何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」感想 で、何が言いたいの? ひたすら眠いんですけど

f:id:kiitsu01:20191115004018p:plain

どうもきいつです


伝記映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」観ました

18世紀オランダのポスト印象派の画家
フィンセント・ファン・ゴッホの
生涯を描いた伝記映画

監督は「潜水服は蝶の夢を見る」などの
ジュリアン・シュナーベルが務め
ゴッホを演じるのはウィレム・デフォーです

 

あらすじ
画家としてパリで全く評価されないゴッホは
出会ったばかりのゴーギャンの助言で
南仏のアルルにやってくる
しかし、地元の人々との間にはトラブルが生じ
孤独な日々が続く
アルルを訪れたゴーギャンとの共同生活も破綻するが
それでもゴッホは絵を描き続けた

 

感想
何を伝えたいのか不明
ゴッホはこういう人だ
という紹介だけで終わってる映画
かと言って史実に忠実なわけでもない
雰囲気だけのアート映画って感じでした
マジで眠くなります

 

世界的に有名な画家ゴッホを
主題にしている映画ということで
とても楽しみにしていた作品

個人的にゴッホの作品はとても好きで
ゴッホ自体もとても好きです

そんなゴッホの生涯を描いた作品なので
すごく期待していたんですけど…

正直言って
すごく退屈な映画だった

マジで眠い映画です


別にエンターテイメントを求めていた
わけではないですよ

ただ、ゴッホという人物を
どう面白く描いてくれるのかと
期待していただけです

 

で、この映画では
あまりゴッホを魅力的に描けていなかったと
思いました

この映画を観て
ゴッホをどう思うかと言うと
ただのメンヘラおじさん

確かにね
ゴッホにはそういう一面は大いにありますよ
精神的になかなか不安定な人です

でも、本作ではゴッホのそのメンヘラな一面を
ちょっと過剰に誇張しすぎなように思う
芸術家=精神を病んでる人
みたいな固定概念のもとに
作られた作品のようにも思えてしまいます

ゴッホの魅力って
メンヘラな病んでるエピソードが多い苦悩の人
みたいなのが人気の要因かもしれないですが

でも、そんなことよりも
やっぱり絵ですよ

ゴッホの絵は素晴らしい
それが一番のゴッホの魅力のはず

ゴッホという人物を描くなら
ゴッホと絵の関係性を
見せなければならないと思うんです


しかし、この映画は
ひたすらゴッホってこんな人ですよ
って感じのゴッホの紹介映画なんです

そこで描かれるのは
ゴッホがいかにメンヘラか
いかに苦悩しているか
そんなことばかり

肝心のゴッホがどう美術と向き合っているのか
という部分はかなりの薄いです


でも、別にゴッホを紹介するような
内容の作品が悪いとも思わない

ただ、この作品は
史実を忠実に再現したゴッホの紹介映画ではなく
監督のフィルターを通した
監督が思い描くゴッホの紹介映画なんですよ

なんじゃそれ
って感じです

過剰にメンヘラなゴッホ像
それをひたすら見せられるんですよね


淡々とゴッホの生涯を見せて
彼がどんな人生を歩んだか
どんな人間なのか
それだけを見せるのならば
史実に忠実な作品にするべきだと
僕は思うんです


監督の思い描くゴッホを見せたいのなら
この描きかたじゃないはず

そうするのなら
ゴッホを通して監督が何を表現したいのか
何を伝えたいのか
ゴッホをどう思っているのか

そういうものを見せなければならないと
思います


でも、この映画には
そういったものがなにも感じれない

観終えたときに
結局何が言いたかったの?
と疑問が残るだけの作品なんですよ

 

さらに、これ以上に不満に思うのは
ゴッホにとっての絵とは何か?
をほとんど描いていないこと

ひたすらメンヘラなゴッホを見せるだけで
ゴッホの何があっても絵を描き続けることの意味
という部分には全然触れません

むしろ、オマケくらいの扱いですよね
メンヘラおじさんが
たまたま絵が好きだった
くらいのノリですよ

監督はゴッホのことを
ただのメンヘラおじさんとしか
思っていないんですかね?


