何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「地獄少女」感想 実写化は成功してると思うけど 白石晃士ならもっとできたはず

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どうもきいつです


アニメの実写化映画「地獄少女」観ました

2005年に第1期が放送されドラマ化もされた
人気テレビアニメ「地獄少女」を実写化した作品
ウェブサイトを通じて復讐の依頼を受け
それを遂行する地獄少女の姿を描いた作品

監督は「カルト」「不能犯」などの
白石晃士が務め
地獄少女を演じるのは玉城ティナです

 

あらすじ
午前0時にだけ現れる地獄通信というサイトで
復讐を依頼すると地獄少女が現れ
恨みを晴らしてくれるという都市伝説が
若者たちの間でささやかれていた
女子高生の美保は大好きなアーティスト、魔鬼
のライブで遥と出会い魅了され彼女と親しくなる
美保は遥と共に魔鬼のコーラスのオーディションを
受けることになるが
そこから不可解な事件に巻き込まれていく

 

感想
アニメの実写化としては
なかなか出来の良い作品だと思う
ただ、すごく面白いのかというとそうでもない
白石晃士ならもっとすごい映画を
撮れたんじゃないか?
そう思ってしまいました

 

アニメの「地獄少女」はそんなに
がっつりとは観ておらず
軽く作風や設定を知っている程度

なので、あまり思い入れのある作品では
ないのですが
白石晃士が監督を務めるということで
とても興味があった映画です

僕は白石監督の作品はとても好きで
彼の作品はいろいろ観ていて
特にコワすぎシリーズがすごく好き

独特な世界観やキャラクター
白石監督特有の絶妙な映像センスなどが
かなり僕のツボにハマるんですよね

そんなこともあって
この作品には結構期待していました

 

そして、実際に観てみると
白石監督らしい表現をたくさん見れたし
アニメの実写化としても
なかなか上手く仕上がっている

 

まず、コスプレっぽくなっていなかったのが
良かったですね

漫画、アニメ原作の実写映画って
大抵コスプレっぽくなってたりします

原因はいろいろあるでしょうが
ほとんどが現実にそぐわない
キャラクターや衣装のデザインを
そのまま現実に引っ張り出してきている
からだと思うんです

コスプレに見えないようにするには
いろいろ工夫が必要だと思うわけです


で、本作の場合は

原作の地獄少女こと閻魔あいと
その取り巻きたちは
かなりアニメ的なデザインだと思う

これをそのまま実写化したら
絶対にコスプレになるだろう
って思うんですが

それが以外とコスプレっぽく
なっていなかったんですよね


それはおそらく
白石監督の作風や世界観と
このキャラデザが上手くマッチしたんだと
思います

白石監督の生み出す
独特なビジュアル表現やホラーな世界観に
「地獄少女」のアニメ的なデザインが
良い感じに溶け込んでいるんですよ


さらに、それだけでなく
キャストがすごくハマってる

特に玉城ティナです

彼女の日本人離れしたルックスが
閻魔あいというミステリアスなキャラに
ぴったりで全然違和感がない

アニメの閻魔あいのイメージとは
少し違うと思うんですが
この映画のキャラクターとしては
謎の説得力があります


他のキャストたちも
良い感じで溶け込んでいる

そもそも、閻魔あいと取り巻きの
4人を演じている人たちが
なんかフィクションっぽい人ですよね

役者の存在自体が
ちょっと現実離れしているから
本作のこのキャラクターたちに
すごくハマってるんだと思います

 

そして、キャラクター以外に
白石監督らしさが溢れている作風も
とても良かったです


地獄の映像なんかは
白石らしさが溢れ出てましたし
暴力や残虐な場面も監督らしい

ちょっとキモかったりグロかったりする場面も
多くて若干不快
でも、ただキモい、グロい
ってだけではなく
独特のセンスがあるのでとても面白いんです

そういうところから
ただアニメを実写化した作品
ってだけではなく
白石晃士の作った作品
というのも感じられる映画でした

 

そんな感じで
アニメの実写映画、白石監督の映画として
それなりに面白い作品ではあるんですが
いまいちパッとしない印象の作品でもあります

めっちゃ面白い映画ではない


だからこそ
白石晃士ならもっとできたはずだろ
って思ってしまうわけです

 

特にストーリーですよね
なんかすごく薄い内容です
カタルシスが弱い

「地獄少女」の醍醐味は
理不尽なことへの復讐を見せることで
カタルシスを感じさせる
という部分だと思うんですが

本作はいまいちそこが弱い


復讐が実行されるときに
すごく気持ちよくなれなきゃいけない作品なのに
そこがちょっとモヤっとするんですよね

あんまり気持ちよくないと言うか…


なぜそうなるのかを考えると

そこに至るまでの描写か
ちょっと中途半端なんだと思う

登場人物にあまり感情移入できなかったり
エピソードがそんなに
深く掘り下げられてなかったり

何より胸くそ悪さが
そんなに強くなかったりする

白石監督ならもっと胸くそ悪いことが
できると思うんですけどね

反吐が出るほど嫌なものを見せつけて
ほしかった


魔鬼にしろ女の子の顔を切りつけた奴にしろ
そこまでムカつかないんですよ
普通に悪い奴ってくらいで
こんな奴ら死んでしまえ
ってほどまでは思えない

狙われた子たちに関しても
あまり感情移入できてないうちに
不幸に見舞われるので
この子たちの目線になって見ることも
できないですし


だから、自分が地獄に堕ちるリスクを
背負ってまで相手に復讐する
って部分にあまり納得できないんです

自分を犠牲にしてまですることか?
と少し疑問に思ってしまう
そこまでの強い思いが伝わってこない

 

特に主人公の美保が
最後に復讐するところですね

親友の遥を助けるため
ということは理解できますけど

美保と遥の関係性の深さを
そんなに深く描いていないから
このシーンは盛り上がりに欠ける

2人の関係性をもっと掘り下げていれば
かなり盛り上がると思いますし
感動的にもなると思うんですけど

それが無いから
ラストもなんか弱いんですよね


正直言って
この2人が親友にもそれ以上の関係にも
全く見えない

それどころか普通の友達としても
そこまで仲が良いようにも見えなかったり…


個々の描写も

美保が学校の交遊関係が上手くいってないとか
遥が家で母親に暴力を振るってるとか
これらにあまり意味が感じれない

このエピソードをきっかけに
2人の仲が深まっていく
っていうのならわかるけど
そんなに関係が無いですし

中途半端にそんな表面的な要素があるので
なんかストーリーもぶれてしまってますしね


とにかく、美保と遥の2人のドラマを
もっと深く見せるべきだったと思います

 

ただ、工藤仁のキャラは
すごく良かったと思います

物語を進める役割を上手くこなしているし
人間臭い性格に好感も持てる

コワすぎシリーズに登場する
同名キャラと通じる部分もあって
白石作品が好きな人なら
楽しめる要素になってると思います

コワすぎの工藤に比べると
だいぶマイルドにはなってますけどね

 

アニメの実写化はそれなりに
成功していましたが
普通な作品で終わってました

白石晃士なら絶対に
もっと面白くできていたはず

監督の個性や良いところは
たくさん出ていた作品でしたが
もっと出してほしかったですね

なんか惜しい映画だと思いました

 


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