何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「弥生、三月-君を愛した30年-」感想 切ないラブストーリーは悪くない でも、ちょっとチグハグ

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どうもきいつです


恋愛映画「弥生、三月-君を愛した30年-」観ました

30年間の中の3月を舞台に
2人の男女が紡いでいくラブストーリー
運命に翻弄されながらも
お互いを愛し続けた2人の男女の半生が描かれています

テレビドラマ「家政婦のミタ」などの脚本を
手掛けてきた遊川和彦が監督を務め
波瑠と成田凌が主演を務めています

 

あらすじ
高校時代に出会った結城弥生と山田太郎は
互いに惹かれ合いながらも
親友のサクラを病気で亡くしたことから
想いを伝えられずにいた
それから、別々の道を歩む彼らは
それぞれ結婚し家庭を持つが
離婚やパートナーの死、災害に巻き込まれ
昔から抱いていた夢も破れてしまい
人生のどん底を味わっていく

 

感想
人生が全然うまくいかない主人公たちの姿に
すごく心を打たれた
人生ってこんなだよな…
と共感もできる
切ないラブストーリーも悪くない
ただ、全体的にチグハグで描写不足に感じた

 

恋愛映画は普段あまり観ませんけど
この映画は予告を見て少し気になっていたので
映画館まで観に行ってきました

波瑠と成田凌も結構好きなので楽しみに
観てきましたが
なかなか面白い映画だったと思います

内容はかなりベタな恋愛ドラマだと思いますけど
見せ方が面白かった

30年間という長い年月を描いた物語なんですが
その30年の中の3月だけにスポットを当てている

主人公の弥生と太郎が出会ったのも3月
卒業して道が分かれていくのも3月
2人の再会も3月
震災が起きたのも3月

30年間の中で様々なエピソードが描かれますが
全てが3月の中の出来事です

3月を舞台に
彼らの成長、挫折、恋愛などの人間ドラマを
時間とともに見せられていくという内容

この設定や表現方法が斬新だと思えましたし
最後まで面白く観ることができました


カレンダーや時計の数字で
実際の時間の流れを見せて
桜の木で弥生と太郎の2人の時間の流れを
表現しているのも面白いですね

桜の花が満開になる場面ははじめから予想できますが
実際に満開になった場面を観たときは
感動させられた

 

見せ方も面白かったんですが
人間ドラマも良かったと思います

弥生と太郎のすれ違いだらけの恋愛は
すごく切ないしモヤモヤさせられる
しかも、時間が経つにつれ
2人はおじさんおばさんになっていくので

切ないをとおりこして痛々しい
終盤になるとちょっと見ていられなくなってくる

恋愛が上手くいかないだけでなく
それ以外の人生もなかなか上手くいかなくて
見てるのが辛いレベル

でも、それが人生なんだよな
と心に刺さる
ちょっと自分を見てるような気持ちにもなってくる

希望にあふれる学生時代からの
大人になって夢が破れる姿
これは本当に切ない気持ちになりました


全体的に切ないし辛い人生を見せられますが
最終的には希望が見えてくる物語で
最後はハッピーエンド
だから、観終えた後は爽やかな気持ちで
モヤモヤ感は残りませんでした

ちょっと感動もしましたし

 

それなりに面白い映画ではありましたが
正直言って
これは2時間の映画よりも
連続ドラマで観たかった

短い時間にすごく詰め込んでしまってる気がする

いろんなエピソードが
それぞれの時代ごとに描かれるような作りなんですけど
全部のエピソードが短いし内容が薄い

もっと掘り下げてほしいようなエピソードも
いくつかありましたが時間的に無理でしょうし
映画ならこれが限界なのかも

太郎と息子のエピソードなんてほとんどないから
息子が登場するたびに唐突に成長し過ぎていて
なんかいまいち感情移入できない

息子が弥生の影響で先生になったというのも
あまりしっくりこないし…
あの2人一回会っただけだし


弥生と歯医者の旦那の関係性の描写も薄すぎて
どんな夫婦の関係性なのか掴み所が全然無い
仲が良いのか
愛し合ってるのか
お互いにどんな感情を抱いているのか
その辺は全然描かれない

だから、震災が原因で夫を亡くした弥生の気持ちが
いまひとつわかりづらかったりする


で、この個々のエピソードが薄くて感情移入しづらい影響で
中盤あたりの弥生と太郎の一晩の過ちの場面がすごく嫌に見えて
物語の終盤まで尾を引いてしまう

あの場面がただの浮気にしか見えないんですよ

あの場面って2人にとってかなり重要なエピソード
だと思います
2人が今までの気持ちが抑えきれなくなり
初めて素直になった瞬間だと思うし
この出来事で弥生が後悔と罪の意識を抱えてしまい
彼女の人生が大きく崩れて行く原因でもある

物語上も必要なエピソードだと思うけど
全体的に内容が薄いから
全然この場面が生きてこない
むしろ、これのせいで後の方まで
この2人、浮気したんだよな…
と悪い印象が残ってしまうんですよね


それと、震災の場面もあっさりしすぎなように思う
ちょっと扱いが雑だったような…
あんな使い方をするのなら震災の描写はいらなかった気がする

この物語の中で震災に重要な意味合いがあるのかと言うと
全然そんなことがなく
震災の代わりに別の要素でも補えると思います

 

あと、ストーリーの流れは時系列通りに
してほしかったですね

時間の流れ通りに進んでると思ったら
途中で過去の話に飛んだりするから
ちょっとおいてけぼりをくらってしまう

あれ、今時間戻った?
って混乱することが多々ありました

コンセプト的にも時系列の順番通りで
見せたほうがわかりやすいし
時間の積みかさねにもより重みが生まれたように思います

 

それぞれのエピソードがそれぞれ独立してますし
時系列も行ったり来たりで
全体的にチグハグになってしまってました
まとまりがちょっと悪かった

エピソードも描写不足で薄いし
それならテレビドラマでじっくりと
長い時間かけたほうが面白くなったと思う

これのドラマ版があればちょっと観てみたい
長い時間を描いた物語だし
連続ドラマと相性がよさそうですよね

 

最後に
賛否が分かれそう…
と言うか否が多いであろうエンドロールの歌

これはすごく唐突ですごく変
否定的な意見が多いのもわかるんですが
個人的にはこのエンドロールは結構好き

正直言って
この演出すごくダサい
でも、そのダサさがこの映画に合ってるような気がするんですよね

こんなダサくてちょっと変な演出は嫌いじゃない
妙にクセになりました

なんかわからないけど
このエンドロールには謎の感動を感じました

 


面白い要素はたくさんあって
感動できる内容でもありますが
ちょっと中身が詰め込みすぎで薄かった

ドラマでやれば絶対に面白くなりそう

ドラマならもっとエピソードを掘り下げられるし
細かいところまで感情移入できたと思う
本作のコンセプトにも相性いいでしょうし

この映画はドラマでリメイクしてほしいですね

 


弥生、三月 (徳間文庫)