芸術、絵がこの作品にとっても
ゴッホにとっても
とても重要な要素のはずだと思うんですけど…


なのにこの映画はそんな事は二の次で
可哀想なゴッホ
苦悩するゴッホ
それだけを描いて
それだけの物語で終わってしまってます


やはり、ゴッホはなぜ絵を描き続けるのか
そこを掘り下げてほしかったですね

その部分を中心に
ゴッホがどういう人物なのか
どういう人間関係があったのか
そんなドラマを描いてほしかった

画家であるゴッホというものを中心に
もっと深く観たかったです

 

そして、この映画は
演出や映像の見せ方に関しても
ちょっと何がしたいのかがわからない

無駄に長いシーンや
意味のわからない手ブレやぼかし

そういうのが正直すごく邪魔

観てるのに疲れてきます
だから眠くなる


特に退屈に思う原因でもあるのは
なんとなく美しい景色を
無意味にダラダラと流すシーン

これは本当にしんどいです

しかも、そんなシーンがすごく多い

そんな見せ方に何か意味が込められているのなら
別にいいと思いますが
この長い景色のシーンには特に意味を感じれない

この景色キレイでしょ
って言っているだけのようにしか思えませんよね

ただ綺麗なだけの景色の中を歩くゴッホ
そこから何を伝えたいのか?


他にも
何の意味も無いしょうもない会話を
ダラダラと聞かせられたり
インタビューのようなつまらない会話シーンなど

そんな何を伝えたいのかわからない会話を
見せられるのもなかなか苦痛です

そこから何か感じろと言われても
感じることなんてできない
おそらく何も込められていないと思います

込められていたとしても
伝わらなかったら意味ないですし

 

で、映像の見せ方もよくわかりません

やたらぶれるグラグラ揺れる映像
下半分がボケている謎のピンボケ映像

マジで観ていて疲れる

これらの意図も
やっぱり全然ピンと来ない
観ていてしんどくなるだけの映像です


ゴッホの不安定な気持ちを表しているのか?
ゴッホの見る世界を表しているのか?
たぶんそんなところだろうと思うけど

なんかちょっとズレた表現のように思う

美しい自然の景色ってのも
ゴッホ目線の世界の表現なのかもしれませんが

それはちょっと違うんじゃないか?


ゴッホの見ている世界は
ゴッホが描いた絵画だと思うんですけどね

あの名作たちがゴッホのフィルターを通した
世界の表現のはずです

じゃあ、ゴッホの見る世界を表現するには
殺風景な大自然の景色でもないし
ブレブレの手ブレ映像でもないはず

ゴッホの描いた絵画とリンクするような
映像表現にしなければならないと思うんです

ゴッホの色彩感覚や画風なんかは
映像の中にも表現できるはずなのに
この映画ではそういうものは一切ない

美術というのは美しい、なんとなく奇抜な表現
それくらいの浅くて表面的なものしか
この映像からは感じれませんでしたね

 

ただ、表面的には
アート映画風にはなっています
なんかすごい映画のようには見える
音楽もそれっぽいですし


この映画をなんとなく褒めていれば
アートわかってる風のサブカル知識人みたいな人にはなれそうです

でも、深く見てみれば
ゴッホの作品にリスペクトがあるようには思えず
アート表現もズレてる気がする

雰囲気はアートっぽいけど
中身はカラッポの作品じゃないかと思う

芸術家を題材にしているのに
芸術面が稚拙なのはいただけない

もっと芸術、美術というものを
掘り下げるべき作品ですよ


なんかアートっぽい映画なので
サブカル好きにはウケるかもしれない

でも、本質的にはアートに迫れていないです
ゴッホの人生のドラマ、芸術観などにも
全く迫れていない映画

ゴッホを描いている作品で期待していただけに
これは残念な出来でした

 


ゴッホ展完全ガイドブック (AERAムック)