレのドラマしか見せてくれない
なんか甘酸っぱい青春ラブストーリー
なんか格好いい修行シーン
なんか深そうな登場人物の葛藤
全部取って付けたかのような
表面的な良いドラマ
この映画は生きた人間を感じれなかった気がする
全部が作り物の虚構の世界にしか見えない
虚構と言うのは間違いないんですが
そんなフィクションの中にもリアルさは
必要だと思う
この映画はたぶん
この設定面白いでしょ
こんなストーリー面白いでしょ
ってところで終わってしまってるんです
本当はここからさらに
生き生きした人間を描いたり
感情移入できるようなドラマを描いたり
しなくてはならないと思います
設定、ストーリーが面白いことに
越したことはないですが
そこは表面の部分で
それ以上に内面の部分を深く見せてくれないと
リアルにも思えないし本当の意味で感動もできない
心に刺さる作品にはならないと思う
でも、これってこの作品だけでなくて
最近のアニメはそういうのがすごく多い気がします
特にラノベ原作のアニメとか
面白い設定、ストーリー
カッコいいキャラ、可愛いキャラ
そういうのにばかりこだわって
表面的な面白さしか求めていない
視聴者もそういうものが手軽に感動できるし
気持ち良くなれるからそれを求める
でも、結局そんな作品は一時の快感は得られるけど
心に残る作品にはならないと思います
個人的にはそんな作品には興味が湧かない
観たところで心に何も残らないと思う
あと、この作品で
なぜそこを描かないのか?
と思ったことがあります
それは、主人公の
『自分とは何なのか?』
という哲学的な部分
この設定はかなり序盤で明かされることなんですが
主人公の直実は実はデータの中の存在で
現実世界のコピーであること
そして、直実は現実世界と全く同じことを
たどっているだけの存在なんです
そんな事を知れば
普通はパニックになると思うし
『自分とは何なのか?』
という疑問が生まれそうなものなんですが
直実は全くそんな事を考えていない
むしろあっさりと受け入れてしまいます
その後もナオミの言うとおりに
ロボットのように直実は行動したりしますが
その中で疑問が生まれることも無く
最終的にもその部分には触れない
でも、物語的には
そんな定められた運命から抜け出そうとする
話なんですよ
じゃあ、やっぱり直実の
『自分とは何なのか?』
という心の葛藤は必要だと思う
てか、この世界の物語と直実の精神は
リンクするべきですよね
直実の精神が変化するとき
世界も変化するべき物語だと思うんです
セカイ系アニメってやつですよ
ただ、本作は哲学部分を完全に放棄していて
セカイ系にはなれてませんね
これも表面的な面白さだけにこだわりすぎて
キャラクターの内面を描かなかったが故だと思う
それと、ラストシーンのどんでん返し的なヤツ
あれは蛇足だと思います
確かにあのシーンを見せられると
なるほど、そういうことだったんだ
と驚かされる部分はありますが
ちょっと説明的過ぎると思う
あの終わり方よりもっと曖昧な終わり方のほうが
余韻が残ったかも
あれもやっぱり表面的な面白さを求めたから
なんじゃないですかね
こんなオチ予想外で驚いただろ!!
ってドヤ顔で言われてるような気がしてしまう
それに夢オチみたいにもなってしまってるし
あまり好きじゃないです
表面的には面白い映画なので
そういうのが好きな人なら満足できるんじゃ
ないでしょうか
個人的には薄っぺらすぎて物足りなかったです
でも、設定やストーリーはとても良かったので
もっと哲学的な部分やドラマを深く描いていれば
面白いセカイ系アニメに
なってたんじゃないかと思うと
少しもったいない作品でしたね
ソードアート・オンライン Blu-ray Disc BOX(完全生産限定版)